第六部 『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の二
第三話『灼熱の陽光の下、妖精は水辺に集う』
房都近郊河川 特設水練場
【緑一刀turn】
天気は快晴!
辰の刻・・・だから午前八時くらいか。
真夏の太陽は既に力強く照りつけ、森から蝉の声も大合唱中。
俺と紫、赤。それに特別監視員こと魂の兄弟達六人。
更に明命を加えた十人は先行して特設水練場に向かっていた。
「明命は本当に長江を泳いで渡れるの!?」
「はい♪隠密行動を行っていた時によく。日が沈むのを待って暗くなってから泳ぎ始めます。」
しかも夜ですか・・・・・俺なんか夜の水中ってなんか引きずり込まれそうでおっかないけど・・・・・。
「実は緑一刀様と紫一刀様の情報を集めている頃が一番頻繁に長江を渡っていました。」
あぁ、同盟を組む前か。
呉と魏は情報収集に力を入れてたって言ってたからなぁ。
「一刀様がた!お待ちをっ!!人が居ますっ!!」
突然明命が俺たちを制し、先頭に立って魂切の柄に手をかける。
「「「え!?」」」
数日前から特設水練場付近は立入禁止にしてある。
今回の水練は、泳げない子達から練習を他人に見られたくないという意見と、『すぱ』を使うと利用客に迷惑を掛けるという事で、特設水練場の設置が決まったのだ。
その場所も出来るだけ庶人に迷惑がかからない場所という事で選ばれたから、自然と殆ど人が来ない様な場所になった。
今の季節、猟でもない限りこの近辺に人が立ち寄るはずもなく、更に近隣の村には立ち入り禁止の通達もしてある。
「獣とかじゃないの?クマとか、虎とか。」
それはそれで恐ろしいが、ここに居る男達の九人は龍を倒したのだ。
警戒は必要だが倒せない相手じゃない。
更に明命ならばこの男九人合わせたより強いのは明らかだ。
「いえ、気配はまだですが、火を使っています。この匂いは間違いありません!」
「火?この暑いのに?旅人が食事でもしてるのか?」
言ってはみたがその可能性が無い事は俺にも分かっている。
ここに来る為の道という道にも立入禁止の立札がこれでもかというくらい立てられていて、旅をする人間なら最低限の知識としてその意味が分かるはずだ。
どこかの間者か単なる覗きか?どちらにしろここで火を使えばその存在をバラすことになるから、そんな間抜けは居ないだろう。
しかし火か・・・・・・なんか頭の片隅に引っかかるモノが有るんだよな・・・。
「居ますっ!やはり川原で火を使い食事中です。数は三。捕えますか?」
明命なら簡単に捕えられるだろうけど、もしただ単に迷い込んだだけならそこまでしたくない。
「俺達全員で一斉に飛び出す。明命は隠れたままでいて逃げる様なら追いかけてもらう。いいかな?」
「はい!お任せ下さい♪」
明命の元気な返事を聞いて俺も腹を据える。
俺たちは明命が察知する気配だけを頼りに岩陰から近づき呼吸を整えた。
「ここは晋の特別管理地うわああああああ!!」
岩陰から飛び出した俺たちが見たモノは六個のおっぱい。
いや、火を囲んで焼いた魚にかぶりついている麗羽、斗詩、猪々子だった。
今回は流石にパンツを履いていたが、上半身は裸だった。
「「袁紹様!顔良様!文醜様ああああ!!」」
「「「あっ!おいっ!!」」」
兄者と弟者は俺たちが制止する間もなく駆け寄っていった。
「きゃああああああああああああああああああああああっ!!」
斗詩が悲鳴と共に振り回した金光鉄槌に、見事に吹っ飛ばされる兄者と弟者。
二人は川面を川上に向かって飛び石の如くバウンドし、十五回目で大きな飛沫を上げて止まった。
そして、プカプカと水面に漂いながら、川の流れのままに戻ってくる。
それを見ていた残りの特別監視員四人が慌てて救助に向かった。
まさか最初の要救助者が兄者と弟者なろうとはあいつらも予想してなかっただろうな・・・。
「「「あ~、久しぶりだな。麗羽、斗詩、猪々子。」」」
俺たちは三人にそれぞれ自分の上着を貸してあげる。
「ホント、お久しぶりですわ一刀さん。中々成都に戻っていらっしゃらないから、このわたくし自ら出向いて差し上げましたわ。感謝致しなさい。」
「久しぶり、アニキ♪今日は三人とも揃ってんだな♪」
「お、お久しぶりです、ご主人様・・・・・またしても・・・その・・・お見苦しい所をお見せして・・・・・」
三者三様の返事。
なんで再会する度、裸なのかね?この人たち。
「あ、ごめん。ちょっと待ってくれる?・・・明命!こっちは大丈夫だから後続の冥琳に報告頼む!」
どこにいるか判らないので、取り敢えず森の方に向かって叫ぶ。
「了解致しました!では行ってまいります!!」
と、声だけ残してその気配が消えた。
「さてと、三人はまた宝探しの途中に流されて来たの?」
「あれ?なんで宝探ししてたの知ってんだ、アニキ。」
「美羽と七乃から聞いたんだよ。」
「あ、お二人は無事到着できたんですね。心配してたんですよ、良かったぁ♪」
いや斗詩、心配されるのはむしろ君たち・・・・・みんな心配はしてなかったか・・・。
「今回は
「こりないねぇ・・・・・って、おい!祁山って房都のずっと西、定軍山のもっと向こうじゃないか!益州と雍州の境だろ、あそこ!」
一体この大陸の地下ってどうなってるんだ?
「今回はその・・・麗羽様がご主人様たちのためにどうしてもって・・・」
「ちょっと斗詩さん!それは!」
「「「へ?」」」
「アニキ聞いたぜ。ついに皇帝になったんだってな♪」
「麗羽様はそのお祝いとしてご主人様たちに見つけた宝物を差し上げたいって♪」
あの麗羽がそんな事を!?
見ると麗羽は顔を真っ赤にしていた。
「か、勘違いなさらないでくださいます!?わたくしは飽くまでも他の方たちの様に平凡なお祝いの品では、名門袁家の名に傷がつくと思ったまでですわ!!」
俺の貸したフランチェスカの制服の上着だけを着た姿で顔を赤くしながら胸を張る。
「贈り物をしてくれようとしたその気持ちだけでも嬉しいよ、麗羽。」
「い、いえ・・・その・・・と、当然ですわ!このわたくしから贈り物が貰える男など・・・・・(一刀さんたちしか・・・)」
「即位式の時とかも呼べなくてゴメンな・・・急遽決まった上に房都の街も城もまだ工事中の所があってさ。麗羽たちに不自由をさせると思って呼べなかったんだ。」
軍師の子達がやっていた事を言うわけにはいかないし、今後の事を考えれば俺たち三人が麗羽から責められている方が平和だろう。
「そのような事だと思いましたわ。」
うん、麗羽も納得してくれたみたいだ。
「あのう、所でご主人様。今日はこの川で魚捕りでもされるんですか?」
「魚捕り?・・・・・ああ、あの網見たんだ。」
「はい、川を遮るように入ってますよね?私達あの網のおかげで下流まで流されずに済みましたし、魚も捕ることができまして・・・」
「実はこれから泳げない子達に泳ぎを教える所だったんだ。あの網は万が一の時の流され防止用なんだけど、斗詩たちを受け止める事ができたのなら成功だ♪」
思わぬ所で運用試験ができたな。
「お、泳ぎを教えるんですか?」
?何故そこで赤くなるんだ?
「あぁ、そのためにこの辺一帯を立入禁止にしたり、色々準備してあったんだ。」
「へぇ、アニキたちも皇帝になったらやることが派手になったな♪」
「そりゃあみんなの安全を考えれば当然だろ?」
「いやいや、そっちじゃなくて♪」
「は?」
「泳ぐって事は全員裸なんだろ?流石アニキ!」
「「「全員水着を着せるよっ!!」」」
「みずぎってなんだ?」
あ、水着を知らないのか・・・・・それで斗詩も赤くなってたのかっ!!
「あら、本当に麗羽達だわ。」
雪蓮の声に振り返るとみんなが到着した所だった。
「華佗センセーっ!!早くこっちに来て欲しいッス!!この二人心臓がっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・兄者と弟者の事忘れてた。
【赤一刀turn】
華佗、貂蝉、卑弥呼の救護班が早速の仕事をしているのを余処に、俺たちは水泳教室の準備を始めた。
先ずはみんなが着替えるための天幕を張らなければならない。
本当は先行したメンバーでやる予定だったのだが、こんな事態になってしまったので、周囲の警戒の為に連れてきた兵達にやって貰う事になった。
俺たちにとって
「北郷様!天幕の設置、終了しました!」
呉の兵士の一人が報告に来た。
余談だが、今回の警備要員は全員が志願してきた兵士達だ。
あまりにも多勢が志願したので、抽選で決められた。
今回抽選で漏れた者は、次回以降順番で警備要員になることが決定している。
「あぁ、ご苦労さん。それじゃあ引き続き周囲の警戒を頼む。」
「了解しました・・・・・・あの、北郷様。」
「ん?何かあった?」
「いえ・・・・・彼らは一体・・・」
その兵士の視線の先には川原に横たわる兄者と弟者、そして二人を取り囲む男達。
「え~と・・・事故だよ事故。斗詩の金光鉄槌でぶっ飛ばされたんだ。」
「(・・・・・・・・・・・・・あいつらが羨ましいと思ってたけど・・・・・・俺、こっちで良かった・・・・・)」
なんか戻る時、顔が青ざめてたけど風邪でも引いたのかな?夏風邪はタチが悪いから気を付けろよ。
「さてと・・・・・おお~い!天幕の準備出来たぞ~!」
【エクストラturn】
ここで今回の参加者を確認しておこう。
泳ぎを教わるのが桃香、朱里、雛里、月、ねね、桂花、風、稟、美羽、璃々、大喬、そして自称泳げない星。
教える側が雪蓮、蓮華、小蓮、冥琳、祭、思春、明命、亞莎、紫苑、小喬。
そして前述の通り、いつもの救護班に華佗、貂蝉、卑弥呼。
光禄勲の恋と、月の護衛役の華雄。
恋は一刀たちの警護が仕事なので三人ともここに居れば当然ついてくる。
決してねねが駄々をこねた訳ではない。
更に美以、ミケ、トラ、シャム。
南蛮人のこの子達は夏の暑さの中ますます元気だ。
美羽と璃々が泳ぎに行ってしまうのに、残ってお勉強など出来ないだろうと白蓮と華琳が追い出し・・・もとい、送り出したのだ。
では少し時間を戻し、女性陣の様子を見てみよう。
「あら、本当に麗羽達だわ。」
一番乗りをした雪蓮の視線の先に、みんなが麗羽達を見つける。
『(何で三人とも[一刀・一刀さま・ご主人様・御主人様]の服を着てるの!?)』
驚愕のあまり呟く様に声を漏らす半数の者達。
誰々が呟いたかは一刀の呼び方で判断してもらいたい。
「華佗センセーっ!!早くこっちに来て欲しいッス!!この二人心臓がっ!!」
「何っ!!すぐ行くっ!!貂蝉!卑弥呼!早速仕事だっ!!」
「くぅぅ~!事の真相がとっても気になるけど!涙を飲んで華佗ちゃんのお手伝いにいくわー!!」
「ぐぬぬぅ~!ダーリンのお呼びとあっては行かねばならぬ!漢女心が千々に乱れるぞー!!」
貂蝉と卑弥呼は涙を流しながら華佗の後を追っていく。
「何言ってんだあいつら?緑、俺は兵を使って天幕の用意をしてくる。」
「ああ、頼む赤。」
「じゃあ、俺は残りの兵に警備の配置を伝えて来る。」
「了解、紫。さてと、みんな。明命の報告で聞いてると思うけど、麗羽、斗詩、猪々子が発見された。折角だから今日はこのまま水泳教室の間も居てもらって、房都には一緒に向かおうと思う。」
「ちょっと一刀!」
代表して蓮華が緑一刀に詰め寄った。
「ど、どうしたの、蓮華?」
「(なんであの三人が一刀の服を着てるのよ!)」
「え?(あぁ、三人とも流されて来たんだってさ。まだ服が乾いてないみたいだし、裸で居させる訳にもいかないだろう?)」
「(だからってあなたたちの服を着せる事は無いでしょう!あれは天の御遣いの象徴なのよ!)」
「(それなら大丈夫♪あれ、複製品だから。)」
全然判っていない緑一刀だった。
確かに本物のフランチェスカの制服は第一礼装扱いで特別な保管庫に仕舞われている。
今日一刀たちが着てきた物は、麻で出来た夏用で意外と風通しが良かったりする。
他にも最高級の絹と錦糸銀糸を使った物もあり、むしろレプリカの方が高価で出来が良いのだ。
さて、自分の言いたい事を理解してないと悟った蓮華は作戦を変える事にした。
「つまり一刀たちは、あの三人は着る服が無いから貸していると言うのね。」
蓮華が麗羽達を見る。
麗羽は大きな石に腰掛け上の空。
猪々子は余った袖をバタバタ振って遊んでいて、唯一斗詩だけは蓮華たちの心境に気付いてオロオロしていた。
「そ、そうだけど・・・・・」
「では水着の予備を持って来ているから、麗羽達にはそれを着てもらいましょう。」
緑一刀にとっては棚から牡丹餅。
蓮華からまさかのご褒美発言が飛び出し、緑一刀は我が耳を疑った。
「うん、そうしよう。」
疑いはしたが、口は反射的に即答していた。
「おお~い!天幕の準備出来たぞ~!」
赤一人の声を聞き蓮華は走って麗羽達の所に向かう。
「麗羽、斗詩、猪々子。水着に着替えましょう!」
麗羽達の返事を待たず、蓮華と他十人弱が風のように天幕へと連れ去ってしまった。
「・・・・・・・・う~ん。みんなそんなに暑かったのかな?」
「おーい、緑。蓮華たちどうしたんだ?あんなに慌てて。」
「いや、それが・・・」
ここで紫一刀も戻ってきた。
「緑、赤。今見てたけど、みんなが麗羽達を天幕に連れてったけど。もしかして水着に着替えさせるのか?」
「あぁ、蓮華が言い出してさ。」
「何かスゴイ急いでたけど、あれかな?あの上着風通しはいいけど、炎天下で着るには暑いから早く着替えさせてあげようって事なのか?」
「「ああ、なるほど!」」
「・・・・・なにがなるほどだ。この唐変木共が・・・」
冥琳他数人が呆れた顔で一刀たちの傍に来ていた。
「蓮華様達は麗羽さん達に嫉妬してたんですよ~。」
穏がジト目で真実を告げた。
「「「えぇ!?そうなの!?」」」
「全く一刀さんたちはその辺りの気配りが欠けていますね。」
稟がため息混じりに呟く。
「いかにも主らしいとは思いますがな♪」
星は相変わらずこんな状況を楽しんでいる様だ。
「お兄さんたちが計算でやっているなら策士と呼んであげますが、天然ですからねぇ~♪」
風もどこか楽しげである。
「とにかく、お前たちはもう少し自分の行動が周りに与える影響と言う物を考えろ。」
「「「・・・・・はい・・・鋭意努力します・・・・・」」」
【紫一刀turn】
色々あったがようやく水泳教室開始だ。
川原に整列する水着姿の面々。
今回は遊びではない!
その為『生徒は全員』スク水!!
一部生徒じゃない子も着ているが。
「あの、ご主人様・・・・・この水着だとちょっと胸が苦しいかなぁ・・・」
ライムグリーンのスク水を着た桃香が胸元を気にしている。
「我慢するんだ桃香!そうやって押さえ込んで水の抵抗を減らし、少しでも泳ぎやすい様にしているんだ!!」
「そ、そうなんだ!そこまで考えてるなんて、わたし頑張るよ!!」
桃香の襟元からは見事な谷間が・・・うむ、絶景である♪
色の方はスク水としては邪道かと思うが、紺では折角の凹凸が解りづらくなる。
かと言って白スクでは兄弟達が耐えられないと思い、このチョイスとなった。
白スクは大喬と小喬に、月には赤スク、朱里は紺。
これに詠が紺スクで参加していれば前の外史の再現となるのだが・・・贅沢は言うまい!
代わりと言っては失礼だが紺スクは朱里以外、雛里とねねと亞莎が着ている。
桂花、風、稟の三人は魏の色である紫。
美羽は黄色。璃々ちゃんがパステルピンクでシャオは薄桃色。
そして白スクがもう一人・・・・・星だ。
星のイメージとして白は外せないが、やはりこの体型に白スクは破壊力がでかい!
だが、遊びの時に着る星の白水着はこれの数十倍の破壊力だ。
あの格好では兄弟達が鼻血で失血死しかねないので、これはまだ良しとしておこう。
「それでは華佗より水に入る前の注意事項の説明がある!華佗、頼む!」
「よし!みんな聞いてくれ!冷たい水に急に入ると心臓麻痺を起こす危険性が有る!!」
華佗が説明している間に残りのメンバーの水着を紹介しておこう。
教師役である孫呉の面々はシャオと亞莎以外全員赤い競泳用水着だ。
ただ巨乳組が着ているのを見ると、これを競泳用と呼んでいいのか甚だ疑問が残る。
紫苑も同じ状態。色は淡い赤紫。
華雄は淡い青紫の競泳用水着だが・・・・・パレオを巻いているのでなんだかいつもの格好と変わらないぞ!むしろ露出が減ってない?
飛び入りの麗羽、斗詩、猪々子だが、スク水と競泳用水着は個人個人のサイズに合わせた特注品なので予備が無く、麗羽と斗詩がビキニ、猪々子がセパレーツ、色は全員黄色だ。
そして最後に恋、美以、ミケ、トラ、シャムだが・・・・・この子達は放っておくと裸で泳ぎだしそうだな・・・・・ええと、ワンピース系は着るのが面倒臭いと言われたから全員セパレーツを着せてある。
恋と美以が白黒のツートン、ミケ、トラ、シャムには璃々ちゃんと同じパステルピンク。
これで全員だな。
男達の水着は紹介しても面白く無いだろうし、漢女に至っては論外だろう。
さて、そろそろ華佗の説明も終わりそうだ。
いよいよ水に入っての練習開始だ!!
【緑一刀turn】
「月殿は水に浮くことはできますか?」
「はい、取り敢えずそれだけはお風呂で練習を・・・・・私、泳ぎそのものをしたことがなくて・・・」
月の先生には明命がついてくれた。
だけどお風呂で練習って・・・・・いかん想像しちゃった・・・。
「そうですか♪浮くことが出来るなら泳ぎは直ぐに覚えられますよ♪でも、泳いだ事がないなんて私達では考えられませんです。お国が違うと色々違うものですね♪」
「いえ・・・その、詠ちゃんは泳げますし・・・私の場合、両親からはしたないと言われて・・・」
うわ!理由がはしたないからって、これが『箱入りのお嬢様』ってやつなのか?
でも明命なら月を任せて安心だな。優しく教えてくれるだろう。
「貴様!最近陛下たちと付きっきりではないか!よもやお嬢様への忠誠を忘れているのではあるまいなっ!!」
「け、決してそのような事は!」
「華雄!兄ぃはお前と同じぐらい月に忠誠を尽くしているぞっ!!」
川岸から聞こえた華雄の声に、反射的に言葉が出た。
「陛下?」
「北郷様!」
「そこの兄ぃは月に何かあれば、いや!危機が迫るのを察知すれば命懸けで阻止する男だっ!!だからこそ俺はその忠誠心に敬意を以て兄ぃと呼んでいるっ!!」
ここでは言えないが同好の士でもあるからだけど。
「・・・・・そこまで我らの兵のことを気にかけてくれているとは・・・・・スマン。お前の忠誠心を疑った事・・・詫びのしようも無い・・・」
「華雄様!何をおっしゃいますか!同じ忠誠心を持つ者として、華雄様のお気持ち、良く判りますっ!!お顔をお上げください!」
華雄は真っ直ぐ過ぎるヤツだからな・・・・・まあ、それが判ったのは房都で会ってからだけど。
その真っ直ぐな性格の所為か、俺たちのことを普段から『陛下』と呼ぶのは華雄だけだよ。
「月さん!水練のお手伝いをしますわ♪」
って、今度は川の方から麗羽か!
「(おい、陛下。袁紹にバレるのはマズイという話だったろう!どうするんだ!?)」
「(いや、前に白蓮が董卓と同姓同名の他人って誤魔化してるから大丈夫のはずだ。)」
「(それを信じたのか?こいつは?)」
華雄の気持ちは良く分かるぞ。
「よいですか、月さん!皇帝の侍女とは、皇帝を守る最後の盾なのですわ!たとえ辛くても鍛錬に励みなさい!!」
「は、はい!麗羽さん!!」
なんか熱血してるけど・・・・・。
「おい!お嬢様にそのような事を!!」
「しょ、将軍!抑えて!」
麗羽の物言いに華雄が我慢できるはず無いよなぁ。
「なんですの?わたくしは月さんにお話していますのよ。新人さんは黙っていらっしゃい。」
「し、新人だと!?私は将の中では詠に次ぐ古参ムガッ!!」
「(シー!シーッ!!それ以上喋るな!!)」
慌てて華雄の口を手で塞ぐ。
「古参?この方成都でお見かけしたことありませんでしたわよ。」
「へうぅ・・・」
「ずっと怪我で療養してたんだよ。元々月の警護をしていた人でさ・・・」
怪我と療養は嘘じゃないからな、話に真実味が出るはずだ。
「それでは月さんを守った名誉の負傷で・・・・・素晴らしいですわ♪あなたお名前は?」
「華雄・・・・・」
うわあああああああああ!!口塞ぐの間に合わねえぇ!!
「華雄・・・とても良い名ですわね。」
「は?麗羽・・・・・華雄って名前に覚えはない?」
俺の問いかけに麗羽は数秒記憶を探ってみせる。
「・・・・・・初めて聞く名前ですわね。」
麗羽スペックは健在のようだ。
「それより月さん、今のあなたは一刀さんたちを守る立場にいるのです。この華雄さんやわたくしが倒れた後はあなたが戦うのですわ!頑張りなさい!!」
「え?麗羽さん・・・・・今・・・」
月も聞き逃さなかったか。
麗羽の中で何かが変化したのだろうか?
「麗羽さまー!そんなところで邪魔しちゃダメですよー!」
「邪魔などしていません!猪々子さん、わたくしは月さんを励まして・・・」
「はいはい、麗羽さま。あちらで休みましょう♪」
「ちょっと、斗詩さんまで!」
結局麗羽は斗詩に腕を引かれて行ってしまった。
「ゴメンな、アニキ。麗羽さまをできるだけ月には近づけないように気をつけるから。」
猪々子が片手で拝むような仕草で謝りながら麗羽の後を追っていった。
「なんとも賑やかな連中だ。」
呆れた口調の華雄の声、だけど俺の見たその顔は微笑んでいた。
【赤一人turn】
俺はその光景に妙なデジャヴ・・・・・いや、そこまでではないか。
でも、似たような光景を見た覚えが・・・・・・・。
「そうか!テレビで見たムツゴロウさんだっ!!」
「「?」」
俺の目の前では雪蓮と美羽が首を傾げていた。
「ちょっと一刀。訳わかんない茶々を入れないでくれる?ほら、美羽♪私のこと雪蓮って真名で呼んで頂戴♪」
雪蓮に迫られ涙目になった美羽は、俺と雪蓮の顔を交互に見ている。
「ぬ、ぬしさまぁ~・・・・・」
七乃が居ない今、美羽が頼るのは俺。
でも俺は心を鬼にして美羽の苦手意識克服をさせるつもりだ。
「美羽、大丈夫だから呼んでごらん。」
雪蓮に仲直りの手伝いをする約束もしてあったしな。
いい加減七乃の美羽イヂリのネタにしておくのもどうかと思うし。
俺の後押しを受け、美羽は小さい体をさらに小さくして、上目遣いで雪蓮を見て僅かに口を開く。
「しぇ・・・・・」
雪蓮が目線を合わせる様に前のめりになって、ワクワクと美羽を見つめていた。
「しぇれん・・・・・」
遂に美羽の口からその名が紡ぎ出された。
「やったああぁ♪やっと呼んでもらえたわぁ♪ねえ!一刀、聞いた!?聞いたわよね♪美羽が私の真名を呼んでくれたのよ♫」
いやもう、すごいハシャギようだな。
虎牢関攻略のころを思い出すと、今のこの雪蓮は想像も付かないよ。
「さあ美羽♪雪蓮お姉さんが泳ぎを教えてあげるわよ♪ゆっくり水に入りましょ♪」
美羽の手を引いて、水の冷たさに慣れさせながら後ろに下がるように川に入っていく。
「へぇ、結構気を配るなぁ。しかも慣れてるっぽい。」
「当然よぉ。蓮華とシャオに泳ぎ教えたの私なのよ!」
ほほう、お姉ちゃんしてるなぁ。
雪蓮の事だからいきなり水に放り込んだり・・・・・・後で二人に確認してみよう。
蓮華にはそうやって教えた可能性の方が高い気がする。
「ちょっと雪蓮さん!美羽さんにはわたくしが教えますわ!」
「「麗羽!?」」
「ぴゃ!麗羽姉さま!?」
いつの間に!?
川原に腕組みをして仁王立ちしている麗羽。
その後ろには手を合わせて頭を下げている斗詩と猪々子。
・・・・・・・・・・なるほど、どこからか連れ出したけど連れて来れる宛てがここしか無かったって所か。
「袁家の姫である美羽さんに泳ぎをお教えるのは袁家の頭首であるわたくしの役目でしょう?」
言いながらザブザブと水の中に入って来る。
「別に誰が教えたっていいじゃない!」
雪蓮はまるで自分の胸の下に隠すように美羽を抱きしめた。
「誰でもいいなら雪蓮さんでなくてもよろしいのではありませんの!」
麗羽も美羽に抱きつきおっぱいを押し付ける。
「むぎゅぅ・・・」
為すがままに四つの魅惑の果実にモミクチャにされ、美羽がとても苦しそうだ。
美羽にとっては前門の虎、後門の狼といった所か。
出来る事なら代わってあげたい。いや、是非とも代わって欲しい!
だけどそれでは何の解決にもならないのだ!
「私は美羽と仲良くなりたいのよ!今日は又と無い機会なのよ!!」
「美羽さんと仲良く?・・・・・・それは一刀さんたちの為ですの?」
「へ?・・・・・それはまあ、結果的にはそうなるわね。一刀たちが目指す理想の平和な国ってそういう物でしょ。」
「・・・一刀さんたちの目指す理想・・・・・・」
あの麗羽が考えているっ!?
初めて見た気がするぞ!!
「私はそれ以前に美羽と仲良くなりたいの!仲良くなって色々な事を教えてあげたいのよ!美羽だって一刀の役に立ちたいでしょ?」
おっぱい攻めからようやく開放して美羽の顔を覗き込んだ。
「ぷはぁ・・・・・ぬしさまの役に・・・・・妾もなれるのか?」
「えぇ♪私だけじゃなく、みんなが教えてくれるわよ♪」
美羽がとても期待に満ちた目を俺に向けてきた・・・・・今でも俺たちにとって癒しの存在となっているのだが、美羽が考えているのはそういうのでは無いのだろう。
「そうですわね、雪蓮さんのお気持ちは理解しましたわ。」
「麗羽・・・」
「麗羽姉さま・・・」
「では、わたくしと二人で美羽さんに教えましょう♪」
雪蓮は目が点に、美羽は涙目になってアウアウしだした。
「わたくしは雪蓮さんとも仲良くなりたいと思いますわ。先程雪蓮さんがおっしゃった通り今日は良い機会ではありませんかしら♪」
確かに今迄はこの二人、そんなに接点が無かったよな。
元々間に美羽を挟んでの関係だからこれはいい機会ではあるな。
「・・・・・ぷっ・・・あはははは♪あなたの言う通りだわ、麗羽♪じゃあ二人で泳ぎを教えてあげましょう♪」
なんか予想以上にいい方向に向かったぞ。
俺は胸を撫で下ろしている斗詩と猪々子の所に歩み寄る。
「いやあどうなる事かと思ったけど結果よければ全て良しって感じだな、アニキ♪」
「うん、そうなんだけど・・・・・麗羽、なんか変わったんじゃないか?」
「・・・・・・・ご主人様がそれを言うんですかぁ?」
あれ?斗詩に呆れられた!?
「それはアニキたちが考えることだよな。三人で考えれば答えが出るんじゃないか?」
猪々子まで?
「・・・そうか?・・・後で話し合ってみるよ・・・・・所でさ、麗羽って泳げるの?」
「え?えぇ・・・かなり達者になられましたよ♪」
「なられた?」
「宝探しで散々流されまくってる内に覚えたみたいでさ♪」
・・・・・・・・・・・なるほどね。
「そういうことなら大丈夫だと思うけど、一応何かあった時の為に兵士を二人呼んでくるよ。」
「さんきゅー、アニキ♪」
「ありがとうございます、ご主人様♪」
サンキューね。猪々子はこの手の言葉は覚えるの早いよな。
さて、兄者と弟者もそろそろ復活した頃だろう。
【赤一刀turn】
兄者と弟者を麗羽達の所に向かわせた後、俺は蓮華と桃香の様子を見に行く事にした。
さてさて王様二人はどんな感じかな?
お、呉の尻好きもしっかり警護してるな。
腰まで水に浸かり付かず離れずの位置、深みを背に直立不動で二人を守っている。
で、その二人は・・・・・。
「ほら桃香!お尻が浮いてる!」
「あーん!蓮華さん!そんなにお尻をバシバシ叩かないでくださいよぉ!」
「叩かれたくなかったら背筋を伸ばす!ほら!膝も曲がってるわよ。ちゃんと支えてあげるから!」
「うひゃあ!そんなおっぱい掴まないでぇ!!」
「きゃあ!ちょっと暴れないで・・・・・・・桃香・・・あなたまた大きくなったんじゃないの?」
「そ、それを言ったら蓮華さんのお尻だってぇ!」
「わ、私のお尻は関係ないでしょ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・こ、これは・・・・・尻好きのやつ大丈夫か?
水練に熱中している二人は俺に気付いていない様だ。
俺はその隙に尻好きに近付いて様子を確かめる。
「おい、大丈夫か?」
「(俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ
俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ
俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ俺はカメラ
俺はカメラ俺はカメラ俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」
瞬きもせずブツブツと繰り返している・・・・・・見上げた奴だ。
普段世話になっている変態仲間に恩を返せてはいるようだな。
こっちは大丈夫みたいだから・・・さて、二人に声を掛けておくか。
「お~い!蓮華!桃香!調子はどうだ?」
「え?一刀?」
「あ、赤ご主人様♪うん、頑張ってるよ♪」
水練を中断して立ち上がる二人。
深さは腰より少し下といったところか?・・・・・・・うお!二人の胸の谷間に水が溜まって・・・・・これは貧乳党には見せられない光景だな・・・・・。
「そ、その深さじゃ支えづらいんじゃないか、蓮華?」
「えぇ・・・でも余り深い所では桃香が不安がるから・・・・・」
そうか、確かに泳げないと深い所は怖いよな。
「桃香、俺も見てて何かあれば直ぐ助けるから、もう少しだけ深い所に行かないか?」
「う、うん・・・・・ご主人様が見ててくれるなら・・・」
「一刀・・・見ていてくれるの?」
「ああ、実は少し前から見てたんだけど、二人とも頑張ってたから応援したくなってさ。」
「そ、そう・・・・・桃香!早く泳げるようになって一刀の期待に応えましょう♪」
「はい!蓮華さん♪よろしくお願いします!!」
そう言って二人は張り切って水練を再会し始めた。
「ほら!またお尻が浮いてるわよ!!」
パシン!
「はい!!蓮華さん!!」
パシン!
「今は先生と呼びなさい!」
「はい!先生!!」
ええと・・・・・二人は熱血してるんだけど・・・・・なんか俺、水から上がれなくなりそうなんですけど・・・・・。
【緑一刀turn】
月の事は明命達に任せて俺は思春が中心にになって教えているグループを見に来た。
「よし!全員浮くことが出来る様になったな!ではこれからバタ足の練習に入る!今から伝える組み合わせで手を引いて貰う様に!」
さすが思春、大した鬼教官っぷりだ。
「大喬は小喬に!ねねは恋に!雛里は小蓮様に!朱里は穏に!」
ぶはっ!!
この状況で朱里と穏を組ませるのか!?
普段ならまだしも、水着の状態で!
「では始めっ!!」
しかも手を引くって事は朱里の目の前には・・・・・。
「あのぅ~、朱里ちゃん。そんなにおっぱいを見つめられると恥ずかしいですよ~♪」
いや、穏!それは見つめてるんじゃない!睨んでるんだっ!!
これではさすがに朱里への嫌がらせみたいだ。
朱里の目の前で後ろに向かって水中を歩く穏のおっぱいは・・・歩くたびに・・・・・ブルンブルンと・・・・・・・・・・・・・・・朱里、俺と代わってくれないか?
「よし!止まれ!朱里!こっちへ来い!」
ん?思春が朱里と話し始めたな。
「(朱里、悔しいか?)」
「(はわわ!?)」
「(お前の気持ち、私にはよく分かるぞ!)」
「(し、思春さん!)」
「(穏はあんな胸のクセして泳ぎが出来る。お前はその胸の上、泳ぎが出来ない。)」
「(う・・・)」
「(だが私を見ろ!!私は呉で一番の泳ぎ手だと自負している!あんな物は泳ぎの邪魔にしかならん!お前の身体は素早く泳ぐには適したものなのだ!お前の悔しさをこの水練にぶつけろ!泳ぎで穏を負かしてやれ!!)」
「はい!思春さん!!」
「よし!その意気だ!!」
思春と話した後、朱里のやる気が上がった!
一体どんな話をしたんだ?
「小蓮様。穏と交代して朱里の相手をお願い致します。」
「ん?分かったわ。頑張ろうね、朱里♪」
「はい、小蓮ちゃんお願いします!」
ホント、朱里が燃えている。
「では穏、次は雛里を頼むぞ。」
「は~い♪お任せくださ~い♪」
雛里のやる気も上がるのかな?
気になるからもう少し見てようかな・・・・・。
「「一刀さま♪」」
「わあっ・・・と、小喬、大喬・・・・・うん、二人ともその白スク似合ってて可愛いよ♪」
「えへへ♪ありがとうございます♪」
「あ、ありがとうございます・・・・・♪」
これはマジでヤバいレベルに・・・・・。
「一刀さまぁ~♪我慢が出来無くなったらいつでも言ってくださいね♥」
「お、おい小喬・・・・・」
上目遣いで身体をすり寄せて・・・肌の温りが・・・・・。
「北郷っ!!キサマ邪魔をするなら叩き斬るぞっ!!」
「さあ大喬水練がんばって!小喬も介助がんばれよ!」
俺は一瞬で小喬から離れる。
水の中にも拘らずこんな挙動ができるなんて我ながら驚いた。
命の危機に直面して普段以上の力が出るなんて戦の頃以来だ・・・。
「ぶ~・・・しょうがないなぁ。一刀さま、あたしとお姉ちゃんの事、見ててくださいね♪」
これ以上口を開くと思春が飛んできそうだったので、俺は笑顔で手を振るだけで二人を送り出した。
「ふ~、どっと疲れたな。」
俺は川の中に有った大きな岩に身を寄せようと振り返ると。
「え?インテリ?お前いつからそこに・・・」
大きな岩を背に俺たちが『インテリ』と仇名を付けた蜀の兵士が立っていた。
別に隠れている訳でもなく、みんなから離れている訳でもない。
これはまさか『石化け』か!?
親父の持っていた釣りキチ三平に載っていた渓流釣りの奥技!
意識を岩と同化して気配を絶ち、警戒心の強い渓流魚をも欺く。
会議の時「自分をカメラだと思え」と言ったのはこれの応用だったのだが、まさかこいつがここまでこの技を会得しようとは・・・・・恐るべき変態力!
俺も負けてはいられん!
インテリの横で俺も『石化け』ならぬ『カメラ化け』を開始した。
【紫一刀turn】
「ちょっと!変なトコ触ったら殺すわよ!」
「はいはい。」
「て、手を離したら殺すわよ!」
「はいはい。」
「そ、それ以上、ち、近づくんじゃないわよ!」
「はいはい。」
「わぷっ!ちゃ、ちゃんと支えなさいよ!」
「どないせぇっちゅうんじゃ!」
桂花の我侭に何とか答えつつ俺は泳ぎを教える。
「うぅ・・・許都から戻って早々、何でこんな目に・・・・・」
「そりゃこっちのセリフだ!大体俺を指名したのは桂花じゃないか!」
驚いた事にそうなのだ。
「しょうがないじゃない!消去法で考えたらあんたしか残らなかったのよ!」
「消去法?」
バタ足をする桂花の手を引きながら会話を続ける。
「教える役はこんなに居るのに。みんな泳ぎも教えるのも俺より上手いぞ。」
「巨乳人に教わるなんてまっぴらよ!」
いきなり候補が少なくなったな。
「・・・・・はあ、そうですか。明命はどうだ?貧乳党の仲間だろう?」
「明命は月の相手って決まっていたのよ。」
そういえば詠が根回ししてたっけ。
「じゃあ亞莎は?」
亞莎はすぐ近くで稟に教えている。
「軍師に教わるなんて私の軍師としての矜持が許さないのよ。」
「・・・・・それじゃあシャオは?」
「自分よりずっと年下に教わるなんてもっと嫌よ!」
これで小喬もきえたか。
「・・・残るは思春・・・」
「あんた私を殺す気!?あの脳筋に任せるなんて春蘭に頼むのと同義よ!!」
「流石にそこまでじゃ無いと思うけど・・・・・向こうで朱里たちに上手く教えてるぞ。」
「今の内はでしょ。その内頭に血が上って暴走するわよ。」
う~ん、否定しきれないなぁ。
「それじゃあ桂花は誰だったら・・・・・って聞くまでもなく華琳か。」
「当然でしょ!華琳さまにだったらどんな厳しい水練でも・・・・・あぁ、華琳さま・・・そんな・・・水の中で・・・」
「どんな妄想してるか想像がつくけど、こんな時にハァハァしてると溺れるぞ。」
目の前でそんな顔されたら俺まで変な気分になるだろうが!
「はっ!と、兎に角!現状ではあんたしか居なかったのよ!今日中に泳げる様になって華琳さまに褒めていただくんだからしっかり教えなさいよ!」
「はいはい。しっかり手を掴んで、近付き過ぎず、身体に触れずに支えるよ。」
どう考えても矛盾しまくりの要求だよな。
「わ、わかればいいのよきゃあっ!!」
「どうした桂花?」
「言ったそばからどこ触ってるのよ!変態!!」
「・・・・・俺の両手は桂花のてをしっかり握ってるだろうが。どうやって触るんだよ?」
「そんな・・・でも確かに・・・・・まさかあんた・・・・」
そう言って水中の俺の海パンに視線を落とす。
「そんな妖怪じみた真似できるか!大方魚でもぶつかったんだろう?」
「さ、魚は警戒心が強いのよ!こんな傍まで寄ってくるはずひゃあ!」
「え?また?・・・・・そういえば俺の国には河童っていう妖怪の話があってさ。」
「か、かっぱ?」
「水の中に引きずり込んで尻子玉を抜くんだ。」
「天の国は妖怪も変態なのね!」
地方によっては水神でもあるんだけど・・・・・。
「きゃあ!や、やだ・・・・・ちょっとなんなの?」
「河童はさて置き、魚じゃないとしたら・・・・・蛇?」
「いやあああああああぁぁぁ!!な、な、な。何とかしなさい!あんた私の代わりに噛まれて死んでっ!!」
桂花の暴言はいつもの事だから気にはしないが、よっぽど怖いのか言葉とは裏腹に俺にしがみ付いてピッタリと密着していた。
足まで絡みつかせてくるのでこっちの理性が飛びそうになるが、確かに水中に何かいる。
しかもでかいぞ!
警戒する俺の目の前でその水中の影は水面に躍り出た!
「きゃああああああああああああっ!!」
「うおっ!これはっ!!」
河童!?海坊主!?全身を金色の毛のような物で覆われた怪物が!!
「あれぇ~?何かにぶつかると思ったらお兄さんと桂花ちゃんではないですかぁ。」
「・・・・・・・・・その声は風!?」
「はい~♪風ですよ~♪」
かき分けた金色の下から出てきたのは風の顔だった。
毛のような物でじゃなくて、本当に髪の毛だったのか。
「あれ~?これはこれは・・・・・・むふふ♪なんか風はお邪魔虫だったみたいですね~♪」
「ち、違うわよ!これはあんたに驚いて・・・」
顔を真っ赤にして抗議している。
「ではなんで未だにお兄さんから離れないんですか~?」
「こ、腰が抜けて・・・身体が動かないのよ・・・・・」
ふむ、折角だからもう少し堪能させてもらおうかな。
「悲鳴を聞いて駆けつけてみれば・・・紫の主に桂花・・・・・ほほう♪水練に託つけて何をしておいでなのか・・・おっと、風もここに居たのか。姿が見えなくなったから流されたのかと心配したぞ。」
星もやってきてくれたと思ったら同じような事を・・・。
「泳げるようになったので面白くてつい~♪」
風の泳げる発言に桂花が驚愕する。
「風!あんた泳げるようになったの?」
「はい~♪星ちゃんに教えて貰いました~♪」
「・・・・・・・星。確か泳げないって話だったよな。」
嘘だとは思ってたけどさ。
「亞莎が泳いでいるのを見て覚えましてな。うむ、我ながら驚いております。」
そう来たか!
首だけ回して確認すると亞莎は稟に泳ぎを教えていた。
「・・・・・・まあいいや。星、風、桂花を引き剥がすの手伝ってくれ。このままじゃ俺も動けん。」
下手に動いて倒れたら二人揃って溺れてしまう。
「おや?何かの最中ではなかったのですか?」
「何おぞましい事言ってるのよっ!!」
「星、解ってて言ってるだろ。頼むって、支えてるのも結構きついんだ。」
「あっはっは♪仕方ありませんな。では風、手伝ってくれ。」
「了解なので~す。」
ふぅ、これで溺れずに済んだか。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・ちょっと・・・・・・変なトコ触らないでよ・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・うん?・・・・・・・・・・・・・・これは・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・むむむ。」
「・・・・・・・・・・ねぇ、まだ?」
「それが主、桂花の体が固まって動かんのです。」
「まるで死後硬直みたいですね~♪」
「死んでないわよっ!!」
さっきから怒鳴ったりしてるから首から上は動くのか。
「恐らく冷たい水に浸かっているので余計に動かないのでしょうな。」
「下手に動かせば桂花ちゃんが関節を痛めてしまいますし~。お兄さんもそれは不本意でしょう?」
「不本意なのは私よ!いつまでこいつとくっついていなきゃいけないのよ・・・・・」
「ここは本職に任せるのが一番ですな。」
「「本職ってまさか・・・・・」」
「華佗のお兄さ~ん!貂蝉ちゃ~ん!卑弥呼ちゃ~ん!要救助者発生なのですよ~♪」
やっぱりかああああああああああああっ!!
「要救助者はそこかあああああああああっ!!」
「ふんぬううううううううううん!!」
「どっせえええええええええええい!!」
な、なんだ!?三人が水面をサーフィンの様に立ったまま滑ってやって来るぞ!?
「患者は・・・荀彧か!」
三人は俺達の手前で僅かに波を立てただけで水中に入った。
「あ、あぁ・・・見ただけで分かるなんて、さすが華佗だ・・・・・けど、今どうやって水面を滑ってきたんだ?」
俺としては俺と桂花の現状よりそっちが気に掛かる。
「ん?あぁ、水面に浮かぶ木の葉に気を送って立ち、後方に水を打ち出すんだ。貂蝉と卑弥呼に教わった技でな、今回のような水中救助に役立つだろう?そんなことより荀彧はどんな症状だ!?」
仙人が水面の小枝の上に立つっていうアレの応用か?それともジョジョ?
「ええと・・・桂花が驚いた拍子に腰を抜かして身体が硬直しちゃったんだ。」
「あらあら大変ねぇ。それで紫のご主人様にしがみついたままだなんて。」
「出来る事なら代わってやりたい所だな。」
「私も是非そうしたいわ。」
憮然と答える桂花。
貂蝉と卑弥呼が抱きついて離れない状態なんて、絶対に味わいたく無いぞ!!
「そういう事なら先ずは水から上がって身体を温めるべきだな。貂蝉、卑弥呼、頼む!」
「合点承知!」
「心得た!」
「え?」
「な、なにを・・・」
何の説明も無く、俺と桂花は貂蝉と卑弥呼に水中から引っこ抜かれるように持ち上げられ、そのまま肩に担がれた。
「ひぃっ!」
桂花が短い悲鳴を上げるが、今度は顔も硬直したのか半泣きなのにそれ以上は悲鳴すら出てこない。
「「えっほ!えっほ!えっほ!」」
俺と桂花はまるで丸太みたいに扱われて川原に運ばれる。
そして焚き火にあたって身体を温めてから華佗の鍼で桂花の硬直は解かれた。
その間にこちらの様子に気付いた何人かがやって来て、桂花は俺に抱きついた姿を晒すという羞恥プレイをする事となってしまった。
桃香などは指を咥えてジト目で桂花を見ていた。
「桂花ちゃん、羨ましいなぁ・・・・・」
「私は全然嬉しくないわよっ!!」
【冥琳turn】
「めいりんはちゅりがトクイだって聞いたじょ。ホントにゃ?」
美以が期待に満ちた目で私を見上げていた。
「ちゅり?・・・・・それはどんな事をする遊びだ?」
多分『釣り』の事だとは推測していたが一応確認する。
「遊びじゃないにゃ!ほそい棒と糸でおさかにゃをとる方法にゃ!」
憤慨しながら言う所をみると、美以たち南蛮人にとって食料調達は決して遊びでは無いという事なのだろう。
「成程、釣りか。それは誰から聞いたの?」
膝を折って目線を美以に合わせてあげる。
「アカ兄としぇれんから聞いたのにゃ。まえにみうとやったけど全然とれなかったのにゃ・・・・・」
赤北郷に雪蓮か。出来れば二人の顔を立ててやりたいところだが。
「確かに釣りは得意だけど、今日は無理だぞ。」
「なんでにゃ!?」
「魚は音に敏感だからこれだけ皆が泳ぎの練習をしていては逃げるか隠れるかしているからな。美以も狩りをする時静かに近づかないと逃げられてしまうだろう?」
「おぉ!それでこの前はちゅれにゃかったのにゃ!」
「明日は準備をして釣りを教えてやろう。」
赤北郷の話しでは餌も付けていなかったらしいしな。
「にゃにゃにゃ!?ホントにゃ!?」
ふふ、くるくるとよく変わる表情だ♪
「ああ・・・・・そうだ、今日は南蛮の漁を見せて貰えないかな?」
ふと思いついたので言ってみる。
「にゃ?でもおさかにゃ隠れちゃってるじょ?」
「少し移動するが、そこなら魚は居るはずだ。釣り上げるのは無理だが捕まえる事は出来るだろう。」
「にゃー!狩りにゃーー!!」
ぷ、まるで小さい頃の雪蓮を見ているみたいだわ♪
「のう、冥琳。そこには本当に魚がおるのか?」
「えぇ、まず大丈夫でしょう。祭殿はそんなに魚が食べたいのですかな?」
「馬鹿者、儂はあの期待しているチビどもを心配しておるんじゃ。これで魚が居なければ悲しむじゃろ。」
私と祭殿、そして紫苑殿と璃々、美以たち南蛮の四人、あと北郷がつけてくれた曹魏の兵一人は川原を下流に向かって歩いていた。
「おやおや。祭殿はいつからそんなに子供好きになられたのです?」
「儂は元々子供嫌いではないわ!懐いてくれば当然可愛いし、桔梗の言うた通り南蛮のチビどもは多少乱暴に扱うくらいが丁度良いので儂には相手がしやすい♪先程も川にポンポン放り込んでやったらえらく喜んでの♪こっちも良い鍛錬になったわ♪」
余程気分が良いのか、酒気を帯びてないのに饒舌ですな。
「そう言う冥琳さんも美以ちゃんの相手をしている時、素敵な笑顔でしたよ♪きっと良い母になりますね♪」
「な、紫苑殿・・・・・それは・・・」
そういう褒められ方をされた事がないので戸惑ってしまう。
「あっはっはっは♪流石は紫苑じゃ♪前大都督を窮させるとはな♪」
「いや、紫苑殿。ありがとうございます。ですが私は病症の身です。」
「あ、あら・・・・・ごめんなさいわたくし・・・」
「ですが華佗のお蔭で治る見込みが有りますので、いつか身ごもる子供のためにも先ずは身体を癒しますよ。紫苑殿の言葉を励みに♪」
「・・・はい♪早く快癒する事を祈っておりますね♪」
ふう、上手く返せたかな?
しかし自分の子供か・・・雪蓮も待たせているし早く身体を治したいものだ。
「にゃ~、めいりん。まだなのにゃ?」
「おぉ、すまん。大人だけで話し込んでしまったな。・・・うむ、網はあそこか。みんな川を覗いてみろ。」
美以たちは私の言葉に従って川を見る。
「うわぁ♪おさかなさんいっぱいだぁ♪」
「狩りほうだいにゃー♪」
「おさかな♪おさかな♪」
「かるじょー♪」
「おさかなにゃん♪」
璃々も一緒になって元気良く水に入っていく。
「おい、曹魏兵。」
「サー・イエス・サー!!」
「・・・・・おぬし沙和の所の兵か・・・まあよい、そんなに緊張するでない。おぬし璃々を手伝ってやれ。」
ほう、確かに璃々には一人では無理だ。祭殿も良く気が回られる♪
「じ、自分がッスか!?いいんスか?お手伝いしちゃって・・・・・・」
「いつも陛下たちと一緒にいるおぬしだ。儂等も信頼しておるぞ。それに素手で魚を捕らえるのは中々の鍛錬じゃ♪気張って見せい♪」
「サー・気張ります・サー!!」
曹魏兵も川に入って行った。
「だけど冥琳さん。よく魚がこんなに集まっているのが分かりましたね。」
「うむ、どう見ても百は超えているじゃろう。」
「流石に私もここまで多いとは思っていませんでしたが、根拠は在りましたよ。」
「先ずはあの網じゃな。」
「祭殿にはお見通しでしたか♪紫苑殿、あの網は元々漁で使う物。それを今回流され防止の救助用に用いたのです。」
「それで魚があの網より下流には逃げられないんですね。」
「更に上流ではああして水練をしていれば自然と追い込み漁と同じ効果が得られる訳です。」
「いっくじょーーーーーーー!!」
美以の掛け声のあと激しい水しぶきと一緒に魚が飛んでくる。
「これはまた豪快な漁ねぇ♪」
「あの捕り方なら魚を根こそぎ捕り尽くす事は無いでしょう。では我々はカマドを作って火を起こしますか。」
「うむ、そうじゃな。あの調子なら皆に行き渡る位は獲ってくれるじゃろう♪」
魚を捕るのは美以たちに任せ、我々はカマド作りに向かった。
しかし、私は美以たちを少し甘く見ていたようだ。
戻ってきた時にに見たものは山と積まれた川魚だった。
「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」
「半分以上逃げられたにゃぁ・・・」
美以は不満そうだがこれだけの量食べきれんぞ。
既に殆ど息絶えているから川に戻すことも出来ん。
いや、恋と猪々子がいるし、更に警護の兵たちにも回せば何とかなるか?
「・・・・・・・さっさと焼いてしまいますか。」
「・・・そうじゃな。惚けていても始まらん。」
「・・・そうですね♪」
私たちは手分けして次々と魚を焼いていく。
美以たちもいい手際で一緒に魚を焼くのを手伝ってくれた。
「そう言えば先程の話に関係ある事なんじゃが。」
魚を焼きながら祭殿が話し始める。
「未だに誰も懐妊に兆しが無いが・・・どう思う?」
「それは・・・・・子供は天からの授かりものと言いますし・・・」
「いや、紫苑殿。一児の母である貴女の言葉の重みは重々承知しているが・・・・・このままでは北郷たちは種馬どころか『種無し』と噂が流れかねません。」
戦乱の頃は懐妊したものが続出する事での戦力低下を危惧したが、今では正反対の事で悩まされるとは・・・・・・。
「スゴイ量の魚だな・・・」
「どうしたのコレ?」
「俺たちも手伝おうか?」
全く・・・妙な間に現れる。
「「「な、なに?三人共その目は・・・・・・?」」」
「何でも無い、気にするな。お前たちに薬膳でも用意しようかと考えたが、それ以上元気になっては政に支障が出るかもしれんしな。」
「「「は?どういう事?」」」
ワザと分からぬ様に言っているんだ。
「自分の股間に手を当てて考えてみるのだな♪」
「冥琳、そこは普通胸じゃないか?」
「お前たちは胸よりそちらで考える方が多いだろう?」
「「「ひ、ヒドイ・・・」」」
「ほら、手伝ってくれるのだろう?さっさと魚を串に通せ。私は動ける者ならば天の御遣いのでも皇帝でもこき使うぞ♪」
「「「はいはい。こき使われますよ。って両方俺たちの事じゃないか!」」」
真夏の太陽と蝉の声。
川の流れる水音と吹き抜ける涼風。
川原には魚を焼く香ばしい匂い。
雪蓮と遊んでいた子供の頃と変わらない物。
それを多くの戦友たちの中で再び感じられる。
今はこの幸せを満喫しよう。
あとがき
ちょっと長めの第三話となりました。
そして麗羽、斗詩、猪々子、桂花が戻って参りました。
暴走キャラたちは相変わらず勝手に動いてくれるので、
書いていてとても楽しいですw
そんな中で麗羽にデレが入りましたw
『金髪お嬢様のデレ』が好物なもので、
ついに自制がきかなくなりました。
こちらは自分が暴走しないよう気を付けたいと思いますw
変態たちの動向
最初から犠牲者が発生しましたが、
概ね彼らの目的は達成された模様ですw
桃香と蓮華
福乳様と尻神様の究極ツーショット
作中はワンピースですが出来ればビキニで見てみたいですw
桂花タン
罵る声が聞きたくて、つい虐めたくなる可愛さですw
みる様の声で罵られるのと禁断の世界に旅立ちそうな私は重症でしょうか?
一刀『種無し』疑惑
物語の都合上、この外史では懐妊させてないだけなんですけどねw
外伝辺りで一刀たちの子供ネタがいつか出来るといいなぁ。
次回は変態達の反省会を含め、ひたすら会議の回になりそうです。
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第三話でようやく恋姫たちが水着姿に!
但し殆どがスク水か競泳用水着ですw
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