――お前は救われない。
――生きてはいけない人間だ。
――誰もお前の存在など認めていない。
頭の中に声が響く。
「そんなこと、ない」
ただそう返すだけで精いっぱいだ。
――強がるな、お前も気付いているはずだ。
「なにに……?」
――自分は幸せなど得てはならないと。
「それは、違う。私は……」
――違わない。
――なぜならお前は、罪人なのだからな……
「違う!!!!」
私は寝床から飛び起きた。どうやら、夢を見ていたようだ。
「どうして、あんな夢を……」
一人静かにつぶやいた。その時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「どうしたの!? 大声がきこえたけど」
そこにいたのは、心配そうな表情をした一人の少女だった。
どうやら部屋の外にいた彼女に聞こえるぐらいの声を出してしまったらしい。
「大丈夫。なんでもない」
私は目の前の少女にただそれだけの言葉を返した。
「本当に、大丈夫?」
「うん。心配いらない」
その言い分にまだ納得はしきれてはいない様子だったが、彼女はそれ以上は追及はしてこなかった。
「じゃあ、私は戻るね。でも、何かあったら遠慮なく言ってね。それじゃ、おやすみ。リリスちゃん」
「おやすみ。なのは」
この会話を最後に、なのはは部屋から出て行った。
再び私は寝床についた。
けれど、さっきの夢が頭から離れない。
考えないようにすればするほど、逆に意識してしまう。
眠れない、ねむれない、ネムレナイ。
「どうすれば、いいの?」
当然この場には自分以外に誰もいない以上、その問いに答えてくれる者はいない。
ただ私の声が部屋に響くだけだった……
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