No.446354 魔法少女イレギュラーなのは~2~ 「とある少女のプロローグ」ドラゴマキナさん 2012-07-05 12:09:09 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2639 閲覧ユーザー数:2550 |
……ここは?
ああ、そうか……。
あたし、自殺したんだっけ。
高校では虐められてばかりで。
せっかく庇ってくれた子にも、何も恩返しが出来ない自分が辛くて。
家で親は喧嘩ばかり、あたしはいつもそのイライラの捌け口。
体中に痣なんて日常茶飯事、下手したら骨折もあった。
……ああ、父親には性的虐待も受けたことあったなぁ。処女ではいられたけど。
……こうやって今考えてみると、あの2人はあたしの親って言えないんじゃないかな。
……ああ、でも今更考えたってしょうがないよね。何せあたし、死んじゃったんだし。
ここは、死後の世界って奴かな。
凄いなぁ……ホント白一色。
「……やあ、ようこそ。現世とあの世の狭間に」
ふと声がした方向に振り返る。
そこには、イケメンがいた。
……うん、やっぱりイケメンだ。
真っ白な肌に、オールバックにした黒い髪が映えている。
学ランのような服は白で、ズボンは黒。
……で、唯一のツッコみ所は、首に巻かれた長いマフラー。余りすぎだよ……。
「……貴方は?」
「んー……いわゆる神様、かな」
へー……居たんだ神様。
あんなに救いの無い人生だし、いないのかなって思ってた。
「……で、神様がこんなあたしに何の用かな?」
……神様にタメ口だけど、別に良いよね?細かいことは今更気にしない。
「うん、それなんだけど。……転生、してみないかい?」
テンセイ?
首を傾げるあたしに、神様は微笑んで説明してくれる。
「……要するに、人生やり直さないか、ってこと。ただやり直すだけじゃなんだし、特典として、1つの力もプレゼントするよ」
……なんか、惹かれる話だ。
1つの力を貰える、って辺りが、特に。
「転生……かぁ。特典って、何でも良いの?」
「基本的には、ね」
この時、あたしが思い浮かべたのは、正義と愛を求め、そして磨耗していった1人の青髪の少女だった。
「じゃあ……美樹さやかが良いかな」
「へえ……なかなか変わったものを選ぶね」
「私は、何も誰かの役に立てたりしなかったからね……だから、さやかの生き方は凄いなって思って。それに……転生出来るなら、彼女の分まで、生きてあげたいなって」
そう言うと、神様はまた微笑んだ。
「ふふ……じゃあ、こう言えば良いのかな?……君の願いは、エントロピーを凌駕した……ってね」
……解るんだ神様……。
……あ、光る扉が現れた。
「その先に、君の第2の人生が待っているよ……覚悟は良いかい?」
頷いて、歩き出す。
「……どうか、君に幸あらんことを」
そんな言葉を聞きながら、あたしの意識はホワイトアウトしていった。
可愛い女の子だと思った?
残念、美貴ちゃんでした!
どうも、あたしです。
生まれて数年……最初の頃こそその……まあ、色々と苦労したけど、普通の家庭で平和にやってます。
あたしの名前は、「神楽 美貴」。
ごく普通の小学生。
普通ってのがこんなに幸せだなんて、思わなかった。
ほんと、最初は感動で泣いてばかりだったよ。そのせいで泣き虫扱いされて……うう。
そして、今は何をしてるのかと言うと。
「ふっ、やっ、はっ!」
剣の素振りしてます。
勿論人の目につかないところで。
だって今のあたし、普通の格好じゃないし、剣振ってるし。
……そう、今のあたしは「魔法少女としての美樹さやか」の姿なんだよね。
大胆に肩とか露出させた服で、マントを羽織ってる。
ほんと体も軽くて、良い感じ。
4歳ぐらいの頃かな?
あの神様から、手紙が届いたんだ。
それによると、この世界にはソウルジェムとか、キュウべぇとかは無いんだって。少しほっとしたような。
それで、あたしの魔力ランクはAAランク(魔力にランクなんて付けるもんなの?)で、癒しの祈りの力はあるけど、剣を作り出したりは出来ないらしい。
その代わりと言っちゃなんだけど。
『今日は良い調子ですね、マスター』
こいつ……この喋る剣が貰えた。正式には、「デバイス」と言うらしい。
「うん、ありがと、ブルー」
名前を付けてあげて、って書かれてたから、無難に「ブルー」という名前を付けた。……言っとくけど、どこぞの先輩魔法少女みたいなネーミングセンスは無いからね?
ちなみにいつもは、ブルーは指輪の形をしてる。
だけど、「セットアップ」って言うと、剣の形になって、同時にあたしの姿も魔法少女の姿に変わる。この衣装、「バリアジャケット」って言うらしいんだけど……よく解んない。
後、潜在能力やらなんやら書かれてたけど……そんな状況が来るのかな。来て欲しくないけど……でもどんな能力か、気にはなったり。
そう言えば、あの神様……名前、「タナトス」って言うらしい。なんか、不思議な名前だなぁ……。
「……さってと、素振り終わり。帰ろうか」
『了解です、マスター』
ブルーが指輪の形に戻り、あたしの姿も普通の小学生に戻る。
家に帰ったら、宿題をして、母さんの美味しいご飯を食べて、みんなで笑って。
何の変哲もない……でも大切な、時間。
このまま。
ずっと続いてくれたら良いのに。
Tweet |
|
|
1
|
1
|
追加するフォルダを選択
これは、リリカルなのはの世界で転生者たちが転生生活をがんばるお話。