翌日、転入手続きを済ませた俺たちは一誠君と同じクラスに転入することになった。
「アルトリア。お前はシュトレンベルグ姓で俺は清夢姓だからな?間違えるなよ」
アル「分かってる。でも、家では甘えてもいいよね?」
「…仕方ないな。いいぞ」
アル「うん♪それなら我慢出来るわ♪」
「それでは2人共、入りなさい」
「「失礼します」」
俺が教室に入ると女子の歓声が響き、アルトリアが入ると男子と一部の女子の歓声が響いた。元女子高というのが納得出来るくらい女子の数が多かった。
「清夢ライトです。趣味は読書や料理です。よろしくお願いします」
「アルトリア・シュトレンベルグよ。これからよろしく!」
「それじゃあ清夢の席は兵藤の後ろで、シュトレンベルグの席はアルジェントの後ろだ。2人とも仲良くしてやってくれ」
イ・ア「「わかりました」」
おっと、これは都合がいいな。ちょうど用があった2人に接近出来るチャンスだ。今日の内に顔合わせはしときたいからな。
「よろしく頼むよ、一誠君」
イ「ああ!…って俺、名前教えてないよな?」
「昔に会ったじゃないか。まあ、何分結構昔だから覚えていなくても不思議じゃないよ」
イ「そっか。悪いな、清夢。お詫びにはならねぇけど、俺のことはイッセーって呼んでくれ」
イ「気にしてないさ」
アルトリアの方を見ると、仲良く女子たちと話していた。あの分なら問題なく学校に馴染めそうだな。
「なぁ、イッセー。どこかの部活に所属してないか?」
イ「え?ああ、オカルト研究部に所属してるけど…なんでまた?」
「その部活の部長、リアス・グレモリー嬢にちょっと用事があるんだ」
イ「…分かった。アーシア、そろそろ行こうぜ!!」
ア「はぅぅぅぅっ!待って下さい、イッセーさん!」
「イッセー、女性には優しく在れ。これは紳士の鉄則だぞ?って言うか2人って付き合ってるのか?」
アルジェントさんの顔が赤くなってるし、当たりかと思ったんだが…。
イ「俺と?アーシアが?ははは。そんな訳ないじゃん。エロ3人組の俺がさ」
その物言いには少々驚いたが、どうもイッセーはアルジェントさんを妹として見ている節がある。アルジェントさんにはご愁傷様と言う他ない。
イ「ここがオカルト研究部だ」
旧校舎の中にある部活ねぇ。サーゼクスも言っていたけど、年頃の娘がいるような場所じゃないな。しかもこの気配…ひょっとしてあの眷属か?
「失礼します」
まあ、考えるのも面倒だったから入ってみたけどなんだこの部屋は。初心者用の魔法陣が貼りまくってあるし。
匙「お、お前誰だよ?」
「いけないな、シトリー嬢。眷属は如何なる場合であっても、礼儀正しくなければ。それとグレモリー嬢。貴女もこの部屋を何とかした方が良い。年頃の淑女がいるような場所ではないからな」
アル「ライト、こういう時は自己紹介が先でしょう?」
リ・ソ「「ライト様!?」」
あれ、2人ともすごい驚いているんだが。っていうか、そうか眷属の見せ合いをしていたのか。
匙「会長、あいつは何者なんですか?」
ソ「サジ!指を指してはなりません!」
イ「あの部長、清夢がどうかしたんですか?」
リ「イッセー!?」
「あははははははっ!!」
「いやはや中々面白い眷属を持っているようだね」
アル「面白い眷属悪魔だね。まあ、総合しても私にすら届いてないけど」
「アルトリア、彼女たちはこの世界に生を受けてまだ20年も経ってないんだ。しょうがないだろう?だけど、数年もしたら化けそうな人ばかりだな」
イ「え~と」
「おっと、初対面の方が多いか。私は最も最上級悪魔に近い上級悪魔で有名な、ライト・シュトレンベルグです」
「【騎士】でこの人の妻でもあるアルトリア・ペンドラゴンだよ。よろしく」
匙・イ「「え!?」」
あらら、結構驚いてるよ。まあ、アポも取ってない状態で来たんだから驚いてきしょうがないかな。
木「ぶ、部長一体何者なんですか?」
リ「彼は非公式だけど、たった1人で魔王様とその眷属悪魔を倒せる程の力を持っている裏のレーディングゲームの覇者。その称号は」
リ・ソ「「【覇王(ザ・キング)】」」
ご大層な呼び名だよな。裏のレーディングゲームの覇者。そんなご大層な物かね?一度レーディングゲームに興味のある時もあったが、どいつもこいつも弱い。
アル「ライトに勝てる人なんてそうそういないよ。私なんて序列でいえば下から数えた方が早いし」
「そうむくれるな。天下のアーサー・ペンドラゴンでも数百年の歳月を生きる俺たちにはそうそう勝てないさ」
俺の、というか次元の狭間にはたまに異世界からの来訪者が来ることがある。そこで気に入った奴には鍵を渡したり眷属にしたりする。俺とアジュカ特製の【転生の駒(チェンジ・ピース)】でな。
通常、悪魔が使う駒が【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】。人間や魔物と称される連中を眷属悪魔にする駒だ。俺の【転生の駒(チェンジ・ピース)】は主によってその眷属が変わる。異種族との対戦をするために創り出された駒だ。
「そういえば訊いたぜ?フェニックスの三男坊を倒したんだって?しかも歴代最弱と謳われるイッセーが。そうなんだろ?ドライグ」
俺がそう告げると、イッセーの左腕が光って【赤龍帝の籠手】が装着された。へぇ、第2段階には至ったんだ。
「それでどうやって擬似とはいえ、禁手(バランス・ブレイカー)に至ったんだ?」
ド『挨拶もないとは相変わらずだな。なに、左腕を代償に十秒くれてやっただけだ』
「十秒で倒したのか?だったらすごいけどな。さしもの俺でも15秒は要るからな」
ド『いや、相棒が弱すぎて途中で切れてな。2~30秒くらいで勝ったぞ』
「その忠義、あっぱれだな。イッセー。そういえば昔、ハーレム王になるとか言ってたけど頑張ってるかい?」
イ「先生、童貞を捨てたいです!」
「なんだ、まだ童貞だったのか。それなら女の子の1人や2人見繕ってもいいぞ」
イ「マジで!?」
「ああ。相手が了承すれば、だがな。まあ、赤龍帝と交われるなら断る人はそうそういないがな」
女や名誉とかは力を持つ者の処に集まる。力を持つ者ってのは、英雄だったり勇者だったり…龍だったりするものだ。
俺がそう言うと、イッセーは尚眼を輝かせていた。そこまで必死にならなくてもいいと思うが。
リ「ライト様、イッセーを誘惑するのは止めて下さい!!」
「グレモリー嬢、たとえ主といえども眷属悪魔の自由を奪う権利など無いのですよ?」
リ「それは分かっています!しかし…」
「まあ、他人に口出しする資格はないしな。そういう訳で、イッセーまた今度な」
俺は次に金髪のグレモリー眷属の【騎士】くんに視線を向けて、リアス嬢に視線を向けた。
「リアス嬢、少し頼みがあるんだが…いいかな?」
リ「はい?一体なんでしょうか?」
「そこの騎士(ナイト)君を数日間貸していただきたい」
リ「祐斗を?何故です?」
「彼の復讐を遂げさせてあげようと思いましてね。どうだい?【聖剣計画】最後の生き残り、木場祐斗君?」
木「…お話を聞かせてください」
リ「祐斗!?」
「君は【聖剣計画】の主任研究者を知っているかい?」
木「いえ、知りません」
「【皆殺しの大司教】バルパー・ガリレイだ。ここ最近、教会から3本のエクスカリバーが強奪された。その協力者がバルパーらしい。主犯は神を見張る者(グリゴリ)の幹部、コカビエル」
まったく再確認してみると中々厄介な奴らだな。まぁ、どいつもこいつも俺の敵じゃない。というか、足元にすら遠く及ばない。
「グリゴリの幹部がこの街に?」
「ああ。そいつらから聖剣を奪い返しに聖剣使いが2人来る。俺の仕事は貴女を守ること。コカビエルを適当にいたぶった後、捕縛する事です」
「いたぶるって…相手はグリゴリの幹部なんですよ?」
「俺からすればコカビエルなんて、その辺にいる一般人に毛が生えた程度の脅威でしかない」
事実、昔あいつが俺に挑んだ時俺は8重に枷を付けた状態で戦ったのに俺は無傷だったからな。
リ「堕天使の幹部を一般人に毛が生えた程度って…」
「それぐらいのレベルでないと、裏とはいえレーディングゲームの【覇王】なんて名乗れないからな。
それで、どうする?相手は一応聖剣使いだ。【魔剣創造(ソード・バース)】の神器使いの君には割と苦しい戦いになるけど」
木「行かせていただけるなら、行きたいです。僕は同士達の無念を晴らさないといけないんです!」
いい返事だな。覚悟の決まった表情を浮かべている。これなら大丈夫だろう。
「分かった。教会の使者が来ても荒事にはしてくれるなよ?もしも起こった場合は俺に連絡をくれ。これ、俺の連絡先」
リ「ありがとうございます。それで、今日のご用件は以上ですか?」
「俺ってそんなにリアス嬢に嫌われてるのか?ショックだな~。…ショック過ぎて小さい頃の話をポロッと零しちゃうかも」
リ「なぁっ?!」
「勢い余ってソーナ嬢のも漏らしてしまうかも」
ソ「どうして私まで…」
「というのは冗談で。え~と、神器使いの人は手を上げて貰えるかな?」
皆、不思議に思いながらも手を上げてくれた。え~と、イッセーとアルジェントさんに木場君。それにソーナ嬢の【兵士】と【女王】か。確か匙元士郎君と新羅椿さんだったかな?こちらに手を向けて貰い、右手に本を出現させた。なんか皆が大層驚いていた。なんでだろ?
「どうかしたかい?」リ「その本は何なんですか?」
「俺の神器だけど?名前は【神々の財宝(レッシェルド・クレア)】。他の神器のデータを記録するだけの神器(セイクリッド・ギア)」
ア「神器のデータを記録する?」
「ああ。この中にはすでに三百種以上の神器が記載されている。禁手(バランス・ブレイカー)のデータも一緒にな」
皆「「「三百!?」」」
中には結構貴重なデータも入っている。これを失う訳にはいかないんだよな。まあ、俺を無力化できる奴なんて滅多にいないがな。
「データ収集に協力してもらいます。つっても、ただ手をこっちに向けてくれるだけでいいから」
俺がそう言うと、皆密かにホッと安堵のため息をついていた。むぅ、俺が何をすると思っていたんだか。
「データコピー開始…完了。保存ボックスにデータを移した後、バックアップを作成。…完了」
しかし【黄昏の微笑み】の神器保持者に会うことになるとはな。そういえば最近教会を追放されたシスターがいたような…。そうか、アルジェントさんは…。
「ねぇ、アルジェントさん」
ア「なんですか?清夢さん」
「教会を…ひいては天界を恨んでいますか?」
ア「え…?」
「アーシア・アルジェント。教会で【聖女】と讃えられていたが、一体の悪魔を治療した為に【魔女】と呼ばれた女性」
ア「……」
「この件に関し、貴女に一切の非はないと言える。何故なら神器は貴女の優しい心に応えただけなのだから」
ア「…そうなんですか?主は私を見捨ててはいないんですか?」
「貴女程敬虔なシスターを切り捨てるような奴じゃありません。ただ他の神父が騒いだ為にこのような事態に陥っただけなんです」
ア「私はまだ祈っても良いのですか?」
「ええ。どの神も信仰なくして生きてはいけません。貴女の思うように祈ってください…それじゃあ俺たちはお暇するとしよう。行くぞ、アルトリア」
アル「は~い。バイバイ皆。また明日!」
俺たちはそう告げると、オカルト研究部を退出して新しい部屋に向かって歩き始めた。
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グレモリー眷属との出会い。
そして物語は少しずつ動き始める。