No.456892 武装神姫「tw×in」 第四話 犬×猫=風麦梟さん 2012-07-21 19:07:28 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:506 閲覧ユーザー数:497 |
今回のステージは、チューブフィールド。
3つの輪を組み合わせたような形をしていて、ライド開始時に相手の神姫を必ず確認出来ない。
そして戦える場所はチューブの中で緩いカーブになっている、上は天井、左右は横に神姫が5人も並べば壁に手が付き、荒野に比べて狭いのが特徴だ。
「相手はどこにいるんでしょうね」
『それは動いてみないと分からないね』
開始合図の少し前、ルミアにライドしたオレは動作確認をする為に手を握ってみた。
その手はハウリン型のアームで包まれていて、見た目がグローブを着けたようであり、コレでそのままナックルの武装になる。
コレがルミアの主力武器。
このナックルと、投擲武器のチャクラム、そして同じく投擲武器の爆弾の3つがルミアの武器だ。
『そろそろ開始だ』
Ready…………GO!
―――とは言っても、相手が見えないから臨戦態勢になれないけど。
『まずは誰かを探そう、天野か木部ならバトル、真南なら一緒に行動するんだ』
「はい!」
ルミアはその場から歩き出した。緩いカーブの道を慎重に……ではなく、一気にダッシュで。
このままだと相手に出会った瞬間にブーストゲージが切れてダッシュ出来なくなりそうだけど……
まぁ、いいか。
『マスター、曲がり角ですよ』
曲がり角とはチューブが重なっている場所のこと、ここから別のチューブ、あるいは同じチューブの向こうへ移動出来る。
『隣のチューブに行ってみよう、多分誰かしらはいる筈だ』
「はい!」
ダッシュのまま隣のチューブへつながる道へ。
さて、出来れば真南のミズナと会って相手に二対一で挑めれば良いけど、逆に一対二になる可能性もあるからな。
「マスター! 誰かいました!」
ルミアの声に前を見ると、
「うら〜、居たうらよ、マスター」
うらだ。どうやらあちらも一人らしい。
「うらさん! どうしますか、マスター?」
『あっちも今は一人みたいだし、挟み撃ちに気を付けながらバトル開始だ』
「了解です! ……あ、あれ?」
その時、ルミアの動きが止まった。
ダッシュのし過ぎでブーストゲージが切れたんだ。
「わぁー! ごめんなさいマスター! ブーストが切れちゃいました!」
慌てて謝るルミア、でもうらとのリーチを考えればそこまで困ることでもない。少しすればゲージも回復するし。
『大丈夫だよ、落ち着いて』
うらとルミアの距離は30くらい。場所は緩いカーブの一本道。
これなら……行けるな。
『行くよルミア、レールアクションだ』
「はい!」
ルミアがレールアクションの構えを取る。
ほぼ一直線の道にこの距離。そして、予想が正しければうらにこのレールアクションを遮る武装は無い。
『レールアクション! ATK:爆弾』
瞬間、ルミアは前へ跳んだ。ブーストの力ではなく、造られたレール、ただ一直線の道を駆け抜ける。
「うらっ!? レールアクション!?」
いきなりのレールアクションに驚いたうら。
それを見たルミアは……その横を通り抜けた。
「ただの移動……じゃないうらね!」
その通り、このレールアクションは一直線に駆け抜けながら、その軌道に爆弾を仕掛けていくものだ。
駆け抜けたルミアが停止、それと同時に最初に仕掛けた爆弾から地面に着弾して爆発、半円状の爆風を残しながら次々と爆発していった。
それは当然、ルミアが止まった位置、横を通り抜けたうらの頭上にもある。自分の爆弾でルミアはダメージを受けないが、うらは違う。
「うらっ!」
うらが爆発に巻き込まれた。
これでダメージを受けてくれてれば、バトルが有利になるんだけど。
「あ、危なかったうらー」
やっぱり、緊急回避で避けられたか。まぁ予想してたけど。
レールアクションの間に、ルミアのブーストゲージは回復している。
『近づくよルミア』
「はい!」
ルミアはダッシュを開始、うらへと近づいた。
ルミアの武装は至近距離用のナックルを始めとして中近距離でしか当たらない物で固めているので、まずは相手に隣接しないと攻撃が出来ない。今みたいなレールアクションは別だけど、連続使用すればスキルポイント―――神姫がレールアクション等を扱う際に使うポイント、ブーストゲージ同様に時間経過で回復する―――が持たない。
だから今はダッシュでうらに近づく。
「うらっ、受けて立つうらよ、ルミア!」
「行きますよ、うらさん!」
ルミアが拳を握り、前へストレートを放つ。
それを見たうらも、ルミアの拳に合わせて自らの拳を向ける。
ガッ! 互いの拳がぶつかった。
うらのアーム武装も、ルミアのそれと似た特殊なグローブ状の物。
というのもルミアのハウリン型と、うらのマオチャオ型、2人は同じ会社、ケモテックで開発された神姫だ。だから武装の種類も似たような物になっている。
ただ一つ大きな違いは、ハウリン型は、犬型。マオチャオ型は、猫型の神姫だということだけだ。
端的に言えば、これは同会社製の神姫どうしの神姫バトルになっているということ。
『ルミア、攻めるんだ!』
「はい!」
左手を握ってフックを放つと、うらも同様にフック。
ガッ! 再び拳がぶつかった。
『アタックチェイン!』
アタックチェインとは、攻撃後の硬直を無くして新たな武器で攻撃を続ける技で、スキルポイントを少し使う必要がある。
引いた右手にチャクラムが握られ、前へと3つ横向きに投げた。
「うらっ!?」
急に現れたチャクラムに驚くうらに二発命中した。
『もう一発!』
続けて第二投、しかし理解したうらに横にターンされて避けられた。
「投てきと爆弾に、ナックルうらね、分かったうら」
うらにこちらの武器が全部分かられた。かといって変更は出来ないからこのまま戦うんだけど。
それに、
『そっちはナックルとドリルと、奥の手、でしょ』
「そっちはナックルとドリル、そして奥の手だ!」
「うら!? な、なぜ分かったうら!?」
それはまぁ……毎回同じ武装してるから。奥の手とか言ったけど、何だか分かってるし。
「うらー……奥の手を知ってるなら、出し惜しみはしないうら!」
うらがダッシュ、ルミアが奥の手の範囲内に入った瞬間、それを取り出した。
「行くうらよ!」
振り上げられたうらの奥の手、ハンマーが勢い良くルミア目掛けて降り下ろされる。
『バク転で回避!』
指示通りルミアはバク転でハンマーを回避。
「まだまだうら!」
うらはハンマーで連続して攻撃を繰り出す。ルミアは更にバク転で避け、届かない間合いまで動いた。
やっぱり厄介な武器だな、両手武器。
大剣、斧、ハンマーの三種類で、中でもハンマーは出が遅い分一撃が最も強い武器。一撃でも当たればダメージ大だ。
それに、
『チャクラムで攻撃!』
ルミアはチャクラムをうらへ投げつける。
「うらっ!」
うらはハンマーが前に構え、チャクラムの盾にして直撃を逃れた。
こうして大体の攻撃に対して働く防御、スーパーアーマー。それが一番厄介だ。
これが天野とうらのバトルスタイル、スーパーアーマーのハンマーで攻め込み、避けられればドリルとナックルにアタックチェインで繋ぐ、近接パワーファイター戦法。
こういう相手にはロングレンジで遠距離が有利だけど、あいにくルミアは銃器を装備してない。
だから、
『接近戦で攻めるんだ!』
「了解!」
ルミアは前へダッシュ。ハンマーに気を付けながらも接近戦で戦うしかない。
「うらっ!」
うらはハンマーを終い、代わりにドリルを手に着けた。大きく振りかぶった後、前へと回転するドリルを突き出して突進を繰り出す。
『ジャンプで回避!』
ダッシュの勢いのままルミアは斜め上にジャンプ、ドリルを突くうらを飛び越えた。
空中で反転してうらの背中を捕え、そこに爆弾を放り投げる。
「いけっ!」
「うらっ!?」
爆発の衝撃がうらの背中に直撃、ダウンを奪った。
『よし、何とかダメージは与えられた』
「でもまだ油断出来ませんよ」
その通り、うらは素早く起き上がった。そこからダッシュして近づきハンマーを降り下ろしてきた。
『回避だ!』
先ほどと同様にルミアはバク転で避ける。コンボが来てもまた同じように避けるだけだ。
だが、
「甘いうら!」
うらのハンマーが消えた瞬間、手にドリルが装着されて突進。ガードが間に合わずルミアの体を貫いた。
「うわぁ!」
今のは、アタックチェインレールアクション……異なる武装で新たな攻撃をするアタックチェインで、レールアクションに繋ぐ技だ。アタックチェインとレールアクションよりもスキルポイントを使うが、バトル開始からどちらも使ってないうらには充分貯まっていたんだ。
「きゃう!」
レールアクションのドリルを喰らってルミアは吹き飛び、背中から床に落ちた。
『ルミア! 大丈夫か!』
バーチャル空間なので穴が空くというようなことはないけどダメージにちがいない、普通のドリルならまだしも、レールアクションの威力は強力だ。
「は、はい……まだまだいけます」
ゆっくりとルミアは立ち上がる。その行動と言葉からダメージが大きいものなのは理解出来た。
でも、ルミアが行けるというなら心配はしない。その方がルミアが喜ぶからだ。
『よし、なら攻めるよ』
「はい!」
前へとダッシュ。ブーストケージもスキルポイントもある……ここは、先のうらみたいにいくか。
ルミアは爆弾を投げ、瞬間アタックチェインでチャクラムを二回投擲する。
だがそれらはうらのハンマーのスーパーアーマーにより軽いダメージになってしまう。しかもその勢いのまま間合いを詰められ、ハンマーの範囲内に。
「っ!」
ルミアは側転でハンマーを回避、
「ムダうら!」
するとうらは再びアタックチェインレールアクションを発動した。しかし今度はドリルではなく、ハンマーのレールアクションだった。
これは……好機!
『ルミア、なるべく引き付けるんだ!』
あえてルミアを回避に動かさず、うらのレールアクションを引き付ける。
ハンマーが頭上から降り下ろされ、ルミアに直撃……
『今だ! 前に回避!』
する直前に動き出した。ルミアは前転でハンマーの直撃を避け、うらの背後へと回った。
素早く反転すると、技後硬直でスキの出来たうらの背中にナックルを一発叩き込む。
「うらっ、でもこの距離じゃもう奥の手は避けられないうら!」
分かっている。でも、今のルミアは先のうらと似た技が使える。
そう、
『アタックチェインレールアクション! ATK:ナックル』
「いっけぇぇぇぇぇ!」
ルミアのナックルが光に包まれ、振りかぶった拳を一気に前へ。
ドガァ!
重い一撃が、うらの背中にクリーンヒット。
「うらぁぁ!」
きりもみながら床に滑り落ちたうらは、
「う……ごめん、うら、マスター……」
そう言い残して、動かなくなった。
「か……勝った、んですか?」
『うん、そうみたいだ』
「よ、良かった〜……」
緊張のとけたルミアは、その場に膝を付いた。
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題名のイコールの先は、つまりはこの物語です。