結果から言うと惨敗だった 善吉は午後から半袖が笑っていた絶叫マシンに片っ端から乗っていった 少しでも叫ぶようなことがあればネタにできるのだが実際は
「う、わあああああああああああ!?」
「あひゃひゃひゃひゃ☆ 面白ーい!」
むしろ善吉が叫ぶようになり半袖は楽しんでいた
マシンから降りると半袖は
「だっさーい、あのくらいで叫ぶとかさ あたしを叫ばせたいならもっとすごいのにのせな☆」
「ぐっ……」
挑発に乗ってリベンジに、より一般人が叫んでいたマシンへと乗り換える それもまた善吉だけが叫ぶことになり半袖はより笑うだけだった 半袖にとって絶叫は面白い乗り物としか扱われてないようだ
その後も色々な乗り物を試したのだが効果はなく、一人善吉だけが疲れることになった
そこで今度はジャンルの違うものに手を出す
「絶叫は絶叫でもホラーハウスだ 行くぞ不知火」
「あひゃひゃ☆ 飽きないね人吉」
「当たり前だ お前が叫ぶまでは続けギャーーーー!」
先頭をドンドンと進む善吉の前に仕掛けが発動し善吉を驚かせる それをわかっていたのか少し後ろで半袖はその様子を笑っていた
善吉は同じ失敗をしないように半袖を隣に一緒に進むことにした
「人吉ってバカだよね あたしを叫ばせたいのに先に行って自滅してるし」
「ぐぅ…… あ、あれは不知火が小さすぎて見えなかったからてっきりついてきてるかと」
「言い訳があたしのせいかよ ならこうするしかないね☆」
「あ? なんだよ」
「別っつに~ これなら見失わないかなぁ~て」
半袖は善吉の腕を自分の腕と組ませた それには善吉も気づくかと思ったが
「そうだな その方がお前が叫んだ時の反応がよくわかる」
「人吉はあれだね まあいいや」
どんどんホラーハウスを進むも半袖は笑うだけ 善吉は隣の半袖に笑われたくないので叫びたいのを我慢しながら半袖が叫ぶその時を待った
結果、叫ぶことはなかった
午後はかなりのハイペースでアトラクションを回ったので疲れている善吉は近くのベンチに座った 日もかなり暮れているので潮時だろう 半袖が叫ぶことはなかったがそれなりに楽しめたからと決めつけた
「ん?」
隣に座っている半袖の様子がおかしい いつもはあれだけ話すのに大人しいじゃないか それに体重も善吉にほとんど預けているようだ
「スー、スー」
「寝てるのか まああれだけ動き回れば疲れるよな 不知火の歩幅とか俺と大分違うし」
善吉に寄り添うように眠る半袖 それを見て善吉はまだ閉園までには時間があると思ってギリギリまでは寝かせてあげることにした
「むにゃむにゃ…… まだ食べられるよ」
「夢ん中でも食べてるのか? しかもまだ食うって……そこはもう食べられないよだろ」
「ほら……人吉、あーん」
「どんな寝言だ!」
「あひゃひゃ☆ あたしがあげるわけないじゃん」
「いやそこはくれよ! つーか不知火、お前絶対起きてるだろ!?」
「むにゃむにゃ スー、スー」
「……はぁ まったく、どんな夢なんだよ」
そこには半袖が善吉の手を握りながら嬉しそうに眠る姿があったらしい
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人吉善吉と不知火半袖オンリーの話です 作者は恋愛好きなので書きたかったんだ