第二話。やっぱ、お前か!
「落ちる落ちる落ちる落ちるぅううううううううううう!」
やあ、受験生や就職活動をしている人から凄いブーイングと非難を浴びることが確定した沢高志だよ。
え、どこを落ちているかって?
前話から引き続き虚数空間。
何でもいいから出て来てと頼んだら頭上からプレシアとカプセルに入ったアリシアが落ちてきた。 そして、それに巻き込まれた…俺っ。
ここで判明したことが一つ。
俺があの頼んだ女運最高。これは逆転した特典の一つのようだ。
だってそうだろ。
アリシアは死んでいるし、ロリだし!
プレシアは歳行き過ぎていてケバイし、死んでい…。
…ギロリ。
「ひぃ!?」
プレシアの生気のない目が俺に向いた。
まだ彼女は生きているようだ。
だが、俺を一度見るとまたそのまぶたを閉じた。大分疲労がたまっているようだ…。
「確かに変化は欲しいと思ったけどこんなのいらない。というか、この空間から脱したいんだけどぉおおおおっ」
何で何もない所にロリのアリシア。年下すぎて。というか死んでいる。
歳のいきs(…ゾッ)。寒気がっ。
射程圏外過ぎる(…ゾゾゾッ)。寒気が!
プレシアは未亡人とはいえ、人妻だし(…スゥ)。寒気が少し引いた?!
本当は元気だろプレシア!
三回も思い直さないといけない程に触れちゃいけないのか!年r(…ゾゾゾゾゾゾゾゾッ)。俺が悪かったです!
こんなペアを俺の頭上に落とされても困るんだけど神(あくま)!
ピッカアアアアアアアアア。
おおうっ。今度は何じゃい。て、プレシアの近くにあった幾つものジュエルシードが光って…?
これは、ジュエルシードの力で転送されるという流れか!
…ヒタ。
っ。
ジュエルシードの中からまるで這い出ようとしてきた黒いもやもや。
…ヒタ。……ヒタ…。
…待て。お前は呼んでいない。
だから帰れ!
そのまま宝石(ジュエル)種(シード)の中で帰って眠っていいからね!
二度と目覚めなくてもいいからね!
……ヒタ…ヒタ………ヒタ…………ヒタ。
そんな俺の願いも空しく、黒いもやもやは九個のジュエルシードから出てきて、未だに虚数空間を落下している俺達を囲い込むかのように手を繋いで日本遊技『かごめかごめ』をする。
「やっぱ、お前か!」
俺を転生させた時の≪穴≫くん!…ちゃん?
とにかくお前はお呼びじゃない!帰れ!怖いんだよ!
≪かーごめかごめ≫
…無視された。
ところでお前等知っているか。この日本遊技『かごめかごめ』。
これは生贄になった子供。ここではあえて子どもを子供とよばさせてもらうぞ。
その子供が生贄になることを他の誰かに押し付ける儀式で後ろの方にいる人を言い当てたら、その後ろの人は当てた子供の代わりに捧げられるんだぞ。超怖い遊びなんだぞ。
≪うしろのしょおうめん、だぁああれだ≫
「まず区別がつかねえよ!」
出てきた≪穴≫くんは皆見た目が一緒だから俺のツッコミは正しい。
≪あああああああああああああ≫
「ぎゃあああああ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな…」
≪穴≫くん達の機嫌を損ねたのか落下していく俺達をぐるぐると高速回転しながらその幅を狭めてくる。
ガンレオンの武装を展開しようにも結構な速度で落ちているから振り回すことが出来ない。というか、振り回したらプレシアを殴ることになるし、アリシアのカプセルも割りかねない。
それ以前に俺はあの時。転生される時に植え付けられたトラウマの所為で、戦意が完全に挫かれていた。
ツッコミが出来たのはなけなしの勇気のおかげともいえる。
≪おおおおおおおおおおおおおおおおおお≫
「ぎやああああああああ…。…あ?」
狭まってくる≪穴≫が目の前まで迫った瞬間、奴らは拡散していった。
…助かった?
拡散していった≪穴≫の向こう側には青い空と海。そして、遠くにはビルやホテルが立ち並ぶ陸地が見えた。
≪きぃさまの、虚数空間から出たいという、願いは叶えたぁ、でぇはぁ、さあぁらばだぁあああああ!≫
「神龍?!お前等神龍か!?」
≪ああああああああああああんんんっ≫
「文句はございません!ありがとうございます≪穴≫様!」
ガンつけられた俺はマッハ土下座を彼等にする。
それに納得したのか、次の瞬間、≪穴≫はジュエルシードの中に戻っていく。
そして、ばしゅううう。と、空へ打ち上げられた花火の様にはお空の星になった。
「…助かっ。…なんで、プレシアとアリシアも一緒にいるんねん」
俺の転移に巻き込まれたのかこの母子も一緒に虚数空間から転送してきたようだ。
そしてもう一つ問題が発生した。
「…ここ、空の上じゃん」
俺がそうつぶやくと俺達三人は再び落下をし始めた。
「また落ちるのかぁああああ!」
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第二話。やっぱ、お前か!