~某所~
そこには教団壊滅作戦の指揮を執る事になったカシウス・ブライトを始めとした3国の名将、A級遊撃士、クロスベル警察の部署の中で最強と言われる部署の人物達がある人物達の登場を待っていた。そしてついにその人物達が姿を現した。
「……失礼する。」
「……失礼します。」
「は~い、よろしくね。」
「………失礼しますわ。」
その人物達とはリウイ達であった。リウイ達が姿を見せた時、ざわめきが大きくなった。
(まさか皇帝自らが参加するとは……メンフィルは王族自身が戦い兵を鼓舞するというのは噂だけではなかったのか……)
(へ~……聖女や将軍といいメンフィルは綺麗所だらけだな。あの皇帝、仏頂面に似合わずモテモテだな、アリオス。)
(……滅多なことを言うな、ガイ。)
(あれが我らエレボニア帝国を恐怖の底に叩き落とした悪魔共か……クソ!なぜやつらと共同作戦をとらねばならない!)
ざわめきの中でもエレボニアの軍人達はゼクスを除いてリウイ達を厳しい表情で見ていた。そして視線に気付いたファーミシルスはその中でゼクスの姿を見つけ、ニヤリとした。
「あらあら……どこかで見たと思えば、あの時部下全員を殺されたにも関わらずおめおめと逃げ帰った将じゃない。よくこの作戦に参加できたわね。」
「貴様、少将を侮辱するのか!」
ゼクスの傍に控えていた軍人の一人が声を上げファーミシルスを睨んだ。
「あら、私は事実を言ったまでよ?……まあ、見た所貴方達エレボニアはそいつ以外は話にならない強さだったわね。だったら仕方ないわね。」
「我らを侮辱するか……!」
挑発され、怒りを顔に表したエレボニアの軍人達は武器に手を掛けたがゼクスが一喝した。
「バカ者!これから一丸となって戦う同士に何故武器に手を掛ける!!」
「「「しかし、少将!」」」
「聞こえなかったのか!今すぐ武器から手を放せ!」
「「「クッ………」」」
ゼクスに一喝された軍人達は悔しそうな顔で武器から手を放した。
「……部下共が失礼をして申し訳ございません、ファーミシルス殿。」
「……いいわ。私の方も多少言いすぎたようだしね。」
ゼクスが素直に謝ったのを見てファーミシルスは感心し、自分の非も認めた。
そしてざわめきが一通り収まるのを見計らったカシウスが声を上げた。
「さて……全員揃いましたな。これより『D∴G教団壊滅作戦』を行いたいと思います!作戦は至って単純です。こちらをご覧下さい!」
「この印をされているのはなんだい?カシウス殿。」
セルゲイはカシウスが広げた地図に至る所に印がされてある部分を聞いた。
「メンフィルによって提供された、教団の”拠点”です。」
「へえ……たった数日で大陸中にあるこれほどの数の拠点を見つけるなんて、ぜひその方法を俺達警察にも教えてもらえないですかね?」
セルゲイは捜査が専門の一つである自分達が出し抜かれた不甲斐なさに溜息をつきながら冗談混じりにリウイに聞いた。
「………悪いが方法は教えられん。まあ、教えたとしてもお前達人間では決して真似できんが。」
「”闇夜の眷属”ならではの捜査方法ですか……羨ましいですな……」
セルゲイはリウイの遠回しな言い方で拠点を見つけた方法を推理し、メンフィル特有の人材の良さを羨ましく思った。
「では、続けさせて頂きます。具体的な作戦はこちらの拠点を一斉に制圧し、子供達を救出、そして犯人達の拘束です。みなさん、覚悟はよろしいですかな?」
カシウスの確認の言葉にその場にいる全員が頷いた。
「それでは具体的な各国の制圧メンバーの行く場所を今からいいます。まずこちらのA拠点ですが……」
そしてカシウスは次々と各国の精鋭達が行く拠点の場所を読み上げて行った。
「最後にこの拠点ですが……メンフィルの方々にお願いしてもよろしいですかな?」
「ああ。」
「お任せ下さい。」
「腕がなりますわ。」
「任せてよ!」
4人の頼もしい言葉に頷きカシウスは号令した。
「ではみなさんにエイドスとアーライナのご加護を!」
そして軍人や遊撃士達は出て行き、その場に残ったのはカシウスとリウイ達だけであった。
「……本当にこの拠点を俺達に当ててよかったのか?そちらの調書にも書いてあるが”そこ”は拠点の中でも特別だぞ。」
リウイはカシウスにその拠点の特別さを強調して確認した。
「……その拠点に関係するであろう人物達のことを考えれば、その者達と関係がない貴殿等でなければ頼めません。……信じたくはないのですが”ここ”を襲撃した際、”客人”を庇うメンバーが出る恐れもありますので……」
カシウスはリウイの問いに目を閉じて答えた。
「そうか……それとカシウス・ブライト。先ほど貴殿は犯人を拘束してくれと言ったが、悪いが俺達は犯人を”客人”ごと滅し、子供達の保護をするつもりだ。」
「………下手に”客人”が生きていては後々国家間で問題になるので、そのほうがいいでしょう。子供達の救出を優先的にお願いします……」
「わかった。」
そしてリウイ達も出て行きその場に残ったのはカシウス一人だった。
「快楽のためだけに幼い子供達を汚す薄汚い権力者共が……!俺達は裁けないが彼らなら裁いてくれるだろう。では、俺も行くか……」
カシウスは怒りの言葉を呟いた後、自分も作戦に参加するため出て行った。
深夜の森の中、リウイ達は拠点が見えると見張りに見つからないよう隠れて時間を待ち、ついにその時間が来た。
「……時間だ。行くぞ。」
「ええ!」
「ハッ!」
「かしこまりました!」
3人の返事に頷いたリウイはあることに気付いていて、それをファーミシルスとカーリアンに言った。
「……ファーミシルス、カーリアン。気付いているな?」
「ええ。この気配、人間にしては結構腕があるようね。」
「いかがななさいますか?」
「……警告だけしておけ。」
「ハッ!……闇に呑まれよ!ティルワンの闇界!!」
ファーミシルスは闇の奥に潜む存在に加減した魔術を放った。そしてそれを察知できなかったリウイ達を監視していた者達は回避もできず命中した。
「グハッ……!」
「くはっ!」
魔術が命中した監視者達は思わず呻き声を上げた。
そしてファーミシルスは呻き声を上げた方向に向かって叫んだ。
「今のは警告よ!私達の後をついてきたり、私達が戻って来た際まだいるつもりなら、今度は本気で殺すわよ!!」
警告をしたファーミシルスはリウイ達の方に向き直った。
「ではさっさと終わらせましょう、リウイ様。」
「ああ。」
そしてリウイ達は拠点へ進撃した。
一方ファーミシルスの魔術を受けた監視者――青年と少年は呻き声を上げながら起き上がった。
「……ア、無事か?」
「くっ……なんとか……まさか気配を悟られた上、僕達が攻撃を察知できないなんて……」
「……”闇夜の眷属”は人間より感覚が優れているというしな……それにこの暗闇の中であんな魔術を使われれば、例え察知能力が高いお前でもよけられまい……」
「それよりどうするの……ェ。結社からはあの拠点の襲撃の命令を受けたけど、これじゃあ任務どころか返り討ちにあってしまうよ……?」
「退くぞ……メンフィルがこの件に関わってきた際、『絶対に関わるな』。それも命令の一つだろう。」
「わかった………」
そして少年は音もなく木に飛び移り消えた。
「………あれがエレボニアを降したメンフィル皇帝か……機会があれば手合わせを願いたいものだ。」
リウイ達が進撃した方向を見た青年は一言呟いた後、気配を消しどこかへと消えた……
Tweet |
|
|
4
|
1
|
追加するフォルダを選択
第17話