第一章 無印編
第九話「Infiltration」
フェイトちゃん達の家、今俺がいるのは転移用の部屋の一室の様だ。
そこは何もない部屋でそれなりの広さがある。アルフが声をかけてくる。
「何やってんだ?こっちだ」
そう言ってフェイトちゃんとアルフは部屋の出入り口に向かっている。
その二人の後を俺は着いて行った。しばらく歩いて行くとそこには大きな扉があった。
フェイトが扉をノックする。
「母さん、戻りました」
そう言うとやや間があり、
「入りなさい」
と、返事があった。触れてもいないのに勝手に扉が開いていく。
「アルフはここで待ってて」
「・・・でも」
「大丈夫だよ。安心して」
「・・分かったよ」
アルフあからさまに心配し過ぎだな。
わからんでもないがもっと隠したほうがいいと思うが・・・。
「どうした?」
【安心しろ。俺が止めるよ。プレシアさんを】
「あ、な、何でもない!」
【な、何であんたが知ってるんだい!】
「ん?そうか?なら良いけど」
【レアスキル。とりあえず俺がここに来たのはそれ関係だ。】
「・・・じゃあ入って」
フェイトが俺を呼ぶ。
「ああ」
【つーこんで、とりあえずアルフは黙っていてくれ。】
そう言って俺とフェイトは扉の中に入って行った。
扉の向こうは広い空間に執務机が正面にあるだけだった。
部屋自体は上品な雰囲気になっており非常に好ましく思える。
そして机には一人の女性が座っていた。髪の毛は長く左目が前髪で隠れてしまっている。
顔立ちはフェイトに似ているがどこか疲れている感じがにじみ出ている。
間違いないプレシアさんだ。
・・・でもおかしい・・・原作よりも疲れている感じがひどいような・・・?
「ただいま戻りました」
「・・・・・・挨拶は良いわ。で、ジュエルシードは?」
プレシアさん、俺は眼中にないって訳か・・・。
「はい、これです。」
そう言ってバルディッシュからジュエルシードを一つ出す。
「たった一つだけ?残念だわフェイト。あなたはお母さんをそんなに困らせたいの?」
その言葉に怯えつつもフェイトが俺を見る。
そこでようやくプレシアさんが視線をコッチに向けてくれた。
まあ、気付いてないなんて事は無いだろうから無視していだだけなんだろうけど。
「始めましてプレシアさん。俺の名前は九十九彩斗です。
失礼ですが、あなたはジュエルシードを集めて何をする気ですか?」
「・・・誰だか知らないけれど、答える義理はないわ」
「本当に答える気はないのですか?」
【あなたの目的はアリシア・テスタロッサの蘇生でしょう?プレシア・テスタロッサ】
俺は念話でプレシアさんだけに真の用件を伝えるための準備をする。
「・・・・・・・・・。」
【な、なぜそれを!!!!あなた何を知ってるの!!!??】
「どうなんですか?」
【ここじゃ言いにくいですね。どこか別の場所で話しますよ。】
「ここじゃ話せないわ。こっちへ来なさい。フェイトあなたはジュエルシードを集めてきなさい。」
「・・・!はい!母さん。」
そういうとフェイトはアルフがいる場所へ向かっていった。
―研究室
ドガアァァァーーーン!!!!
部屋に入った瞬間プレシアさんから攻撃を受けた。
あらかじめ予測してはいたので防御が間に合い一応無傷である。
「あなたは何者!!??なぜアリシアのことを知ってるの!!」
そういいながら再び攻撃を仕掛けてくる。
俺は最大出力で攻撃を防ぐ。
「ぐ、ゲホッゴホッ・・・。」
その攻撃の後プレシアさんが突如咳き込みひざを突く。
二回攻撃で無理しすぎたようだ。
「!大丈夫ですか!!」
俺はそういって近づく。
原作どおりならこれは"今"のミッドの医療では直せない病気。
だが俺のレアスキルでその治療用魔法はすでに俺の手の中にある。
だから大丈夫だと思いプレシアさんに近づき・・・。
「・・・なっ!」
気づいてしまった・・・。
確かにプレシアさんは原作の通りの病気にもかかっている。
だがこの疲れた様子はそれだけじゃない。
・・・なにかしらの薬・・・しかもかなりの副作用がある奴だ。
俺が未来から仕入れた知識がそう言っている。
とりあえずプレシアさんに安定作用のある治療魔法をかけて落ち着かせる。
そして俺は近くに偶然在った薬品のビンを見る。
「これは・・・体への腫瘍の進行を抑える薬・・・。
だけどこれは禁断症状として思考能力の低下と記憶の欠如
激しい痛みを伴いかつ作用はあくまでも進行を抑えることしかできない
欠陥が多すぎて一般には出回っていない薬じゃないか!」
さらに周りを見てみると鎮痛剤らしきものもあった。
どうやら禁断症状の激しい痛みを抑えるために服用していたようだ。
とりあえず薬の成分を取り除く治癒魔法もかけておこう。
そう考えたあと俺はプレシアさんに不治の病を治す治療魔法をかける。
「・・・ん、うーん・・・はっ私は・・・いったい。」
驚いたなすぐに目覚めるなんて・・・。
効果はあったのだろうか?
「プレシアさん大丈夫ですか?」
「っ!あなたは九十九彩斗!!」
「・・・?そうですが・・・。」
はて?なんか様子がおかしいような気がするが・・・。
「・・・いえ、なんでもないわ・・・あなたなんでここにいるの?」
・・・はい?
「って、え?覚えてないんですか?」
「なんのこと?」
「・・・キューフォー動画ある?」
《はい、表示しますか?》
「頼む。」
《了解しました。マスター。》
そういうと空中にレスキューフォースから画像が表示される。
そこには先ほどのやり取りが映し出された。
それを見てプレシアさんの顔が若干ゆがんだような・・・?
「・・・これは・・・。」
「思い出しましたか?」
「いえ・・・というよりも個々最近の記憶が曖昧になってるわ・・・。」
「やっぱり・・・多分この薬のせいですね。」
そういって俺は先ほどの薬をプレシアさん見せる。
「それは・・・私の病気の進行を抑えるために服用していた・・・。」
「こいつは副作用として思考能力の低下と記憶の欠如がありますから多分そのせいかと」
「そんな・・・。」
プレシアさんの様子がさっきから少しおかしいな・・・。
「それでプレシアさん。単刀直入に言います。
あなたがジュエルシードを回収しているのはアリシア・テスタロッサ蘇生のためですか?」
「っ・・・・・・・・・。そうよ・・・。」
なんだ?反応が予想していたのと違う。
もしかして別の目的が?
「フェイトを虐待しようとしていましたが、それは本心ですか?」
「・・・・・・・・・・・・。」
やっぱり・・・もしかして俺となのはが転生しているせいで
歴史が変わってるのか・・・?
「・・・帰って・・・頂戴・・・。」
「っ・・・。」
「早く・・・帰って頂戴!!」
そういってプレシアさんは攻撃をしてくる。
予想外だったが威嚇だったらしく威力は低かったので何とか防御できた。
「・・・わかりました・・・。とりあえずその薬は飲まないでください。
治療自体は終わりましたので・・・・・・。」
そう言うと俺は海鳴市へと転移魔法を使っていった。
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プレシアSide
「どうして・・・あんなことを・・・。」
さっきの映像・・・。間違いなく私自身だった・・・。
でもそんな記憶はない。
彼の言うとおりならこの薬のせいなのだろうけど・・・。
・・・日記に何か書いてあるかしら・・・。
そう思った私は部屋の鍵のある引き出しを開けて中の日記を取り出す。
そこ中には・・・。
「なっ・・・・・・。」
トスッ・・・。
それを見た瞬間私は日記を落としてしまった。
あんなことを・・・。
ごめんなさいフェイト・・・アリシア・・・。
書いてあることが真実なら私は今とんでもないことをしてしまっている。
私はともかく・・・このままではフェイトが・・・・・・。
・・・・・・覚悟を決めるしかないわね・・・。ごめんなさいフェイト・・・。
ごめんなさいね。あなたの忠告聞けなくて・・・
九十九彩斗・・・。
プレシアSide end
STORYは新たなる舞台へと進む・・・。
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今回は短め
勘のいい人は気づいているともいますが・・・。
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