No.456818

無題3’

あおいさん

もはや何も決めていません

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2012-07-21 16:49:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:149   閲覧ユーザー数:149

「夜って心地よいと思ったことはない?」

 

「部屋の明かりを消して外を覗くの。

 そうすると夜は案外明るいということがわかるのよ。

 灯りが眩しすぎるだけで夜は適度な明るさを持ってるわ。」

 

「目が慣れてくるころに上に手を伸ばしてみるとね、

 腕は見えるのに指先は闇に溶けてしまったように思えてくるのよ。」

 

「目をつむって耳を澄ませば、外の騒音も優しい音楽に聞こえる。」

 

へえ。

 

「何も、見なくていいの。

 昼に見えるものが夜は優しくぼかしてくれる。」

 

今日はよく喋るな。

 

「せっかく貴方がここまで連れてきてくれたから、

 私も夜の楽しみ方を教えてあげようと思ってね。」

 

ここを気に入ってもらえたようだな。

 

「こんなにはっきりと星が見えるのね。

 初めてだわ。

 とても素敵。」

 

いつもより素直じゃないか?

 

「正直誘われた時は驚いたの。

 あの場所以外で貴方と過ごすことなんて無いと思ってたから、

 何か裏があるのか疑ったわ。」

 

俺もまさかここでお前と過ごすとは思ってなかった。

 

「じゃあなんで誘ったのよ。」

 

ずっと落ち込まれても困るんでな。

さっさと戻ってもらわないと、

もしお前があの場所に来れなくなったらやりきれない。

 

「だからそれを引き留めてるのは貴方でしょう。

 私は早く楽になりたいのに。」

 

お菓子につられてるくせに何を言ってるんだか。

というか夜についていろいろ考えてるんだな。

 

「…うるさい。

 人のこと笑うのはいいけど、

 励ますために夜空を見せる貴方も似たようなものよ。」


 
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