私は、今日の夕御飯の時に、皆にフェレット君について話しました。
普通のフェレット君ならただ飼っていいか?と聞くだけでしたが、あのフェレット君には魔力を感じた事も話しました。
もしかしたら、この世界に私以外にも魔術師がいるかもしれない、またこの世界独自の魔術があるかもしれないという結論が、話し合った結果です。
もし、士郎お兄ちゃんがいたらどう考えるんだろ?そう考えてしまいました。もし、士郎お兄ちゃんも同じ風に考えてたら、何か嬉しいなぁ……
じ、じゃなくて!とにかく、フェレット君に関しては、家で様子見ということで飼える事になりました。
それを、アリサちゃんとすずかちゃんにメールしてから、私は家にある土蔵に向かいました。
土蔵は、お父さんが士郎お兄ちゃんの為に造ったんです!!
今では、士郎お兄ちゃんの遺品などが置いてありますけど、私はいつもそこで魔術の特訓をしています。
それで、特訓をしようとしたら、急に変な感じに襲われました。
感覚としては、魔術を使う感覚に似ています。
なので、魔術を使う時のように心を澄まし、自分の中にある回路を確認しますが、まったく起動してません、なのでこの感覚の原因は私自身に無いとわかりました。
《助けて!》
そうしている内に、昼間の時と同じ声ががしました。
もしかして、あのフェレット君なのかな?
何か切羽詰ってる感じだったけど、何かあったのかな?
そう考えた私は、士郎お兄ちゃんが残したコート状の聖骸布を羽織、駆け出してました。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
夜道を、身体強化して走り、槙原動物病院に着きました。
そうすると、またあの変な感覚になりました。魔術で、少し慣れてるけど、思わず耳を塞ぎそうになってしまいました。
すると、中から獣の様な呻き声がしました。
中に入ろうとすると、ちょうどフェレット君が窓から飛び出して来ました。
けど、フェレット君を追って、化け物の様な物も飛び出してきました。
おそらく、フェレット君はあれに襲われているのだろうと考え、私に向かって来 たフェレット君を受け止めました。
「来て………くれたの?」
「喋った!やっぱり、君って魔術とか関係してるの?もしかして、誰かの使い魔なの?」
私が、そのまま質問しようとするけど、あの化け物が起き上がったので、逃げることにしました。
なぜ戦わないのか?だって、ここで戦ったら、槙原動物病院が壊れちゃいそうです……もう、結構ボロボロだけど…ごめんなさい、槙原先生…
せめて、広い公園まで逃げるために走ります。
すると、フェレット君が話しかけてきます。
「君には資質がある………お願い、僕に力を貸して!」
「資質?」
魔術のことかな?
「僕はある探し物の為に、ここではない世界から来ました!
でも、僕一人の力では、思いを遂げられないかも知れない。
だから…迷惑だとは分かっているんですが、資質を持った人に協力して欲しくて……」
ここではない世界って、もしかして平行世界のことかな……
そう考えてると、フェレット君が飛び降りました。
「御礼はします…必ずします!
僕の力を、あなたに使って欲しいんです。
僕の力………魔法の力を!!」
「えっ!ま、魔法!魔術じゃなくて!!」
「えっ!魔術って、魔法とは違うんですか?」
うん、なんか分かっちゃった…
たぶん、この子のいう魔法って、私のってる魔法じゃ無いみたい。
そう考えてると、あの化け物が襲い掛かってきました。
「うわ~~~~」
フェレット君は、突然のことで驚いてるみたいです。
私は、左足を軸に、体を90度回転させ、そのままバックステップで避けて、
「投影開始(トレース・オン)!」
十本ある魔術回路のうち、二本だけ起動させます。
すると、私の腕に二本の線が走り、私の両手には、二本の剣が握られます。
剣の名前は、干将・莫耶。中国に伝わる夫婦剣で、士郎お兄ちゃんが、愛用してた剣です。
本来、投影魔術は一から十まで魔術で再現するけど、再現出来た物は幻想。
世界の修正され、存在でいて数分しか出来ないらしい。
けど、私や士郎お兄ちゃんは違う!士郎お兄ちゃんは、何でかわからないけど、
私は、私の魔術の属性のおかげです。
私の属性は、"変換"。士郎お兄ちゃんのような異端の属性です。
名前道理、魔力を何かに変えることに関して働く属性で、私はこの属性で、投影したものを幻想ではなく、ちゃんとした物として再現できるので、壊れるか投影破棄しないかぎり、永久的に残すことが出来ます。
それはさて置き、バッグステップで紙一重でよけた私は、そのまま右手を強化しつつ右手で持った干将で、化け物を切り裂きました。
結構硬いと思ってたけど、あっさりと切れたので驚きました。
「あなたは、一体……じゃなくて!
あの、それはある物が作り出した幻影のような物です。
物理的なダメージでは、回復してしまいます。」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「これを!」
そう言って、フェレット君は自分の首に掛かってた宝石を差し出してきます。
投影を破棄して手に取ると、なにやら暖かい感じがします。
「それを手に、目を閉じて、心を済ませて、僕の言うとおりに繰り返して!!!」
「う、うん!」
「我、使命を受けし者なり」
「我、使命を受けし者なり」
「契約の元、その力を解き放て」
「契約の元、その力を解き放て」
「風は空に、星は天に…」
「風は空に、星は天に…」
「そして、不屈の心は・・・・」
「そして、不屈の心は・・・・」
「「この胸に!!!」」
「「この手に魔法を!レイジングハート、セットアップ!!!」」
『スタンバイ、レディ、セットアップ』
宝石から、光が溢れ空に伸びていきました。
「な、なんて魔力だ………そ、そんなことより!
落ち着いてイメージして!君の魔法を制御する魔法の杖の姿を!
そして、君の身を守る強い衣服の姿を!」
「そ、そんなこと、急に言われても………とりあえずこれ!」
一瞬、変な魔法のステッキを持った黒髪の女性が頭に浮かびますが、直ぐに頭を振って忘れます。
そして、思いついたのは私の通う学校の制服に似たワンピースと、金色の装飾がされた杖です。
私の周りに、桜色の光が現れ、私を包みます。
「成功だ!」
光が無くなると、私の服が変わってました。
服が、白いワンピース型の服に変わました。ただ、魔力遮断を持つ聖骸布は残ってます。
手には、柄がピンク色で、先端には金色の装飾にそれに守られるように赤い宝石がついた杖があります。
「え~~~~~~!」
いくら、魔術を知っていてももう限界です。
私は、いきなりのことについ叫んでしまいました
それと同時に、さっきの化け物が回復し終わったみたいです。
けど、さっきの様に返り討ちに遭わないように距離をとっています。
「僕らの魔法は、発動体に組み込んだプログラムと呼ばれる方式です。
そして、その方式を発動させる為に必要なのは術者の精神エネルギーです。
そしてあれは、忌まわしき力が元に生み出された思念体。
あれを、止める為には封印して元の姿に戻さなきゃいけないんです。」
「えっっと~~~、わからないんですけど、どうすれば……」
「攻撃や防御などの基本魔法は心に願うだけで発動します。
けど、より大きな力を必要とする魔法には呪文が必要何です。」
聞いてて、やっぱりこっちの魔術と大きく違うことを実感させられます。
「呪文?」
「そう、心を済ませて。心の中にあなたの呪文が浮かぶはずです。」
私は、その言葉道理に心を済ませます。
そうすると、一つの言葉が浮かびます
私は、レイジングハートを構えます。
それと、同時に化け物が何かに気づいたのか逃げようとしますが、遅いです。
「リリカルマジカル…封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード封印!!」
『シーリングモード、セットアップ』
レイジングハートも先端が変わり、桜色の翼が出てきました。
そして、レイジングハートからでる桜色のリボンが化け物を包みました。
『スタンバイ、レディ』
「ジュエルシード、シリアル21、封印!」
『シーリング』
更に出る桜色のリボンが、化け物を完全に包みます。
すると、中から化け物の代わり青い宝石が出てきます。
「これが、ジュエルシードです。レイジングハートで触れてみてください。」
「う、うん。」
私は、フェレット君の言う通りにレイジングハートで触れてみると、青い宝石が先端にある赤い宝石のようなところに入っていきました。
それで終わったのか、私の服装が元に戻り、レイジングハートも元の宝石に戻りました。
「終わったの?」
「はい、ありがとうございます。……あなたのおかげで大きな、被害は……」
そう言って、フェレット君は気絶してしまいました。
この日、私はただの落ちこぼれ魔術使いから、"魔導術師"になりました。
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第二話「魔法と魔術」