第三話 え?!どういうこと!?
「まだ終わらん。終わらせんぞぉおおおおおお!まだ見ぬ可愛い恋人の乱れた艶姿を見るまでわぁあああああ!」
欲望全開!煩悩全開!ただいま落下中の主人公!沢高志!
恐らく地球の空をまっさかさまに落ちている俺。プレシア(半死半生)。アリシア(瓶詰)。
前回、ジュエルシードから出てきた≪穴≫様のお力で虚数空間から地球のお空に投げられたみたい。
…ガンレオンはお空は飛べないのにね。
「だが、甘いっ、甘いのだよ!ガンレオンは条件を満たせばお空だって飛べるのさ!」
それがマグナモード。ガンレオンの本来の姿。
この黄色と黒の縞々になっている部分。
実はガンレオンが自分の体を包み込むかのように閉じている羽のようなものがあるのだよ。
それを広げるとまるで凶悪な熊手のような羽。それだけだと空も飛べそうにはないが、その羽と羽の間からはロケットから噴き出る炎のように、赤いエネルギーが噴き出して空を飛ぶことが出来るのだ。
「…問題はスフィアなんだよな」
マグナモードを発動させるにはスフィアが必要不可欠。
落っこちていく最中に意識をデバイスというか、自分の体の奥に向けてみるとなんか自分とは違う何がある。
…中二的なものを感じてしまったが、ガンレオンのモニター。
俺の目の前にポンと現れたモニターには、
『マグナモード施行。
→はい
いいえ』
というアイコンがあった。
どうやらスフィアはあるようだ。そして、意識すると矢印はいいえの方にもいく。
「…でもなあ」
転生特典の逆転。
俺の持つガンレオンのスフィア『傷だらけの獅子』はこの力を使うと体中が痛くなるというものがある。
これを無しにしてくれという特典が発動するかどうか分からない。
そして一番厄介なのはスフィアの因果。
スフィアの力は使いすぎるとその副作用が常に発動する。
俺の場合、常に体が激痛に襲われる。
それだけじゃない。この力を狙う他のスフィアの持ち主たちが俺のいる世界にまで来るかもしれない。
特に黒の放浪者。
俺、今アサキムに狙われたら一発でやられる。
もちろんこれも特典で無しにしてもらいたかったのだが、あのなんちゃって神の動向を見るとマグナモードも迂闊に使えない。
だけど、考えている暇はない。
「何故なら俺達は落下中」
このまま落下していくとどうなるかって?
咲~いた。咲~いた♪
パチュンと咲~いた♪
な~らんだ。な~らんだ♪
あ~か、あ~か、グロい~♪
て~ん~せ~い~し~て~も~♪
パチュンした~♪
…意外と考える時間はあったようだ。ただ、最悪な状況は変わらないけどね。
「二回もパチュンしてたまるか!マグナモード起動!」
『使用時には多大な激痛を伴います。それでもよろしいですか?
→はい
いいえ』
激痛を伴うペナルティーは無しにはならなかった。
だけど、残念がっている暇はない!
「海面が迫っているんだ。早くしろ!」
『本当によろしいですか?
→はい
いいえ』
「それぐらい我慢するから早くしろ!」
『………………マジで?』
え?!どういうこと!?
『マグナモード起動』
え、いや、ちょ、待っ。あ…。
俺が戸惑っていると俺が展開してたバリアジャケットに変化が訪れる。
主に体の上半身を覆っていた装甲と思われた部分が、まるでぴっちりと締めていた上着のボタンをはずして広げたかのように装甲が外れ俺の背中から生えているかのような凶悪な羽に変化した。
変化はそれにとどまることはなく、兜の部分や腕や肘。手首足首に至る所までまるで無理矢理関節部分を引き延ばした。そして、その関節部分からは緑色の光が噴き出している。
外観から見ればその姿は四頭身の虎のマスコットのようなロボットが、まるで悪魔の姿へと変貌を遂げたかのようにも見える。
『うっひょー、すっげぇえええええ!かっくいぃいいい!俺!』
と、本来、言いたいところなのだが…。
「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
痛い、痛いっ、痛い!痛い!!痛すぎる!!!
まるで体中をあちこちから引きちぎられるかと思うくらいに引っ張られ、それでいながら引きちぎられない程度に抑えられている。
痛さで気を失いそうになるが、なぜか気を失うことが出来ない。
痛さで気が狂いそうになるが、なぜか気が狂わない。
だけど、これはいいことだ。
「ぬがぁああああああああああああ!」
俺はど根性で背中から突き上げられるかのような浮遊感と体中に走る激痛に振り回されながらもプレシアを右腕に。
左腕でライアットジャレンチを掴み、レンチを操作。
大きく開いたレンチの締め口はまるで大蛇の口の様にアリシアの入ったカプセルを咥える。それを確認した俺は一番近い陸地に向かってガンレオンを操作した。
ドッゴオオオオオオオオオ!!
まるで背中からミサイルで後押しされているんじゃないかと思うスピード感。
しかし、激痛が今も体中に絶え間なく続いている。
ランドはこんなにも痛いのを我慢していたのか!?
ゲームで何度もマグナモードを使ってごめんなさい!あんた凄い。すげぇえよあんた!
俺が≪穴≫によって投げ出された時に見た光景で一番近い陸地に向かって一直線に飛ぶ。というより飛ばされている感が強い。
訂正。どちらかと言えばやや水平よりも少し下に傾いて飛行している。
その結果。陸地にもうそろそろつくんじゃないかと思う頃には俺の脚は海面すれすれになっていた。
「ああああああああ!無理ぃいいい!これ以上のマグナモード無理ぃいいいいいいい!」
そして、俺の我慢も限界。
今にも体がバラバラになりそうなんだもの!
俺がそう思いながら叫ぶと目の前に再びアイコンがポンと出る。
『スフィアの排出を確認。マグナモード強制終了』
「え、ちょ、ちょっと待て!着地とかどうすんだよ!?陸地のすぐ先は山があるんだぞ!」
マグナモードが強制的に解けて悪魔な容姿から通常モードに戻る。
今の俺達は先程のロケットブースターの勢い。慣性の法則に従って空中を投げられた水切りの石状態。
てか、スフィアの排出!まて!それってマグナモードの主動力だろ!
なんて、考えていたら…。
(さっきみたいにど根性で何とかなるんじゃないかな?頑張ってね、お兄ちゃん♪)
どこぞのロリボイスが聞こえた。
その声が聞こえた方を見ると…。
「え?!どういうこと!?」
カプセルの中でプカプカ浮いているだけのアリシアがこっちに向かってサムズアップしていた。
そして、
『スフィアリアクター。マスター。アリシア。登録を終了します』
「すんなぁあああああああああああ!」
アイコンに映し出された文字に俺は叫んだ。
俺のスフィア。
いや、戦う力は目の前の瓶詰少女に奪われたようだ。
それが陸地につっこんで山の中を勢いよく転がっていく俺が、薄れゆく意識の中で覚えていた記憶だった。
キャラプロフィール2
アリシア・テスタロッサ。
『傷だらけの獅子』のスフィアを高志から取り込んで復活した少女。
リンカーコアとスフィアは似ているようで違う。
彼女は魔法は使えないし、ガンレオンも使えない。だけど、ガンレオンのマグナモード使うには高志は彼女とユニゾンしなければならない。
マグナモード中、彼女もまた激痛に苛まれる。
後の設定はこれから考える。
『傷だらけの獅子』のスフィア。
ガンレオンのマグナモードを使うためにはこれが必要不可欠。
だからといって高志はマグナモードを除くガンレオンの武装は使えるのでこれと言って不便な物は無い。
高志とアリシアもマグナモードは本当に緊急時以外には使わない。
ちなみに、傷などを治すスパナはこれが無いと使えない。ので、高志はアリシアとユニゾンしないと使えない。
プレシア・テスタロッサ。
次回でハッスルするんじゃない?
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第三話 え?!どういうこと!?