No.45815

タイムトラベルママ01/カンバックママ 02

イツミンさん

タイムトラベルSF小説

ノーテンキなママが出てきます


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2008-12-09 17:28:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:495   閲覧ユーザー数:468

 

 

 十三年前のあの日。

 僕が思っていたことは、部屋にテレビがあってよかった、だった。

 中学校最初の夏休みと同時に始まった、僕のひきこもり生活。

 移ろう世界から隔絶されて僕は、一人自分だけの世界に没頭した。

 テレビを日がな一日眺め、網膜に次々と変化する光を焼付け、内向的な世界に没頭する。テレビは形だけの変化を与えるのみだったけど、それだけでも、部屋にあってよかったと思った。

 

 考えることは何か?

 

 単純明快。

 いじめ被害者のご多分に漏れず、僕だって自殺や復讐のことしか、考えていなかった。

 

 人が死ぬには、どれが一番楽なのか。

 首吊り。

 リストカット。

 飛び降り。

 入水。

 

 有名どころの自殺方法を頭の中で列挙し、そして次々否定していく。

 どれをとっても痛いし、苦しいし、辛いし、やっぱり死にたくない。

 

 それなら、どうやって復讐するのが、一番効果的なのか。

 

 ……僕には、思いつかなかった。

 

 いや、思いつくのだけれど、一つに絞れなかった。

 

 だってどの方法も、やつらが苦しんで、苦しんで、苦しんで苦しんで苦しんで死ぬには、一度殺したんじゃ到底追いつかなかったからだ。

 

 入学当初の集合写真。

 

 兵藤と中川の顔のところに何重にもバツを書き、ナイフで突き刺し、突き刺し、突き刺す。

 

 ノートを開いて日記を書けば、「殺す」と「怨み」の字しか出てこない。

 

 毎日そんな風に、過ぎていく。

 そんなだけが、僕の生活。

 

 ドンドンドンと、時折響くノックの音。

 

 外へいざなうその音を、僕は背後に聞いて全て無視をし……。

 

 

 その頃僕は

 

暗転した暗闇の世界から

 

さらに深く落ちるなどと

 

 知る由もなく――

 

 

 誰か知っているなら教えてほしかった。

 

 だから僕は、取り戻すために光をつかんだ。

 

 

 

 

 

 結城重幸二十六歳。

 その日彼は、十年前の過去へと跳んだ。

 


 
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