No.455706

ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者~ 第27話

あっくんさん

神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる

2012-07-19 16:52:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5181   閲覧ユーザー数:4971

コカビエル襲撃事件から数日後。

 一誠達と部室に行くと、青髪の女子―――ゼノヴィアが駒王学園の制服を

 着て部室にいた。

「やあ、神矢に赤龍帝」

「な、何でここにいるんだ?」

 さすがに、ほんの数日前まで敵だったゼノヴィアがいて動揺を隠せないでいた。

 そのとき、ゼノヴィアの背中から翼が出てきた。しかも悪魔の…

「神がいないと知ってしまったんでね、破れかぶれで悪魔に転生した。

 リアス・グレモリーから『騎士(ナイト)』の駒をもらった。

 駒の消費は一つで済んだ。で、この学園にも編入させてもらった。

 今日から高校二年の同級生でオカルト研究部所属だそうだ」

「……そうですか」

 という事は、剣士コンビが誕生したって事だよな。これはこれでいいじゃないか?

 それに、聖剣デュランダルはレーティングゲームで猛威を揮ってくれそうだしな。

「そう、私は悪魔だ。後戻りできない。―――いや、これでよかったのか? しかし、

 神がいない以上、私の人生は破綻したわけだ。だが、元敵の悪魔に降るというの

 はどうなのだろうか……。いくら相手が魔王の妹だからって―――」

 ゼノヴィアは頭を抱え出して悩み始めた。しかも、祈りをしてダメージを

 くらっているし…あれか? 教会関係者はヘンな子が多いのか?

 

「ところで…イリナはどうしたんだ?」

「イリナは五本のエクスカリバーとバルパーの遺体を持って本部へ帰った。

 エクスカリバーを破壊して『かけら』の状態で回収した。まぁ、

 奪還の任務は達成したんだ」

「そうか…」

 よかったなとは言えなかった。ゼノヴィアが悪魔になったって事は、イリナに

 とってとてもショックだっただろう。一緒に任務をこなした友達が敵になった。

 次に会うときには、戦わないといけないんだ。

「皆そろったわね」

 部員が全員揃った事を確認すると、部長は語り出した。

「教会は今回の事で悪魔側―――つまり魔王に打診してきたそうよ。『堕天使の動きが

 不透明で不誠実なので、遺憾であるが連絡を取り合いたい』と。それとバルパー

 の件についても過去取り逃がした事に関しては自分達に非があると謝罪してきたわ」

 ……あくまで遺憾なんだな。

「…しかし、この学び舎は恐ろしいな。ここには魔王の妹がもう一人いるのだもの」

 部長の他に上級悪魔としたら、会長さんか…。

 

「今回のことは、堕天使の総督アザゼルから、悪魔側と神側に真実が伝わったわ。

 エクスカリバー強奪はコカビエルの単独行動。他の幹部は知らない事だった。

 三すくみの均衡を崩そうと画策し、再び戦争を起こそうとした罪により、

 『地獄の最下層(コキュートス)』で永久冷凍の刑が執行されたそうよ」

 コカビエルの奴、冷凍刑か…。二度と見ることは無いな。

「近いうちに天使側の代表、悪魔側の代表、アザゼルが会談を開くらしいわ。

 なんでもアザゼルから話したいことがあるみたいだから。そのときにコカビエル

 の事を謝罪するかもしれないと言われているわ。でも、あのアザゼルが

 謝るかしら」

 天使側の代表っていったら…ミカエルだな。神は死んだんだし。

「私たちもその場に招待されているわ。事件に関ってしまったから、そこで

 今回の報告をしないといけないの」

 そんな混沌とした場所に行かないといけないのかよ…。正直、いやだな。

「……『白い龍(バニシング・ドラゴン)』は堕天使側なのか?」

 一誠がゼノヴィアに訊ねた。

「そうだ。アザゼルは『神滅具(ロンギヌス)』をもつ神器所有者を集めている。

 何を考えているかわからないが、ろくでもないことをしようとしているのは確かだね

 『白い龍』はそのなかではトップクラスの使い手。『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部

 を含めた強者のなかで4、5番目に強いと聞く。すでに完全な禁手(バランス・ブレイカー)状態。

 現時点でライバルのキミよりは断然強い」

 

 レガルメンテの状態の俺でも勝てるかどうかだな。連戦だったら確実に殺られていた。

「あ、あの!」

「なんだ?」

「今度の休日、皆で遊びに行くんです。ゼノヴィアさんもご一緒にいかがですか?」

 ゼノヴィアは少しだけ驚くように目を見開くが、すぐに苦笑した。

「今度機会があればね。今回は興が乗らないかな。ただ―――」

「ただ?」

「今度、私に学校を案内してもらえるかな」

「はい!」

 まさか、友達ができる瞬間に出会えるのはいいもんだ。

「我が聖剣デュランダルの名にかけて―――そこの聖魔剣使いとも手合わせしたいものだね」

「いいよ。今度は負けない」

 爽やかさが戻っている。いつもの祐斗だ。

「さ、全員が揃ったのだから、部活を再会しましょ!」

「「「はい!」」」「…はい」

 俺以外の全員が元気よく返事をした。その日、俺たちは久しぶりに部活に談笑した。

 

 

 

 

 

 一誠達がカラオケで楽しんでいる頃…俺は、部長と朱乃さんの買い物に

 つき合わされていた。

 でも、女性用水着がある場所を見かけた瞬間、俺はシャーロックの武装を

 呼び出し、砂金で分身を三体ほど作って逃げた。

「(あ、あんなところ…いられるか!)」

 部長と朱乃さんはスタイルがいい。二人の水着姿を見て、ヒスったら

 試着室で、ヒステリア無双をやりかねん。そしたら、一誠に殺される。

「待ちなさい! 逃がさないわよ!」

 やば…! 部長が追いかけてきた。何故か黒いオーラが見えるのは気のせいだろう。

 部長は紅いオーラじゃなかったのか!?

「朱乃。本物のクリスはどっちなの!」

「そうですね~。どっちかはわかりませんわ」

「あっ! 二手に分かれたわ! こっちも分かれましょう!」

「わかりましたわ!」

 部長と朱乃さんが分かれた。ははっ。やった! 俺の勝ちだ。

 走っている俺は二つとも、分身なのさ! さっさと家に帰って寝るか。

『クリスって、けっこう酷いわね』

 うっ……心に響く…。

『それにね。逃げるときには、周りをよく見ないとね』

 …それってどういう意味…?

「クリス。よくも騙したわね?」

「うふふ。まさか、騙されるとは思わなかったですわ」

 おそるおそる後ろを向くと、

 恐ろしいほどに殺気を俺に向けている部長と

 笑っているが黒いオーラを出している朱乃さんがいた。

 

「はは…お疲れ様です…」

「さぁて、水着を選んでもらいましょうか」

 部長に襟首を摑まえられる。超能力(ステルス)使いをなめるなよ? 今からだって…

 あれ? 超能力(ステルス)が使えない!? 何故だ!

「甘いわ。あなたの超能力(ステルス)っていうものを使えなくしたわ」

「そ、そんな馬鹿な!」

「うふふ。部長はクリスくんを捕まえる為にラノベを呼んで、超能力(ステルス)の抑え方

 を学んだんです」

 超能力(ステルス)を抑えるという事は…まさか! 璃璃粒子(りりりゅうし)を再現したのか!?

 なら…神器で…。あれ? 神器も発動しない!

『ふふっ。クリス、頑張ってね♪ 神器は発動させないよ』

 詰んだ…チェックメイトだ。

 

 

 

 

 

「どう? クリス。似合うかしら」

「……不幸だぁ。俺はまだ人生の墓場に行きたくない…」

 部長がポーズをとって俺に感想を求めてきた。でも俺は、ヒス化を恐れて

 下を向いてため息をついた。

 人生の墓場というのは、結婚のことらしい。知り合いが言っていた。

 一誠に助けを求めても、「死んでしまえ!」というメールが来た。

 この死地(ショッピング)から帰ってきたら、凍らしてやる!

 くそ…見るしか生き延びる術はない!

 意を決して部長を見ると、

「!!」

 なんというか…水着がとても似合っていて、それに胸が強調されていた。

 頭の中でそんな感想が出たときには、俺はHSSになった。

「先輩。とてもお似合いですよ」

「そう。ありがとう」

 どうやら、先輩は今着ている水着にするらしい。

「クリスくん。私はどうでしょうか?」

 今度は、朱乃さんがでてきた。

「!!」

 な、なんて格好なんだ! ぬ、布が少ない…。過激すぎる…

 部長のも過激だったが、朱乃さんのは、もはや危険区域だった。

「い、いいんじゃないかなぁ? うん。とてもお似合いですよ」

「うふふ。私はこれにしますわね」

 朱乃さんは布が少ない水着にするらしい。HSSの持続時間が延びた…。

 

 水着の代金は、女性の払わせるのは良くないという理由で俺が払う事になった。

 後ろで、部長が黒い笑みを浮かべていた。まさか、最初から俺に払わせる

 つもりだったのか!

 

 

 

 

「…ただいま~」

 家に帰ると、小猫がリビングで羊羹を食べていて…

 何故か、ゼノヴィアもリビングでくつろいでいた。

「……何で、ゼノヴィアがいるんだ?」

 俺はリビングでくつろいでいるゼノヴィアに聞いた。

「それはだな…住む家が無いのだと、部長に言ったら部長は住むならクリスの家が

 いいと思うわ。まだ部屋があると思うし―――と言っていたからここに住む事に

 決めた」

「…そうかい。住む家が無いなら仕方ないな。こっちに住めばいいさ」

「そうか! ありがとう!」

 ぱぁぁぁと花が咲いたような笑顔を見せた。くそ…可愛いなぁ。

「……」

 げしっ!

「い、痛っ!」

 小猫にすねを蹴られた。めっちゃ痛い。多分俺、涙目になっているな。

 

 

 

 俺の家に、新しい仲間が住みました。 これにて、一件落着だな。


 
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