No.449023

正義を受け継ぎし者 プロローグ1

優雅さん

高町家の末っ子"高町なのは"には、大きな夢がある。それは、"大切な人を守ることが出来る正義の味方"になる事である。この夢は、高町家の居候だった青年"衛宮士郎"から、受けついた夢だ。正義の味方を目指す魔術師見習い"高町なのは"は、ある日、"魔法"の力を得る。(このなのはは、運動音痴ではありません。また、Fateの方でも、作者が独自の設定が入っている為、「ありえないだろ、これ………」と、思うところがあるか知れません。そこは、大きな心で見逃して下さい………)

2012-07-08 13:35:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8309   閲覧ユーザー数:7878

 

 

「お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・・」

一人の少女が、泣いている。

少女の名は、高町なのは。この高町家の末っ子である。

「ごめんな、なのは・・・

俺はな、もう治らないんだ。これは、病気なんかじゃないんだ。

これは、俺が昔受けた呪いなんだ・・・」

少女のすぐ傍には、一人の男性が布団の上で寝ていた。

赤色の髪に、白い髪の毛が混ざっている。肌は、少し日焼けしている位に黒くなっている。

この男性の名は、衛宮士郎。高町家に居候している"魔術師"の青年である。

「ごめんね、お兄ちゃん。

私が・・・私が、もっと治療系の"魔術"ができたら・・・」

なのはは、"If"の世界を夢見た。

もし、自分がもっと魔術ができていたら・・・そんな"If"を・・・

「だめなんだよ。この呪いは、決して治らないんだ・・・

この呪いは、"|この世の全ての悪(アンリマユ)"なんだ・・・・」

「えっ!??」

なのはは、"|この世の全ての悪(アンリマユ)"の名を聞き驚いた。

"|この世の全ての悪(アンリマユ)"とは、なのはが、愛読する本"聖杯戦争"に、でてくる聖杯の中身だったからだ・・・

ちなみに、この"聖杯戦争"という本は、昔、士郎が記憶の整理に執筆した文庫本の事だ。

「ねえ、お兄ちゃん・・・嘘、だよね・・・

"|この世の全ての悪(アンリマユ)"なんて・・・」

「いや、本当なんだ。

俺は、聖杯戦争で|"この世の全ての悪(アンリマユ)"の呪いを受けたんだ。」

「そん、な・・・

う、うわ~~~~~~ん・・・ひっく・・・お、お兄ちゃ~~~ん!!」

なのはは、ついに泣き崩れてしまった。

士郎は、なのはの頭を、撫でてっやった。

その様子は、まるで本当の親子のように見える。

「・・・なあ、なのはは、将来何になりたいんだ?」

「ふえ・・・ひっく・・・わ、私は・・・

私は、将来"正義の味方"に為りたい!お兄ちゃんのように、みんなを助けれるような正義の味方に」

「なのは、正義の味方はな、為れないんだ。

みんなを救うことは、できないんだよ・・・」

士郎は、まるで自分に言い聞かせるように言った。

けれど、なのはは、納得しようとしなかった。

「それじゃあ、なのは。約束してくれ・・・

絶対に、自分を最優先にすること。絶対に、諦めないこと。そして・・・

絶対に、大切な人を見捨てないこと、できるか?」

「うん。絶対に・・・守るよ。お兄ちゃん・・・」

「そうか・・・安心した。」

士郎は、笑っていた。

普段は、あまり笑うことが無かった士郎の満面の笑みが、そこにあった。

「なのは、これが俺ができる最後の応援だ。

具現化開始<<トレース・オン>>」

そう言うと、士郎の胸の辺りが輝き徐々に一つの形になっていく。

それは、黄金の鞘だった。

「お兄ちゃん、これは?」

「なのは、これはな、"|全て遠き理想郷(アヴァロン)"っていう鞘だ。

これを、なのはに渡すよ。」

「アヴァ、ロン・・・」

なのはが、それに触れいるとなのはの中に入っていった。

「あれ、消えちゃった?」

「大丈夫だよ、なのは。

"|全て遠き理想郷(アヴァロン)"は、なのはの中にあるよ。

きっと、"|全て遠き理想郷(アヴァロン)"がなのはの為になってくれるよ」

「お兄、ちゃん?」

「ごめんね、なのは。

今は、少し眠いんだ・・・」

「う、うん。それじゃあ、お外に出てるね・・・」

そう言って、なのはは、部屋の外に行った。

部屋に残った士郎は、まるですぐ傍に誰かいるかのように、独り言を呟いた。

「親父、ごめんな。俺、正義の味方になれなっかったや・・・

でも、いいよな。俺の夢は、なのはが引き継いでくれた。

きっと、なのはなら俺たちみたいに為らない。そして、きっと俺たちが叶えられなかった事を、

叶えるよ。

なんか安心してきた。親父も、俺が代わりに正義の味方になるって言った時も、この感じだったのか?

親父、俺は、もう頑張らなくても、いいよな?」

そう言って、士郎は目を閉じた。

ここに、一人の男の物語が終わった。

 

 

 


 
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