第二十六技 決闘再び!
キリトSide
「久しぶりだな……ヒースクリフ」
俺は中に入って早々に言った。
奴が座っている左右にそれぞれ二人ずつ団員がいる。
おそらくは幹部と護衛の人間なのだろう。
俺は奴を睨みつけ、奴もそれに応える。
「ひさしぶりだな…。前に会ったのは67層の対策会議と攻略戦だったかな? キリト君…」
「そうなるな…」
俺達が睨みあっているために周囲には重苦しい空気が満ちている。そんな中…。
「お別れをいいにきました……」
アスナがいきなり話を持ち出した。直球だな。
「随分な言い方だな…」
奴は苦笑して答えた。
「それなら人選には気を付けたほうがいいぜ…」
「きさまぁ…!!」
俺の言葉に一人の幹部らしき男が動こうとしたが、ヒースクリフがそれを手で制した。
「それについてはすまなかった。クラディールはアスナくんが命じた通り、自宅で謹慎させている。
正直、彼についてはこちらも手を焼いていたからね…」
「ふん、御託はいい。さっさと要求を言え」
俺は早く話すように促す。
「はは、手厳しいな。……ならば言わせてもらおう。キリト君、ぜひ私と手合せをしてもらいたい。
君が勝てば、アスナくんの脱退を認めよう。ただし、私が勝ったならば君にも我が血盟騎士団に入団してもらう」
なるほど、そういうことか。
ユニークスキル持ちの俺を手元に置いておくため、そして一個人のプレイヤーとして俺と戦いたいということだな。
「待ってください! 私は抜けるとは言っていません!
ただ、少しの間休みをほしいと言っているんです!
それに、今回の事に彼は無関係のはずです!」
アスナはすぐさま反論するがどうやらヒースクリフの意志は変わらないようだ。
ということは俺次第になるわけだが…。
ふむ、勝てばメリットのみ。負けても俺的にはデメリットは
なら、答えは一つだ。
「わかった。その要求、受け入れよう」
「キリトくん!?」
「ほう…」
OKを出した俺にアスナは驚いており、ヒースクリフも少し意外そうな表情をしていた。
「そのかわり俺が負けてもアスナには休みを取らせてもらうし、
俺は主にアスナの護衛に付かせてもらう……。いいな」
「……分かった。その条件、飲もう」
俺はその答えに内心ほくそ笑んでいる。どっちにしろ、ローリスクハイリターンだからな。
「交渉成立だ。立ち合いは明日、時間はそちらで決めてくれ。それじゃあな」
そうして俺はアスナを連れて本部から出ていった。
「もーーーーー! キリトくんのバカバカバカ!」
エギルの店に戻ってくるとアスナがポカポカと叩いてきた。
もちろん痛いわけではない。
「わたしが頑張って説得しようと思ってたのに! どうして引き受けちゃうのよ!」
「まあ、落ち着いてくれ」
俺がそういうとアスナもとりあえず叩くことはやめてくれたが、納得はしていないようだ。
「キリト君だってわかってるでしょ? 団長の実力は…」
彼女が危惧しているのは俺も知っていること、あいつのユニークスキル《神聖剣》の事だ。
「それぐらい百も承知だ。けど、勝機が見えないわけじゃない…。それに……」
「それに?」
俺は言葉を途中で飲み込んだが、アスナが聞いてきたので答えることにした。
「負けてもアスナの傍にいられるし、勝てば手に入る。十分メリットだらけだ。
なによりも……アスナの為だからな」
「あ…う、あ…っ~~~~~/////////」
俺の言葉に彼女はボンッという音と共に顔を真っ赤にしてしまった。
まったく、こんなに可愛くて愛らしいからこそ尽くしたくなるんじゃないか。
そう考えながら俺は窓を開けて外を眺める。
もう夕陽が昇ろうとしていた。
すると、肩に温もりのある重みが乗ってきた。
アスナが頭を預けてきたのだ。
明日の立ち合いは絶対に負けられない。
絶対に……。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
自分で書いといて言うのもあれですが、キリトがメチャクチャナルシですねw
まあ、魔改造キリトですからw
それではヒースクリフとの決闘も決まりましたのでぜひお楽しみに。
それでは・・・。
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第二十六話です。
ヒースクリフとの対面となります。
ではどうぞ・・・。