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(改訂版)真・恋姫無双 ~2人の飛将軍~ 第7話

cavalさん

烏丸との決着をつけるべく進軍する幽州軍。しかし烏丸軍に動きがない。不審に思った幽州軍は先遣隊を編成、偵察を命じる。山に入った先遣隊の前に1人の少年が現れる・・・。

あいかわらずの駄文です。生暖かい目で読んでください

第1話の変更はありません。

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2012-09-21 16:56:08 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6611   閲覧ユーザー数:5521

改訂版第7話 

 

遼西烏桓の大人。蹋頓(とうとん)。

 

前遼西烏桓の大人の丘力居(きゅうりききょ)の実の息子ではなく従子だったが、武勇に優れていたため丘力居は次期大人に蹋頓を指名した。

 

遼西烏桓の大人に指名された蹋頓であったが、いくら武勇に優れていたとしても年が若い蹋頓にいくつかの遼西烏桓の豪族が反発。豪族たちは蹋頓を引きずり落とすために反乱を起こした。

 

この戦いの際、蹋頓はその銀髪を振り乱し、紫色が若干混じった軽装鎧を身に着け、自身の倍はある三叉槍をふるい、迫りくる反乱軍を相手にその武勇を見せつけ、次々と勝利をつかんでいった。

 

この時、蹋頓の武勇への尊敬、畏怖から彼に就いた通り名が・・・

 

―――銀髪の麒麟児―――

 

 

烏丸山を包囲した幽州軍3万。それに対し烏丸軍約5万は山にこもり、籠城戦の構えを取った。山岳戦に持ち込まれた幽州軍は白馬隊などの騎馬隊の運用に障害が生まれていた。

 

「周囲を注意しつつ進め!ここは敵の本拠地だ!どんな罠があるかわからないぞ!」

 

内部偵察を兼ねて、歩兵部隊である北郷隊・呂布隊の先遣隊が烏丸山に入山。東西南北に1つずつあった登山道のうち2つは烏丸軍によって封鎖されていたため、北郷隊が北側。呂布隊が西から進軍する。

 

1人の隊士が足を踏み出した瞬間、彼の姿が消える。

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「お、落とし穴だ!気をつけろ!」

 

ほかの隊士がその落とし穴に気を取られていると、逆側の斜面から複数の大きな丸太が呂布隊を襲う。

 

「大木が落ちてくるぞぉぉ!にげろぉぉぉ!」

 

西側に入った呂布隊に多数の罠が襲いかかっている中、北側の北郷隊は罠どころか敵影すら見かけることなく山道を進む。

 

「なんだ・・・これは・・・」

 

あまりの静けさに逆に恐怖を感じ始めた北郷隊の歩みが少し落ちた時、北郷隊は山道は違った解放感のある広場のような所にたどり着いた。

「ここは・・・」

 

「いらっしゃい。幽州軍の方々」

 

広場から唯一山頂へ伸びている登山道の入り口に銀髪の少年が三叉槍を持ち立っている。

北郷隊は再度気を引き締め直し、少年へ武器を構える。

 

「北郷や呂布が、一気に駆け昇ってくると思っていたけど、来たのは雑兵ばかりとは・・・ボク達も舐められたものだね」

 

少年は右手で目を覆いながらため息をつく。幽州軍でも精鋭がそろう北郷隊に対し、舐めきった態度をとる少年に対し、隊士たちは怒りを露わにする。

 

「あらら・・お兄さんたち怖い顔だ。さて、おしゃべりは終わり・・・」

 

少年は三叉槍を構え切っ先を北郷隊へ向けて、目を細める。

 

「ボクは遼西烏桓の大人!蹋頓!銀髪の麒麟児と言われる力、見せてあげるよ!」

 

―――包囲3日目

 

北郷隊、呂布隊の先遣隊からの連絡が途絶えて1日が経過。途絶える直前の伝令によって、遼西烏桓の大人の出現や罠の存在は幽州軍に伝えられた。

幽州軍軍師勢は北郷先遣部隊が壊滅に陥り、西側の呂布先遣部隊が戦闘不能、行動不可状態と判断。軍を、対蹋頓・攻城戦に北郷一刀・趙雲を筆頭とする各部隊からの精鋭を集めた部隊と西側に呂布が率いる救出部隊の2つに分けて派遣することを総大将白蓮に進言。白蓮もこれに承諾した。

 

太陽が南の空に昇ったのを合図に、攻城部隊と救出部隊は行動を開始。

烏丸側からの入山妨害は一切なく、両軍ともに被害なく烏丸山に入山。攻城部隊は一刀と星を先頭に精鋭3000が駆け昇っていく。

 

「これは・・・」

 

入山してから1時間半ほど経過した時、登山道に多くの血痕が見られるようになった。

その血痕は登れば登るほど多くなり道を紅く染めていく。その血の道しるべに従って登っていくと、一刀たちはついに先遣隊がたどり着いたと思われる広場に出た。

その広場は、あちこちに北郷隊士たちの死体が転がり、隊士たちの遺体の下には血の湖ができている。

 

「やっときたね」

 

「君が・・・蹋頓か・・・」

 

さすがの幽州軍精鋭部隊といっても仲間の無残な死に驚きを隠せていなかったなか、積まれていた死体の奥から人影が現れる。その軽装鎧、三叉槍には血が付着して彼が蹋頓だということを一刀、星は察する。

 

―――鈴々や朱里・・・雛里と同じ年ぐらいだろうか・・・ずいぶん若く見える

 

「そうだよ。『飛将軍』北郷一刀。」

 

「へぇ・・・若いのに物知りだな」

 

「光り輝く白銀の外套とあまり見られない珍しい細長い剣を持ち、幽州軍を統括できる立場の男と考えれば簡単だよ」

 

一刀と蹋頓がお互いに殺気を含みながら話を進める中、星が一刀の背後に回り込み、蹋頓に聞こえないように小声で話しかける。

 

「北郷殿」

 

「蹋頓はオレが抑える。その隙に星は軽く迂回し山頂の城へ」

 

「承知」

 

意思疎通が済み、星が離れたのを気配で感じた一刀は、刀を抜き氣を込める。

それに合わせて蹋頓も三叉槍を構える。飛将軍と称される一刀と、常山の昇り竜と称される星の前でもその目には恐怖の色は見えない。

 

―――1対多数に絶対の自信があるのか・・・?だが・・・!

 

「飛将軍、北郷一刀。行く!」

 

一足飛びで間合いを詰めてくる一刀に合わせて蹋頓も足を踏み出す。

 

「遼西烏桓の大人!蹋頓!銀髪の麒麟児と言われる力、見せてあげるよ!」

 

Side Ren&Nenene

 

「そこに誰かいる・・・」

 

「了解!隊長の言った場所をくまなく探せ!」

 

「生存者発見!おい!手が空いてる奴は手伝ってくれ!」

 

一刀と蹋頓が北側で激突した頃、恋の動物的直観を頼りに、生存者を探していく呂布先遣救援部隊。落とし穴に槍などの追加罠がなかったことから骨折などの重傷ではあるものの生存者は多い。しかし重傷を負った者のほうが多いということで、治療で進軍速度は非常に遅い。

 

「ん・・・?」

 

不意に開けた場所に出た際に恋の視界に砂塵を上げている一団が烏丸山から離れていくのが見えた。

 

「隊長!次はどこですか!」

 

「ん・・・うーん・・・」

 

隊士たちに呼び掛けられた恋は視線を登山道に戻し救出作業に戻るのであった。

 

Side Kazuto&Sei

 

蹋頓が三叉槍をふるうその姿は、一刀の記憶にある鈴々によく似ていた。

自分の身長の倍はある三叉槍に振り回されることなく、次々と斬撃、刺突を繰り返してくる。しかし、撃ち合いを続けている中一刀はすこしずつ蹋頓に違和感を覚えるようになる。

 

「いまだ!北郷殿が蹋頓を抑えている間に我らは城を落とす!私に続けぇ!」

 

星を先頭に進軍を開始した幽州軍に蹋頓は焦りの色を見せたと思うと、一刀から距離を取る。

 

「城へは行かせない!飛び切り裂け!麒麟!」

 

突然三叉槍の3つの刃が柄から分離し蹋頓が星たちに向けて槍を振るうと、その刃は星たちの進行方向上へ一直線に飛翔した。

 

「いかん!」

 

違和を感じた星は足を止めたが止まりきれなかった隊士が飛翔した刃に体を突き抜かれた。

一発限りの技と感じた隊士がその脇を通り抜けようとした瞬間、突き刺さっていた刃が引き戻され、再度隊士たちを襲う。再攻撃に驚きはしたものの隊士たちは刃だけを避ければいいと考えた。

 

しかし・・・それは・・・

 

「ダメだ!刃だけじゃない!斬撃上から逃げろ!」

 

「もう遅いよ!」

 

一刀の叫びとほぼ同時に口元を歪ませた蹋頓が柄を動かすと刃は急に斬撃方向を変えてななめに走った。柄と刃の間のつないだ空間に入ってしまった隊士の首や腕が切り飛ばされてしまう。隊士たちの悲鳴が聞こえる中蹋頓は刃をひき戻し再度柄に装着する。

 

「・・・絡繰り付き三叉槍か」

 

「ボクの麒麟の仕組みを一回見ただけで分かった人は北郷、君が初めてだよ」

 

―――おそらく刃と柄を結んでいるのは極細のワイヤー・・・飛ばしてきたところを切り飛ばすことができればいいが、向こうも警戒している・・・

 

「星!そこで待機だ!」

 

―――時間はあまり掛けれない。一気に畳み掛ける!

 

刀に氣を込め氣刃を発生させた一刀は一気に間合いを詰める。その攻勢に蹋頓は刃を飛ばさずに対応する。仕掛けを使わせないためにも一刀は至近距離での連撃速度を徐々に早めていく。

しばらく斬り合っていた一刀と蹋頓。しかし蹋頓にも連戦の疲れが出てきたのか防ぎきれなかった斬撃が腕や頬をかすめ始める。

 

―――おかしい・・・

 

完全な一刀優位の状況が続いているのにも蹋頓の目は一切のあきらめの色は見えない。勝利するつもりなのかと一刀は考えるが、それも違うように感じられる。

 

「星!」

 

刃同士での鍔競り合いになった瞬間一刀は星へ向け叫ぶ。

 

「承知!!」

 

蹋頓の死角である一刀の背中を使い星が2人を飛び越え、城へと続く道へ駆け抜けようとする。この戦いで一番の焦りを見せた蹋頓は星を追おうと反転しようとするが、生まれたその隙を一刀は見逃さず、襟元つかみ星とは逆方向へと投げ飛ばした。

突然投げられた蹋頓は受け身を取れずにまともに背中から地面に落ちてしまう。蹋頓は叩きつけられたことで乱れた呼吸を急いで整えて立ち上がろうとするが、その前に一刀の刀の切っ先があった。

 

「・・・蹋頓。君は殿・・・違うか?」

 

「っ!」

 

―――包囲される1日前

 

「蹋頓様!楼班様!幽州軍3万がこの烏丸山へ向かって進軍してきております!」

 

「旗印から公孫賛、北郷、呂布、趙雲を確認!」

 

烏丸山城の玉座には、幽州軍の情報が次々と届けられる。その情報を聞くのは蹋頓ともう1人。その名は楼班。

 

「楼班。策はある?」

 

蹋頓と同じ白銀の髪に白色を主体とし所々に水色を使った袴を身に着けている少年。

楼班は前遼西烏桓の大人の丘力居の実子であり蹋頓とは幼馴染という間柄である。本来実子ということもあり後継者筆頭として生まれたが、生まれつき体が弱かったこともあり蹋頓に大人の座を譲り、自身は蹋頓を補佐する軍師的立場をとっている。

 

「公孫賛、関靖だけなら野戦でなんとかできたと思うけど・・・北郷と呂布がやっかいだね・・・」

 

楼班は蹋頓と違い1度北郷、呂布の武勇を戦場で実際に見たことがあった。報告こそ受けていたが、夢物語にしか思えなかったからだ。しかし楼班自身が実際に見て2人の武勇は衝撃というよりも絶望すら感じさせられた。

 

「噂の飛将軍たちか・・・」

 

「うん・・・籠城したとしても徐々に押されて終わると思う」

 

絶望的な策しか親友に告げることができない楼班は悔しさに目元に涙を浮かべる。

その涙を見た蹋頓はある覚悟を決めて、親友の肩を叩く。

 

「じゃあ、楼班、みんなを逃げさせるためにどれぐらい時間稼げばいいの?」

 

「え・・・2日、いや1日半でいけると思う。でも蹋頓なにするつもりなの・・・?」

 

「みんなが逃げる時間ぐらいはボクが稼いでみせる」

 

親友の殿発言に楼班は静止の声を上げようとするが、親友の蹋頓の覚悟を決めた顔を見て、喉から出そうになった言葉をひっこめる。

 

「・・・わかった。できる限りのことはボクの方でもするよ。伝令!」

 

「はっ!」

 

楼班の声に玉座の外に控えていた1人の兵士が入ってくる

 

「全軍に通達。登山道3つを封鎖し、撤退準備」

 

楼班の指示に彼は驚いたように顔を上げたが、2人の顔を見て涙を浮かべながら玉座を飛び出していった。伝令を見送った楼班は目元に溜まった涙を手で拭き取りながら蹋頓へ振り返る。

 

「これである程度時間を稼げる。でも蹋頓1つだけボクも我が儘を言わせてもらうよ」

 

「ん?なに?」

 

「蹋頓が戻ってくるまでぼくは・・・」

 

 

Side Kazuto&Touton

 

刀を蹋頓へ向ける一刀。蹋頓へ1つ1つ語りかけていく。

 

「やはりそうか・・・」

 

「・・・」

 

「先遣隊を倒した烏丸軍からの攻勢があるのもと考えていた。しかし、君はこの場に留まった。君が最終防衛線と考えてもよかったが、それならば君にたどり着くまでにある程度の伏兵があるはずだ。しかしそれらは一切なく、この広場にも伏兵は1人もいない」

 

「・・・」

 

「いざ戦闘を開始すると君はおれよりも星たちに気をよく回していた。抜かれるのを阻止するため・・・いや君の本当の狙いは空城になっているのが、ばれない様にか」

 

「それだけじゃない・・・」

 

一刀の語りに終始黙秘を続けていた蹋頓が口を開いた。しかし顔は下を見ており一刀からは様子はわからない。

 

「城には親友が待っているんだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

蹋頓の手元から離れていた三叉槍が宙を走り蹋頓の手に収まる。そして三叉槍を蹋頓は一刀に向けて突き出す。その刺突は一刀の首を狙う。

 

「っ!」

 

ギリギリで避けた一刀であったが外套の留め具が突き飛ばされたことで、外套が一刀から離れ、フランチェスカの制服が日の下に出る。

 

「ボクは・・・北郷、君を倒して楼班を助けにいく!飛び切り裂け!麒麟!!」

 

刺突を避けたといえ、体勢が崩れた一刀に3つの宙の走る刃を迫る・・・。

 

 

 

あとがき

前回からかなりの時間が立ってしまいました。こんなに時間かかった言い訳ですが、改訂版第7話4つほど違うパターンを書きました。最後に書いたこのパターンが一番しっくりきたので採用と相成りました。

 

○今回登場の新キャラ、蹋頓と楼班について。

この2人は鈴々や季衣、流琉たちの男の子版、つまりショタ枠になります。名前は史実から引用しました。2人のうち、楼班はほぼオリジナル、蹋頓の設定はほぼ史実に近いものになっております。

 

○蹋頓の武器:三叉槍「麒麟」について

ワイヤーを使うというのは、いろいろ悩みました。槍だけだと星たちとかぶる→なら絡繰りでも仕込むか?→螺旋槍とかとかぶる→だったら飛ばせばいいじゃないかという、考えで刃と柄をワイヤーで繋いだ武器として登場させました。

 

○対烏丸最終戦について

今後烏丸はたびたび登場させるつもりで、一刀と恋が殲滅したという形にするのはどうだろうということになり、楼班と蹋頓だけの登場ということになってしまいました。

 

○今後について

次話で幽州・烏丸編は終わります。次は黄巾編になり、前回とは違った勢力に一刀たちを所属させる予定です。

 

○更新について

文才・想像力が皆無。リアルが忙しいということもあって、未定です。なるべく早く作りたいとは思いますが、期待せずにお待ちください

 


 
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