No.446782

テイルズオブエクシリア~転生者はイレギュラー~

第17話 身代わり

2012-07-05 22:10:30 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2226   閲覧ユーザー数:2190

~レオンSIDE~

 

 

「う……こ、こは……」

 

 

俺は身体の痛みと共に目を覚ますと……

 

 

ジャリィィ

 

 

両手両足には鎖でつながれ、動けないようにされていた。近くにミラ達の気配もない。俺だけ別の牢屋に入れられたか。

 

 

すると、

 

 

ブシュゥー

 

 

ドアが開き、ジランドが中に入ってきた。

 

 

「おお、お目覚めか」

 

 

「ああ、最悪な目覚めだよ」

 

 

何が悲しくて目を覚まして最初に見るのがこいつなんだよ。

 

 

「さて、私にもあまり時間がありません。イル・ファンの研究所から奪った『カギ』はどこですか?」

 

 

「言うわけないだろ?バカかお前は」

 

 

俺がジランドをバカにすると奴は額に青筋が浮かび上がる。

 

 

「……ちぃ!あの女と同じか……まあ、いい。どうせ貴様はここからは出られない。出れたとしても……その足についているのは呪環だ。この基地内にある術式に反応し、術式の外に出ると爆発する!アハハ!貴様はここからは出られん!……ん。では、またいつかお会いしましょう」

 

 

そういい、ジランドは出て行った。さて、これからどうするかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジランドが去ってから数分後。

 

 

「あ、そうだ。あの状態になればいいじゃん」

 

俺はあることを思いついた。

 

 

そのあることとは……

 

 

「ウオォォォォォ――――!!!」

 

 

雷のマナを纏い、雷化した。

 

 

「始めっからこれをすればよかったぜ。さて、このウザったい鎖を破壊して……フンヌゥ!」

 

 

バキィ!バキバキバキ!ジャキィィィン!

 

 

鎖を破壊し、上を見る。太陽の光がはいらないところを見るとここは地下か。原作じゃあ地下牢何てなかった気もするが……まあいいや。

 

 

「さて、ミラ達は……あらら。もう、制御室にいるのか。じゃあ、俺も急ごう。近道……するか」

 

 

俺はそういうとミラ達の気配のする方を見る。

 

 

そして、

 

 

「行くぜ!雷速瞬動」

 

 

雷を全開にして壁にぶつかる。壊す。ぶつかる。壊すを続けていった。

 

 

~レオンSIDE OUT~

 

 

 

 

 

 

 

 

~ミラSIDE~

 

 

私たちは今、制御室にいる。レオンがどこにもいないことを考えると私たちとは別の場所に閉じ込められているのだろう。

 

 

そして、実験中だった奴ら……ジランドに聞いた。

 

 

「おい、レオンはどこだ!」

 

 

私は剣を構えながら聞いた。すると、ジランドはこんなことを言ってきた。

 

 

「レオン?ああ、あの男ですか。奴ならこの基地内の地下牢にいますよ」

 

 

「くっ!何故レオンだけを別のところで閉じ込めた!」

 

 

私がそう聞くと奴は笑い始めた。

 

 

「クックック!簡単ですよ。奴は人間であるのにあの強力なマナの量。見逃すはずないでしょ?」

 

 

「なっ!?貴様!レオンを人体実験に使う気か!」

 

 

「その通りですよ。それに奴は脱出できませんよ。何たって……この基地内では最高硬度の鎖でつないであるのでね。アーハッハッハ!」

 

 

私の前で!レオンのことをまるで道具のように!

 

 

「貴様、許さん!」

 

 

私は剣で奴を切りかかろうとしたその時!

 

 

 

ズドォォォォォォン!!!!

 

 

 

制御室の壁を誰かがブチ抜いてきた。いや、こんなことをできるのはあいつしかいない!

 

 

「ハロ~。ジランド、すぐに会ったな」

 

 

声のする方を見ると、そこには……雷化したレオンが堂々と立っていた。

 

 

 

 

 

~ミラSIDE OUT~

 

 

 

 

 

~レオンSIDE~

 

 

「さあ、どうする?俺が来たからには……わかっているな?」

 

 

「くぅ!一体どうやって!」

 

 

ジランドは悔しそうにしている、しかも本気で。

 

 

だが、その悔しい表情が直った。その理由が、

 

 

「くだらんな」

 

 

別のドアが開き、中からナハティガルが現れた。

 

 

「……ナハティガル!」

 

 

ミラは突然現れたナハティガルを睨む。

 

 

「実験に邪魔が入ったのか?」

 

 

「はっ。しかしデータはすでに採取しました」

 

 

「よくやった」

 

 

そういい、ナハティガルはミラを見る。

 

 

「ナハティガル!」

 

 

ミラは抜いていた剣でナハティガルに切りかかるが腕で止められた。

 

 

「貴様のくだらん野望、ここで終わりにさせてもらうぞ!」

 

 

そういうミラを見てナハティガルはジランドを目線で見て言う。

 

 

「この者が?」

 

 

「はい」

 

 

ジランドの言葉を聞いて呆れた表情でミラに言う。

 

 

「貴様のような小娘が精霊の主だと……?この程度で笑わせる!」

 

 

そういい、ミラの腹を殴って放り投げた。それを俺はキャッチする。

 

 

「大丈夫かミラ?全く、いきなり切りかかるな。奴は仮にも一国の王だぞ」

 

 

「ごほごほ!す、すまない」

 

 

腹を抑えながら俺にすまないというミラ。その表情から見てとれる感情は悔しさ。前の自分ならこんな相手に負けないのに……そういう表情をしている。

 

 

そんな俺達の元に、

 

 

「ミラ!レオン!」

 

 

ジュード達が駆け付けた。

 

 

「儂は、クルスニクの槍の力を持ってア・ジュールをもたいらべる」

 

 

上から飛び降りたジュードがナハティガルに言う。

 

 

「それでカラハ・シャールを……!どうしてこんなヒドイことばかり……」 

 

 

「下がれ!貴様のような小僧が出る幕ではないわ!」

 

 

「ナハティガル王!」

 

 

ナハティガルはジュードを無視し、俺とミラを見る。

 

 

「貴様らなどに我が野望阻めるものか」

 

 

そう言ってもっていたミラの剣を俺とミラめがけて投げる。

 

 

俺は動こうとしたが、急に身体にしびれる感覚が。

 

 

「(くっ!カラハ・シャールで電撃を受け過ぎたか!身体が動かん!)」

 

 

そのまま剣は俺の目の前……で、ローエンの投げたナイフで弾かれる。

 

 

「ぐうっ!」

 

 

ナハティガルはローエンを見て驚いた。

 

 

「インベルト、貴様か……!?」

 

 

ナハティガルの呟きに、1人の兵士が反応した。

 

 

「ローエン・J・イルベルト……」

 

 

「イルベルト?歴史で習ったあの『指揮者(コンダクター)イルベルト』!?」

 

 

ローエンの正体を知ったジュードは驚き、声を上げる。

 

 

「国も軍も捨てたあなたが、今更なんのご用ですかな?」

 

 

ジランドがそう言うが、ローエンは無言のまま、ドロッセルに近づく。

 

 

「お嬢様。無事で何よりです。心配いたしました。旦那様も心配なさっていますよ」

 

 

そんなローエンを見て、ナハティガルは鼻で笑った。

 

 

「ふん、落ちぶれたな、イルベルト。今の貴様には、それが相応だ」

 

 

「陛下、こちらへ!このような者どもにこれ以上構う必要はありません」

 

 

ジランドがそういうと、ナハティガルはドアの先へ進んでいった。

 

 

それを見た俺は小声で自分にリカバーを唱え、身体の痺れを解いた。

 

 

「逃がさん!」

 

 

「逃がさねえぞ!」

 

 

ミラは壁に刺さっていた剣を抜き、俺と共に走り、ドアの向こうへと向かうと同時にドアが閉まる。

 

 

俺とミラはそのまま、ナハティガルの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て、ナハティガル!」

 

 

「逃がしはしないぜ!」

 

 

ようやく追いついた俺とミラはナハティガルを呼ぶ。

 

 

「はぁ!」

 

 

ミラは精霊術を発動させるが、例の術式が邪魔をして届かない。

 

 

「無駄だ、自称マクスウェル」

 

 

「……答えろ。なぜ黒匣(ジン)を使う?何故民を犠牲にしてまで必要以上の力を求めるのだ?王はその民を守るものだろう?」

 

 

「ふん、お前にはわかるまい。世界の王たる者の使命を!己が国を!地位を!意志を!守り通るためには力が必要なのだ!民は、そのための礎となる些細な犠牲だ!」

 

 

高らかに言うナハティガルを俺とミラは冷めた風に見ている。

 

 

そして、ミラが言う。

 

 

「……貴様はひとつ勘違いをしている」

 

 

「なんだと?」

 

 

ナハティガルはミラの言葉に反応する。

 

 

「このようなもので自分を守らなければ……」

 

 

「黒匣(ジン)の力に頼っているような自らの絞めを唱えることができない奴に」

 

 

「「できることなど何もない!!」」

 

 

俺は、この後の展開を知っている。故に俺が取るべき行動は……

 

 

「なすべきことを歪め、自らの意志を力として臨まない貴様などに!」

 

 

「はっ!儂に傷ひとつ負わせられぬお前たちが何を言っても負け惜しみにしか聞こえんわ」

 

 

そう言う、ナハティガルは勝ち誇った表情をする。

 

 

だがな、

 

 

「ナハティガル。貴様は少しミラを……いや、俺を見くびっているな」

 

 

「なんだと?」

 

 

「レオン?まさか……お前!」

 

 

ミラは何かに気づいたのか俺を見る。

 

 

「俺がこんな枷ぐらいで………止められるとは……思うなあああああ!」

 

 

俺は術式の外に出た。

 

 

それと共に爆発が俺を襲うが、気にしない。

 

 

「バ、バカな!?」

 

 

斬り飛ばしたナハティガルはあり得ないものを見るように俺を見る。

 

 

「俺が一番……嫌っていること。それは……」

 

 

シュドーーーーーーン!

 

 

再び爆発し、

 

 

「うぉお!」

 

 

爆風に巻き込まれるナハティガル。

 

 

「ふ、ふははは!自称マクスウェルの付き人もこの程度か!」

 

 

そういう、ナハティガルの声をたどって俺は現れた。

 

 

「ミラが傷ついた姿を見ることだ!うぉおおおおおおおお!!!」

 

 

「なんだと!?」

 

 

「ゼリャアアア!!!」

 

 

ザシュ!

 

 

「ぐあああああああ!」

 

 

バシュゥゥゥン!

 

 

「ぐぅうおおおおおお!」

 

 

腕を浅く切ったが、あまり効果は無かったか……だが、

 

 

「ハァハァハァ……」

 

 

俺は立っている。

 

 

「バ、バカな!?何故立っていられる!?あの爆発で立っているなど……貴様、本当に人間か!?」

 

 

ナハティガルはあり得ないという風に俺を見る。人間…かぁ。

 

 

「あいにく〝まだ人間さ″」

 

 

「くそぉ!」

 

 

バキッ!

 

 

立ち上がったナハティガルは俺を殴り飛ばす。殴り飛ばされた俺はミラの近くまで来た。

 

 

ドサ

 

 

「レ、レオン……」

 

 

どうようするミラ。その表情はナハティガルへ向ける表情は……怒りでいっぱいだった。

 

 

「貴様あああああああああああ!!!」

 

 

斬りかかろうと走り出すミラを俺は止めた。

 

 

ガシッ!

 

 

「な、何をするレオン!」

 

 

「バカ……やろう!お前まで……こんなありさまになる……ぞ」

 

 

俺は苦しいなか、自分の身体を見るように言う。

 

 

「くぅ!ジランド!撤退だ!急いで馬車を出せ!」

 

 

「は、はいぃ!」

 

 

ナハティガルは急いで馬車に乗る。

 

 

それと共に俺はミラの腕を掴みながら気を失った。

 

 

 

~レオンSIDE OUT~

 

 

 

 

 

 

 

 

~ミラSIDE~

 

 

レオンが……レオンが私の…私の代わりに……爆発…した?

 

 

私は信じられないものを見るようにレオンを見る。

 

 

いつもの元気で私を励ましてくれた……あの笑顔が今では傷だらけ……私は、使命が大事だ。だが……だが!レオンもそれぐらい、私の中では存在が大きい!くぅ!私に治癒術が使えれば!

 

 

私が自分の力不足を悔いていると、

 

 

「ミラ!レオン!」

 

 

「はっ!」

 

 

声のした方を見るとジュードや皆が走ってこちらに近づいてきた。

 

 

エリーゼとドロッセルはレオンの状態を見て目を逸らす。

 

 

「こ、これって?!」

 

 

ジュードは急いで治癒術をし始める。

 

 

「エリーゼも手伝って!」

 

 

泣きそうな表情をするエリーゼもジュードと一緒に治癒術を使う。

 

 

「頼む……レオンを……レオンを助けて……くれ」

 

 

その言葉と共に私は目元に何かを感じた。これは……涙?

 

 

「どうして!?どうしてこんなことになっているの!?」

 

 

「そんなの……わかるわけねえだろ!」

 

 

動揺するジュード、珍しく怒ったような声を上げるアルヴィン。

 

 

「いたぞ、脱走者はこっちだ!」

 

 

私が泣いていると、兵士たちが集まり始めてきた。

 

 

「ともかく、これ以上は無理だ。カラハ・シャールに戻ろう」

 

 

一生懸命にレオンの傷を治療するジュードとエリーゼも一旦、その手を止める。

 

 

だが、

 

 

「ゴーレムを起動させろ!」

 

 

それを見たローエンが急いで確保してあった馬車を動かす。しかし、予想よりもゴーレムの動きが早い。

 

 

「レオン……すまない」

 

 

私は涙が止まらなくなっている。マクスウェルの私が……涙を流すなんて……

 

 

そんな時だ。私の目元にレオンの指が当たり、涙を指で拭いてくれたのは。

 

 

「泣く、なよミラ」

 

 

掠れた声で私の名前を呼ぶレオン。

 

 

「ゴー、レ、ムか?」

 

 

「あ、ああ」

 

 

外にいるゴーレムが馬車に近づいてくる。このままでは!

 

 

「ぐ、ぅ」

 

 

「レオン!?」

 

 

レオンは無理やり身体を起こし、手を一番近くにいるゴーレムに向ける。

 

 

「五、柱、鉄、貫」

 

 

その言葉と共に、ゴーレムの体に巨大な五本の鉄柱が撃ちつけられた。

 

 

「今だ……い、け」

 

 

そういい、レオンは再び眠りについた。

 

 

 

 

 

 

そして、私たちはそのままガンダラ要塞を脱出し、カラハ・シャールへと戻っていった。


 
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