第二十五技 大騒動は嵐の予兆
キリトSide
俺はいま、エギルの店の二階でアスナが来るのを待っている。
朝起きた時、外を見て驚愕した。
昨日のことをどこからか嗅ぎつけたのか、情報屋やらなんやらが家の外に集まっていたのだ。
そのうえ、昨日の事に変な尾ひれがついていたりするがまあどうでもいい。
というわけで俺は部屋から≪転移結晶≫を使ってここに避難してきたわけだ。
「いっときの間、隠れ家に住んだほうがいいかもなぁ………」
そう呟いてみた。あの騒ぎだ、まともに表には出られまい。
下の層で騒ぎが収まるのを待った方がいいかもな。
「なんなら一度、講演会でも開いてみたらどうだ「(シュターン!)」のわ!?」
俺はエギルに向けて取り出した短剣を投げつけた。
それはエギルの顔の真横に突き刺さる。
「俺は
「イ、イエッサー、ボス…」
俺のドスの聞いた一言に、エギルは顔を青くさせた。
まったく……自分が引き起こしたことにしても、困ったもんだ。
―――バタンッ!
いきなり勢いよく扉が開き、アスナが入ってきた。しかし、いつもと様子が違った。
「どうしたんだ、アスナ?」
俺が問いかけてみると彼女は俯かせていた顔を上げた。
だが、その顔は真っ青に染まっていた。
「ど、どうしよう…キリト君……。わ、わたし……、わたしのせいで……」
彼女はいまにも泣き出しそうな声をなんとか絞り出してそういった。
とりあえず椅子に座らせてからお茶を飲ませて落ち着かせる。
それで少しは落ち着いたようで真っ青だった顔も血色を取り戻したようだ。
「それで…、一体なにがあったんだ?」
「実はね……」
小さな声でポツポツと語り出したアスナ。
彼女の話しはこうだ。
昨日のボス戦の後、俺が血盟騎士団の客間で待っている間に報告をしたらしい。
そして少しの間休みがほしいといったら会議で話し合うことになり、そのまま帰らされたのだ。
今朝、ギルド本部に赴いてみると条件をだされたという。
「その条件がね……、団長がキリトくんと立ち合いたいって……」
「なっ!? ヒースクリフが……俺と…?」
アスナが言った条件というのを聞いて驚いた。なぜ、やつが俺と戦うと言いだしたのか…。
けれどそれと同時に俺はなんとなくだが、こうなるんじゃないかと思った。
ティアさんの情報では奴はなにか隠しているらしいし。
「そうか……俺が直接奴に会おう。話はそれからだな」
ヒースクリフに会って、話しを聞かなければならないな。
「ごめんねキリトくん…。わたしのせいで……」
アスナは体を震わせてそう言った。
「気にするな…。もとはといえば俺の責任だしな。それに、なによりも君の為だ…」
「あ、…ありがとう//////」
俺がそういって彼女の頭を撫でると照れくさそうに頬を染めた。
エギルがニヤニヤと笑っていたが、いまはつっこまないでいてやろう。
現在俺とアスナは55層『グランザム』にある、血盟騎士団本部に向かっている。
前までは37層にある小さな家が本部だったようだが、
ギルドの人数も増えて小さな家ではどうにもならなくなり、55層に新たに本部を移転したらしい。
「わたしこの町はきらい…。寒くて冷たいんだもの…」
「……そうだな」
彼女の言葉に俺も頷いた。
グランザムは別名『鉄の都』と呼ばれている。
空気は冷たく感じ、商人たちが明るく声を出しているわけでもない。
たしかに、俺もこの街は好きにはなれないな。
歩いていると血盟騎士団本部に辿り着いた。
二人の門兵がアスナを認識すると背筋を伸ばして敬礼してきた。
「任務ご苦労様」
彼女もそれに敬礼で答える。
さっきまで顔を青くしていたとはおもえないな。
中に入っていく彼女の後に俺もついていく。
しばらくしてなんとも重厚な鉄の扉の前にきた。
ここがヒースクリフがいる執務室だ。
アスナが扉に手をかけて開いた。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
話しの展開でわかる方もいると思いますが、次回はヒースクリフと会います。
原作を読んでいる方はこの後の展開も大体わかりますよね?
まあ、自分はご都合主義なので話しをいいようにもっていきますが・・・w
それでは次回のお話で・・・さよならです。
Tweet |
|
|
32
|
9
|
追加するフォルダを選択
第二十五話になります。
今回はキリトの《二刀流》がバレた翌日です。
タイトル通りの波乱の展開がキリトを待ち受ける・・・。
ではどうぞ・・・。