No.455245

正義を受け継ぎし者 プロローグ3

優雅さん

今回は、士郎が生きている間にあったとある一日のお話です

2012-07-18 19:53:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6022   閲覧ユーザー数:5703

            

 

 

 

士郎が、高町家に来て早2年がたった。

その間に、高町家で一つの事件が起こった。

それは、高町士郎が大怪我をした事だ。

それにより、高町桃子は、立ち上げたばかりの店"翠屋"で忙しく、高町恭也は、力の無い自分に憤慨し無茶な修行をし、高町美由紀は、できるかぎり店の手伝いをしていた。

衛宮士郎はと言うと、高町士郎を大怪我にした原因である組織を壊滅させ、治療系の魔術が使えない自分の才能に悔やんだ……

そして、高町なのはは、家族に手伝いを頼んでも断られ"自分は要らない子"だと、思い込んでしまう。

本来なら、高町なのはは"良い子"を演じるようになるが、この世界では違った。

"もうに二度と誰かが傷つくのは見たくない、だから私はお兄ちゃんのように魔術師になりたい!!"そう思い、衛宮士郎に弟子入りをしたのだった。

始めは、衛宮士郎も断っていたが、結局高町なのはの頑固差に負け、魔術と武術を教えるのだった。

それから数日経ち、高町士郎にやっと回復の兆しがあった為、高町家には安心が生まれたのだった。

そして、高町士郎は退院すると、同時に裏から抜け翠屋の店長になったのだった。

高町なのはは、その事件以降も魔術と武術を習っていたのだった。

 

 

side 士郎

 

(あの悪夢とも思えた事件から、もう2年も立ったんだな……)

俺は、そんな事を考えながら、海鳴市にある桜台という所に向かっていた。

理由は、なのはにそろそろ結界を見破る試験を行う為だ。

試験内容は、桜台の近くに結界を張るのでそこを見つける事だ。

ちなみに、その基点となる所には、ある物を埋めておく。それを見つける事も、試験内容の一つだ。

っと、考え事をしている内に、もう桜台に着いたな。

そこから、茂みの少し奥の所にこれを埋めて、ここにある霊脈から魔力を吸い取るタイプの結界を張ってっと、これでよし!!

さて、それじゃあ戻りますか。

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *  

 

「う~~~~~~~~」

「ん?」

 

桜台から、高町家に帰っている途中、どこからか唸り声が聞こえた。

辺りを見回してみると、車椅子の少女が溝に挟まった車輪取ろうと悪戦苦闘していた。

(元・正義の味方を目指していた俺にとって、この少女を助けないとな。)

俺は、少女に近づき車椅子を軽く持ち上げて、溝から外した。

 

「よっと、これで大丈夫だぞ。」

「あ、おおきに……」

「別にいいよ。当然の事をしたまでだし。」

「当然ゆーても、お兄さん以外誰も助けてくれへんかったよ?」

「はは、俺にとっては当然の事なんだよ。それで、何処に行くんだ?」

「えっ?えっと、本屋に行くんです。ちょうど今日、予約してた本が届いたんやけど……」

「俺が、押してくよ。また溝に嵌るといけないし。」

「あ、あれはたまたまや!いつもなら、嵌らへん!!!」

 

そういって、顔を赤くしながら怒る少女を見て、つい笑ってしまう。

この子を、からかってると、アーチャーの奴が遠坂をからかうのも解るな。

 

「そや!うちは、八神はやていいます。お兄さんは?」

「俺は、衛宮士郎っていうんだ。」

「衛宮士郎?あれ、なんか聞いたことあるような……」

 

そのまま、はやてと談笑しながら歩き、本屋に着くとレジまで連れて行く。

 

「あの、予約をした八神はやてなんですけど?」

「八神さんですね?予約した本は、こちらでしょうか?」

「ブッ!!!」

 

はやてが、予約したと思われる本を見て思わず吹いてしまう。

なんで、その本なんだよ!!!

 

「あ、はい。そうです。」

「は、はやては、意外と伝記関係の本を、読むんだな……」

「はい!うち、このシリーズの本大好きなんや!!この"聖杯戦争"は、上・中・下の三冊になってて、今回でやっと完結なんやで!!!」

 

そう、はやてが予約してた本は、俺が執筆した本だ。

翠屋が、それほど人気が無かっ頃に、なんとか稼いでみんなを楽させたいと思って、考え付いたのが、俺が巻き込まれた第5次聖杯戦争を、小説化することだった。

本来なら、魔術協会などが許すわけないが、ここは平行世界。士郎さんから、この世界に魔術師がいないことが解ったからこそできたんだ。

 

「そういや、この物語に出てくる主人公も作者も"衛宮士郎"やったな?特徴も似とるし…」

 

あ、なんかやばそうなよかんが………

 

「士郎さん、なんか関係あるんか?」

「いや、ないぞ!まったく、全然!!」

「………そういや、士郎さんが、バーサーカーを倒した剣ってなやったかな~~~?」

「あれは、"勝利すべき黄金の剣(カリバーン)"だったな。あの時は必死で投影したから………って、あ」

「ずいぶん自分ごとみたいに語るな~、士郎さんは?」

 

なんだろ、はやてが笑顔なのになんか、恐ろしい雰囲気なんだが……

 

「士郎さん、お話、しよか?」

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

 

「まったく、ちゃんと言ってくれたらすぐ許したんよ?」

「す、すまん、はやて………」

 

あれから、近くにあったはやての家に連れて行かれて、何分も問い詰められたよ………

 

「にしても、まさか憧れの小説家さんにあえるとは、感激や♪」

 

まあ、こんなに喜んでくれるならいっか。

って、そろそろ夕飯の手伝いしないと行けない時間だ!!

 

「すまん、はやて。俺、そろそろ帰らないと……」

「え~~~~、もう帰ってまうんか~~~~」

 

そう言われても、時間的に帰らないと……そうだ!!!

 

「はやて、これやるからさ!!」

「なんや、これ?」

 

俺は、ポケットから"お守り"を取り出す。

 

「これは、俺が昔友人からもらったイヤリングでな、クーフーリンがつけてたって言う物」

「えっ、そ、そ、そ、そないや大切なもん貰えへんよ!!」

 

そう、これは、昔バゼットからもらったものだ。

あの時、バゼットが本来もアイツのマスターと知った時に、バゼットから貰い受けた物だ。

 

「いいんだ。貰ってくれ」

「う、うん。ありがとう………」

 

にしても、イヤリングじゃあまだ早いか………なら!!

 

「ちょっと待ってろ~………これでよし!」

「ほんまにありがと~士郎さん」

 

イヤリングの先端辺りに軽く穴を開け、そこに紐を通してネックレス状にしてはやてに渡した。

 

「それじゃ、また会おうな」

「うん、またな」

 

軽く挨拶をしてから、俺は高町家に帰っていった。

それからは、いつも通り夕飯の手伝いをし、なのはの修行をし、風呂に入って寝りについた。


 
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