「零冶兄、みんな~。ご飯ができたえ~。」
「ああ、今行くよ~!」
蒐集を始めてから一ヶ月と少し、12月に入った。蒐集は順調に進んでいる。今は丁度400ページだ。このまま行けば正月には終わるだろう。それと、今のところ何とか管理局に気付かれていない。だが、それも時間の問題だろう。その前になんとか蒐集を終えなければ・・・。
だが、一つ気になる事がある。闇の書のことだ。どうして闇の書は自らの主の命を脅かすようなプログラムが組まれていたのだろうか?以前、シグナムたちに以前の主の事について聞いてみたが、全く覚えていなかった。記憶は転生すると初期化でもされるのだろうか?
ぐぎゅるるる~~~。
・・・・・・とりあえず今はご飯を食べよう。
「おお~!やっぱ、はやての飯はギガうまだなぁ!!でもムサシたちのも美味いぞ!」
確かに美味い。はやては煮物、ムサシとコジローは鯖の塩焼きだ。鯖の塩焼きはシンプルだが、それ故に美味しく仕上げるのは難しい。
「なぁ、零冶兄ぃ。最近、夜遅くに出かけているみたいやけど・・・何処に行っとるん?」
「・・・ああ、ただの散歩だよ。」
・・・く、苦しい。いきなり聞かれて動揺していたとはいえ、さすがに散歩はないだろうに・・・。
「・・・そっか。なぁ、零冶兄ぃ。・・・できればあんまり遅くに出掛けんといて欲しいんや。シグナムたちもいるけど・・・やっぱ零冶兄ぃがいないと・・・寂しいんや。」
・・・・・・少しほったらかし過ぎたかな?
「・・・ごめんな、はやて。今度からははやてと一緒にいる時間を多くするよ。」
俺ははやての頭を優しく撫でる。
「あ・・・えへへ。」
嬉しそうに目を細めるはやて。俺ははやてを守りたい。はやての命を救いたい。もう少しで蒐集が完了する。だがその前にルナに調べてもらわなければならない事がある。今日はルナを置いていかなければならない
「今日の夜ははやてと一緒にいるよ。それじゃ、俺はシグナムと少し出掛けてくるから。」
「夕方までには戻ります、主はやて。」
「うん、行ってらっしゃい零冶兄ぃ、シグナム!」
「「行ってきます。」」
俺たちは蒐集に行くために家を出た。すると、
「「旦那様ー!」」
ムサシとコジローが待っていた。
「旦那様、私たちも旦那様に着いていきますニャ!」
「私たちもお嬢様を助けたいニャ~!」
お前たち・・・。
「分かった。一緒に行こうムサシ、コジロー!」
「なっ!?零冶、ムサシたちを連れて行くのか!?」
あ~、シグナムは知らなかったな。こいつらはただのお世話猫じゃない。今まで共に戦ってきた戦友だ。
「構わないよシグナム。こいつらはこう見えても共に戦ってきた俺の戦友だ。行くぞ!」
俺たちは他次元世界に移動した。
「ガアアアアアアア!!」
目の前にはリオレウスと同サイズのワイバーンがいた。色は茶色っぽく、鱗はそこそこの厚さだ。が、リオレウスほど強くはない。
「なぁ、零冶。本当にムサシたちだけに任せていいのか?武器も防具も無いのだぞ?」
あぁ、武器と防具なら俺の中にあるさ。
「心配するな。装備解放・・・覇竜装備・崩竜装備」
「「ニャー!(ニャ~!)」」
ムサシとーとコジローは光に包まれる。そして光が消えた後にはアカムとウカムの装備を纏っていた。
「なっ!?・・・・・・かわいい。」
驚くのはそこかい!!
「ムサシ、コジロー。丁度良いリハビリだ。・・・行け!」
「コジロー、行くニャ!」
「はいニャ~!」
二匹はワイバーンに向かって駆け出す。ワイバーンは何故か動揺していた。
何故ワイバーンは・・・・・・・あ、そうか。あいつらの装備から同族の気配を感じ取ったんだな。まぁ、アカムやウカムがやったら、あの程度のワイバーンなんかでは瞬殺だな。
「ニャー!!」
「ギャアッ!?」
ムサシの覇剣ネコカムトルムがワイバーンの翼膜を斬り裂く。これで空には飛べなくなった。そして自分の翼膜が斬り裂かれた事に怒り狂うワイバーン。ムサシの向かって突進する。
「ガアアッギャギャギャギャア!!?」
「引っかかったニャ~。」
ワイバーンが痺れていた。シビレ罠をコジローが仕掛けていたみたいニャ・・・・・・・コホンッ・・・・みたいだ。
「コジロー、行くニャ!」
「はいニャ~!」
二人はワイバーンの左右から挟み、一気に掛けだして己の得物を振るい・・・・二匹が交差した。
ザンッ!(ザシュッ!)・・・・・ズゥゥン。
ワイバーンの方翼と背中は斬られる。しかし、かろうじて生きていた。
「旦那様、終わったニャ!」
「楽勝だったニャ~」
二人は意気揚々と俺たちの下へ戻る。
「良くやったなムサシ、コジロー!」
「「ニャニャニャ、ニャー!ニャニャニャ、ニャー!」」
二人は左右に飛び跳ねて勝利のダンスを踊っていた。
「・・・かわいい~。」
シグナムが癒やされていた。
「・・・・シグナム。」
「・・・っは!・・・ゴホンッ。では蒐集するぞ。」
蒐集が終って本をみたら・・・なんと3ページ半も埋まっていた。
「意外と多かったな。よし!この調子で行くぞムサシ、コジロー!」
「分かったニャー!(はいニャ~!)」
「・・・・・・欲しい。」
今何か聞こえたような気がするが絶対気のせいだろう。
そして俺たちが帰る頃には14ページも集まった。
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第五話 参戦!ムサシとコジロー