「ねえ。」
なんだよ。
「他人の期待に応えるのってそんなに大切かしら。
期待に添えなかったら嫌な顔をされるのは当然なの?」
いきなりどうした。
「自分の嫌なことでも求められたらしなきゃダメ?
どうして他人との感覚が違うってだけなのに、
変だとかおかしいとか言われなきゃいけないのよ。
一般的でない趣味・思考だと集団から排他されるのは当然なの?」
少し前に似たようなこと言ってたな。
「それぞれの趣味・思考、感覚は違って当然でしょう。
なのに自分の予想範囲外の考えだからって、一般的でないからって、
それをおかしいと後ろ指を指すのは、それこそおかしいことでしょう?
どうしてその集団に沿ったことをしなきゃならないのよ!」
「私は誰かの期待に応えるために、
愉快にさせるために生きてるわけじゃないわ!
なのに趣味が変わってるだの、
思い通りの反応でないから、失望したような顔して。
一体何なのよ!!」
興奮しすぎて日本語がおかしくなってるぞ。
それにしても表情が無い分、迫力があるな。
まあ、一回落ち着けって。
今のお前、すごく怖い。
「他人に合わせて笑っているのは疲れたの。
他人の、普通の枠から外れないように、
自分に嘘をつき続けることに意味はあるのかしら。
私は、そこまでして、他人と在りたいとは思わない!」
おい、無視するな
疲れるならなんで一緒にいるんだ?
「そうすれば生活する上で平和に過ごせるからよ。
煩わしいことを避けられる。
集団に属していれば周りに変な目で見られることも、
頼んでないのに気を使って声をかけられることもない。」
お前は一人でも平気って顔してるけどな。
「そうなのかしら。
でも露骨に態度に出されると流石に堪えるわ。」
お前が自分を殺してまで必要だと思うなら、
他人に気に入られるように振る舞えばいいし、
そうでないならお前の好きなように振る舞えばいい。
「未遂に終わってるだけで、
毎日自分を殺しにここに来てるんだけどね。」
そういえばそうだったな。
「貴方が引き留めてるんでしょう。」
「…ああ。
話してすっきりした、聞いてくれてありがとう」
一方的に話してただけだろ。
「でも聞いててくれたでしょ。」
まあな。
「で、優しいあなたは今日は何かくれないのかな?」
今日は相談料として俺がもらう。
「ケチね。」
貰ってばかりじゃなくて、
たまには自分で持ってこい。
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二人の名前もないんです