そして零冶達は迎撃ポイントで敵を待ち伏せしていた。トーレはもう一方の通路で待ち伏せている。
零冶 「侵入者の詳細は分かるか、チンク?」
零冶はチンクに聞いた。
チンク「ああ。敵は管理局・首都防衛隊に所属するストライカー級の魔導師数人を中心とした部隊だ。数は8、いずれも精鋭だ。」
零冶――・・・面倒だな。さすがに雑魚を送ってこないとは思ったけど、面倒な奴等が来たもんだ。
零冶 「精鋭・・・ね。まぁ、ここは通路も狭いから接近戦にならざるを得ないから、トーレなら大丈夫だろう。」
ここは洞窟のちょっとした広場で高さ10m幅12m程である。
チンク「ああ。トーレなら心配ない。」
チンクも零冶の言葉に頷いて言う。だが、零冶は一つだけ不安があった。
零冶 「だが、一応殺すなとは言ったけど間違って魔導師を殺したりしないだろうか?トーレの腕を信じていない訳では無いけど、
少し不安だ。俺は・・・・できれば殺したくは無い。彼らに罪は無いからな。」
零冶は先ほどジェイルに言われたことを思い出した。それは、彼らは最高評議会が手を回してワザと情報リークさせ、
邪魔な一部隊をここに送り込んで抹殺させるという最悪のシナリオだった。
チンク「大丈夫だ。トーレを信じろ。」
零冶 「・・・分かった。あ、それとこの後はどうするんだ?ここを知られてしまった以上、もうここは破棄するしか無いだろ?」
チンク「それなら心配ない。今、博士達が必要な資料と物資や設備を運び出している。もちろん、こういう時の為に他の研究施設も建造してある。」
零冶はそれを聞くと安心した。
零冶 「そっか・・・ならいい。[マスター、接敵まで残り15秒切りました。]っ!どうやらお喋りはここまでのようだ。」
ルナからの知らせを受けて零冶は洞窟の先を見据える。チンクもまた構える。そして、薄暗い通路の先に5人の
魔導師が現れた。
ゼスト「なっ!?子供だと!?」
戦闘にいた男が俺たちに驚く。
チンク「・・・・・・。(ムカッ)」
子供と言われてチンクの眉が少しだけつり上がった。
零冶 (落ち着けチンク。気持ちは解るが抑えてくれ。)
チンク(分かっている。ただ、私の一番気にしていることを・・・!)
チンクは自分の体型にかなりのコンプレックスを持っていた。体型の事を言うと問答無用でナイフを投げつけてくる。
零冶はそれで何度も殺されかけた。ちなみに、ブラックワードは『幼女』だ。
ゼスト「こんな所にいると危ないぞ!さあ、早くこっちに来るんだ!」
ゼストが手を差し伸べて言うが零冶は、
零冶 「いや、その必要はないよ。」
至ってポケットに手を突っ込んだまま言った。そして、こっそりと召喚の詠唱を行う。
零冶 (我が意に集いし友よ。その身体は鋼で覆われ、あらゆる刃を拒む。)
ゼスト「・・・どういうことだ?」
ゼストは少し警戒した。
零冶 (その爪は全てを斬り裂き、翼は竜巻を起こし、尾は大木を薙ぎ倒す)
チンク「なぜなら、私達がお前達が追っている者達の一人だからだ。」
ゼスト「なに!?」
ゼストを含めた隊員達が驚き、デバイスを構えた。そして零冶の詠唱が完成する。
零冶 「古の龍よ、我が前に立ちはだかる敵を吹き飛ばせ!来い!クシャルダオラ!!」
隊員「なっ!?」
魔方陣が展開され、その中からクシャナが現れる。
ゼスト「バカな!?竜を召喚した・・・だと!?」
ゼストを含めた隊員達はその巨体さに驚く。
クシャナ『
ゼスト「なっ!?言葉を話せるのか!?」
更にクシャナが話した事に驚く。
一方、クシャナはこのような狭い場所に召喚されて少し不満だった。普段、大空を飛ぶクシャナにとって、
狭い場所は好まないのだ。
零冶 「ああ、すまない。ただ、アレを少し試してみようと思ったんだ。」
クシャナ『アレ・・・ですか?・・・なるほど、実践テストですか。分かりましたわ。やりましょう。』
ゼスト「お前は一体何者なんだ!?」
ゼストが声を荒げる。
零冶 「俺か?俺は何一つ守れない・・・ただの愚か者だ。憑依装着、双剣・クシャルダオラ!」
すると俺とクシャナは吹雪に包まれ、フルプレートのクシャナSの防具と双影剣を装備した。
ゼスト「り、竜が鎧に変わっただと!?」
再び全員が驚く。チンクはこの事を知っているので大して驚いていない。
零冶「お前達に教えておかなければならないことがある。お前達は・・・嵌められたんだ。」
ゼスト「・・・どういうことだ?」
チンク「お前達の誰かが知ってはいけない事を知ってしまったのだ。それが何かは分からない。だが、心当たりが
あるのではないか?」
ゼスト「まさか・・・。」
チンクが聞くとゼストは心当たりがあるみたいだった。
零冶 「恐らく最高評議会の正体だと俺は思うけどね。」
零冶は説得して引き入れようとしたが、
ゼスト「仮に・・・仮にそうだとしてもお前達を信じるには値しない!!悪いが拘束させてもらうぞ!総員、攻撃開始せよ!」
先にゼストが仕掛けてしまった。
隊員1「はああああ!!」
零冶 「やれやれ・・・こうなると思った・・・よっ!!」
零冶は剣で斬りつけてきた奴の攻撃を躱し、すれ違いざまに一閃する。
隊員1「がっ!?」
隊員の斬りつけられた所は氷結し、隊員は気絶した。非殺傷設定な為に死にはしないが・・・当たるとかなり痛い。
隊員2「くっ!囲んで叩くぞ!!」
隊員3・4「了解!!」
一対一では無理だと判断した隊員は零冶を囲み、二人は双剣でもう一人は斧で来た。
零冶 「ほぅ・・・双剣と斧で俺に挑むのか?・・・いいだろう。来い!!」
隊員達は一斉に攻撃する。だが、零冶は最小限の動きでそれらを回避する。
隊員2「なっ!?は、速い!?」
隊員3「コイツ、当たらないぞ!?」
隊員4「何でなのよもう!!」
隊員達は零冶に次々と攻撃するが、一向に当たらない。そして回避に飽きた零冶はケリをつけようとした。
零冶 「そろそろ避けるのも飽きたな・・・。悪いが一撃で決めさせてもらうぞ。」
そして、3人が同時に上から斬りつけたとき、零冶は双影剣でガードする。そして、
零冶 「双影剣・・・
零冶はガードしたまま無理矢理体を回転させて斬りつける。すると、周囲に吹雪きが巻き起こり、隊員達を吹き飛ばす。
これは黒澤自身が編み出した技だ。
隊員達「ぐあっ!?」
吹雪が収まると零冶の周囲は氷結し、隊員達も所々凍っている。
零冶 「精鋭と言ってもこんなものか・・・。レベルが低いな。」
と零冶は呟いた。ただ、ここで一つだけ訂正する。決して隊員達のレベルが低いのではない。零冶が異常過ぎるのだ。
だが、零冶がチンクの方を見ると、
チンク「ぐあっ!?」
ゼストの攻撃がチンクの右目に当たる。
零冶 「チンク!?はああ!!」
零冶はチンクを助けるためにゼストに斬りかかる。
ゼスト「ぐお!?」
ゼストは零冶の攻撃を槍でギリギリ防御する。だが、5mほど飛ばされた。どうやら踏ん張ることができなかったらしい。
よく見ると、ゼストはボロボロだった。
零冶 「双影剣・・・氷牙!!」
零冶が双影剣に魔力を流すと、双影剣の刀身に氷が纏わり付き、1m程長くなる。それを零冶は×字にして
一閃するとゼストは倒れて気絶する。
零冶 「チンク!!」
気絶したのを確認すると、零冶はチンクの元に駆け寄った。
チンク「だ、大丈夫だ。問題ない。」
チンクは何でも無いかのように振る舞うが、右目を押さえて苦悶の表情を浮かべていた。
零冶 「何でも無い訳ないだろ!!」
俺はトーレに連絡をとった。
零冶 (こちら零冶。トーレ、聞こえるか?)
トーレ(トーレだ。どうした?)
零冶 (チンクが負傷した。今からチンクを連れて退く。セインとクアットロに襲撃者を連れてくるように言ってくれ。)
トーレ(なに!?チンクがか!?分かった。すぐに増援を送る。)
零冶 (頼んだ。)
俺はトーレとの交信を終了させると、チンクを抱き上げた。
チンク「なっ、何を!?」
チンクは暴れ出すが俺は無理矢理押さえつけた。
零冶 「負傷しているから運ぶだけだ。大人しくしていろ。取りあえずジェイルの所へ退くぞ。」
俺は淡々と言ってその場から離脱する。
チンク「ま、待て!自分で歩ける!!」
チンクはそう言うが実際、一刻も早く怪我の手当をしないといけない。俺は戦闘機人の事は詳しく知らないため、
ジェイルに診てもらうしかないのだ。
零冶 「大人しくしてろって!俺が運んだ方が早い。俺に抱えられるのが嫌なのは解るが、我慢してくれ。」
チンク「いや、別に嫌では・・・ただ、・・・その・・・恥ずかしくて・・・・・あぅ///」
なんか最後だけ聞こえなかったが嫌じゃ無いならまぁいいだろう。俺はそのままジェイルの所へ急いだ。
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更新が遅くなってすいません。