第六部 『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の三
第四話『我等詠ウハ変態ノ道標』
房都警備隊詰所
【緑一刀turn】
「それではこれより第一回水泳教室特別護衛任務反省会を行う!」
『応!!』
それでこそ俺たちが見込んだ男達だ!
時刻は酉の刻。午後六時くらい。
窓からは西日が差し込んでいた。
「今回は最初から特別ボーナスが有って驚いたが、支払った代償は大きかった。」
ここでインテリが手を挙げた。
「あの北郷様、棒茄子って何かの隠語ですか?」
「天の国の言葉で賞与のことだ。で、その代償となりながらも無事生還を果たした兄者と弟者に、みんな拍手を!」
俺を含め七人の男達が力強い拍手を兄者と弟者に贈った。
「袁紹様達に再会できた嬉しさのあまり飛び出してしまったな、兄者」
「うむ、川原の景色が突然ゴロゴロした石に変わったので驚いたな、弟者。」
それはもしかして賽の河原じゃないのか?
「では順番に報告をしてもらおう。誰から行く?」
俺の声にまたインテリが手を挙げた。
「私から参りましょう。私の受け持ちは甘寧将軍が指揮を執られた班です。
諸葛孔明さま、鳳士元さま、陳公台さまは紺のすく水が良くお似合いで、とても清楚な出で立ち。
恥らいながらすく水のお尻のズレを直す仕草が実に可憐でした。
孫尚香さまの薄桃色のすく水と大喬さまと小喬さまの白いすく水は・・・・・・・・。
その、水に浸かると伸ばされ薄くなった部分の肌の色がうっすらと・・・・・うぅっ!」
インテリが顔を手で押さえて踞(うずくま)った。
「お、おい!大丈夫かっ!!」
「す、すみません・・・・・あの場では北郷様に助言頂いた通り、脳裏に刻み付ける事に専念していましたので持ち堪えたのですが・・・・・こうして鮮明に思い出すと鼻血が、うっ!」
「おい!無理をするな!!」
「いえ!だ、大丈夫です・・・・・あの胸に縫い付けられた布のお蔭で何とか持ち堪えられそうです。あの布に書かれた文字は天の国の物ですか?」
「あぁ・・・・・平仮名という文字で彼女達の名前が書いてあった。」
ワザと話題を逸らす事で気を落ち着けるとは・・・・・流石インテリだ。
「あの布が無かったら今頃は・・・・・うぷっ!」
「その報告はもういい!次に進め!死んでしまうぞ!!」
全員がインテリを気遣い助け起こす。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・すみません・・・・・続けます・・・・・
陸遜大都督の水着姿は甘寧将軍と同じ種類とは思えない物でした。
動くたびに上下に揺れて・・・・・兄者と弟者の気持ちが少しだけ分かった気がします。
そして甘寧将軍は・・・・・・・・・・・・・・あれ?おかしいな・・・・・」
「どうしたんだ?」
「いえ・・・・甘寧将軍の水着姿が鮮明に思い出せなくて・・・・・あの引き締まった体を包んでいた赤い水着姿・・・・・すみません。やはり赤い水着姿だったとしか・・・」
「気にするなって、気配を消すのは完璧だったんだ。これから先経験を重ねれば鮮明に記憶出来る様になるって。」
インテリは元々朱里と雛里のファンだからそっちに気を取られたんじゃないかな?
「そうですね・・・・・まだまだ修行は始まったばかりですから。では最後に呂布将軍の・・・・・・・・・これも思い出せない!?右が黒、左が白のせぱれーつなのは思い出せるのですが・・・」
う~ん、まあしょうがないか。俺はあの場に一緒にいたから、思春と恋の事は克明に覚えている。
だけど・・・。
「まあまあ、反省会なんだからそういう所を見つけるのが目的だ。明日はその点に注意すればいいさ。」
「はい!明日は今日以上に集中してみせます!!」
インテリは拳を握って決意を固めている。
俺が報告することで、この戦意を萎えさせたくはない。
「それじゃあ次は自分が報告するッス!
周瑜様、黄蓋将軍、黄忠将軍が揃って川原を歩かれていた時はもうボヨンボヨンというかブルンブルンというか・・・・・
とにかく凄かったッス!天和ちゃんのライブで見慣れていると思ってたんスけど、
自然の中での何気ない仕草なのがより効果的だったみたいッス。
特に周瑜様から、あの水着姿の上、眼鏡越しに理知的な眼差しで見られたら・・・・・もう、たまらないッス!!
人和ちゃんも将来、周瑜様みたいになるんじゃないかと想像しちゃったッスよ!!
それから璃々さまや孟獲さま、ミケちゃん、トラちゃん、シャムちゃん達の
あどけない姿に心が癒されたッス♪
魚を捕るのを手伝ってる最中、孟獲さまに魚と一緒に吹っ飛ばされて
記憶が一部無くなってるッスが、特に問題無かったッス♪」
そんなことがあったのか。
俺たちが行った時、こいつも魚を焼くの手伝ってたから、確かに問題無いんだろうな。
「では次に我ら兄弟の報告だ。袁紹様と顔良様のびきに姿は凄かったな、弟者!」
「あぁ!袁術様に泳ぎを教えておられる姿は正に眼福だったな、兄者!」
「水の中で常に頭を冷やしていなかったら危ない所だったな、弟者。」
「そうだな・・・・・実は兄者、俺は文醜様のせぱれーつ姿を見て新鮮な感動を覚えたのだ。」
「なに!?お前もか!実は俺も北郷様が言われた通り、小さなおっぱいも悪く無いと思っていたのだ!」
むねむね団員の兄者と弟者もついに判ってくれたか!
俺は今猛烈に感動しているぞ!!
「それで雪蓮の水着姿はどうだった?」
赤から話を聞いていたので大体の状況は掴んでいる。
「は?・・・・・孫策様?覚えているか?兄者。」
「うむ・・・・・確かにおられたが・・・・・よく思い出せないな、弟者。」
そんなまさか!巨乳好きの兄者と弟者が雪蓮のおっぱいを思い出せないだとっ!?
さっきのインテリといい何かおかしいぞ!!
「董の兄ぃ!兄ぃはどうだ!?」
「は、はい!可憐なお嬢様に赤い水着という意外な組み合わせは実に新鮮でした!
そして華雄将軍が腰に巻いた布を外された時は胸の高まりを押さえるのに苦労しました。
白く透けるような肌の太もも♪普段見られないだけにこの感動は
そして周泰将軍も・・・・・赤い・・・水着・・・・・・・・・・・・・・なんだこれは?
不思議です!お嬢様と周泰将軍が並んでいる所を思い出しても、お嬢様は鮮明に思い出せるのに周泰将軍はぼやけている!?」
兄ぃも自分の記憶の不確かさに戸惑っている。
今までの記憶が不鮮明になった相手は思春、恋、雪蓮、明命・・・・・。
「なあ、赤、紫、これはもしかして・・・・・」
「「防衛本能・・・・・・か?」」
どうやら俺たちは同じ答えに到達したらしい。
「北郷様!どういう事ですか!?」
変態達は立ち上がり俺たちに答えを求めた。
「これはあくまでも推測だが、思春、恋、雪蓮、明命にはみんなの視線が鋭すぎて殺気と感じてしまうんだろう。」
「え?でもそれならそれらしい反応が有るはずでは?」
インテリにもまだ解っていない様だ。
「してるんだ。無意識に。更にみんながそれを一瞬で察知して、その視線を外すから彼女たちは意識しないし、みんなの記憶がぼやけるんだ。」
「・・・・・・・そんな、自分たちにそこまで出来るわけが・・・・・」
「だから防衛本能なんだ!」
「な、なるほど・・・・・確かにあの時の集中力は自分でも後で驚きますからね・・・」
「それじゃあ俺らはこれからどうしたらいいんスか!?」
「「「普通に見ればいいじゃないか?」」」
鋭い視線では殺気と勘違いされるなら、そうしなければいいだけの話だ。
『あぁ、それもそうですね♪』
「みんな納得したところで最後の報告だ。」
尻好きに報告の取りを務めてもらおう。
「お、応!俺は孫権様と劉備様を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ん?なんだ?・・・・・まさかあの二人の事も思い出せないとか・・・・・・・あ、鼻血。
「ぶはあああああああああああっ!!」
尻好きは稟並みの鼻血を噴いてブッ倒れた。
俺たちも含め全員の動揺はインテリの時以上だ。
「す、すいません北郷様・・・・・あまりにも・・・克明に記憶した所為で・・・・・・思い出したら・・・・・耐えられなかった・・・・・ガクッ」
桃香と蓮華の二人じゃ普通に立ってるだけでも、こいつにはかなりの刺激なのに。
赤が言うにはあの二人は泳ぎを教えているっていうより、熱血スパンキングショーになってたらしいからなぁ。
そんな物を克明に記憶してたら、そりゃ耐えられんだろう。
こうして第一回水泳教室特別護衛任務反省会は、いくつかの問題点を発見し終了したのだった。
第五話『戦闘準備』
房都城 玉座の間
【赤一刀turn】
水泳教室を始めて六日目。
今日は全員を集めての三国会議である。
壇上には俺たち三人と三国の王、華琳、蓮華、桃香。
俺たちの右手中段に三国の筆頭軍師、桂花、穏、朱里。
左手中段には筆頭武将、春蘭、思春、愛紗。
そしてこの壇の前には魏、呉、蜀の軍師武将達が並んでいる。
「それではこれより三国会議を始める!」
俺が始まりを告げると華琳が立ち上がった。
「今日の議題は通達している通り合同水上調練よ!」
華琳が自ら議長を買って出たのだ。
普通なら桂花か、発案者である穏がやるべきなのだが、春蘭に会議を引っ掻き回されない為の措置なのだそうだ。
「調練と銘打っているけど、実際にやることは・・・」
華琳がみんなを見回しニヤリと嗤った。
「模擬戦よっ!!艦隊を使用した船戦を行うっ!!」
「さすが華琳さま♪我ら武官の気持ちを分かっていらっしゃる♪」
予想通り春蘭は両手を上げて喜んでいた。
これで春蘭はこの会議の進行にひたすら協力するな。
「船戦って、ウチら船酔いも克服できとらんのに・・・・・・」
「こらあっ!!真桜!華琳さまのおっしゃった事に異を唱えるとは何事だっ!!きさまも曹魏の武官なら血反吐を吐いても笑顔で頷いて死ねっ!!」
まあ、春蘭ならどんな酷い華琳の命令も泣きながらやりそうだけど。
「意見は後で聞くからまずは聞きなさい!開始日は五日後、場所は呉領荊州、長江中流域の赤壁!」
そう!赤壁だっ!!
この外史では赤壁での戦闘は行われていない。
事前の小会議で、この模擬戦の話が出た時に俺たち三人が希望したら通ってしまった。
「今回は三国が一対一の総当り戦で行うわ。呉対蜀、呉対魏、魏対蜀!一日一戦で期間は三日!嵐等で模擬戦が出来ない時の事を考え七日間は余裕をみている。それ以上は都を空けておく訳にいかないので、最長でも八日目には帰還します。兵数は各五千。これは飽くまでも実際模擬戦で戦う兵数よ。輜重隊、工兵隊は含まない。これらは既に赤壁に向い模擬戦の準備を始めているわ。さて、ここまでで質問は有る?」
桔梗が手を挙げる。
「模擬戦の順番は今華琳殿が言われたままですかな?」
「えぇ、そうよ。船戦では間違いなく呉が一番慣れているわ。魏と蜀は船戦のやり方を呉から学び取るのが目的。最終日に魏と蜀が戦うのは学んだ事を活かすことが出来るか見るためよ。」
「では戦いに参加していない時はじっくり観戦ということですかな?」
「いいえ、参戦いていない軍は救助隊として活動するわ。」
この五日間の水泳教室で泳げなかった子達も立ち泳ぎが出来るまでになっていた。
だからと言って安心してはいけない。
どんなに泳ぎが上手くなっても船から落ちる時に怪我をしたり頭を打つことだって有るのだ。
パニックを起こす可能性もあるから救助の手は多いに越した事はない。
「なるほど、では心置きなく水に叩き込んでもいいという訳ですな♪」
「えぇ、そうよ。その辺は勝敗の付け方にも関わるので後で詳しく説明するわ。その前に伝える事がもう一つ、今回の模擬戦は観戦席を設けて各地の豪族や庶人にも見られる様にします。」
これについては各国軍師達との会議で賛否両論の話し合いがされた。
この規模の模擬戦ならば各地で晋、そして三国に完全な恭順をしていない勢力が間者を送り込むのは明白。
それならいっそのこと招待して力を見せつけようという意図だ。
「その一般観戦者からは僅かだけど観戦料も支払ってもらうわ。」
これにより少しでも費用を浮かせようという理由だが・・・。
「模擬戦を観戦するだけなのに、わざわざ金を払ってまで見に来るのかなぁ?模擬戦どころか実戦でも勝手に弁当広げてタダで見に来てたのに。」
翠の言葉に他の武将達からも同じような呟きが聞こえてくる。
庶人とは逞しい物で、自分たちが被害に遭わないと分かると戦はいきなり最高のエンタテインメントと化すのだ。
日本の戦国時代でも同じだったらしいから、近代戦の様に銃弾砲弾が飛び交う様になるまでは、ごく普通の風景なのだろう。
「お金を払ってもらうのだから、それなりの工夫はするわよ。その協力者も呼んであるわ。入って来て頂戴。」
華琳に呼ばれ中段の袖から現れたのは天和、人和、地和の数え役満★シスターズと。
「ヤッホー♪みんな久しぶり~♪それから初めましての人もよろしく~♪羌族王の迷姚こと炙叉でーす♪」
なんか色々とツッコミたい衝動に駆られるが、炙叉はニコニコとみんなに手を振っていた。
シスターズの登場はみんな予測できていたみたいだけど、炙叉の登場には驚きの所為で口を開けて唖然としていた。
「・・・・・え~、以前の象棋大会の様に妖術で模擬戦の様子を水晶板に映し出し、より観戦しやすくする。そしてシスターズには実戦の頃の様に歌で盛り上げてもらうわ。」
シスターズのライブが見られるとあれば観客の動員はかなり期待できる。
そして、ちぃの代わりにモニター的な物を稼働させるため、炙叉に協力を依頼したのだ。
「あっさり決着が付いたらちぃ達のライブだけになっちゃうんだから、みんな頑張んなさいよ!」
ちぃの挑発的な励ましにみんなが笑って口々に言い返していた。
「それでは次に今回の模擬戦の規範を伝えます。」
武将達は待ってましたと言わんばかりに目の色が変わった。
「先に言っておくけど今回の賞品も一刀だから♪」
もう、すっかりお約束として定着してしまった『景品=俺たち』。
今回はちゃんと事前に言って貰えたから快く了解しました♪
「完全勝利条件は相手側の一刀を自陣に連れ帰る事!見事連れ帰った将には一刀三人を一日自由にしていいわ♪」
「「「ちょっと待てえええええええええええええええ!!聞いてねえええええええ!!」」」
「賞品としての扱いはまあいいとして、その勝利条件は何だ!?」
「今回はあなたたちが間抜けにも敵に連れ去られたという想定で行われるわ。そんな理由だからよろしくね♪」
悪びれる事無く、華琳に笑顔で言われては頷くしかないじゃないか。
「あ、あのぅ・・・華琳さまぁ?その褒賞なのですが・・・・・」
春蘭が振り返ってオズオズと手を挙げた。
「あぁ、はいはい。魏は希望があれば私も加わってあげるわよ。手料理を作ってあげたり買い物にも付き合ってあげる、もちろんそれ以外もね♪」
「華琳さまのご馳走が食べれて兄ちゃん三人と遊べるなら、ボクすごい張り切っちゃうよ♪」
うんうん、季衣は無邪気でいい子だなぁ♪
「華琳さま、相手側の兄ちゃんを連れて来るとき、放り投げてもいいですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・どこから?まさか俺ら、自陣から相手の陣まで砲弾みたいに・・・・。
『いっくぞおおおおぉぉぉっ♪♪』
どひゅん!
『ぎょわおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・』
「・・・・・必ず一刀と一緒に自陣に戻る事・・・」
「はーい♪」
無邪気に水中ハンドボールのボール役にされる処だった・・・・・。
「あの!桃香様!!蜀は・・・・・?」
二日前に成都から戻った焔耶も手を挙げた。
「焔耶ちゃん!?・・・・・わたしもいいけど・・・・・お料理作った方がいいのかな?」
「よっしゃあぁ!俄然やる気が出ましたっ!!見ていてください、桃香様!!」
スイマセン、桃香の料理は勘弁してください・・・・・。
「蓮華様。呉は?」
思春も静かに手を挙げていた。
「あ、あなたもなの、思春!?・・・・・まぁ魏と蜀がそう言うのなら呉も・・・・・その・・・いいわよ・・・・」
蓮華がチラチラと俺たちの方を見て言った。
その態度の意味を今は考えない様にしよう。妄想の世界から帰ってこれなくなりそうだから・・・・・。
「ありがとうございます、蓮華様!この甘興覇!必ずや相手陣地より北郷を捕えてまいります!!」
「思春!演習の想定では助け出すのよ!間違えちゃダメよ!?」
模擬戦が始まったら直ぐに忘れそうだな。
紫、緑、頑張って耐えてくれ!
「さて、貴女たちの事だから賞品の一刀に目が眩んで仲間割れをしかねないから追加条件を言っておくわ。一刀を連れ帰る味方の将の手助けをした者も、一緒に褒美を受けられることにします。逆に邪魔をした者は寝返りとみなし『お仕置き部屋』行きとするわ!」
その存在を知る者達に戦慄が走った。
未だみんなには『お仕置き部屋』で何があるかは伏せられている。
俺たちは華琳から教えられていたが、口止めされているのでみんなに教える事は出来ない。
言ったら『お仕置き部屋』行きだって言うんだもん・・・・・・・・・それは絶対に嫌だ!!
紫苑、桔梗、祭さんには効果は無いが、元々この三人が味方の邪魔をするとも思えないので何の問題もない。
「あと、完全勝利が出来た側の軍師にも武将とは別に、同じ報奨を与えます。」
「はわわ!聞いていませんよ華琳さん!!」
「今思い付いたのだもの、当然よ。貴女たちの励みになるでしょ♪」
「は、はあそうですが・・・・・・・(苛烈な戦いになりそうですぅ)」
「では、それ以外の勝利条件!相手側の将を全員戦線から脱落させる。または、相手側の船を全て航行不能扱いにする事!更に制限時間内に決着が着かない場合は残っている兵数が多い方を勝利とみなします!」
また極端な勝利条件だがまるっきり無いとは言えないからなぁ。
「さて、次に実際の戦闘の判定方法だけど、先程桔梗が言ったみたいに水に落ちた者は脱落とします。あと、武器の直撃を受けた者。自ら負けを認めた者も脱落よ。刃のない模擬戦用の武器とはいえ当たれば相当痛いから気を抜かない様に!矢に関しては、
霞が手を挙げた。
「火矢で船が燃えたいうんは誰が判定するんや?」
「救助隊にその判定もしてもらうわ。ついでに補足するけど救助隊の船には白地に赤い十字の旗を掲げさせるので間違って攻撃しないように。」
つまり戦闘に参加していない時は救助と審判をする訳である。
「では、参加者の中で特別な者を伝えておくわ。まずは雪蓮。隠居してるけど予備役扱いとして呉軍に参加します。」
あの雪蓮がこの模擬戦を黙って見ているとは誰も考えていないけどね。
「冥琳は前大都督として実況席での解説をして貰うわ。」
「穏、大都督として下手な指揮を取ったら酷評するからな♪」
「う~、がんばります~・・・・・」
冥琳と穏の微笑ましい(?)師弟のやり取りにみんなが苦笑する。
「美羽と七乃は今回呉軍で参戦。いいわね、美羽、七乃。」
「うむ、分かったのじゃ。頑張って主さまに良いところを見せるのじゃ♪」
「うぅ~、お嬢様が雪蓮さんに飼い慣らされていく~・・・・・」
水泳教室で雪蓮達と美羽はかなり打ち解けたみたいだな。
「麗羽達は蜀で参戦よ。」
「わたくしが参戦しては蜀の勝利間違いなしですけど。みなさん、これも運命と思って諦めなさい!おーーーーほっほっほっほっほっ♪」
久々の高笑い・・・・・・麗羽も絶好調の様だ。
まあ、みんな気がついてるとは思うけど、美羽と麗羽はハンデ。
船戦に慣れている呉軍。
将の数が一番多い蜀軍。
それに対抗する魏軍。
元々魏軍の戦い方は圧倒的な数の精兵で圧倒するという物だ。
同じ兵数の場合、兵だけなら蜀を圧倒出来るだろうが、将の数が倍近い上に恋がいては、まともに考えれば蜀が勝つというのが軍師たちの意見だ。
故に袁家を呉と蜀に加えて戦力低下させようというわけだ。
「華佗、貂蝉、卑弥呼には救助隊の指揮をとってもらう。」
華佗はいいとして、貂蝉と卑弥呼も水上を駆け回るのか・・・・・観客が逃げ出さなきゃいいけど・・・・・。
「今回の実況は小喬にやってもらうわ。その補佐に大喬と月。参戦していない軍の一刀と私を含めた三国の王は実況席に入ります。大喬、小喬、模擬戦だけど戦の空気を勉強する好機よ。しっかり学びなさい。」
「「はい!華琳さま♪」」
中々賑やかな実況席になりそうだ♪
「では最後に・・・・・」
遂に発表される、俺たちがこの模擬戦でやりたかった最大の目的!
「全員水着での参加とします!!水着の選択は自由!!みんなよく考えて選びなさい♪」
『ええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇえええ!!??』
俺たち三人がガッツポーズをしている以外、みんな驚愕している。
華琳が賛成してくれたお蔭で俺たちの夢がまた一つ実現できたのだ!!
「か、華琳殿!そのような話微塵も・・・・・まさかそれも今思い付いたとか・・・」
今迄会議の進行に集中していた愛紗も、流石に戸惑っている。
「いいえ、かなり前から考えていたわ♪発案者は・・・・・言わなくても判るでしょ♪」
「ぐお主人さまあああああああああああっ!!」
「「「愛紗!これにはちゃんと理由も有るっ!!」」」
「ほほう・・・・・ではお聞かせ願いましょう!」
暑さの所為か迫力がアップしてるなぁ・・・・・。
「まず船から落ちた時に着衣より動きやすいから生存率が上がる!」
「う、それは・・・・・確かに・・・・・」
「重たい鎧を着けてたら浮かび上がるのも無理だろう?弓を使う人は胸当てを着けてもいいし、必要とあれば木製の鎧も用意してある。木製だから救命胴衣にもなる優れ物だぞ!必要なら浮き輪も用意するけど・・・・・」
「浮き輪など着けていては戦えませんよ・・・・・朱里達には着けさせておくべきか・・・」
お、納得しかけているな。
「何より暑いから涼しい格好でいれば体力の消耗も少しはマシになるよ。」
「うぅ・・・しかし・・・・」
愛紗はまだ羞恥心の方が勝っているみたいだ。
どうやって納得させようか・・・・・?
「愛紗、貴女が感じている羞恥心こそが武官に水着で参加させる狙いよ。」
「は?それはどういう・・・・・」
「貴女たちが本気で戦えば兵たちに怪我人が続出するわ。羞恥心で力が半減すれば兵たちも怪我する前に水に飛び込んで脱出できるでしょ。」
「それは軍として少々情けない様な・・・」
「連戦させるのだからそれぐらいは兵を労わってあげなさい。皆はどう?納得出来ないかしら?」
「華琳さまのお優しい心遣い!この夏候元譲感動いたしましたっ♪全て華琳さまのおおせのままに♪」
ホント、華琳に任せて良かった。
俺らが言ってたら今頃春蘭にボコボコにされてたに違いない。
「ねえねえ、華琳さまー!本当にどんな水着でもいいの?」
たんぽぽが元気良く手を挙げて質問してきた。
「えぇ。構わないわよ♪」
「むふふ♪鍛錬のときはあんまり可愛いの着れ無かったもんねぇ。ご主人さまを思いっきり誘惑しちゃうの選んじゃおっかなぁ♪」
たんぽぽのやつ、どんなの選ぶ気だ?・・・・・期待してしまうじゃないか!
「止めはしないけど、水着が取れても脱落にはならないから気を付けなさいよ。」
衆人環視の中でポロリはイカン!そこまで観客や兵にサービスさせんぞ!!
「可愛くて、外れづらくて、動きやすいのかぁ・・・・・難しいなぁ。」
たんぽぽの言葉を受けてみんなが悩み始めた。
「ではこれにて会議を終了します!皆準備に掛かりなさい!!」
第六話『男達は
房都警備隊詰所
【紫一刀turn】
三国会議の結果を伝え、模擬戦中の活動を話し合う為。
またしてもここに集まった変態達。
「という訳で、赤壁で模擬戦をやることになった!」
「長々と説明された筈なのに、一行で済まされた気がするぞ。兄者。」
「同感だ、弟者。」
「そんな事よりこの度の模擬戦で我々が戦う事になった方が重大ですよ!」
インテリの言う通り、変態たちがそれぞれの軍に別れて戦う事になるのだ。
「それぞれの勢力に属していればこんな事もあるさ。お互い視力を尽くそうじゃないか。」
兄ぃの言葉の、死力ではなく視力な所で話の流れが見えたと思う。
「戦いに参加しない時でも、みんなは救助隊として戦場にいるんだ。頑張ってくれ!」
「あ、北郷様は実況席と陣地から動けないから将軍様たちの姿が間近で見れないのか!」
尻好きは気づいてくれたか。
水着姿で激しく戦うみんなの身体・・・・・いや、勇姿が間近で見れないのは残念だが、ここは中継の映像で我慢して、変態達の報告を聞くのを楽しみにしよう。
「みんな恋や雪蓮に気付かれずに記憶出来る様になったんだ。この模擬戦こそが本番だ!頼んだぞ!!」
『応っ!!』
当初諦めていた恋や雪蓮の克明記憶が僅か五日で克服出来ようとは・・・・・流石、俺たちが見込んだ変態達である。
「でも、シスターズのライブも同時にやるんスよね・・・・・俺、どっちを見ていいか悩むッスよ・・・・・」
追っかけのこいつには辛い選択だな。
「どうする?希望するならシスターズの警備にすることも出来るぞ?」
職権乱用と言われようが、ここは俺たちの力で何とかしてやろうじゃないか!
「北郷様、初日は蜀対呉なのですから、彼にはシスターズの警備をしてもらえば、残りの二日は心置きなく模擬戦に参加出来るのでは?」
「お!妙案だな、インテリ!!それでどうだ!?」
「ありがとうッス!俺、みんなの為にしっかり記憶してくるッスよっ!!」
「馬鹿、泣くんじゃない!俺たちの戦いはこれからだっ!!」
『応っ!!』
さて、模擬戦で配置された場合、このシスターズファンは沙和の隊となるはずだ。
海兵隊式訓練と言っている以上、船上での白兵戦で遅れをとる訳にはいかないのだ。
相当激しい戦闘を強いられる事になるだろう。
尻好きは蓮華の隊に所属しているが、今回は雪蓮の隊での参戦となる。
あの雪蓮に
兄ぃは華雄の隊で参戦。大丈夫かな・・・・・華雄のやつ戦場に出ると頭に血が上って猪になるからなぁ。
インテリは鈴々の隊で参戦・・・・・・なんかみんな、特に激しい戦闘をさせられる部隊ばっかりだな。
兄者と弟者は当然斗詩と猪々子の隊だけど・・・・・序盤で狙われそうだ。
脱落者で直ぐに動けるのは救助隊の手伝いをするようにさせておくか。
そうすれば兄者と弟者も長く戦場にいられるな。
そして俺たち三人は始めてぶつかり合う訳だ。
『連環の計』も『苦肉の策』も、朱里が東南の風を吹かせる事も無い。
そもそも正史の『赤壁の戦い』は冬の戦だったからな。
一体どんな『赤壁の戦い』になるのか分からないが、それでも俺たちは突き進む!
「「「みんな!将軍たちの水着姿を!その脳裏に焼き付けるぞっ!!」」」
『応!!水着姿の為にっ!!』
あとがき
様々な欲望が開放されてきました!
一刀を狙う恋姫達
その恋姫達の水着姿を狙う変態達w
結果的にまた一刀たちが一番おいしい思いをするのか?
第四話
サブタイトルがまた挿入歌ネタです
大好きな歌でカラオケでも必ず歌っています
前回恋姫達の水着姿の描写が少なかったのはこのためですw
恋や雪蓮が一刀の視線に反応しないのは
それが一刀の物だと解るからでしょう。
思春が反応しないのは一々相手をするのが面倒になってきたからですかねw
第五話
量産型第一次強化式骸骨様のアイディアを使わせて頂いた『お仕置き部屋』が
効力を発揮していますw
模擬戦のルールが解りづらいでしょうか?
出来るだけザルでありながら、
兵士が怪我をしない物を目指してみました。
袁家の評価が軍師達には最低のようですw
改訂版第一部の官渡の戦いを考えればしょうがないのかもしれませんが
果して両袁家は評価を覆す事ができるのか?
そして第六部のタイトルの真の意味
『水着で模擬戦』ですw
恋姫たちがどんな水着を着るのか
お楽しみに♪
第六話
一刀も麗羽たちが直ぐに負けると決め付けますねw
変態達の活躍も含め
どんな『赤壁』となるのか
次回、第一日目、呉対蜀をお送りする予定です。
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第四話は変態達の反省会・・・・・と言うか、反芻会ですw
第五話は三国会議。三国合同水上調練の全貌が明らかに!
第六話は、また変態達の対策会議ですw
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