No.450444

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2012-07-10 17:01:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4478   閲覧ユーザー数:4258

 

 

episode20 本当の自分

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

そして隼人は少しして混乱が収まった・・・・

 

 

 

ガチャ・・・・

 

 

 

「・・・は、隼人・・」

 

そしてシャワールームより、シャルルが出てきた。

 

「・・・よ、よう・・シャルル」

 

隼人も少し動揺して返事はした。

 

振り向いてみれば、そこには女子がいた・・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 

それからしばらく二人は黙っていた。

 

(どう言ってやればいいんだ・・・・まさかこのイベントに遭遇してしまうとは・・・うーん・・)

 

隼人は内心で唸っていた・・・・・

 

 

 

「ね、ねぇ・・・隼人」

 

「っ!」

 

「・・・どうして・・この部屋に?」

 

「あ、あぁ・・・。一夏に渡すものがあったから、来てみれば鍵が開いていて、シャワーでも浴びているのかと思って開けてみれば・・・・君がいた」

 

「そ、そうなんだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

そしてまた沈黙が続いた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なぁ、シャルル」

 

「・・・・・」

 

「・・・無理をしなくてもいいから・・・・話してくれるか?・・・どうして男装をしていたのか・・」

 

「・・・う、うん・・・分かった」

 

そしてシャルルは深呼吸をして、隼人に向き直る。

 

 

 

「・・・僕が何で男装をしていたのかと言うと・・・・実家からの命令なの」

 

「実家?・・実家ってデュノア社だろ?」

 

「うん・・・。その社長からの直接の命令なの」

 

(・・・なんか変だな・・・・)

 

隼人はシャルルのしゃべり方に違和感を覚えた。どうも実家の話になるとシャルルの表情はどんどん曇っていく。

 

「・・・なんで命令なんだ・・。親なのに・・・」

 

 

「・・僕はね・・・その人と・・・愛人との間で生まれた・・・子供なんだよ」

 

「・・・・・・」

 

隼人はそれを聞いて衝撃を受けた・・・・・

 

 

 

 

「引き取られたのは二年前・・・。ちょうどお母さんが亡くなった時にね、その人の部下の人たちが来たの。色々と検査を受けた結果、ISの適正が高いことが分かってね、非公式だったけどデュノア社のテストパイロットをするようになったの」

 

恐らく言いたくないだろうに、シャルルは健気に喋っていた。隼人はただ聞くことに専念した。

 

「父と会ったのは二回。話したのは数回かな・・・。話した時間は一時間にも満たないかな・・。普段は別邸で暮らしているんだけど、一度だけ本低に呼ばれたんだけど、その時はひどかったな。その時に本妻に人に殴られたよ。『泥棒猫の娘が!』ってね。参るよね・・・。お母さんも少しだけでも話してくれれば僕だって困らなかったのに・・・・」

 

シャルルは愛想笑いをするが、声は全く笑っておらず、枯れていた・・・・。

 

隼人はとてもじゃないが見ていられなかった・・・・。そして怒りが体の奥底から沸いて来て、それを何とか押さえ込んだ。

 

「それで、その後だよ。会社が経営危機になったの」

 

「なんだって?デュノア社は量産型ISのシェアが第三位だろ・・それがなんで・・・」

 

「そうだけど、結局リヴァイブは第二世代型なんだよ。性能が高くても、今は第三世代型の開発が主流だからね」

 

「それは・・・そうだが・・」

 

「それに、ISの開発には膨大なお金がかかるの・・・。ほとんどの企業は国からの支援があって成り立っているの。フランスは欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』から除名されているから、元々資本的に不安定だから、支援金があんまりないんだ」

 

「・・・・・・」

 

「そもそもデュノア社は第二世代型の開発を主に行っていたから、第三世代型のISの開発には圧倒的にデータが不足していて、形にはならなかったの。その後に政府から予算の大幅カットが通達されて、もし次のトライアルに選ばれなかった場合には援助を全面カット。ISの開発も剥奪されてしまうの」

 

「・・・事のあらすじは分かった・・・・。それで、男装している理由って言うのは・・・・恐らく注目を浴びる為の広告塔ということか」

 

「その通りだよ・・・・。それに・・・日本での特異ケースと接触しやすい・・・。そうであれば、使用者のISのデータも取れるだるってね」

 

「・・・一夏の白式のデータか」

 

「そう・・・。そして・・隼人のバンシィのデータを・・・確実に取ってくるようにって厳命されているの」

 

「・・・・だろうな」

 

「・・・え?」

 

「確かにバンシィのデータは誰もが喉から手が出るほど欲しがる物だろうな。未だに開発されていないビーム兵器の実用・・・全身装甲で感情に影響して変化する特殊フレームを使用している。そんなデータが取れれば、起死回生の切り札になる・・・と、言ったところか」

 

「・・・確かに、そうだね・・・」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「まぁ、こんなところかな・・・・。でも、隼人にばれちゃったし、本国から呼び戻されて、デュノア社は潰れるか、もしくはどこかの会社の傘下に入るか・・・。まぁ、僕には関係ないかな」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「あぁ・・・。なんか話したら楽になったよ。最後まで聞いてくれてありがとう・・・それと、今まで嘘を付いてごめんね」

 

そしてつらそうに笑みを浮かべた・・・・

 

 

 

 

「・・・なぜだ」

 

「え?」

 

「なんでお前は笑えるんだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

「おかしいだろ・・・そんなの」

 

「・・・・そう言われても・・・」

 

「・・それでいいのか」

 

「・・・良いも悪いも・・僕に決められる権利なんか・・・ないよ」

 

 

「・・・!」

 

そして隼人は立ち上がるとシャルルの左頬に平手打ちをして、シャルルの胸倉を掴むと無理やり立ち上がらせた。

 

「ふざけるな!!何でお前はそう簡単に諦めるんだ!」

 

「・・は、隼人・・・?!」

 

「俺はそんな奴を見ると腹が立って仕方がないんだよ!!」

 

「・・・・・」

 

「そんなものなんかなぁっ!」

 

 

 

「・・は、隼人・・・」

 

「っ!」

 

すると、シャルルは怯えて涙を流していた。

 

「・・・す、すまない」

 

隼人は怯えたシャルルの声を聞いて我に返り、胸倉から手を離すと、シャルルをベッドに腰かけさせた。

 

シャルルの左頬は赤く腫れていた。

 

「・・・ど、どうしたの?隼人らしくないよ・・・」

 

「・・・い、いや・・・どうしても・・・怒りを抑えられなかった」

 

「・・・・・・」

 

そして隼人はベッドに腰掛けた。

 

「・・・でも、許せないんだ・・。そうやって・・最初から諦めているやつを見ると・・」

 

「・・・・・」

 

「・・何もできない・・・それは分かるさ・・・俺だって何もできなかった時はある・・・・けど、そうやって本当の自分を殻に閉じ込めさせてもいいのか」

 

「・・それは・・」

 

「・・お前はそれでいいのか・・・・本当のお前はそれでいいのか?」

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

シャルルは少し考えて、手を握り締める。

 

「・・僕だって・・・自由になりたいよ・・・・。利用されるばかりの生活なんて・・・いやだよ」

 

そして涙を流す。

 

 

 

「・・・それでいいんだ」

 

「え・・・?」

 

 

「自分に素直になれ・・・。頼りたい時は頼れ・・・それは恥ずかしいことじゃない」

 

「・・隼人」

 

「・・・それにな、俺は別にお前が女だって言うことは先生には言わないさ」

 

「・・・・・え?」

 

「俺が黙っていれば、問題はない。それは、お前もそうすれば本国にも知られる心配もない」

 

「・・で、でも」

 

「それに、ここの特記事項第二一はなんだ?」

 

「え?・・え、えぇと・・・確か・・・本学園における生徒はその在学中ありとあらゆる国家、組織、団体に属しない・・だったけ?」

 

「そうだ。それに付け加えると、本人の同意がない限り、外的介入は原則として認められないものとする」

 

「・・・・だから・・」

 

「そうだ。つまり、ここに居れば少なくとも三年間は大丈夫ってことだ。その間にシャルルは考えればいいんだ」

 

「・・・隼人」

 

「ん?」

 

「・・・よく覚えていたんだね・・・。僕も詳しくじゃないけど・・・特記事項って五十五個もあるんだよ?」

 

「俺は勤勉なんだよ」

 

「そうかもね」

 

そしてシャルルはようやく、本当の笑みを浮かべた・・・

 

 

 

(・・本当に・・シャルルって可愛いな・・・上目遣いで見られると、尚更だ)

 

隼人はシャルルに見られて少し動揺する。

 

 

 

 

「・・ま、まぁもし・・・もしもの話だ」

 

「・・・?」

 

「・・・もし頼る人がいないってことになれば・・・その時はな・・・俺がお前の家族になってやるよ」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「・・もちろん・・・真に受けなくてもいいんだぞ?もしもことだ」

 

「・・・隼人・・」

 

「・・お前を一人ぼっちにはさせたくないからな・・・。俺みたいに・・・」

 

「え・・・?」

 

「・・まぁでも、どうするかは君次第だ。ゆっくり考えてくれ」

 

そうして隼人はベッドから立ち上がると、部屋を出ようとする。

 

 

 

「おっと・・その前に」

 

そして隼人は部屋を出る前にシャルルに近寄る。

 

「こいつを一夏に渡しておいてくれ」

 

隼人はポケットからメモ用紙を取り出して、シャルルに渡した。

 

「う、うん・・分かった」

 

そしてシャルルがうなずくと、それを確認した隼人は部屋を出て行った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

そしてしばらくしてシャルルはため息を吐く。

 

(・・・隼人)

 

シャルルは隼人の言葉を思い出した。

 

 

 

『俺がお前の家族になってやる』

 

 

 

「・・・・」

 

そして隼人に平手打ちをされた左頬に触れる。少しばかりまだ痛みがあった。

 

(初めてかな・・こんなことを言われたのって・・・それに、真剣に叱ってくれた人も・・隼人が初めてかな・・・)

 

あの時の真剣な眼差しと、その言葉を思い出す。

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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