小狼視点
小狼は見ていた。直政達機関部の憂い、シロジロの武蔵における金銭問題への解決案、ネイトの騎士
としての思い、向井の助けを求める声、
そしてトーリと正純の三河消失とホライゾンの自害における代替案。
それぞれに思いがあり、意思があり、覚悟があって不謹慎だが中々に嬉しいものだ。
そういえば昔、酒井学長も生徒たちの成長を見ると喜んでいたがなるほど、
こういうことなのかと納得できた。
と感慨にふけっていると何者かが乱入してきた。
それは黒の外套を身に引っかけるようにして着込んだ赤の魔神族。顔にメガネを掛けた姿の持ち主は、
「ーーーKPAItalia副長、ガリレオであるよ」
その瞬間、
「拙・僧・発・進・・!」
ウルキアガがガリレオに突っ込み、当たる。
しかし激突の音が、響かなかった。
砂煙が晴れると、ガリレオの持っている大罪武装(淫蕩の御身)によって無力化されたらしい。
だが、
「・・・・行け!!」
その言葉より一瞬早くノリキが飛び出し、ガリレオに向かっていった。
「創作術式{弥生月}ー発動」
ノリキは術式が発動した右手でガリレオの脇腹に拳を打ち込んだ。
それは全力の一撃だが当たっただけで無傷に近かった。
ガリレオはそのことに対して説明しているが、後方から
「講義をしている暇があるとは思わないが」
その声に見守っていた人々が気付いた。
橋の上にいた小狼がガリレオのすぐそばまで近づいていた。
「く」
ガリレオは小狼が放とうとしている蹴りを防ぐため避けようとしようとするが、
「返してもらおう・・!」
打撃のダメージを持ったウルキアガが淫蕩の御身に手を伸ばした。
小狼の攻撃を避ければ淫蕩の御身が奪われ、淫蕩の御身を守れば、
ガリレオは致命的なダメージを受ける。
だがガリレオはどちらもしようとはしなかった。
「天動説」
その言葉と共に、ある現象が生じた。
三人が地面に叩きつけられガリレオを中心にして、円弧を描きながら校庭に吹っ飛んだのだ。
正純は砂煙が起きている校庭を見た。
砂煙の外からガリレオを中心に吹き飛ばされているノリキとウルキアガが倒れている。
二人とも動くことはできているがダメージがあるのか即座に立てない。
だが小狼の姿が見えなかった、周りの連中を見ると皆もそうらしい。徐々砂煙が晴れていくと
「・・・・まさかこんな方法で防ぐとは」
ガリレオの驚きの声で気付いた。小狼はガリレオに吹き飛ばされる前のところに立っていた。
皆なぜという表情で見ているとガリレオが驚きの顔で言った。
「まさか天動説が発動する直前に私に向かっていた攻撃を強引に地面に向かって蹴り、
そしてそれを主柱として吹き飛ばされるのを防ぐとは。
少し間違えばその足が折れていただろうに」
聞いているこっちの方が驚きである。
そうしていると背後の空、サインフレームに映っているであろうインノケンティウスが、
「おいおい、邪魔するなよ、学長代理。校則法だとお前は動けないはずだろうが」
「俺は武蔵の相対戦を邪魔しようしたガリレオを排除しようとしただけだ。別に相対戦そのものには関わっていない。
それに天動説は異端ではなかったか、それに関してのガリレオに対するお咎めは無しか?」
「ガリレオ、地動説の否定証書を後で出せ。それで帳消しだ」
「では今の内にやることはやっておこうか」
と言って手の平をかざし、何かを告げた瞬間、ガリレオは御広敷と入れ替わった。
そのまま二人の方へ跳んでいき、正純とトーリにこうげきを加えようとした。
が寸でのところで二人を守った人物がいた。
それは槍を抱えた黒髪を結った少女だった
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