場面
山から街へとジャンプして降り立つ青年、人防正司。
場面が変わりある住宅に住む家族。
人防家の母、人防友紀(もりさき ゆき)とその小学4年生くらいの男の子の人防良士(もりさき りょうじ)。
さらに場面が変わり、宇宙空間になり、そこには一つの要塞、ゲリュート要塞が地球に迫って来る。
要塞の中には宇宙犯罪結社「ゲリュート」に所属する様々な宇宙人。
ゲリュート要塞から発進される小型戦闘機が地球へと飛来。それを迎え撃つは地球から生まれし戦士、ハーメラス。
ハーメラスはジャンプし、小型戦闘機を素手で破壊する。
小型戦闘機を破壊した後、地上に降り立ち、新たな変身をする。
そして地球の戦士ハーメラスは赤き怒りの戦士レアガーラに変身する。
国際秘密組織「TLE」の長官であり、最高責任者であると同時に人防家の家長、人防誠(もりさき まこと)がTLE基地にて部下達に指示を出す。
そしてレアガーラは誰もいない山奥で空の方を眺める。
第2話 地球を狙う影 ゲリュートの間の手が伸びる!!
地球から生まれし地球の戦士ハーメラスは地球自身から地球を汚染する人間の抹殺を命じられ、地上へとやって来た。
だがハーメラスが地上に現れると同時に宇宙から地球を狙いにやって来た宇宙犯罪結社「ゲリュート」。
「ゲリュート」は地球人類に宣戦布告をしたが、それはハーメラスに対する宣戦布告でもあった。
ハーメラスは地球人類抹殺は自身の使命とし、その使命を邪魔する「ゲリュート」を滅ぼすことを決め、「ゲリュート」所属の宇宙人を一人倒した。
ハーメラスは地球を守る国際秘密組織「TLE(正式名称『Tutelary in the last earth』。日本語の直訳で「最後の地球の守護者」)の最高責任者であり長官の人防誠の目に留まり、人間の形態の時の名前を人防正司ともらい、人防家の家に居座らせたのだった。
そしてハーメラスは正司としてひとまず人防家の家にいた。
「ねえねえ正司兄ちゃん、何して遊ぶ?」
「俺は遊ぶつもりはない」
人防家の子供である良士が正司に声をかける。
正司は畳の上で正座をして黙り込んでいたのだ。
「何してるの?」
「人間どもめ……、限りある木や草を……」
正司は畳を見ていたのだ。
「に、兄ちゃん仕方ないよ。人だって住む所を作るのに木とか使わないとダメなんだし…」
「だがその木を無駄に使っているではないか。それに人工物である鉄などを作りやがって……」
正司は家にいるだけでも人間に対しての憎悪を積もらせていた。
(ど、どうしよう…。お父さんはとりあえず家で様子見させようと言って家に置いてるけど、家にいても人間嫌ってるよ…)
「まったく、人間は昔から何一つ変わらないな。食物連鎖として生き物を食うことは他の生き物もしていることだが、人間はそれ以外の破壊工作も行う。
ただ『便利』と言う名の言葉だけで森林を伐採したり、海を汚したり……」
正司の言っていることにあまり間違いはなかった。
そのため良士は言い返せなかった。
場面は変わり、ゲリュート要塞。
『ハーメラス、奴は人間ではないのだな?』
「はい、地球から見ての我々異星人ともまったく別の異質のような者です」
『そうか…』
「首領、どうしますか?」
『奴に見つからないようにすれば問題なかろう。して次の作戦はどうする?』
「首領、一つ私に提案があります」
そこに剣の形をした宇宙人、ソリードがやって来る。
『なんだ? ソリード』
「奴は人類抹殺を自分の目的としております。
つまりは奴にとっては地球人は敵。ならば奴本来の敵とぶつかり合わせるのです」
『なるほどな。だが奴は我々を滅ぼすまでは後回しだと言っていたが…』
「後回しと言うのはあくまで自発的なものでしょう。ですが自分が襲われたら自己防衛によって襲ってきた人類を殺すでしょう。
それを利用するのです! その間に我々は地球侵略の為に地球に拠点を置く」
『なるほど、その考えは採用だ。やってみろ』
「はっ!」
ソリードは地球へと降りて行った。
人防家で座り込んでいた正司が突然立ち上がる。
「ど、どうしたの?」
「また奴らが来たようだ」
正司が玄関から家を出て行こうとする。
「あら、どうしたの?」
そこに買い物から帰って来る友紀。
しかし正司は友紀を押しのけてさっさと家を出て行ってしまう。
「一体どうしたのかしら?」
「お母さん、おかえり」
「ただいま良士、正司はどうしたの?」
「それはなんか『奴らが来た』って言ってたんだよ」
「『奴ら』って…この間の宇宙人の組織よね」
友紀は誠のいるTLE本部に電話をかける。
「もしもし、あなた?」
「友紀か。どうしたんだ?」
「実は…」
友紀は良士の言っていたことを誠に伝えた。
「なるほど、すぐにこちらも調査する。
それで正司はどこに行ったんだ?」
「そこまでは……」
「仕方ない、それもこちらで調べるとするよ」
「お願いね」
電話が切られる。
「正司兄ちゃん、どこ行ったんだろ?」
心配する良士。
正司は人ごみをよけながら町を走っていた。
(反応はあっちの方だ……)
正司は走る。
「仕方ない、地力転身!」
正司は人目を気にせずハーメラスに変身する。
そして再びある方へと走り出す。
するとそこに若者達がハーメラスの前に立ちはだかる。
「手前ら、邪魔だ」
若者達はナイフやパイプを取り出し、ハーメラスを襲う!
「襲ってくるとはな……しかも奴らに洗脳されているな」
ハーメラスはすぐに襲ってきている若者達がゲリュートの洗脳を受けていることに気づいた。
何故なら洗脳された時もなにかしら地球外のものが混ざっているからである。
ハーメラスは地球外のものが関わっている者に対してはかなり敏感だったのだ。
「となると奴らの目的は俺にこいつらを抹殺させるのが目的だな。
人類抹殺も出来て俺も少しは目標達成できて満足か……。
ふざけるな! 俺は正気じゃない奴をやる気はない!
ましてやこれは俺が地球から与えられた使命だ。奴らの思い通りにはさせん!」
ハーメラスは襲ってくる若者達を簡単に素手で倒していく。
しかし若者達は皆死んでおらず、気を失っているだけだった。
「まったく……」
ハーメラスは一つのビルへと入っていく。
そして部屋の扉の一つを開ける。
そこにはアジト建設中のソリードと戦闘員達がいた。
「ハーメラス! 何故ここが分かった?」
ソリード達は地球に降りてからまだ5分ほどしか経っていなかった。
「俺をなんだと思ってる? 地球外のものはすぐに分かる。それにさっきお前達が遣わした人間どもは殺してない」
「何!? 貴様は地球人類の抹殺が目的だろう!」
「それは地球から与えられたものだ。貴様らに与えられるものじゃない!」
「おのれ……やれ!」
ソリードは戦闘員達に襲うように命じ、戦闘員達はハーメラスに襲い掛かる。
「地衝波(ちしょうは)!」
ハーメラスは掌から衝撃波を繰り出し、戦闘員達をビルの外へと吹き飛ばした。
「とあっ!」
ハーメラスは飛ばされた戦闘員達を追って外に出る。
「地震打(ちしんだ)!」
ハーメラスが地面に向かって拳を打つ。
するとその付近の地面は揺れ、地面に倒れていた戦闘員達は突然地面からの拳の衝撃が飛んでき、ダメージを受け、戦闘員達は爆発する
「なっ! いきなり全滅だと!」
ソリードがビルから降りてくる。
「次はお前だ」
ハーメラスがソリードの方を見る。
「俺はこの間のキシレルのようにはいかんぞ」
ソリードが体当たりを図る。
ハーメラスはそれを簡単に避ける。
「ふん、やはり簡単に当たらないか」
ソリードは腕を水平にする。
「でやあっ!」
ハーメラスがソリードの腕をつかむ。
「ははは、バカめ! 俺の体は刃物そのものだ! そのまま持っていたら切れる。
いや、もう既に切れて……」
ソリードが自分の腕を握っているハーメラスの手を見る。
ハーメラスの手は切れていなかった。
「バカな! 何故切れない!?」
「お前の体の刃物の切れ味はどれほどのものかは知らない。
けどな、最低でも言えることはお前の刃物は地球で発生する竜巻の鎌鼬以下と言うことだ」
「竜巻以下だと!?」
「俺は人類抹殺の為に地球から様々な訓練を受けている。その程度の攻撃で俺は傷つくことさえない!」
ハーメラスはもう片方の手でソリードの腕を斬る!
「ぎゃああああああ!!」
ソリードは腕を切られて叫ぶ。
「今のは地斬刃(ちざんは)だ!! そしてこれもだ!」
ハーメラスは手を縦の水平にし、ソリードを真っ二つにした。
「ぐぎゃあああああああああ!!!」
ソリードは爆発を起こした。
「ふん」
ハーメラスはその場を去ろうとする。
「止まれ!」
そこに友紀の連絡を受けた誠が派遣した「TLE」の地上戦闘歩兵部隊であった。
歩兵部隊の隊員達がハーメラスに銃を向ける。
「なんだ? 人間」
「動くな! 動くと撃つぞ!」
「はあ? そんなもので俺が倒せると思っているのか。甚だしいな」
「お前達少し待て」
そこに地上戦闘歩兵部隊の隊長がやって来る。
「隊長!」
「こいつは長官の言っていたハーメラスだ。長官の聞いた風貌どおりだ。そうだな?」
「あの長官さんから聞いたのか。随分情報が早いな」
「だからお前達、撃つな」
「しかし長官の話では奴は我々人類の敵になるもの! ならば今のうちに…」
「だが長官は今の我々では奴らの戦力に勝てる可能性は低いとおっしゃっている。
我々の長官はただ椅子に座って現場も観ない者とは違う。現場もしっかり見て、開発の方にも自ら進んで参加し、自ら実験も行う方だ。
そんな人が言うんだ。ひとまずは様子を見る形でこいつは見逃せ」
「………分かりました」
歩兵部隊が銃の構えを解く。
「随分甘い組織だな」
「長官の指示がなければお前を射殺していた」
「俺はそんなものでは殺せん。そのことは頭に置いておくんだな」
ハーメラスはそう言いながらその場を去っていった。
「長官、これでよろしかったのですか?」
『ああ』
隊長が誠に無線機で連絡をした。
『今の我々ではゲリュートに勝つことは難しい。ならばあの地球で生まれた戦士に頼るしかない。
それに彼にはいつか分かってもらいたいんだ。人類には悪い人間もいるが、善い人間もいると言うことを……』
ハーメラスは正司の姿となっていた。
正司は町を歩いていた。
「…………」
正司は町を見る。
「やはりダメだな、人間は……」
正司はそうつぶやいた。
今の正司には誠や友紀、人防家の人達の思いは届かない。
だが人防家は信じている。いつか正司が人間を偏見で見ないと言うことを…。
そして正司が人類と仲良くできる日を……。
その時が来るまで、ゲリュートと戦え!
いけ、正司! 勝つんだ! ハーメラス!
続く
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この話のコンセプトは『「侵略! イカ娘」を昭和の特撮風にしたら『というものです。(話の内容的には「宇宙刑事ギャバン」など昭和の特撮を基にしています。ちなみにタイトルは「イナズマン」がモデルです)
それを踏まえてご閲覧ください。