No.462646

ONE PIECE —黒髪少年の描く世界— 第三十話 解毒

霧宮 海さん

にじファンからの転載です。


この辺私好きなんですよねー♪
たしぎちゃん出てくるしー♪

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2012-07-31 00:15:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9043   閲覧ユーザー数:8867

「ルフィさん…」

ビビがクロコダイルが飛び出してきた方を見てつぶやく。

 

無事クロコダイルが倒れたとなったら雨が降るのも時間の問題だろう。

 

「あとは雨が降ってくれれば…」

ビビがしゃがみ込んで手を組む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと15秒

 

 

 

「降って!!!!」

ビビが手を組んだまま天に向かって叫ぶ。

 

 

 

 

ポツ

 

 

ビビが目を見開く。

「あれ、ビビ、何で泣いてんの?」

ナミがビビの頬を見て言う。そこには一筋の水の道ができていた。

 

「違う。涙じゃないわ、…雨よ」

ビビが天に手のひらを向けるとそれを待っていたかのように雨が地に降り注ぐ。

 

「降った、降ったわ!リーダーの所に行かなくちゃ!!」

そう言って一目散に走り出す。反乱軍の説明と誘導だろう。

そっちはビビに任せるとして

「俺らはルフィを拾いに行かねーと」

みんなに笑いかけて言う。

「そうだな」

サンジが立ち上がる。

 

みんなでクロコダイルが出てきた方へ向かうと

 

「!ルフィ」

「…ヤ、マ…ト」

よろよろとこちらに向かってくる。ケガだけにしてはあまりによろけすぎている。ルフィの身体を支えて横たわらせる。

ん?なんの痕だこれ。

ルフィの左肩の傷の近くに紫色の痕がある。

毒か…クロコダイルの使いそうな手だ。

「チョッパー!!」

こちらに向かって走ってきている途中のチョッパーを呼ぶ。

「な、何だ!?」

チョッパーが急いでこっちに寄ってくる。

「毒にやられてるんだ。何とかならないか?」

それを聞いてチョッパーがルフィに近寄り、様子を見る。

「うん、傷も酷いけど、まずはこの毒をなんとかしないとまずいよ!」

「なにか解毒剤はないのか!?」

サンジが聞くがチョッパーが首を横に振る。

「いろいろな毒の解毒剤はあるんだ。だけど何の毒にやられてるかわからない以上下手に何かを飲ませると逆に危ないんだ」

「んじゃどうすりゃ…!」

サンジが途方に暮れた声を出す。

 

 

カツン

 

「?ヤマト?何か落ちたよ」

ナミが拾ってくれる。試験管に何か液体が入っていてそれに栓がしてある。そしてタグが着いていて

「『N.R TO Mr.J』?よくわからないわ」

「『ニコ・ロビンTO Mr.Joker』…!ナミかして!」

「へ!?う、うん」

手渡された試験管の栓を抜き、ルフィに飲ませる。おそらく俺がミス・オールサンデーを抱えたときに彼女が忍ばせてくれたのだろう。なぜかは知らないが。

「ちょ、ヤマト!チョッパーの許可なしに」

「大丈夫だ!きっと効く!」

 

飲ませてしばらくするとルフィの顔が和らいだ。

「よかった…」

ナミがつぶやくと、倒れてしまった。

「!おいっ…て、疲れて寝てるだけか」

焦ったー。

その後みんな安心したのか眠りに入っていった。

 

俺も寝たいな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「麦わらの一味、発見しました!!」

路地の入り口から声がする。見てみると海軍だった。

ちっ、こんな時に海軍かよ!

 

葉を出して戦おうと手を前に差し出す。向こうも剣を取り出して戦う姿勢だ。

 

「やめなさい!!」

…へ?この声って、いつかの…

 

 

「麦わらの一味に今手を出す事は私が認めません!!」

「何でですか曹長!!今全員格好の餌食なんですよ!?」

 

たしぎだ。なんでこの娘がかばってくれてんの?でも手ぇ出さないでくれるってんだからありがたく逃げるか!

「たしぎだっけか。ありがとな!」

葉っぱで大きなじゅうたんを作り出してみんなを乗せる。

「よいしょっと。んじゃまた会えたらどこかで!」

たしぎに向かって敬礼をして浮上させる。

 

その時のたしぎの顔は雨のせいで彼女の前髪がへばりついて見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ないけどしばらくは宮殿に居座らせてもらうしかねえよなあ」

宮殿の前にたどり着く。みんなが乗ったじゅうたんも下に降ろす。

「いや、でもさすがに海賊なのにそれは図々しい話かな…」

 

バタッ

 

俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか最近俺は意識を手放してばかりだと思う。

 

鍛え直しか…。

 

そう簡単に倒れていたらいつ狙われるか知れないしなー。

 

どうやって鍛えよう。ゾロの道具を貸してもらうかな。

 

ていうかメリー号ってすごいよなー。あのゾロのありえん大きさのダンベル積んでんだぜ?

 

尊敬するわー。

 

 

 

「あ!」

 

あ?

 

 

「がはっ」

腹に衝撃が走る。

お忘れやも知れませんが俺はケガ人だ。そこになにかが落ちてきたとなればたまったもんじゃない。

「ご、ごめんなさい!お盆落としちゃった!」

ビビがお盆を拾って謝っている。ビビさん…なんでそんなに重いお盆を使ってるの?まさか密かに筋トレマニア?

聞いてみるとお盆はアラバスタでとれる石で作られているようで。

どうりで重い訳ですわ。

 

「本当にごめんなさい!大丈夫?」

申し訳なさそうに聞いてくる。

「あ、ああ。うん…」

腹に効いたけど。

「それにしてもヤマトさん起きるの早いわ。みんなまだ寝ているのに」

いや、あなたがお盆を落としたからだと思う。

周りを見渡すとベッドが沢山置いてあってみんなが寝ている。ビビ曰く、チャカが倒れている俺たちを見つけてビビに伝えてくれたらしい。チャカに感謝である。他の衛兵だったら明らかに海軍行きだったであろう。

 

「ビビ、あいつらの看病交代するよ」

起き上がりながら言う。これだけの人数の看病を一人でするのは結構きついと思う。それにビビの事だから召使いの人達を押し切って『私がやる!』とか言ったのであろう。

「え、いいわよ!ヤマトさん今起きたばかりじゃない!」

ビビが慌てて手を振って断る。

「でもビビ休んでないだろ?今までいろいろあった事が終わったんだ。休まねーとっ」

断り続けるビビを無理矢理俺がさっきまで寝ていたベッドに寝かせる。

 

ちなみに臭くないからな。

一応そこんとこはしっかり配慮してからの行動だ。

 

言っても無駄だという事を察したらしいビビは、その後、おとなしくなって寝た。すぐに寝付いたところからやはり相当疲れていたのだろう。大切な人同士が戦おうとしていたのだ。気が気じゃなかっただろう。

 

 

 

「さ、て、とっ。あいつらのタオル代えるか」

みんなの頭にのっていたタオルを回収し、お盆に乗せて部屋を出る。たしかこういうときはタオルをもっかい濡らせばいいんだよな。

水道水道…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺さ。

 

ちょっと馬鹿だわ。

 

今更気づいた。

 

 

 

 

王宮ってどこに水道あんの!?


 
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