No.447558

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 18

soranoさん

第18話

2012-07-06 22:18:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1845   閲覧ユーザー数:1716

~拠点内~

教団の中でも特別な拠点――今、そこはリウイ達の襲撃によって阿鼻叫喚が飛び交った。

「セアッ!!」

「グハッ……!」

リウイの持つ技でも高威力を持つ突剣技――フェヒテンケニヒによるレイピアの攻撃が教団員の腹に大きな風穴を空け

「行くわよ~それ、それ、それぇッ!」

「あ……?ギャァァァァ……!手が……足が……!」

カーリアンの目にも止まらない3連続攻撃を喰らった教団員は自分の体の一部がなくなったことに気付き叫びながら大量の血を流し死に

「行きます……!烈輝の陣!レイ=ルーン!!」

「「「「………ッ!!!???」」」」

ペテレーネの魔術は逃げようとした”客人”や教団員諸共巻き込み消滅させ

「連接剣のお味はいかが?ハッ!」

「グッ……そんな……私を……誰だと……!」

同じようにその場から逃げようとした客人の心臓をファーミシルスが放った連接剣が破壊し絶命させた。

 

「ファーミシルス!」

「ハッ!」

「お前は一端ここを出て、裏口や隠し扉等から逃げているであろう教団員や客人達を滅せよ!」

「お任せを!……ハァッ!!」

リウイの命令を受けたファーミシルスは逃亡者の追撃のため、広間で飛び上がり、天井を稲妻を帯びた連接剣で破壊してその場を離れた。

「カーリアン!俺とお前は二手に分かれて館内にいる奴らを一掃するぞ!もし、子供達がいたら優先的に保護をしろ!」

「わかったわ!」

カーリアンもリウイの命令を受け違う広間から部屋へ向かった。

「ペテレーネ!お前は俺と共に来い!」

「はい!私は常にリウイ様のお傍にいます……!」

ペテレーネもリウイの命令に頷きリウイと共に違う部屋へ向かった。

 

「ハァハァ……どうして、こんなことに……!」

拠点の異変を感じいち早く逃げだした客人の一人が息を切らせながら呟いた。

「クソ……!肝心な所では使えない奴らよ!とにかく我らは何事もなかったかのように戻りましょう。」

一人の客人が悪態をついた後、その場にいる客人達に提案した。

「ええ、それがよろしいでしょうな。」

提案に頷いた客人達は一刻も早く自分の屋敷に戻ろうとしたが、その時一人の客人が闇の魔槍に貫かれた。

「な……ガハ!」

貫かれた客人は血を大量に吐き絶命した。

「「「ヒ、ヒィィィィ……!!」」」

それを見たほかの客人達は慌て急いでその場から逃げようとしたが

「その身を溶かせ!強酸の暗礁壁!!」

「「「何も見えない……!ギャァァァァ!体が……と……け……る……」」」

空を飛んで追いついたファーミシルスが放った魔術を喰らい暗黒の壁に包まれた後、体がとけ消滅した。

「あ……あ……メンフィルの……堕天使……!」

ほかの客人達が殺され一人となった客人はファーミシルスの姿を見て、正体がわかり腰をぬかしてしまった。

「フン……堕天使ね……その呼び名を知っているということは、さてはエレボニアの貴族ね。……あの国も堕ちたものね。」

ファーミシルスは百日戦役の時、エレボニアから恐怖の対象としてある呼び名で呼ばれていたことを思い出し、目の前の客人の正体を悟り鼻をならした。

「頼む!金ならいくらでも出す!だから、どうか見逃してくれ!」

客人はファーミシルスに何度も土下座をして命乞いをした。

「フフ、誇り高き”飛天魔族”である私には不要よ。……今、私が欲しいのは貴様のような人間とはいえない屑の命よ!魔の雷に呑まれなさい!ハァァァァァ……!」

「ガァァァァァァ……!」

ファーミシルスの闇の雷を帯びた連接剣に体を裂かれた客人は叫びをあげながら消滅した。

「さて……そういえばまだ、逃げている連中が途中でいたわね……ハッ!」

そしてファーミシルスは遠くへ逃げた客人達を追いかける途中でもほかの客人や教団員がいたのを思い出し

殲滅するために飛び上がり戻って行った。、

 

 

「なぜです、聖女殿!混沌を望む女神の僕であるあなたがなぜ我々の邪魔をするのですか!?」

一方教団員と戦っている中でペテレーネの姿を見た一人の教団員が叫んだ。

「……確かにあなた達のやっていることもアーライナ様が望んでいることの一つです……でも!私にとっての”混沌”とはリウイ様と永遠に生き、リウイ様とイリーナ様の理想である人間と闇夜の眷属が共に生きる争いのない世界を作ることです!”混沌”の考え方は自由!ですから、あなた達を許さないのも私の”混沌”です!」

教団員の叫びにペテレーネは珍しく声を荒げ答えた。

「そういう訳だ。滅せよ!メーテアルザ !!」

「ギャァァァ……!!」

そしてリウイの技によって全身血だるまになり絶命した。

「クッ………かくなる上は!」

周りの死体を見てやけになった教団員の一人が懐から薬を出しそれを飲んだ。

「おお!力が沸いてくる……!ガァ!?アアアァァァッ……!」

「え……!?」

「何!?」

リウイとペテレーネはもはや人間とはいえない姿になった教団員を見て、驚いた。

「チ……カ……ラ……ガァ!」

化け物ともいえる教団員がペテレーネに向かって襲いかかったが

「……どうやら人を踏み外してしまったようだな……ならば遠慮はせん!……我が魔の血よ!目覚めよ!!」

「ガァァァァァ!?」

リウイが放ったすざましい闘気によりあっけなく消滅した。

「……ペテレーネ。今の薬に心当たりはないか?」

リウイはペテレーネにアーライナ教に伝授されている薬かと疑い聞いた。

「……混沌魔獣を作る上で必要な薬に少し似ているかと思います。ですけど材料もここ、ゼムリア大陸では手に入らないのに

一体どうやってここまでの薬を……」

リウイの疑問に答えたペテレーネは信じられないような顔で変貌した教団員の消滅後をしばらく見た。

「……今は考えている時間はない。子供達が優先だ。行くぞ。」

「はい、リウイ様!」

気を取り直したリウイはペテレーネと共に子供達を探しつつ教団員や客人達を殺していった。

 

そしてリウイ達はある部屋に入った。

「これは……!」

「そんな……!」

そこはに子供達と思われる頭や体の一部が散乱し、死体として無事だったものには白い液体らしきものがついていた。

部屋の惨状を見たリウイとペテレーネは驚いた後、怒り悲しんだ。

「金によって肥えた豚共が……!あの時、奴らに恐怖をさらに植えつけて殺すべきだったな……!」

「ごめんなさい……もっと私達が早くこれたら、こんなことには……!」

「………せめて、生存者がいるかどうかだけ確かめるぞ……」

「はい………」

悲痛な顔をしたリウイやペテレーネは地獄絵図となった部屋を散策すると体中に十字傷をつけ、倒れている少女を見つけた。

「もしかしてこの子……リウイ様!この子だけ生きています!」

少女に駆け寄ったペテレーネは少女の微かな鼓動を聞き、生きていることに驚いた。

「……人間とはこんな幼く酷い姿になっても生きているのか……ペテレーネ、回復を。」

「はい!……暗黒の癒しを……闇の息吹!」

ペテレーネが少女に手をかざすと少女の傷が完全に治り、規則正しく呼吸をし出した。

「よかった……それより、今の傷はなんだったんでしょう……?あれではまるで自分で傷つけたような……」

少女が助かったことに安心したペテレーネは少女の傷に疑問を持った。

「……先ほどの無数の十字傷(クロス)。おまえの言う通り自分でつけたものだろう。恐らくこの惨状から自分を保つために……な。」

「そんな……!例え、両親が生きていてもこの子自身が両親を受け入れないのでは……それにご両親も今のこの子を受け入れてくれるかどうか……」

リウイの答えを聞きペテレーネは少女の未来を心配した。

そして少女が目覚めた。

「ん……お姉さん達は誰……?」

「気がついたのね……私達はあなたを助けにきたのよ……」

少女が目覚め、リウイ達のことを聞きそれをペテレーネが優しく答えた。

「レンを……?もしかして、本当のパパとママ……?やっと来てくれたんだ……!」

「え……?」

ペテレーネは少女――レンが自分達を父と母と言ったことに戸惑った。それを聞いてリウイがレンに聞いた。

「本当の……か。以前の両親はどうしたんだ、レン。」

「偽物のパパとママを知りたいの?嫌だけどパパの頼みだから話してあげる。」

レンは話すのも嫌かのように両親のことを語った。誰かに預けられ、そして気付けば今に至ったことを。リウイとペテレーネは両親のことを聞き、何も言えなくなった。

 

「ねえ、あなた達がレンの本当のパパとママでしょ?うんって言ってよ……」

黙っているリウイ達を見てレンが不安そうな顔で聞いた。

「……ああ。お前は俺達の娘だ。……事情があってな、今まで会えなかったんだ。」

リウイが少女の言葉を認めたことに驚いたペテレーネは何か言おうとしたがリウイの『何も言うな』と訴える視線で黙った。

「よかった……!やっとレンは幸せになれるのね……!」

リウイの言葉を聞き、レンは心の底から笑顔になった。

「今は眠れ。疲れているだろう、おぶってやる、ほら。」

「わあ……パパってば逞しい背中ね……気持ちいい……すぅ……」

リウイにおぶられたレンはその気持ちの良さに目を閉じ、眠った。

「あの……リウイ様、本当にこの子を育てるのですか?」

レンが完全に眠ったのを見てペテレーネはリウイに聞いた。

「ああ、いつかこの子が自立するまで育ててやろうと思う。……プリネがいるのに相談もなしに勝手にお前の娘にしてしまってすまんな。」

「そんな……!私もそうしようかなと迷っていた所です!……プリネもきっとこの子のことを受け入れてくれると思います。」

「そうだな……お前には苦労をかけるな、ペテレーネ。」

「いいえ、私にとっては大したことではございませんので大丈夫です。」

「フ、そうか……カーリアン達と合流し、ここに散らばる子供達を供養するか……行くぞ。」

「はい、リウイ様。」

レンをおぶったリウイとペテレーネは一端部屋を出てカーリアンと合流した。

カーリアンはレンの事情を聞き目を伏せた後『そっか。わかったわ、リウイ!』と言って笑顔で答えた後、

ちょうど戻って来たファーミシルスを含めた4人で子供達の供養をして、最後に拠点をペテレーネの魔術で消滅させた後その場を去った。

 

こうしてゼムリア大陸を揺るがした『D∴G教団事件』で助けられた子供達はリウイ達が助けた少女とクロスベル警察が助けた少女の、たった2人という後味の悪い結果で終わった……

 

 

 

 

 


 
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