No.461191

魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と

第十四話 時空管理局

2012-07-28 18:00:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6948   閲覧ユーザー数:6212

Side ユーノ

 

 僕は今なのはの部屋で破損したレイジングハートの様子を見てる。レイジングハート自体は自己修復機能をフル稼働させてるから明日には直るだろう。しかし、なのはの大出力の魔力に耐えられるものなのに、レイジングハートがここまで破損するなんて・・・。魔力の衝突じゃ、ここまで破損はしない。・・・なら、やっぱりジュエルシードだろうか?

 考えに耽っているとなのはが部屋に入ってきた。

 

「ユーノ君、レイジングハートは大丈夫?」

 

「うん、一応自己修復機能をフル稼働させてるから明日には直るよ。それより、なのはは大丈夫?」

 

「そう、よかった。・・・うん大丈夫だよ、レイジングハートが守ってくれたから・・・。それよりも・・・」

 

「・・・フェイトとあの漆黒の戦士のことだよね?」

 

「うん、バーサーカーって名乗ってたね。」

 

「バーサーカー・・・。確か、この世界では狂戦士って意味だったね?たぶん偽名だと思うんだけど・・・彼の力と何か関係あるのだろうか?」

 

「う~ん、どうなんだろうね?でも、バーサ-カーさんが使ってたあの大きな剣みたいなのは・・・。」

 

「アレは・・・剣なのかな?あんなに大きい剣なんて初めてみたよ。剣というより鉄塊だったし・・・。」

 

 あんなバカみたいに大きい剣をよく扱えるよ。一体どういう身体しているんだ?

 

「それと、ジュエルシードを破壊したとき、・・・おかしなことにあの剣から魔力が一切感じられなかったんだ。」

 

「え!?だってジュエルシードを破壊したんだよ!?魔力もないのにそんなことできるの、ユーノ君?」

 

「普通じゃ考えられないよ。僕もあんなことは初めてだから・・・。」

 

 魔力がないんじゃなくて、必要としないのでは?・・・いや、今は何を言っても憶測に過ぎない。

 だがもし魔力が必要ないのなら、アレは危険だ。いくらなのはが成長したと言っても、彼と戦ったらなのはに勝ち目なんて無い・・・。

 

 

 Side out

 

 

「さて、何が言いたいか分かってるな?」

 

 俺はフェイトの手に包帯を巻き付けながら相当頭にきていた。理由は言わずもがなフェイトの行動にあった。

 

「・・・うん。ごめんなさい、零冶・・・。」

 

 うっ・・・その上目遣いは反則だ。こっちが悪者みたいじゃないか・・・あ、既に悪役だったな。

 

「まぁ、次からあんな無茶をしないと約束してくれ。」

 

「・・・うん、わかった。」

 

 俺は隣の部屋のドアを開けると・・・

 

「フェイト~~!!アタシ、心配だったんだからね~!!」

 

 アルフが泣き叫びながら出てきた。理由はアルフがうるさいから隣の部屋に鍵を掛けて閉じ込め、防音結界を張った。そうでもしないとうるさいからな。さて、お説教も終わったし、帰りますかね・・・。

 

「それじゃあ、俺は帰るから。」

 

「うん、またね零冶。」

 

「アタシからも礼を言うよ、ありがとう。」

 

「ああ、気にするな。」

 

 

 翌日俺は学校に登校した。さすがに休めないし、なのはに感づくかもしれないしな。すると

 

[マスター!魔力を感知しました。恐らく転移魔法の一種かと。]

 

「転移魔法?もしかしてフェイトか?」

 

 ジュエルシードを見つけたのか?いや、それなら俺に連絡が来るはずだ。・・・まぁ今は気にしてもしょうがないか。

 とりあえず早く学校に行かないと遅刻しちまうな。

 

 放課後、すずかを送った後にジュエルシードの反応がしたのでフェイトと合流した。そこには木がでかくなっていて腕が生えてる。

 

『気持ち悪いですわね。』

 

 お?クシャナか・・・久しぶりだな。

 

「・・・今度は木の化け物か?」

 

「しかも生意気にバリアまで張ってやがるよ、アイツ。」

 

「!!バーサーカーさん!!」

 

 あぁ、やっぱりいるか。ってそんなことより目の前の事に集中しなきゃな。

 木の化け物から無数の蔦みたいなのが俺に迫ってくる。

 

「影忍流屠殺術・・・風刃破。」

 

 剣圧から放たれる衝撃波は迫り来る蔦を駆逐する。

 

「・・・す、すごい。」

 

「彼は本当に人間?」

 

 なのはよ、感心している場合じゃないだろう?それと似非フェレット、俺はまだ人間だ。

 

[一応が付きますけどね・・・。]

 

『いっそ人間じゃないと言った方が納得出来ますわね。』

 

 ルナ、クシャナ、お前らまで・・・。

 

「フェイト、トドメは任せる。」

 

「うん、分かった。」

 

 お?なのはがディバインバスターを撃ってる。相変わらず凄い威力だな。

 

「貫け轟雷!!」

 

[サンダースマッシャー!]

 

 お、フェイトも凄いな。

 二人の魔力に耐えきられずにバリアが砕け散る。そしてジュエルシードが取り出され、封印する。

 そして封印が終わって二人は対峙する。

 

「どうやらジュエルシードに衝撃を加えると暴走するみたい。」

 

「うん、夕べみたいになったらレイジングハートも、フェイトちゃんのバルディッシュも可哀想だね・・・。」

 

「・・・。だけど、譲れないから。」

 

「ディバイスフォーム」

 

「わたしは、ただフェイトちゃんとお話したいだけなんだけど・・・。」

 

[デバイスモード]

 

 お互いに譲る気はないらしい。

 

「・・・バーサーカー。」

 

 分かっているさ・・・。

 

「承知している。我は手出しをしない。」

 

「ありがとう。」

 

「・・・フェイトちゃん、わたしが勝ったら・・・甘ったれた子じゃないって分かったら・・・・お話、聞いてくれる?」

 

「・・・。」

 

 その言葉にフェイトは無言で頷いた。そしてお互いに構え・・・二人のデバイスが打ち合う瞬間・・・

 

[マスター!!魔力反応を感知!!転移魔法です!!!]

 

「なに!?」

 

 二人の間に魔法陣が現れ、一人の少年が転移してきた。そして二人のデバイスを受け止め告げた。

 

「ストップだ!!ここでの戦闘は危険すぎる!時空管理局執務官 クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせて貰おう。」

 

 時空管理局・・・だと?何だそれは?組織名か?・・・あ、・・・アルフのやつ、あの少年に攻撃しやがった!?バカだろ!?これ以上ややこしくすんなよ!

 

「っ!?何をする!!」

 

「フェイト!!撤退するよ!!」

 

「・・・うん。」

 

 そして逃げようとするフェイトに魔力弾が迫る。仕方ない、取りあえずフェイトを逃がすか。俺は封印を解除して斬魔刀で魔力弾を切り落とし、霧散させた。

 

「バーサーカー・・・。」

 

「っな!?一体何のつもりだ!?」

 

「契約者を守っただけ。行けフェイト、アルフ。ここは我が引き受ける。」

 

「アンタ・・・、いいのかい?」

 

「心配は不要。・・・行け。」

 

「・・・ありがとう、バーサーカー。アルフ、行くよ!」

 

 そして二人は逃走した。・・・さて、コイツが組織の人間なら面倒なことになりそうだな。

 

『あの子を庇っておいて今更ですわね。』

 

 言うな・・・俺が一番分かってるんだ。

 

「どういうつもりだ!?何故あの子を逃がす!?」

 

「答えは同じ。契約者を守った。それだけ。」

 

「契約者・・・だと?お前もアイツの仲間か!!」

 

「厳密には違う。・・・が、似たようなもの。」

 

 そういうと、あの少年は杖を構える。

 

「っ!!ならお前も公務執行妨害で逮捕する!!!」

 

 そういうとあの少年は魔力弾を撃ってきた。・・・いきなりだなおい。とりあえず斬魔刀を盾にして防御する。

 

「っな!?弾いた!?ていうか何だそのバカでかい剣は!?」

 

『礼儀が成ってませんわね。主・・・少々この人間に礼儀を教えてもよろしいですか?』

 

 ・・・いや、今回は止めとけ。さっきから無数の視線を感じる。・・・恐らく監視されている。

 

『・・・仕方ありませんわね。』

 

 ・・・すまんな。

 

「言葉は不要。」

 

「っく!スティンガーレイッ!」

 

 先ほどと同じ複数の魔力弾が高速で飛来する。・・・だがそれでも

 

「・・・遅い。」

 

 俺は身体能力だけで全て避けきった。

 

「っ!ならこれでどうだ!!」

 

 今度は一発だけ魔力弾が来た。それを避け、反撃に転じようとしたが背中に悪寒が走りすぐに回避行動をとった。すると、先ほど避けた魔力弾が通り過ぎていった。

 ・・・なるほど、誘導制に特化した魔力弾か。他の奴等なら当たっていただろうな。だが俺には、

 

「・・・無意味。」

 

「っ何!?」

 

 俺は再び飛来する魔力弾を切り落とし、そのまま地面に打ち付け土煙を巻き起こした。

 

「ゴホッゴホッ!!なんて威力だ!何も見え・・・!!!」

 

 俺は土煙を巻き起こした後、縮地を使って後ろに回り込み、斬魔刀を首筋に突きつける。

 

「・・・抵抗すると・・・殺す。」

 

 そう告げると彼の顔は青ざめて震える。その時突然、何もない場所から声がした。

 

「待って下さい!!」

 

 声のするほうを見るとモニターみたいのが現れて若い女性が映っていた。

 

「・・・何者?」

 

「私は時空管理局所属 次元航行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです。そこの子は私の息子であるクロノ・ハラオウン執務官です。どうか、剣を収めていただけませんか?」

 

 ふむ、監視している時点で何らかの接触があると思ったが、どうやら大物が釣れたな。とりあえずコイツを解放してやった。

 

「ありがとうございます。それで、今回の騒動についてお話を伺いたいのですが・・・こちらに来ていただけませんか?」

 

 さて、どうしたものか?一応組織だということは分かった。ならば、関わり合うと面倒事に巻き込まれるだろうな。・・・しかし、ここで敵対する必要もない。話だけして、必要なら牽制でもしておくか。

 

「・・・承知した。」

 

「ありがとうございます。ではそちらにいる彼女にも話を聞いてもらいますので、今から転送陣を送りますのでその中に入って下さい。」

 

 俺は無言で頷き、なのはと少年とともに魔法陣の中に入った。

 

 

 

 

 

 Side リンディ

 

「艦長、目標世界から高魔力反応!!おそらく探索者たちによる戦闘が開始されたと思います!」

 

「・・・動いたわね。クロノ。」

 

「分かっていますよ艦長、いつでも出られます。」

 

「そう、なら今すぐ目標へ転移して戦いを止めなさい。」

 

「了解!!」

 

 そうしてクロノは目標へ転移した。

 

「映像はまだなの?」

 

「間もなく・・・映像、今出ます!」

 

 モニターを見るとちょうどクロノが二人の魔導師を止めに入っているところだった。そして金髪の子の魔導師の少し後ろに離れて様子を見ている者がいた。

 

「・・・あの漆黒の鎧を着た子、一体何者なの?」

 

 彼は身長がクロノより若干大きいぐらいなので多分10歳前後だと思う。

 

「艦長!!あの鎧を着た魔導師から一切の魔力が検出されません!!」

 

「なんですって!?一体どうなって・・・っ!?」

 

 こちらが困惑していると、彼がゆっくりとこちらを向いた。

 

「そんなバカな!?ステルスは最高レベルなのに気づかれたの!?」

 

 エイミィが驚くのは無理もない。彼の視線は全てのサーチャーに向いたからだ。私だって驚いてるもの。そして彼の鎧、・・・よく見れば見るほど禍々しいわ。

 

「あ!?金髪の魔導師の使い魔と思わしき人物が執務官に攻撃を仕掛けました!逃走します!!」

 

 ・・・やはり彼女は次元犯罪者なのかしら?そしてクロノが反撃しようとスティンガーレイを放った。アレは速度重視の魔法で、不意打ちで避けるのは難しい。しかし、クロノが放った魔力弾が彼女に当たる事は無かった。気がついたら彼は他のモニターから姿を消していて、彼女を庇っていた。オペレーターたちは私を含め驚愕していた。

 

「そ、そんな・・・。み、見えなかった。」

 

「ぼ、僕もずっとモニターを見ていたけど・・・き、気がついたら彼が消えていた。」

 

 それだけじゃない。

 

「な、何なの!?あのバカでかい剣みたいなのは!?」

 

 そう、一番驚いたのは彼が身の丈を軽く超える、もはや鉄塊と呼べるような巨大な剣を扱っていたからだ。

 

「か、艦長。あの剣のようなものから魔力反応が一切ありません。お、恐らくデバイスではないと思われます。」

 

「なんですって!?じゃあ彼は魔法による身体強化も使わずにあの剣を振り回しているの!?しかも魔力弾まで斬り裂いて!?」

 

 どうやら私たちはとんでもない事に首を突っ込んだようだった。とにかく、急いでクロノを回収しなきゃ!彼と戦って無事で済むはずがないわ!

 

「急いでクロノに撤退するように連絡してちょうだい!!」

 

 しかし、そんな私の思いわ裏切られた。

 

「か、艦長!?クロノ執務官が彼に攻撃を開始しました!!」

 

「・・・間に合わなかった。」

 

 これでもう彼とは敵対してしまった。そこからの戦闘は一方的だった。彼がクロノの放つ攻撃を全て回避して、隙を見た彼が地面に剣を振り下ろし土煙を巻き起こす。ただ振り下ろしただけであの威力。とんでもない子だわ。

 土煙で映像が見えない。そして晴れると・・・そこには首筋に剣を当てられていたクロノがいた。

 

【っくぅ・・・。】

 

【・・・抵抗すると・・・殺す。】

 

「っ!!!」

 

 私はその言葉を聞くと戦慄した。

 ・・・クロノが、殺される?・・・ダメ!!そんなこと絶対にダメ!何とか話しを聞いて貰わないと・・・。さっきクロノが彼に攻撃をしてしまったけれど・・・・・でも、今ならまだ話しを聞いてくれるかもしれない。せめて彼と和解してこちらに引き込まなければ!!

 

「待って下さい!!」

 

【・・・何者?】

 

「私は時空管理局所属 次元航行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです。そこの子は私の息子であるクロノ・ハラオウン執務官です。どうか、剣を収めていただけませんか?」

 

 お願い!私の話を聞き入れて!!

 彼は一瞬思考した後にクロノを解放してくれた。

 ・・・よかった。彼が話しを聞いてくれる人で本当によかった。あとはこちらと話し合いに持ち込めば・・・。

 

「ありがとうございます。それで、今回の騒動についてお話を伺いたいのですが・・・こちらに来ていただけませんか?」

 

 ・・・断られるのは百も承知だった。それなら彼の納得いく条件の場所でする予定だったが、

 

【・・・承知した。】

 

 意外にも彼は了承してくれた。もしかしたら上手くこちらに引き込めるかもしれない。

 

「ありがとうございます。ではそちらにいる彼女にも話を聞いてもらいますので、今から転送陣を送りますので、お手数ですがその中に入って下さい。」

 

【承知した。】

 

 そして彼はもう一人の女の子とクロノと一緒に魔法陣の中に入った。

 

 

Side out

 

 

 魔法陣の中に入るとどこかの建物の中のような所に出た。

 ・・・いや、さっきの女性は艦長と言っていたからここは艦の中か?

 

「・・・いつまでもその姿では窮屈だろう?バリアジャケットを解除してもらって構わないよ。それに君も元の姿に戻ったらどうだ?」

 

「え?あぁ、そうですよね。分かりました。」

 

 なのははバリアジャケットを解除する。

 

「え?あー!ずっとこの姿だったから忘れてたよ。」

 

「・・・?」

 

 ユーノが光に包まれ、元の姿に戻った。

 ・・・は?

 

「え?・・・ふええええええええ!?」

 

「・・・人間?」

 

『ですわね。』

 

 俺は思わず聞いてしまった。クシャナもちょっと驚いているみたいだ。

 

「うん、そうだよ。なのはにこの姿に見せるのは久しぶりかな?」

 

 なのはは思いっきり首を横に振る。

 

「ち、違うよ!!最初っからフェレットの姿だったよ!?」

 

「・・・え?う~ん・・・」

 

 ・・・ポク・・・ポク・・・ポク・・・チ~ン!

 

「ああ!!そういえばそうだったね!」

 

「そそそ、そうだよね!?ビックリした~。」

 

 俺もビックリしたよ。ただのフェレットじゃないのは分かってたから、アルフみたいな獣人の姿でもしているかと思ったら、ただ変身した人間だったとは・・・。

 

 そして少年はなのはたちのやり取りを見て若干呆れつつ、俺に向き直って聞いてきた。

 

「・・・お前もバリアジャケットを解除したらどうだ?」

 

「・・・我は拒否する。」

 

 なのははともかく俺は当然だろ?

 

「っな!?どういうことだ!?」

 

 こいつ、バカか?

 

「・・・敵地で鎧を脱ぐバカはいない。」

 

「お、お前っ!!」

 

 何キレてんだよ?俺に対して攻撃したのはそっちが先だろう?

 

「・・・貴様等と我は敵対している。それを忘れるな。」

 

「っく!まぁいい。艦長を待たせているから三人とも付いて来い。」

 

 そうして彼に付いて行くとある部屋にたどり着いた。

 

「艦長、三人の魔導師を連れてきました。」

 

「入りなさい。」

 

 部屋に入ると・・・俺は少し呆然とした。目の前には盆栽や鹿威し、畳なんかがあるのだが・・・。なんかこう、日本を勘違いした外国人の部屋みたいだった。

 

「三人ともよくいらっしゃいました。私はこの艦の艦長を務めているリンディ・ハラオウン、そこのクロノ・ハラオウンの母親です。」

 

 だから若過ぎだって。桃子さんと良い勝負してんじゃないのか?

 

「あ、私は高町なのはです。それとこっちは・・・」

 

「ユーノ・スクライアです。」

 

「・・・我が名はバーサーカー。」

 

「・・・バーサーカー?それは本名ですか?」

 

「・・・否。」

 

 まぁ、普通は偽名だって分かるだろうな。

 

「・・・そうですか。まぁ、それはいいでしょう。それで、バーサーカーさんにはお詫びをしなければなりません。ごめんなさい。」

 

「艦長!?コイツはあの魔導師を逃がしたんですよ!!それなのに何故!?」

 

「黙りなさいクロノ!確かに彼はあの子を逃がしましたが、彼と話し合わずに先に攻撃したのは貴方ですよ?彼はただ彼女を庇っただけ。彼がこちらに対して明確な敵対していない限り、非があるのはこちらです!」

 

「・・・。」

 

 ほぅ、意外と素直に謝罪したな。

 

『えぇ、少しは礼儀を弁えているようですわね。』

 

「・・・・・その謝罪、受け入れる。」

 

「ありがとうございます。それで、今回の騒動について詳しく聞かせていただきたいのですが?」

 

 ・・・面倒くせぇな。

 

「あ、それは僕が話します。」

 

 お、ナイス!!

 

 ・・・説明中

 

「そう、あのジュエルシードを見つけたのはあなただったんですね。」

 

「えぇ・・・それで僕が回収しようと。」

 

「立派だわ。」

 

「だけど、同時に無謀でもある!!」

 

 ・・・こいつ、巫山戯てんのか?

 

『殺しても構いませんか、(あるじ)?』

 

 まぁ、待て。お前が暴れると俺も巻き添え喰らうから・・・。

 

「・・・なら何故貴様等はすぐに来なかった?あれほどタイミングよく現れた。つまり、少し前から様子を見ていた。違うか?」

 

「そ、それは・・・。じゃ、じゃあ・・・お前は何であの魔導師に協力するんだ!?」

 

「・・・簡単な理由。我が住まう地に危険が及ぶ可能性があるアレを処分する。それが目的。彼女の実力はそこの高町とやらより上だった。なら何も知らない高町よりも実力を伴った彼女と組んだ方が効率的。それに彼女はアレを欲していた。利害は一致。彼女があの地や我に危害を加えない限り協力する。」

 

「だけど!!」

 

「黙りなさいクロノ!・・・バーサーカーさん、つまり彼女とは協力関係にあるけど、身内や仲間ではないと?」

 

「・・・是。」

 

 今ここで敵対しても利がない。仕方なくそう答えた。

 

「・・・大体お前、魔導師のくせに管理局を知らないのか?」

 

 だから知らないって。

 

「・・・是。管理局とは?」

 

「あ、私も知らない・・・かな。」

 

「そうね、まず管理局はどういう所か説明しなきゃね・・・それとロストロギアも。」

 

 ・・・説明中

 

 簡単にまとめると、時空管理局とは次元世界における司法機関であり、ミッドチルダ他、幾つかの世界が共同で運営している。そしてロストロギアとは過去に滅んだ超高度文明から流出する、特に発達した技術や魔法の総称。

危険なものも多く、主に時空管理局が管理・保管している。・・・らしい。

 

 はっきり言ってクソだろ?政府と司法が一緒ってアホか?汚職しまくりじゃねぇか!ロストロギアについてもだ。世界崩壊を防ぐ危険性があるものを回収し封印するのは百歩譲って良しとしよう。だが、そうでないものまで回収する必要があるのか?しかも渡さなかったら捕まるって・・・。聞いてる限りじゃ強盗と変わりないぞ?

 

「それで・・・バーサーカーさん、あなたは何者ですか?」

 

 ふむ、一応説明するか。

 

 ・・・説明中

 

「そんなバカな!ここは管理外世界だぞ!?そんなところに魔法技術が存在するなんて・・・。」

 

「・・・にわかには信じられないわね。」

 

 だろうな。

 

「信じる信じないは貴様等の勝手。」

 

「そう・・・ね。いいでしょう、信じます。それともう一つ・・・貴方が使っていたあの巨大な剣は一体・・・?魔力反応が一切しなかったのですが。」

 

「そうだ!あれは一体何なんだ!魔力を使わずに魔力弾を斬り裂く剣なんて聞いたこともないぞ!?まさか・・・ロストロギアじゃないだろうな!!」

 

 ん~、まぁ遺失世界の産物という点ではロストロギアだな。

 

「・・・似たような物だ。これはとある恩人に貰った物。」

 

「んなっ!?」

 

 まぁ恩神?だな。まさかコーヒーで殺されるとは思わなかったけどな。

 

『・・・それは恩人っていいますの?』

 

 気にするな。気にしたら負けだ。

 

「・・・それをこちらに渡していただけませんか?責任を持って預かりまっ!?」

 

 周囲の空気が変わった。

 この女、今なんて言った?

 

「・・・今・・・・何と言った?」

 

 俺は周囲に少しだけ殺気を撒き散らす。

 

「・・あ、・・・ぁあ。」

 

 リンディは声を絞りだそうとするが上手く声が出ない。あのクソガキとユーノ、なのはに至っては顔が白くなっている。

 

「・・・恩人から貰ったアレを渡せだと?責任を持って預かると?」

 

 俺の眼が少し紅く輝く。

 

「・・・殺すぞ?」

 

「っ!!?」

 

 子供三人組がとうとう座り込んでしまった。・・・少しやり過ぎたか?

 

『・・・少しではありませんことよ。(わたくし)も久しぶりに緊張しましたわ。』 

 

「も、申し訳ありません!!今のは聞かなかったことに・・・」

 

 ふむ、そろそろ許してやるか?取りあえず殺気を引っ込めた。

 

「・・・少し大人げなかったな。」

 

「い、いえ・・・。」

 

「・・・我は帰るとする。」

 

 そう言って帰ろうとすると

 

「ま、待って下さい。せめて、あなたとの協力関係は築けませんか?あの金髪の子がやっていることは私たちにとっては犯罪です!このまま彼女に協力すると、あなたも・・・。」

 

 あー、それはそれで面倒だな。・・・とりあえず条件付きでやるか?もちろんフェイトを裏切らない様に。

 

「・・・我の条件を呑むのなら。

 一つ、我は管理局に属さない協力関係であるということ、また協力するのは今回の件だけということ。

 一つ、協力する際に命令ではなく、あくまでそちらが要請すること。また、要請への拒否権を認めること。

 一つ、我が行使する魔法、魔術に関する技術や情報を我は提供を一切しないことを認め、上に報告しないこと。

 一つ、我の独立行動を認めること。・・・以上。」

 

『・・・吹っ掛けましたわね。』

 

 これぐらいはしないとな。

 

「ふ、ふざけるな!!そんなの認められるか!!」

 

 普通はそうだよな~。

 

「・・・一つ目と三つ目はともかく、残りはちょっと・・・。」

 

「嫌ならこの件は白紙に戻る。」

 

「・・・わかりました。」

 

「艦長!?」

 

「仕方ないわ。今彼と敵対するのは賢明じゃないわ。」

 

「・・・っぐぅ!」

 

 よく分かっているな。まぁ、この人自体は悪い奴でなささそうだしな。

 

「さ、彼の事はこれで終わりよ。次はなのはさんたちよ。」

 

「・・・はい。」

 

「ロストロギア、ジュエルシードの件に関して管理局が全権を持ちます。」

 

「君たちは今回のを忘れて元の生活に戻るといい。」

 

「そ、そんな!?」

 

「これはもう民間人の関わっていいレベルじゃない。反論は許さない。」

 

 俺もそのことだけには賛成だ。なのはには元の生活に戻って普通に生活して欲しい。まぁあいつのことだ、今更引く気は無いだろう。

 

「まあ、急に言われても気持ちの整理もつかないでしょうし、一晩ゆっくり考えて二人で話し合って、それから改めて話をしましょう。」

 

 ・・・どうやらこの女の評価を改める必要がありそうだ。

 

『・・・所詮人間ですわね。吐き気がしますわ。』

 

 話は終わり、なのはたちが少年に送られていく。そして俺は残った。

 

「あら?まだ何かあるのかしら?」

 

「貴様の思惑は解っている。」

 

「・・・何のことかしら?」

 

「この件に関しては高町自身が決めたこと。故に我は口出ししない。たとえ貴様が高町の気持ちを利用したとしても。」

 

「・・・!」

 

 だから、少し脅しておこう。

 

「だが一つだけ警告しておく。あいつを使い潰す捨て駒にする気なら・・・我々は管理局に宣戦布告する。」

 

「なっ!?」

 

「特別に一つだけ教えておく。我々は世界一つと同等の戦力を保有している。」

 

 あいつら全員を召喚したら・・・確実に世界は滅びるな。

 

『あら、(わたくし)は構いませんよ?』

 

 だから冗談に聞こえないって・・・

 

「・・・・。」

 

 

Side リンディ

 

「・・・はぁぁ。」

 

 私は深くため息をついた。

 

「まったく・・・とんでもない子に会ったわね。」

 

 彼が先ほど言ったこと。なのはさんを使い潰す気なら宣戦布告すると・・・。そればかりか彼は世界一つと同等の戦力を保有しているらしい。それがどういったものかは分からない。

 もちろんなのはさんを使い潰す気なんて毛頭ない。そして・・・彼は多分嘘をついていない。

 恐らく、彼にとって今回の交渉はただのおまけでしかないでしょうね。彼はただ私たちを牽制するためだけにここに乗り込んだのでしょう。

 どの道、彼とは絶対に敵対してはいけないわ。

 

 はぁ・・・頭が痛いわ。

 


 
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