Side ノノ
「・・・行け。」
『おう!よし、ノノお前はあのオレンジをやれ。俺は金髪をやる。』
『待って下さい、兄さん!あの金髪小娘は私が八つ裂きにします。』
『いや、だから・・・お前だとアイツを殺しちまうだろ?だから俺がやるんだよ。』
『兄さんは黙ってて下さい。あの金髪小娘は私が『アニキに嫌われるぞ。』!?!?・・・・・・・分かりました。』
むぅ、それだけは嫌です!
仕方ありません。ここは兄さんに従いますか。
『そこのオレンジの小娘に八つ当たりでもしますか・・・。さて、どうしてくれましょうか?引き裂いて喰らってみましょうか?それとも虫の餌にでもしますか?・・・・うふふふ。』
ブラックモード全開中のノノさんでした。
「あ、・・・ぁぁあ。」
アルフは目の前の強者の姿に足が竦んでいる。
『ふふふ、少し遊んであげます。』
そういうとノノは跳躍しアルフにプレスを仕掛ける。
「なっ!?・・・ぐぅぅ!」
『安心している場合ではありませんよ。』
「なっ!?シ、シールド!!」
何とか硬直から復活し回避するアルフ。しかし当然それだけでは終わらず、前脚による引っ掻きが来る。そしてそれを躱すことができず、シールドを張って防ぐ。・・・が、あまりの衝撃に吹き飛ばされ壁にぶつかる。
・・・あら?存外に脆いですね?
「がはっ!!・・・くぅ、なんて力だい!?」
『この程度ですか?遊びにもなりませんね。』
少しは期待していたんですけどねぇ?
「っ!!なめるんじゃ・・・ないよ!!!」
アルフは踏み込み、ノノに一撃を放った。多分、アルフにとって今まで最高の一撃だったのだろう。実際それは誰が見ても惚れ惚れするような一撃だった。・・・しかし、相手が悪かった。
ガッ!
『・・・それがどうかしましたか?』
まぁ、そこそこ良かったかもしれませんが、まだまだ甘いですね。
「なっ・・・硬い!?しかもシールドを張ってなくてこの堅さなのかい!!?」
全く効いていない訳ではないが、それでもダメージは微々たるものだ。
凄腕ハンターがチームを組んでやっと互角に持ち込める存在、特異個体だから仕方ないと言えば仕方ない。
「・・・化け物め!」
『褒めても何も出ませんよ?・・・さて、どうやら向こうも終わりそうですね?』
「なっ!?フェイト!!」
そこにカムに苦戦しているフェイトだった。
Side out
Sideフェイト
『・・・さて悪いが嬢ちゃん、大人しく大人しく寝てもらおうか?』
アルフがあの白い大きな狼みたいな生き物と戦っている。そしてわたしは黒い大きな狼が立ちはだかっている。それにしても大きい。6mくらいかな?
「・・・そこをどいて。」
『そいつぁできねぇ相談だな。アニキに手ぇ出すってんならこっちも黙っちゃいられねぇからな。』
あ、アニキ!?あの子が!?
「なら・・・排除するまで。・・・フォトンランサー!!」
『よっと!おいおい、いきなりかよ。』
あの黒い狼はそれを難なく回避してみせた。
そしてこちらに向かって駆けてタックルをしてくる・・・・速い!
「っく、バルディッシュ!!」
[イエッサー!]
「アークセイバー!!」
わたしはそれを空中に回避して変則射撃のアークセイバーを放った。
『うおっ!なかなか面白いことしてくれるじゃないか嬢ちゃん。』
一応命中したみたいだけどあまりダメージは無いみたい。・・・ちょっとショックだった。
「くっ・・・硬い!」
『わりぃが、その程度の攻撃なんざ効かねぇよ。こちとら伊達に修羅場を潜っちゃいないんでね。それじゃ、これで決めるとするかね。』
そう言うとあの黒い狼は空気の塊のようなものを放ってきた。
っく、回避出来ない!
「バ、バルディッシュ!!」
[ディフェンサー!!]
「なっ!?きゃあ!!」
なんとか防いだものの、衝撃で吹き飛ばされてしまった。
「う・・うぅ、・・・あれ、魔法じゃない・・・?」
不思議なことに、あれからは魔力が全く感じられなかった。恐らく、自分の生物としての器官であれを放ったんだろう。
・・・だめだ、勝てない。わたしにはまだアレがあるけど詠唱に時間がか掛かる!
「これまでだな。」
「フェイト!!」
アルフが私を心配して呼んでる。
「・・・ごめんなさいお母さん、私・・・上手くできなかったよ。」
圧倒的な力の差に敗北し、わたしは来るであろう死を待ち受ける・・・が
「そこまでだノノ、カム!」
「「えっ?」」
ところがあの子はあの二匹を止めた。そしてあの二匹は魔方陣の中に吸い込まれて還った。
Side out
「へぇ、ノノとカムに一撃を与えるなんてな。あの二人、中々やるじゃないか。」
あの年でまぁよくもあそこまで戦えたもんだ。普通なら瞬殺なんだけどな。だが、それでも圧倒的な力の差があるが。・・・ま、高町よりかは信用できる実力だな。
「そこまでだノノ、カム!」
『えー!?もっと遊ばせてよ
『我が儘を言うなノノ。これ以上やるとアニキに嫌われるぜ?』
いや、嫌いにはならんけど・・・。
『ぶ~、・・・分かったよお兄ちゃん。』
そういってノノとカムは俺の中に戻った。
・・・戦っていないのに何故か疲れた。
「・・・どうして?」
あの金髪娘が訝しげに俺をみる。
「なに、別に殺すつもりはなかったからな。それに・・・ほらよっ。」
俺はジュエルシードを投げる。それを慌てて受け取るフェイト。
「・・・どういうつもりだい?」
今度はオレンジ娘か。
「別に。俺はただそれを処分するのが目的だ。そしてお前たちはそれを欲している。利害が一致しているだろう?それならば取引をしようと思ってね。」
「・・・取引?」
「ああそうだ。それとお前たちの名前を教えてくれるか?」
「え?あ、ふぇ、フェイト・テスタロッサです。」
「・・・あたいはアルフだよ。それよりも取引ってのは?」
「簡単なことだ。このジュエルシードとやらを回収するのさ。回収した後はフェイトたちの好きにするがいいさ。」
「・・・それを信用すると思っているのかい?」
「そのためにジュエルシードを渡したのだよ。」
「・・・ねぇアルフ、この子と手を組もうよ。」
「ふぇ、フェイト!?」
「だって私たちを殺すのならそうしているはずだよ?アルフもあの狼と戦って思ったでしょ・・・絶対に勝てないって。」
「で、でも・・・」
「お願いアルフ・・・。
「・・・フェイトがそういうのなら仕方ないね。ねぇアンタ「零冶だ。」・・・レイジはなんでそれを処分しようとするんだい?利用しようとは思わないのかい?」
ぶっちゃけ、あんなのなくても困らないしね。
「ああ、それは・・・」
俺は二人に俺の正体と魔術について話した。もちろん転生のことは話してない。
説明中・・・
「それにしてもこの世界に魔法技術があったなんて信じられないね。」
「うん、わたしも未だに信じられないよ。」
「まぁ、普通は秘匿するもんだからな。そうそうバレないよ。」
「ふぅん。ま、それよりこれからよろしく頼むよレイジ!!」
「よろしく零冶!」
「あぁ、こちらこそよろしく。」
そして俺はフェイトの頭を撫でた。
「・・・あぅぅ////」
なんか赤くなっているようだが・・・気のせいか?
『『・・・鈍感だな (だね)。』』
・・・何が?
「ところで零冶、あの狼は一体何?」
「あぁ、俺の家族みたいなもんだよ。」
「へぇ・・・・・ちなみにまだいるのかい?」
「あぁ、あと100体ぐらい。」
「「嘘ぉぉ!!!!??」」
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第八話 圧倒的な力