改訂版 第6話
白蓮と烏丸との戦闘に一刀たちが乱入してから早4か月。一刀たちは当初の予定通り白蓮の元に客将として身を寄せていた。慢性的な人材不足(全体的に地味というかふつうな人ばかり)に悩んでいた白蓮たちは超ハイスペックの一刀たちの加入(客将としてだが)に、歓声を上げるほどの喜びようで、その日は町を挙げての歓迎会が行われたほど。
個人的な執務室を与えられた一刀は、文官が持ってくる問題や案件に関して、音々音とともに改善策等を考え記載。その後、恋が大量に積み上がった竹簡を白蓮に持っていき、許可印をもらいにいって、その量に白蓮が泣くのが1日の流れ。
一刀たちが現代の知識と前の世界での知識や記憶を頼りに、幽州に合った政策を次々と生み出していった結果、貧困に嘆いていた幽州は急速に復興していくことになった。また、烏丸侵攻での一刀たちの武勇が商人たちを通じて各地に広まり、興味本心で一刀たちを訪ねる者や、その下で戦いたいという義勇兵が集まり始めていた。その中に、
「北郷殿、兵の教練終わりましたぞ」
一刀の執務室に入ってきたのは空色の髪に蝶をイメージさせる白い服を身に着け、刃先が2又に分かれた長槍を持っている女性。そう、前の世界で一刀が愛した1人。趙子龍こと、真名星。
星は烏丸軍を圧倒したという一刀たちの力に興味があり、友と共に幽州を訪ね、この4か月中に何度か発生した対烏丸防衛戦や立ち会いでの2人(一刀・恋)の圧倒的な武に魅せられた星は、なんだかんだ言いながら客将として幽州に残っている。
「お兄さん、お兄さん。この案件なのですがこうしたらいいと思うのですよ~」
「一刀殿、白馬隊以外の騎馬隊の調練に関する書類です。一応目を通していただいてかまいませんか?」
頭に不思議な人形を乗せ、金色のウェーブがかかった長髪を持つ女性と表現するよりも女の子といったほうがいいかもしれない。彼女の名は程立。真名を風。そして風と対照的にメガネをかけた理知的な女性。彼女は戯志才。真名は風と星は例外で、自身が生涯仕えると決めた者のみに伝えたいということだった。
彼女たちは軍師を希望しており、そのため自分が仕えるべき者を探して各地を旅していた。そんな中一刀たちの噂を聞いた星が半分無理やり2人を連れて幽州までやってきたのだ。給与目的で残っていた2人だったが、この世界では思いつかない発想を持つ一刀の知識に当初星の付添という形であった彼女たちは幽州に残っていた。
では一刀と彼女たちの日常をすこしだけ紹介するとしよう。
Side Pairen
日も沈み回りが夜の闇に包まれようとしている中、私は今、北郷の私室の前にいる。翔蓮たちの部屋に入るときはなんともないのに、この部屋だけ何故か、気恥ずかしく感じるのだ。2,3回深呼吸をした私は扉を2回ほど叩いた。これは天での風習でノックと言うらしい。
「はーい?鍵は閉めていないよ。どうぞー」
中から部屋主である北郷の声。入室許可が出たのを聞いた私はゆっくりと部屋のドアを開けていった。
「白蓮?なにかあったか?」
夜更けに私が訪ねてきたということで何か問題が起きたのかと北郷は身を構えるが、私は右手に持っていた酒瓶を見せて笑みを浮かべた。
「いや、問題等は起きていないから心配するな。それよりもいい月だからな。一緒に飲まないか?」
「言われてみればたしかにそうだね。白蓮からのお誘いだしありがたく飲ませてもらうよ」
私は酒を飲みながら北郷の部屋を見回す。彼の部屋には覚え書きなのだろうか、あちこちに小さな竹簡が寝台や机の回りに転がっている。私の視線に気がついたのか、北郷が立ち上がり転がっていた竹簡を拾い手渡してきた。
「見てもいいのか?」
「まだ具体案とかはできてないから見せてないだけで、煮詰まったら見せるつもりだったから」
受け取った竹簡を開いて中を見る。そこに書かれていたのはある城塞の建設に関しての現地調査結果。城塞ということは対烏丸かと思った私だったが書簡のはじめに書かれていた場所を見て唖然とすることになる。
「北郷・・・これは本気か?」
私がそうつぶやくと、彼は立ち上がりながら笑みを浮かべつつ答えた。
「本気も本気だよ」
「北郷・・・お前これを建設した場合どうなるかわかっているのか!?」
すこし回り始めていた酔いが一瞬で吹き飛んだ私の叫びにも北郷はその笑みをやめなかった。私は頭になにかが昇ってくるのを感じながら北郷の首元をつかむ。
「お前は!幽州の民を・・・っ!」
この時私は初めて北郷の目と目があった、いやあってしまった。笑みを浮かべているはずの彼の目はどこか悲しく、私に謝っているように感じられた。その目を見てしまった私は北郷の首元から手を放す。
「北郷1つ教えてくれ・・・お前はどこまで未来が見えている・・・?」
私の質問に北郷は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつもの笑みを浮かべ、こうつぶやいた。
「それは天のみぞ知る・・・だよ」
<pr>Side Sei
鍛錬場に連続して響く金属音。その音源になっているところでは白き服を着た2人の男女。2人は激しく動き回りながら、お互いの武器をぶつけ合う。
「さすがは常山の昇り竜!気を抜くと見失いそうだ!」
「それはお互い様というやつですぞ!北郷殿!」
龍牙を振るい、彼の斬撃を防いでいく。一撃一撃が重く、速い。以前彼の武器を持たせてもらったことがあったが、あの軽さでこの重さを出してくるのだから驚きだ。
風たちと旅しているときに、蛮族相手に一騎当千の力を見せ撃退したという2人が幽州にいると耳にし、どのような武人なのか気になり、嫌がる風たちを説得しこの幽州に来た。私自身、「常山の昇り竜」と称され、また自分自身もそれなりの武を持っていると思って生きてきたが、目の前のいるこの北郷一刀と、彼の傍にいつもいる呂奉先の力を見た時、自分が井の中の蛙であったという現実を容赦なく突き付けられた。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「っ!!」
私の意識が立ち会いから離れたその一瞬の隙を彼が見逃すはずがない。彼は一気に間合いを詰め、その勢いのまま体を1回転させ、その遠心力をもって下段から刀を振り上げる。その斬撃の速さは凄まじく、間一髪龍牙の柄で防いだものの、その重さに私の体は宙に浮いてしまう。宙に浮いた私は足掻くことすらできず、次の彼の追撃で地面に叩きつけられるのだった。
「星!すまん。大丈夫か・・・?」
私は叩きつけられた衝撃で気を失っていたらしい。背中に走る痛みがすこしずつやわらぎ目を開けるとそこには焦った彼の顔がそこにあった。
その表情を見るに私の武は、彼の本気を引き出せたようだ。負けたというのに、私はそれがどこかうれしさを感じていた。私は差し出された彼の手をつかみ、立ち上がる。
「さすがは北郷殿、その武勇は飛将軍と称されるだけありますな」
「まだまだだよ。恋にはまだ勝てないし・・・」
「ふふ、またまたご謙遜を・・・さて体の痛みも取れてきた。行きますぞ!北郷殿!」
「来い!」
その後休憩を挟みながら、私と彼は立ち会いを続けていくのだった。
Side Kazuto&Ren&Nenene
星、風、戯志才が加入した次の日の晩。一刀の部屋にはいつものように恋と音々音が集まっている。正確には白蓮が開いた歓迎会にて、星に飲まされすぎて倒れた一刀の看病中。
「うう・・・気持ち悪い・・・」
「一刀・・・顔青いけど・・・大丈夫?」
「完全に2日酔いなのです・・・」
前の世界からの経験で大分酒に強くなっていたのだが・・・一刀の力に興味があった星から立ち会いを誘われて乗った一刀だったのだが・・・。
「師匠との修行であそこまで強くなっていたとは・・・」
そう、恋と共に修行していたため、一刀の力がこの段階での星の力を軽く上回っているということを自覚していなかったのだ。前の世界での自身の星へのイメージを持って本気を出してしまい、圧倒的勝利をしてしまった。どこでそれほどの力を?と星に詰め寄られるわ、白蓮によって一刀は天の御遣いであることをばらされたことで星に歓迎会でずっと付きまとわれたのだった。
「「私の酒を北郷殿は飲めぬと申すのですか?」と上目使いで言われたら断れないぞ・・・うぅ・・・」
「昨日の星はすごかった・・・」
「一刀殿、苦いですけどこれ飲んでくださいなのです」
そういいながら音々音は器を一刀に差し出す。一刀はそれを受け取り、目をつぶって一気に飲み干す。
「苦い・・・」
「一刀・・・我慢する」
といいつつも恋は一刀の背中を摩りつつも笑みを浮かべる。
薬草などが入った薬箱を一刀の部屋にある棚に片付けた音々音も寝台に上り、一刀の隣に座る。しかし、その顔は険しい。それを見た一刀が音々音に声をかける。
「ふぅ・・・大分楽になった・・・1日気分悪かったから助かったよ。音々」
「気分が悪いことを気が付けなくてごめんなさいなのです・・・一緒にいたのにもかかわらず・・・」
音々音の言葉に一刀は「なるほど・・・」と心の中で呟いた後、音々音の小さな体を抱き上げ、自分と恋の間に座らせる。突然に抱きかかえられてびっくりしている音々音に、左右から一刀と恋が抱きしめる。
「ふにゃ!?一刀殿?!恋殿?!」
「音々はいつも俺たちのためにいろいろ助けてくれてるだろ?今回はおれが隠していたのが悪いのだから気にしなくていいよ」
「音々ありがと」
「む~・・・そう言われると、ねねは何も言えないのですよ・・」
音々音の険しい表情が笑みに変わったのを確認した3人はその後抱き合ったままで眠りにつくのだった。
Side Fu
初戦から約4か月以上経過し、一刀、恋、音々音の3人組と、星、風、戯志才の3人組が(一次的に)加入した幽州は懸念材料であった人材不足が解決したことがあって、ようやく攻めに転ずることができた。その攻略部隊は下記の通りである。
烏丸山攻略部隊
1番隊 隊長 公孫賛 副官 関靖 兵力 5000
2番隊 隊長 趙雲 副官 戯志才 兵力 5000
3番隊 隊長 北郷一刀 副官 程立 兵力 10000
4番隊 隊長 呂布 副官 陳宮 兵力 10000
1番隊、2番隊は騎馬構成。3番隊、4番隊が歩兵構成になった。当初は長期的な作戦をとる予定だった白蓮を一刀、音々音、風、戯志才が否定。4人が出した作戦は出せる限界戦力をつかっての電撃戦。理由として挙げられたのがやはり黄巾党の存在だった。
烏丸軍で恐怖の対象になっている一刀、恋を囮に、騎馬運用に長ける白蓮、星が率いる騎馬隊が迂回し、本陣を落とすという至って簡単な作戦。
早朝に渤海を出撃し、4日後の夜に烏丸の本拠地である烏丸山のふもとに陣を構えた幽州軍。そこで最後の軍議が行われていた。
「よし、みんな来たみたいだな。じゃあ軍議を始めよう」
討伐軍総大将である白蓮が進行役を務めるといっても、正規の将は白蓮を除くと翔蓮だけなので白蓮がするしかないともいえる。
「騎兵部隊に関してですが、偵察部隊を兼ねた第1陣は、出立準備を現在行っております」
「歩兵部隊も全員到着。現在小隊長を中心に明日の配置の確認しているところなのです」
「次に・・・」
戯志才と音々音が立ち上がり、部下からの報告書を片手に報告を続けていく。1時間ほどで軍議が終わり、各自明日の準備に取り掛かっていくのだった。
今回風はお兄さんの補佐という形での参加になりました。といってもお兄さんが非常に優秀ですので、ほとんどすることはないのですが・・・。
「風?」
「お、おおぅ?」
兵士のみんなに明日の作戦についての説明をしていたはずのお兄さんがいつの間にか、風の傍にいたので、風はびっくりしてしまい変な声が出てしまいました。
「お兄さんどうしましたか?」
「説明終わったから補足をお願いと思ったのだけど・・・」
「おおぅ、そういうことでしたか~ふむぅ・・・ん~・・・大丈夫じゃないですかね~」
風がそういうとお兄さんは安心したのか、兵士さんたちに解散を告げに行きました。するとお兄さんが兵士さんから何か話しかけられたようで、笑みを浮かべながら話を進めている。
「北郷一刀・・・天の御遣い、その武は飛将軍と称される・・・ですか・・・」
まだ兵士と話をし続けているお兄さんの姿は、飛将軍と呼ばれ恐れられている者とは対照的に優しく親しみやすい。
「あの姿がお兄さんの本来の姿なのでしょうねぇ・・・」
しばらくお兄さんを見つめていると、急に、
「んっ・・・またですか・・・」
最近お兄さんを見ていると頭の片隅で痛みが走るようになってきたのです。ただ単に偶然が重なっていると思ってはいるのですが、その痛みが走るたびになにか頭に違和感を感じているのも確か。
「これはいったいどういうことなのでしょうか・・・」
言い訳タイムという名のあとがきはっじまっるよー。
どうも作者です。リアルが中々忙しく、1日にすこしずつ書いていくような形しか取れず、今日までかかってしまいました。
そこでまず言い訳。一気に書いたわけではないので、その日の気分が出ているかもしれないため、文脈がバラバラの可能性大です。ごめんなさい。
さて改訂版も第6話そろそろ1つの目の山場に向けて進行していきたいところです。
今回は拠点+日常パートです。その関係で新規キャラとして、星、風、そして戯志才(稟)を登場させました。
彼女たちは現段階では記憶なし+チート補正なし。つまり原作の状態です。真名交換の描写を書こういかなとも思ってのですが、なんかうまく書けなかったので省略。星のみ拠点ですこしだけ触れる形で描きました。
また今回、音々音と恋の拠点以外を恋姫側にしてみました。口調等に違和感があるかもしれませんが、作者の文章力の限界です。お許しくださいorz
次に戯志才(稟)のパートは?という声があると思います。それに関してですが、今回の拠点は一刀に対してどちらかというと好意に思っている人のみにしました。いずれ稟の拠点も書くとは思いますので、それまでお待ちください。
さて次回ですが、烏丸との戦闘パートになります。騎馬隊パートと、歩兵部隊パートの2つを交互に混ぜていこうかなとか考えています。
では、第7話で会いましょう。
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白蓮の元で過ごす一刀たちの元に懐かしい人が訪ねてくる。そして一刀たちは烏丸軍との決着をつけるべく出陣する。
河北編中編になるのかな?たぶん・・・(それでいいのか作者よ・・・)
相変わらず適当な駄文に仕上がっております。生暖かい目で見ていただけると作者は喜びます。
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