No.448122

乱世を歩む武人~第三話~

RINさん

徐栄の涼州入りです。勢力は・・・多分5行も読めばわかるかと。

2012-07-07 15:55:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5401   閲覧ユーザー数:4697

徐栄

「やっと街が見えてきたわ・・・」

 

なんとか涼州の街についた。

 

途中幾度と無く例の黄巾賊に襲われたが少人数の者に対してはその場で斬り殺して手持ちのものを頂く。

 

そして運悪く大規模の部隊にみつかったときには・・・

 

徐栄

「おっとそうだ。街に入る前に外しておかないと・・・」

 

殺したやつから取っておいた黄巾を頭に巻き素通りしていったのだ。

 

徐栄

「それにしても・・・本当にただの寄せ集めだったな。まさかこの程度で騙せるとは思わなんだ。」

 

コレを頭につけて置けば大抵の場所では歓迎されるし蓄えがあるところでは食事まで出してくれる始末。

 

「俺達が天下を取るんだー!」と息巻いている奴がいたりてんほーだかちーほーだかは俺達の女神!だとか騒がしかったが。

 

とりあえず街に入る。賊が多くなっている現状を鑑みるとこの街はかなり落ち着いているようだ。

 

おそらくよき治世者がいるのだろう。

 

私は点心を買いつつそこの親父さんに聞いて見ることにした。

 

徐栄

「すいません・・・私、旅のものなのですがここはどこなのかを教えていただけないでしょうか?」

 

親父さん

「ここかい?ここは董卓様の治める天水の街さ。」

 

徐栄

「天水・・・なるほど。この街の賑わいも納得です。」

 

 

天水の董卓といえば人中の呂布を筆頭に神速の張遼、猛将華雄などの質のいい武将がそろっており優秀な軍師もいるという話を耳にしている。

 

その話の真偽はこの街をみれば一目瞭然というものだ。話にあがるだけの実力者たちなのだろう。

 

親父さん

「なんだ。兄ちゃんはここに兵として志願しにきたんじゃなかいのかい?」

 

徐栄

「え?いやそのつもりでしたが・・・どうしてそれを?」

 

親父さん

「明日に華雄将軍と張遼将軍による志願兵の試験があるんだよ。てっきり俺はその志願兵の一人かと思っていたんだがな・・・」

 

別にここまで来たら兵卒でわざわざ働かずともどうにかなりそうなものだが・・・丁度いいし今後のために見ておきたい。

 

徐栄

「ソレを聞いたわけではなかったのですが・・・もともと兵卒として置いてもらおうと思っていたので丁度いいようですね。ありがとうございます。」

 

親父さん

「いいってことよ。お前さんが兵隊になって俺の店に来てくれればそれが一番のお礼だ。」

 

徐栄

「はは、それもそうですね。では・・・また後日お会いできましたら。」

 

私はさっそく城へむかい志願兵の応募をしてくるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日になり試験開始時刻になった。志願者は現在全てを城の外の広間に集められている。

 

しばらくすると二人の女性があらわれた。

 

一人は白髪で大きな斧をもっている。当たり前のように持つ姿からその女性のちから強さがありありと見て取れた。

 

もう一人は紫髪の女性であり偃月刀を肩にさげ現れた。こちらの偃月刀はともすれば彼女の身長と同程度はあろうという長物。扱うだけでも相当な鍛錬が必要となるだろう。

 

ちなみに上半身は羽織にサラシという大胆な服装だ。

 

白髪の女性もそうだが二人ともやけに肌色が多い。・・・そういう土地柄なのだろうか。

 

華雄

「私が今回貴様らの試験官である華雄だ!」

 

張遼

「同じく張遼や。よろしゅうな」

 

どうやら彼女達が新兵受け入れの試験をするらしい。あれが神速の張遼に猛将華雄か・・・なるほど見に来ただけの価値はありそうだ。。

 

華雄

「では試験をはじめる!細かいことは言わん!三人一組になって私か霞の一撃をしのいでみせろ!」

 

まわりが騒がしくなり始める。それはそうだ。あんなもの直撃したら死んでしまう。

 

張遼

「心配せんでもウチらの武器ももってるやつやなくて模造刀や。ウチも華雄も手を抜くし一撃だけ・・・それに優秀な軍医もいるさかい怪我をしてもちゃーんと手当はしたるよ。

 

ーーーーーーまさか怪我をする程度の覚悟もなく兵になろうなんてアホもおらんやろうしな。」

 

困惑している周りを見て張遼さんが補足で説明を入れた。

 

それを聞いて決心がついたのか周りが組を作り始める。

 

正直一撃ならば一人でもどうにかなるが・・・どうせ3人でやるのなら楽がしたいと思うのが人情。

 

誰と組むのが一番楽に通過できそうかと考え周りを見渡していると・・・

 

 

 

張遼

「ん~・・・?なぁ兄ちゃん。ちょいこっちきてや」

 

 

 

張遼さんから呼び出しがかかった。

 

 

 

 

徐栄

「はい・・・なんでしょうか?」

 

張遼

「いやちょいとな・・・ふ~ん・・・なるほど・・・」

 

張遼さんはグルグル周りながらと私の身体を観察してくる。

 

・・・なにか付いているだろうか?

 

張遼

「兄ちゃん。名前は?」

 

徐栄

「徐栄と申します。」

 

張遼

「そうか。なぁ徐栄。あんた・・・相当できるやろ?」

 

ひと通り観察し終えたのか彼女は唐突にそう言ってきた。

 

徐栄

「いえいえ・・・私より強いものなどたくさんいますよ。」

 

張遼

「いや、あんたはそこいらの連中より強い。目の光も体つきもあきらかに武を鍛えたもんのそれや。」

 

彼女は確信を持った目でそう断言してくる。

 

・・・なんだろう。嫌な予感がする

 

張遼

「よし、あんたは試験うけんでもええで。その代わりに最後にウチと勝負や!」

 

徐栄

「・・・はい?」

 

一兵卒の試験を受けきた人間と模擬戦?

 

冗談だろうと思ったが彼女の瞳は冗談を言っているようにも見えず、まるで新しいおもちゃを見つけたようなそんな綺麗な目をしていた。

 

張遼

「じゃあ他の奴らの試験をしてくるさかい、適当にここらで待っとってな!逃げたら承知せぇへんで!」

 

徐栄

「あの、ちょっと・・・!」

 

こちらの静止も虚しく彼女は足早に他の兵たちの元へと向かっていったのだった。

 

徐栄

「・・・まいったね、どうにも。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の兵卒試験が終わったここ調練場。

 

向こう側には張遼さんが準備運動をしている。どうやら兵卒試験程度では肩慣らしにもならなかったらしい。

 

周りには騒ぎを聞きつけたのか、観客がチラホラと見えていた。

 

???

「ねぇ華雄。あいつが霞が目をつけたっていう奴?」

 

華雄

「ん?ああ、詠か。なんでも新兵志願者の中にいたらしい。私には強そうには見えないが・・・」

 

華雄さんと眼鏡をかけた小さい女性がなにやらヒソヒソと話している。

 

その隣では赤毛の女性がジーっとこちらを見ていた。

 

・・・消去法で考えるならば彼女が呂布かな?まとっている雰囲気は常人のそれではない。

 

張遼

「おし、準備完了や。そっちは準備はええかー?」

 

どうやら準備運動は終わったらしい。自身の愛用の武器の模造刀を振り回している。

 

しかしやる前に問題がひとつ。

 

徐栄

「あのぉ・・・やはりこの勝負おりるわけにはいかないでしょうか?」

 

私はおずおずとそう尋ねる。彼女の武を見たいとは確かに思った。しかし自分で受けては・・・あちらに自分の武を見せては意味が無い。

 

もともとココには長くとどまるつもりはない。路銀がある程度溜まったら早々にここを出ていくつもりなのだ。

 

・・・そうでないと時が来た時に対応ができないし。

 

張遼

「おいおい兄ちゃん。ここまで来といてソレはないやろ。ウチはもうとまらんで?。それに・・・」

 

チラリと眼鏡の女性を見やりながらこう続ける

 

張遼

「今はウチらの筆頭軍師様まで見に来とる。がんばれば武将として雇ってもらえるかもしれへんで?」

 

なるほど。あの眼鏡の娘がここの軍師か。文字通り眼鏡にかなえばその用兵術を見れる可能性がでてくるな・・・

 

・・・よし。少しやる気をだすか。

 

徐栄

「ふぅ・・・分かりました。ではどこまで出来るかわかりませんが御相手いたしましょう」

 

そういいながら武器が並んでいるところまで歩き、無造作に一本の剣を手にした。

 

その様子を見ていたのか張遼さんは少し呆れた顔をしている。

 

張遼

「おいおい・・・そないに適当な選び方でええんか?」

 

徐栄

「ご心配なく・・・丁度具合の良い剣が目の前にあったというだけですので」

 

張遼

「ふ~ん・・・まっええわ。じゃあお互い武器も持ったことやし・・・始めよか?」

 

そういいながら武器を構える。その構えには隙らしい隙はない。

 

徐栄

「ええ・・・そうですね・・・じゃあ」

 

私もそう言いながら武器を構える。

 

張遼

「行くで!」

 

徐栄

「行きます!」

 

お互いが図ったかのように大地をけりあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調練場に剣戟の音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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