~アクシスピラー・屋上~
「フフ……仲直りしたようで結構だ。しかし少々、打ち解けすぎではないかな?」
エステル達とレーヴェが打ち解けていたその時、ワイスマンが現れて杖から電撃を放って、レーヴェに命中させた!
「ガッ……」
ワイスマンの攻撃に命中したレーヴェは吹っ飛ばされて地面に倒れた!
「あ……」
「レーヴェ……!」
それを見たエステルは呆け、ヨシュアはレーヴェに駆け寄った。
「フフ……ご機嫌よう。見事、試練を乗り越えてここまで辿り着いたようだが……。こういうルール違反は感心しないな。」
「な、なにがルール違反よ!あたしたちは正々堂々と執行者たちと戦ったわ!そしてヨシュアは……レーヴェとの勝負に勝った!変な言いがかりを付けてるんじゃないわよ!」
ワイスマンの言葉にエステルは怒りの表情で怒鳴った。
「フフ、まだまだ今回の計画の主旨に気付いてないようだね。結社に属する者は皆、それぞれ何らかの形で”盟主”から力を授かっている。そのような存在が君たちに協力してしまったら正確な実験は期待できないだろう?」
「じ、実験……?」
「……まさか……。僕たちがここに来たことすら計画の一部だったというのか!?」
ワイスマンの話を聞いたエステルは呆け、ヨシュアはワイスマンを睨んで言った。
「フフ……幾分、私の趣味は入っているがね。少なくとも計画の主旨の半分を占めているのは間違いない。」
「”福音計画”………”輝く環”を手に入れるだけの計画ではなかったんですか………」
ワイスマンの言葉を聞いたクローゼは真剣な表情でワイスマンを見て言った。
「クク……全ては”盟主”の意図によるもの。その意味では、ヨシュア。君も実験の精度を狂わす要素だ。非常に申し訳ないが……そろそろ私の人形に戻ってもらうよ。」
「!!!」
ワイスマンの言葉にヨシュアが驚いたその時、ワイスマンは指を鳴らした!するとヨシュアの肩に描かれてある”結社”の刺青が反応した。
「ぐっ……!」
「ヨシュア!?」
呻いているヨシュアを見たエステルが心配そうな表情で叫んだその時
「………………………………」
ヨシュアはその場から消え、双剣を構えた状態でワイスマンの傍にいた!
「………………………………」
「!!!」
「そ、そんな………」
「野郎…………!」
「そう来たか………!」
何の感情もないヨシュアの瞳を見たエステルとクローゼは表情を青褪めさせ、アガットとオリビエは怒りの表情でワイスマンを睨んだ。
「ヨシュア……嘘だよね……。ねえ……こっちに戻って来てよ……」
「………………………………」
悲痛そうな表情で尋ねるエステルの言葉にヨシュアは何も返さず、感情のない目でエステルを睨んでいた。
「お願いだから……そんな目をしないでよおおっ!」
「フフ、無駄なことは止めたまえ。かつて私は、壊れたヨシュアの心を修復するために”絶対暗示”による術式を組み込んだ。その時に刻んだ『聖痕(スティグマ)』がいまだ彼の深層意識に眠っていてね。その影響力は大きく、働きかければたやすく身体制御を奪い取ってしまう。」
悲痛そうな表情で叫んだエステルを見たワイスマンは凶悪な笑みを浮かべて説明した。
「……そんな…………」
「ああ、ちなみにヨシュアの肩にある紋章は刺青ではなくてね。私が埋め込んだ『聖痕』に対するヨシュアのイメージが現出したものだ。フフ……記憶が戻ったのと同時に現れたから彼もさぞかし不安に思っただろうね。」
「………………………………。……嘘、だったんだ。ヨシュアを散々苦しめた挙句に自由にしてやるって言っておいて……。それすらも……嘘だったんだ……」
「別に嘘は言っていないさ。君と共にヨシュアがこんな所まで来さえしなければ私もここまでしなかっただろう。クク……全ては君たちが選んだ道というわけだ。……それに君達のお蔭で”方舟”がメンフィルに奪われた。彼ぐらいは返してもらわないとねえ?」
エステルが呟いた言葉を聞いたワイスマンは凶悪な笑みを浮かべてエステル達を見て言った。
「っ……ふざけんじゃないわよ!あんたなんかにあたしたちの歩いてきた道をとやかく言われたくなんかない!ヨシュアを操ったからって今更へこんだりするもんですか!あんたなんかぶっ飛ばして絶対にヨシュアを取り戻すんだから!」
「フフ……そう来なくては。だが、私もこれから外せない大切な用事があってね。”根源区画”で待っているから是非とも訪ねてきてくれたまえ。」
エステルの怒鳴りの言葉を聞いたワイスマンは凶悪な笑みを浮かべて答えた後、ヨシュアと共にその場を消えた。
「ああっ……!」
「ヨシュアさん……!」
「……さすがにピンチだね。」
「……どうすれば、”根源区画”って所に行けるんだ?」
ワイスマンとヨシュアが消えるのを見たエステルとクローゼは悲痛そうな表情をし、オリビエとアガットは真剣な表情で考え込んだその時
「……奥にある……大型エレベーターを使え……」
倒れているレーヴェが苦しそうに言った。
「レーヴェ……!よかった、無事だったんだ!奥にあるエレベーターって……」
「まさか……あの大きなプレート!?」
レーヴェの言葉に気がついたエステルは安堵の溜息を吐いた後、尋ねようとしたその時、何かに気付いたクローゼが声を上げた。
「”環”が眠る”根源区画”に…………降りることができるはずだ……。急げ……もう時間がない……」
「わ、分かった!」
レーヴェの言葉を聞いたエステル達はエレベーターに向かおうとしたが、数体の巨大な機械人形達がと、同じく数体の巨大な翼を持った獣が現れて行く手を阻んだ!
「チッ……アルセイユを撃墜した……!」
「それに巨大な魔獣もいます……!」
新たな敵の存在にアガットは舌打ちをし、クローゼは警戒した表情で言った。
「”トロイメライ=ドラギオン”……。ワイスマンめ……俺の機体以外にも用意していたのか……しかも俺も知らない巨大魔獣も用意していたとは………」
それを見たレーヴェは悔しそうな表情で呟いた。そして敵達は攻撃の構えをした。
「ふむ、さすがに簡単に通してくれなさそうだねぇ………」
「くっ………何とかして切り抜けないと………今からパズモ達全員を呼ぶわ!」
敵達の様子を見たオリビエは油断なく銃を構えた状態で周りを見回して呟き、エステルが言ったその時!
「―――いや、ここは我々が引き受けよう。」
なんとユリア率いるアルセイユの仲間達、そしてカプア一家のジョゼット、キール、ドルン。さらに!
「機械人形はともかく、なぜ合成獣(キメラ)が………どうやら俺達の世界の者が敵の中に紛れているようだな………」
リウイ率いるモルテニアのメンバーも駆け付けた!
「ユリアさん、ミュラーさん、リウイ!それにみんなも……」
「皆さん、どうしてここに……」
「ふふ、アルセイユの修理がそろそろ完成しそうなのでね!動けるものを集めた上で加勢しに来たというわけだ!」
「わしはオマケじゃが……こりゃ、凄い所にきたのう!」
エステル達の疑問にユリアは答え、博士は周りの機械人形を見て、感心していた。
「うふふ、早速出番のようね♪――パテル=マテル!」
そしてレンはパテル=マテルを呼び寄せた!パテル=マテルは空から飛んで来て、リウイ達の傍に着地した!
「!!レーヴェ………!」
一方プリネは倒れているレーヴェに気づき、血相を変えてレーヴェに駆け寄り、そして
「今、傷を治癒するわ!闇の息吹!!」
「………プリネ・K・マーシルンか………」
治癒魔術をかけ始めた。また、レーヴェは自分に治癒魔術をかけているプリネを見つめた。
「プリネ………?」
その様子を見ていたエヴリーヌは首を傾げた。
「フフン、言っとくけどボクたちも忘れないでよね!」
「ま、山猫号の修理もそろそろ終わる頃合いだからな。」
「お前さんたちの様子をちょいと見に来たってわけさ。」
そしてジョゼット、キール、ドルンも事情を説明した。
「そっか……」
「ここは俺達に任せてくれ!」
「余達がいるのだ!ここの心配はいらん!」
「お前達は真の黒幕の所に行け!」
「みんな……ありがと!」
ウィルとリフィア、リウイの激励の言葉にエステルは表情を明るくしてお礼を言った。
「行け……!エステル・ブライト……!……その輝きをもってヨシュアを取り戻すがいい……!」
「……うんっ!!」
そしてプリネに治癒魔術をかけ続けられているレーヴェの言葉にエステルは力強く頷いた。
「行くぞ、みんな!」
「各自、最低4名で組んで敵に挑み、敵を撃破しろ!」
そしてユリアとリウイは号令をかけた!
「おおっ!」
そして仲間達は2人の号令に力強く頷き、戦闘を開始した!仲間達が戦闘をしている隙にエステル達はエレベーターに乗って、下に向かった。下に向かっている最中、屋上でも現れた機械人形”トロイメライ=ドラギオン”が襲い掛かって来たが、協力して倒し、そして”根源区画”に到着した。
~根源区画~
「な、何とか……終点まで辿り着けたわね。ここが……”根源区画”なのかな?」
「ああ……圧倒的な力が奥の方から流れている………どうやら間違いなさそうだね………」
「つまり”輝く環”がこの先にあるってことか……」
「それにヨシュアさんも………」
エステルの疑問にオリビエ達は答えた。
「………………………………。……多分、これが最後の戦いになると思う。《輝く環》を何とかして異変を食い止めるためにも……。あの”白面”からヨシュアを取り戻すためにも……。3人とも……最後の力をあたしに貸して!」
「言われるまでもねえ!」
「はい………及ばずながら!」
「フッ………全ての愛と力を捧げよう!」
エステルの言葉にアガット達は力強く頷いた。
そしてエステル達は先を進み、”輝く環”の元へと向かった…………
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第341話