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真・恋姫†無双~だけど涙が出ちゃう男の娘だもん~[第2話]

愛感謝さん

無難な人生を望み、万年やる気の無かったオリ主(オリキャラ)が、ひょんな事から一念発起。
皆の力を借りて、皆と一緒に幸せに成って行く。
でも、どうなるのか分からない。
涙あり、笑いあり、感動あり?の、そんな基本ほのぼの系な物語です。
『書きたい時に、書きたいモノを、書きたいように書く』が心情の不定期更新作品ですが、この作品で楽しんで貰えたのなら嬉しく思います。

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2012-07-22 10:48:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5573   閲覧ユーザー数:5126

真・恋姫✝無双~だけど涙が出ちゃう男の()だもん~

 

[第2話]

 

 

「やあ! 紫苑。兵の教練は順調かい?」

「ええ、そうですねぇ。概ね計画通りだと思いますわ」

 

配下に成るなら真名を預けると言う黄忠と、真名を交換した日から3ケ月位経ちました。

漢中郡南鄭の太守内示と厳顔・黄忠を配下にし、(ふところ)を少しスースーさせながら“さあ漢中へ!”と出立しようとしたボク達に暗雲が立ちはだかり、出鼻を挫かれました。

前漢中太守である蘇固が召還・印綬の返還を拒否して反乱を企てたのです。

 

父・劉焉に兵を出してくれるように要請しましたが却下されました。

仕方がないので、ボクは義勇兵を応募して厳顔・黄忠に兵の教練を任せます。

もちろん、資金は父・劉焉(りゅうえん)からもぎ取りました。

そのせいなのか、少し父の頭髪が薄くなったようです。(ボクも気を付けないとイケません)

兵の総数は5千人位集まりましたが、そこから選抜して3千人に(しぼ)りました。

少数精鋭を選抜して、その分装備にお金を懸けて兵の損耗を少なくしようと思ったのです。

 

「……ところで紫苑さん? アレは何ですか?」

 

大きな鉄棒をブンブンと振り回しながら、兵を教練しているのかイジメているのか分からない人物を見て、ボクは黄忠に問いかけました。

 

「あらあら、焔耶ちゃん張り切っていますわねぇ」

 

さも何でも無いかのように話す黄忠に、ボクは再度問いかけました。

 

「ボクは、彼女を漢中に連れて行く積りは無いのですが?」

「ですが、ご主人様。焔耶ちゃんは、桔梗の居る所に絶対ついて行きますわよ?」

「……ボクは紫苑さんのご主人でも無いのですが」

「うふふっ。どのように呼ぶかは自由にして良いと、確かにお聴きしましたわよ?」

 

口では敵わないようなので、ボクは黄忠の好きにさせるしかありませんでした。

 

「とにかく、このままでは兵が潰れてしまいます。彼女を呼んで下さい」

「しょうがありませんわねぇ。主人を立てるのも妻の務めですわ」

「……」

「うふふっ」

 

本当に口では黄忠に敵いません。

そうこうしている内に (くだん)の彼女こと魏延が、こちらに向かって来ました。

魏延は視界にボクを認識すると、途端に不機嫌な顔をし出します。

 

「紫苑さま! お呼びと伺いましたが、どうかしたのでしょうか?」

「わたくしじゃ無くて、ご主人様に御用があるみたいなの。焔耶ちゃん」

 

黄忠にそう聞くと、更に魏延の不機嫌さが増しました。

 

「何か用なのか?」

 

『身分を気にしない』、『敬の念も抱かない』

そんな、ぶっきら棒な言葉がボクに問いかけられました。

 

「何かじゃ無い。君は兵を鍛えているのか? それともイジメているのか?」

「そんなの鍛えているに決まっているだろ」

 

『何あたり前の事言っているんだ?』的な発言がボクに返って来ました。

 

「兵を鍛えていると言うのなら、もう少し加減してくれないか? あれでは兵が潰れてしまう」

「ふんっ。そんな軟弱な兵などいらん!」

「……第一、ボクは君を招聘したつもりは無いのだけど?」

「桔梗さまが行く所にワタシが行くのは当たり前だ!」

 

もうね、馬耳東風(ばじとうふう)

『ボクの言う事なんて何も聞かないよ!』的オーラが立ち登っています。

 

「……まだ根に持っているのかい、焔耶?」

「なんのことだ?」

「君の許し無く、真名を呼んだのは悪かったと謝っただろう?」

 

真名の意味も分からなかった頃に、桔梗が呼ぶのを真似てボクも彼女の真名を呼んだら、彼女の所持している武器で殺されそうに成りました。

 

「……そんなこと、関係無い」

 

ボクの言葉に魏延はソッポを向きながら呟きました。

 

「まあ良いでしょう。桔梗と話し合って、もうちょっと教練を工夫して下さい」

「……わかった」

 

そう言うと厳顔の所にでも行くのか、魏延は教練場から去って行きました。

そんなやり取りをしていたボク達の頃遭いとみて、黄忠がボクに話しかけてきます。

 

「ご主人様は、意外と(エス)ですわねぇ」

「……何を言っているのですか? 人聞きの悪い」

「焔耶ちゃんをいたぶって弄ぶなんて、鬼畜ですと申し上げているのですわ」

「そんな事ありません。ボクは昔から彼女に嫌われているのです」

「うふふ……そんな事ありませんわ。大丈夫ですよ」

 

黄忠の慰めの言葉に、ボクは少し気を良くしました。

 

「……そうですかね、そう思いますか?」

「ええっ。妻のカンです。間違いありません」

「……」

「うふふ」

 

全然あてにならない黄忠との話しを切り上げ、ボクは教練場を後にしました。

 

 

 

この3ケ月間、軍の教練を厳顔と黄忠に任せたボクがして来た事は情報の取得でした。

もともと子飼いの諜報機関を持っていましたが、さらに拡張して土地土着の諜報者である“草”の育成にも力を注ぎます。

その甲斐あって、すべての州に諜報拠点を持つことが出来ていました。

中枢の情報を取得するには賄賂などの費用が掛かるので、漢中太守に就いてからです。

それとは別に、商家との繋がりも強化して選択の幅を広げていました。

 

 

(だけど焔耶かぁ……このままだと漢中に着いてくるよなぁ)

 

ボクは自分の部屋で、ベッドに横たわりながら是からを考えていました。

のんべぇ2人に聞かん坊。漢中攻略より余程気をつかいます。

溜め息をつき誰彼(たそがれ)ているボクに、猫のミーシャが前右足をポンッと置いて来ました。

まるで“頑張れ”と言わんばかりです。

 

「ふふふ。ありがとうミーシャ。君が居てくれるだけで、ボクは頑張れます」

「にゃあ~」

 

ミーシャの(あご)をボクがコチョコチョくすぐると、気持ち良さげに瞳を細め嬉しがってくれました。

 

本当にミーシャはボクの守護天使。

癒されます。

 

むふぅ~。(嬉)

 

 


 
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