士郎が、高町家に来て早2年がたった。
その間に、高町家で一つの事件が起こった。
それは、高町士郎が大怪我をした事だ。
それにより、高町桃子は、立ち上げたばかりの店"翠屋"で忙しく、高町恭也は、力の無い自分に憤慨し無茶な修行をし、高町美由紀は、できるかぎり店の手伝いをしていた。
衛宮士郎はと言うと、高町士郎を大怪我にした原因である組織を壊滅させ、治療系の魔術が使えない自分の才能に悔やんだ……
そして、高町なのはは、家族に手伝いを頼んでも断られ"自分は要らない子"だと、思い込んでしまう。
本来なら、高町なのはは"良い子"を演じるようになるが、この世界では違った。
"もうに二度と誰かが傷つくのは見たくない、だから私はお兄ちゃんのように魔術師になりたい!!"そう思い、衛宮士郎に弟子入りをしたのだった。
始めは、衛宮士郎も断っていたが、結局高町なのはの頑固差に負け、魔術と武術を教えるのだった。
それから数日経ち、高町士郎にやっと回復の兆しがあった為、高町家には安心が生まれたのだった。
そして、高町士郎は退院すると、同時に裏から抜け翠屋の店長になったのだった。
高町なのはは、その事件以降も魔術と武術を習っていたのだった。
side 士郎
(あの悪夢とも思えた事件から、もう2年も立ったんだな……)
俺は、そんな事を考えながら、海鳴市にある桜台という所に向かっていた。
理由は、なのはにそろそろ結界を見破る試験を行う為だ。
試験内容は、桜台の近くに結界を張るのでそこを見つける事だ。
ちなみに、その基点となる所には、ある物を埋めておく。それを見つける事も、試験内容の一つだ。
っと、考え事をしている内に、もう桜台に着いたな。
そこから、茂みの少し奥の所にこれを埋めて、ここにある霊脈から魔力を吸い取るタイプの結界を張ってっと、これでよし!!
さて、それじゃあ戻りますか。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「う~~~~~~~~」
「ん?」
桜台から、高町家に帰っている途中、どこからか唸り声が聞こえた。
辺りを見回してみると、車椅子の少女が溝に挟まった車輪取ろうと悪戦苦闘していた。
(元・正義の味方を目指していた俺にとって、この少女を助けないとな。)
俺は、少女に近づき車椅子を軽く持ち上げて、溝から外した。
「よっと、これで大丈夫だぞ。」
「あ、おおきに……」
「別にいいよ。当然の事をしたまでだし。」
「当然ゆーても、お兄さん以外誰も助けてくれへんかったよ?」
「はは、俺にとっては当然の事なんだよ。それで、何処に行くんだ?」
「えっ?えっと、本屋に行くんです。ちょうど今日、予約してた本が届いたんやけど……」
「俺が、押してくよ。また溝に嵌るといけないし。」
「あ、あれはたまたまや!いつもなら、嵌らへん!!!」
そういって、顔を赤くしながら怒る少女を見て、つい笑ってしまう。
この子を、からかってると、アーチャーの奴が遠坂をからかうのも解るな。
「そや!うちは、八神はやていいます。お兄さんは?」
「俺は、衛宮士郎っていうんだ。」
「衛宮士郎?あれ、なんか聞いたことあるような……」
そのまま、はやてと談笑しながら歩き、本屋に着くとレジまで連れて行く。
「あの、予約をした八神はやてなんですけど?」
「八神さんですね?予約した本は、こちらでしょうか?」
「ブッ!!!」
はやてが、予約したと思われる本を見て思わず吹いてしまう。
なんで、その本なんだよ!!!
「あ、はい。そうです。」
「は、はやては、意外と伝記関係の本を、読むんだな……」
「はい!うち、このシリーズの本大好きなんや!!この"聖杯戦争"は、上・中・下の三冊になってて、今回でやっと完結なんやで!!!」
そう、はやてが予約してた本は、俺が執筆した本だ。
翠屋が、それほど人気が無かっ頃に、なんとか稼いでみんなを楽させたいと思って、考え付いたのが、俺が巻き込まれた第5次聖杯戦争を、小説化することだった。
本来なら、魔術協会などが許すわけないが、ここは平行世界。士郎さんから、この世界に魔術師がいないことが解ったからこそできたんだ。
「そういや、この物語に出てくる主人公も作者も"衛宮士郎"やったな?特徴も似とるし…」
あ、なんかやばそうなよかんが………
「士郎さん、なんか関係あるんか?」
「いや、ないぞ!まったく、全然!!」
「………そういや、士郎さんが、バーサーカーを倒した剣ってなやったかな~~~?」
「あれは、"勝利すべき黄金の剣(カリバーン)"だったな。あの時は必死で投影したから………って、あ」
「ずいぶん自分ごとみたいに語るな~、士郎さんは?」
なんだろ、はやてが笑顔なのになんか、恐ろしい雰囲気なんだが……
「士郎さん、お話、しよか?」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「まったく、ちゃんと言ってくれたらすぐ許したんよ?」
「す、すまん、はやて………」
あれから、近くにあったはやての家に連れて行かれて、何分も問い詰められたよ………
「にしても、まさか憧れの小説家さんにあえるとは、感激や♪」
まあ、こんなに喜んでくれるならいっか。
って、そろそろ夕飯の手伝いしないと行けない時間だ!!
「すまん、はやて。俺、そろそろ帰らないと……」
「え~~~~、もう帰ってまうんか~~~~」
そう言われても、時間的に帰らないと……そうだ!!!
「はやて、これやるからさ!!」
「なんや、これ?」
俺は、ポケットから"お守り"を取り出す。
「これは、俺が昔友人からもらったイヤリングでな、クーフーリンがつけてたって言う物」
「えっ、そ、そ、そ、そないや大切なもん貰えへんよ!!」
そう、これは、昔バゼットからもらったものだ。
あの時、バゼットが本来もアイツのマスターと知った時に、バゼットから貰い受けた物だ。
「いいんだ。貰ってくれ」
「う、うん。ありがとう………」
にしても、イヤリングじゃあまだ早いか………なら!!
「ちょっと待ってろ~………これでよし!」
「ほんまにありがと~士郎さん」
イヤリングの先端辺りに軽く穴を開け、そこに紐を通してネックレス状にしてはやてに渡した。
「それじゃ、また会おうな」
「うん、またな」
軽く挨拶をしてから、俺は高町家に帰っていった。
それからは、いつも通り夕飯の手伝いをし、なのはの修行をし、風呂に入って寝りについた。
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今回は、士郎が生きている間にあったとある一日のお話です