No.428968

緋弾のアリア ※灰色の転生者※

灰人さん

葛西が転校生として武貞高校に転入します。

2012-05-27 17:15:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1789   閲覧ユーザー数:1763

1話 転生初日

 

 side葛西

 

「えーと……ここどこだろう?」

 

地図を取り出して武貞高校までの道のり確認してみる。

 

「まだ遠いな」

 

また歩きはじめたら後ろから合成音? みたいな声が聞こえてくるそしてそれから逃げるように

必死で自転車をこぐ人が見えた。

 

「なんであんなに鬼気迫る表情で自転車を漕いでんだろ?」

 

そんなことをつぶやいた後自転車を漕いでる人をじっと見つめてみる……見ている内にサドルの下側がピコピコと光っている物あった。

 

「とりあえず追いかけてみよ」

 

僕は自転車の人を追いかけてみることにした。

 

side out

 

 

キンジside

 

『コレイジョウゲンソクスルトバクハツシヤガリマス』

 

「まずい これ以上は……」

 

足が悲鳴をあげている。もうダメだ……死んじまう!

 

『コレイジョウゲンソクスルトバクハツシヤガリマス』

 

そのときビルから少女が飛び降りてどこにしまってあったのか知らないパラシュート展開させたそして足のガンホルスターからM1911コルトガバメント2丁をとりだしすばやく後ろの耳障りなセグウェイを簡単に破壊した。

 

「つかまって早く!」

 

「無理だっ! このチャリには爆弾があって離れたら爆発するんだぞ!」

 

俺の泣き言に意も返さず、少女は叫んだ。

 

「武貞憲章第一仲間を信じ仲間を助けろ!!」

 

少女はパラシュートの持つところに足をかけて逆さになってキンジを待っていた。覚悟を決めた俺は少女のとこへダイブした。

 

そこで意識がなくなった

 

side out

 

 

side葛西

 

「えーとどこだっけ 確かここら辺に……あいたいた」

 

倉庫まで飛んでいった二人をようやく見つけたんだけど、なんか二人が重なりあってとても説明できない……僕は所謂お邪魔虫って奴?

 

「お~い。お二人さん起きてくださーい。お~い」   

 

「ん……んぅ」

 

最初に起きたのはもも色の髪の小学生くらいの少女だった。可愛いと思うよ。生憎僕はロリータとなの付くコンプレックスを持ち合わせていないので、それ以上の感情は持てなかったけど。

 

「……あんただれ?」

 

「失礼だな。そういう時って自分から名乗るんじゃないの」

 

「……そうね。私は神崎・H・アリアよ。よろしく」

 

可愛いけど……そんな仏頂面で言われてもなぁ。

 

「どうしたのよ 名乗ったんだからあんたも名乗りなさいよ」

 

「あ、ごめん。僕は葛西英輔。えーとよろしく」

 

そうこうしてるうちにまたセグウェイの軍団が襲ってきた。しかもセグウェイはいきなり発砲してきた!神崎さんは跳び箱の中に隠れ、僕はとりあえず銃弾の嵐をかいくぐり、弾が当たらない所に隠れた。

あっちの方は何か言い争っているが、セグウェイが発砲するせいで聞こえない。

 

神崎さんが跳び箱の中へ入ったの確認して葛西はオルフェノクにするか((殺人衝動開放|キリングスイッチ))に迷っていると、いつの間にかセグウェイの軍団はどこかへいっていた。そして黒髪の少年がアリアをお姫様抱っこしていた。

 

何だかよくわからない状況についていけてない。 

 

「恥ずかしく無いんだろうか……まあいいか」

 

そして黒髪の少年はアリア弾の当たらない場所においてこちらに近付いてくる。

 

「お前もあれを倒すの手伝ってくれ」

 

いきなり話しかけられ驚いたけど、そんなことお構いなしに喋る男の人。

なんか変態みたいだ……口調がね。

 

「数は6ってとこか……手に負えなくなったら頼む」

 

「……いいけど」

 

所謂保険ですね。分かります。

 

「お手並み拝見ってね」

 

僕が走り出した瞬間男の人は何発か知らないけど銃弾を打ち出した。それは吸い込まれるようセグウェイに装備されていたUZIの銃口に入っていき、セグウェイは爆発した。

 

「わ~すごいですね~結局自分でやりましたね」

 

まあ僕的には能力を知られなくて僥倖……って言った所かな?

 

小学生みたいな女の子がこちらにやって来て、男の人に食ってかかっていた。男の人には悪いけど僕はここで退散させてもらおっと。

 

殺人衝動解放を発動させ、足に力を溜める。

ドオゥっといった音がなり跳躍する。そしてそれなりの高さのビルの屋上に着地する。

 

「さてと目的地まであともう少しか……ゆっくり行こう」

 

僕はタバコに火を点け、武偵高校に向かった。

 

 

〇〇〇

 

「どんな手品を使ったのよ」

 

「手品? 何だそれ」

 

葛西が逃亡を図った数秒、やや興奮気味のアリアがキンジに食ってかかっていた。

 

「俺は手品何か使っちゃいないぜ。じゃあもう行くから」

 

キンジは彼女の胸に顔をうずめていたのが、恥ずかしかったのか分からないが、早口で言って立ち去ろうとした。

だがアリアはキンジの腕を掴み、しつこく問いただす。

 

「もうやめてくれ! もう遅刻ってレベルじゃあねえんだよ! 重役出勤なんだ! 始業式早々重役出勤って何なんだよ……」

 

キンジの言い分は尤もだが、アリアはそんな事お構いなしにやって来る。

 

「もうとにかく行くから! ついてくんな!」

 

キンジはキレ気味に言ってさっさと立ち去った。

 

〇〇〇

 

キンジとアリアがひと悶着合った数分後、葛西は無事武貞高校へと着いた。正直な話し転生などとしたくなかったが、神の前には逆らえず……といった感じで流されてしまった、哀れな16才がここにいた。

 

取り敢えず校門を潜り職員室へと向かった。だが職員室の場所が分からない。だが適当に歩いていたら誰かに会うだろう、その時に教えてもらえば言いか……という甘い考えを持って歩き回ってみたは良いものの誰とも会わない。

 

「……おかしい。何で誰とも会わないんだ」

 

歩くこと数分、若干不安になってくる。

 

「もしかしたら誰もいないんじゃ……今日って学校休み!?」

 

意味が分からない叫び声をあげ、いくあてもなく走り出す葛西。

 

「もうだめだああああああああああああああああああああ神様ごめんなさああああああああああああああい」

 

取り敢えず誰かに謝りたかったのか、転生させた死神に謝ってみた。

 

「あ! お前!!」

 

誰か分からない人物に声を掛けられ思わず立ち止まってしまう。

 

「君は……ああ! さっきのお姫様抱っこの人!」

 

「待ってくれ……その名称はおかしいと思うんだが……」

 

「ごめん。でも丁度良かった、ちょっと僕を職員室まで連れていってよ」

 

「……それは別に構わないが。今行っても始業式が始まってるから誰も居ないと思うぞ」

 

……キンジの言うとおりであれば、葛西のやっていたことは全く無意味だった。それを聞いた葛西は必然的に四つん這いになり、ショックを受けている。

 

「そ、そんなに落ち込むこと無いだろ……まあ行っても意味ないんだから、大人しく教室で待っとこうぜ。そっちの方が楽だろ」

 

「……そうだね……はあ」

 

立ち上がり大人しく着いていく葛西。

 

「そう言えばお前見かけない顔だな。転校生か?」

 

「そうだよ。今日付で2年の((探偵科|インケスタ))に送られた。葛西英輔と言います。以後よろしく」

 

「探偵科だったのか……じゃあ俺と同じだな。俺は遠山キンジ。よろしく」

 

簡単な自己紹介を終えて、キンジは葛西に気になった事を質問してみる。

 

「気になったんだが、どうして武貞高校に来たんだ?」

 

「……親の都合って奴かな。あんまり頭もよろしく無くてね……ここぐらいしか来るとこ無かったんだよ」

 

「それはまた災難だったな。まあお前が入る探偵科って言うのは比較的大人しいから……多分大丈夫だろ」

 

絶対と言い切れないところがまた武貞高校らしいのだが、葛西はそんな事を知る由もなく只々頷いたり、相槌をうっていたりしていた。

 

「あ、ここの規則で帯剣・帯銃が決められているから注意しろよ。多分今日は大丈夫だと思うけどな……」

 

「でもさっきのセグウェイがまた襲ってくるのを考えたら、帯剣はともかく帯銃はしておいても損はないだろうね」

 

言われて気づいたのか、キンジは少しばかり苦い顔になり「そうだったな」と言い直した。だが葛西自身まさか帯剣・帯銃を義務づけられているとは思っていなかったから、少しばかり驚いた。

 

「ほら着いたぞ。ここが一年間使う、探偵科の教室だ」

 

とは言われたもの普通の高校と同じくらいの広さであったし特に何も感じなかった。雰囲気もさして変わった所は見られなかった。

 

「早く終わらないかな~お腹すいちゃったよ」

 

「確かにそうだな……だが時間的にはもうすぐ他の奴等が帰ってくるぞ」

 

「そうなの? じゃあもう少しかな」

 

そんな事を言っていたら遠くから人の気配がし始めた。大方始業式が終わり、大勢の生徒が自分の割り振られた教室へと向かっているのだろう。

葛西は職員室に向かわなかったのを怒られるかもしれない……と心の奥底で思ったが、今更思っても仕方が無いと心の中で諦めた。

 

「だから俺は言ってやったんだよ――――あれ? キンジじゃねえか」

 

制服を盛大に着崩したやや大柄の男に声をかけられたキンジは、面倒くさそうに手をあげた。

 

「どうしたんだよ。始業式もこねえでよぉ……っとそちらさんは例の転校生か?」

 

「うん。葛西英輔と言います。どうぞよろしく」

 

「そんな固くなんなよ。どうせ一年間は嫌でも顔を合わせる事になるんだから」

 

「そうだね……所で君の名前は?」

 

「俺は武藤剛気。((車輛科|ロジ))に身を寄せてる」

 

「う、うん。これからよろしく武藤君」

 

初対面の武藤に若干緊張しつつ挨拶する葛西。それから次々とくるクラスメイトに挨拶をした。挨拶が丁度終わった後担任の教師が教室へと入ってきた。比較的大人しめな印象を受けた、教師は葛西を見つけると、教卓の前まで来る様に促した。

 

「今日は転校生を紹介します。まず一人目が葛西英輔君。もう一人が――――」

 

教師が名前を呼ぶ前に教室の扉が大きな音をたて開いた。葛西は随分乱雑に扱うものだな……と聞こえないようにつぶやいた。

 

「神崎・H・アリア」

 

ただ名前を名乗っただけで、空気が液体窒素をぶっかけたように凍りついた。それはアリア自身のプレッシャーによるものなのか分からなかったが、クラスの皆は動けないでいた。((彼以外は|・・・・))。

 

「あ、お前は!」

 

別名空気読み人知らず。遠山キンジがアリアを指さして勢い良く立ち上がった。アリアはキンジを一瞥。キンジのもとまで歩いていく。そして、

 

「……ベルト返すわよ」

 

そう言って持っていたベルトをキンジに渡し、適当な所へ座った。この時すでに担任は涙目であった。

そしてクラスの皆は謎の美少女からベルトを渡して貰ったのがよほど気になったのか、金髪の少女が、

 

「キー君は彼女の目の前でベルトを取るような何らかの行為をした! そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた! つまり二人は――――熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

そんなことを大声で予想されてはキンジは大迷惑だった。何でベルトを貸しただけなのにこんな事を言われなきゃいけないんだ! と言おうとした瞬間、

 

ダァンダァン!

 

「れ、恋愛だなんて……くっだらない!」

 

顔を真っ赤にして全力で否定するアリア。クラスの皆もいきなり発砲され、さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返る。このとき既に担任は号泣である。ポケットからハンカチを取り出し必死に涙を拭っている。合掌。

 

「全員覚えておきなさい! そういう馬鹿なことを言うやつには……」

 

アリアはクラスの視線全てをその小さな体に集めて、

 

「―――――風穴「おい」っ!」

 

いきなり後ろから声を掛けられかなりの速度で振り返る。振り返った真後ろにはさっきまで教卓にいた葛西がいた。

 

「HRの邪魔をするな。僕は早く帰りたいんだ。それとも君のドタマに風穴でもこしらえてやろうか?」

 

このとき葛西は殺人衝動解放を発動させていた。人体の能力を30倍に引き上げる能力があったからこそ、出来る業である。

そしてさっきまでおとなしそうな奴が、いきなりこんな事をしているのだからキンジや他の人間も目を剥いた。

 

「な、なによ! るさいわね! 分かったわよ……大人しくしとけばいいんでしょ! お と な し く !」

 

アリアはギャーギャー言っていたが、何だかんだで従ってくれたので葛西も殺人衝動解放を解除した。

するとさっきまでの殺気が嘘みたいに消えた。

 

「ありがとねー神崎さん」

 

「べ、別に礼を言われる筋合いなんてないわよ!」

 

「まあまあそう言わずに――――あれ先生は?」

 

葛西の一言によって皆教卓へと目を移す。案の定先生はいなかった。そして黒板に『先生は用事を思い出しました。だから今日は帰っていいです』と今にも消えそうな字で書いてあった。余程傷ついたのであろう。だがそんな教師の心を知らずにクラスの皆は一様に帰り支度を始める。

 

「うはっやった! これで早く帰れる!」

 

葛西は喜びを露にしさっさと帰ろうとしたら、携帯のメール受信を知らせる音が響いた。気になって開いてみると、宛先は死神からだった。若干嫌な気分になりつつも、内容を確認する。

 

「寮に入るのか……面倒くさいな」

 

だが入寮すると行っても寮の場所が分からない。さてどうしようか……と思っていたら、キンジと武藤が話しかけて来た。

 

「どうしたんだよ。そんな難しい顔して」

 

「……恥ずかしい話しながら、寮の場所が分からないんだ……」

 

「それならキンジに教えて貰うと良い。部屋番はどこだ?」

 

葛西は携帯をキンジ達に見せ場所を確認させる。

 

「なんだ俺と一緒じゃないか。よろしくな」

 

「あ、そうなのよろしく遠山君」

 

「キンジでいいぞ。俺も英輔って呼ぶから」

 

「あ、うん……分かったよ。キンジ」

 

若干気恥しさが残るのか、葛西はどもりながらキンジの名前を呼んだ。キンジは笑いながらよろしくと言った後武藤が待ちきれない様子で、

 

「なあキンジ早く帰ろうぜ。不知火は――あ、そうかまだ終わってないのか」

 

「どこか行くの?」

 

「適当にぶらつくだけだろ。いつもそうだしな」

 

「ふ~ん……僕もついて行って良いかな?」

 

「ああ勿論だ。今日から一緒の部屋になるわけだからな。拒否する理由が見当たらない」

 

「うん! ありがと。じゃあちょっと行きたい場所があるんだけど」

 

「お、なんだ行きたい場所って」

 

「えーとね――――――」

 

〇〇〇

 

現在葛西達三人は食材の入った袋を両手に持ち寮へと向かっていた。葛西が行きたかった場所はまあ言わないでも分かると思うがスーパーであった。前世では料理をしていたらしく、今回はパーと行きたいとの要望で食材を買い込んだ。

 

無論キンジと武藤は荷物持ちであった。飯に有り付けるなら荷物持ちでもお安い御用だという気概を見せていた。因みに金は全て葛西持ちである(領収書を貰い、後で死神に請求するつもりらしい)。

 

「いや~まさか飯を作って貰えるとは思って無かったぜ」

 

「確かにな。これでコンビニ弁当ともオサラバだな」

 

「そんなに期待しなくて良いと思うよ? 簡単な料理しか作れないんだから」

 

「そう言ったって味気ないコンビニ弁当よりかは良いと思う」

 

「確かにそうだね。ははは」

 

そう言いながら三人仲良く寮へと向かうバスに乗る。そこから武藤が一方的に話すばかりだったが、葛西にとってはどれも新鮮で面白い話であった。前世とは全然違う世界に最初こそ不安はあったものの、もうすでにそんなものは最初から無かったように、振舞っている。

 

結構話し込んでいたのか寮に着く直前に武藤が停止ボタンを押して漸く寮へと着いた。

 

「お、大きい……」

 

「そうか? 別に対した事ないだろ」

 

まるで自分の家の様に言う武藤に対して、キンジは冷ややかな視線を向けて、葛西は寮の大きさに驚いている。

 

「じゃあさっさと行こうぜ。こんな所に立ち止まってても仕方がない」

 

「おう。そうだな! ほら英輔。行くぞ」

 

「う、うん」

 

武藤に促され葛西たちは寮へと入っていく。目的地は勿論キンジと葛西の部屋だ。

 

「所でさっきはすごかったな……皆に気付かれないように後ろに回るなんて」

 

「大したことは無いよ……皆が彼女に意識を集中させていたからね。抜き足差し足忍び足ってね」

 

キンジはツボに入ったのか吹き出し笑ってしまった。葛西も嬉しくなったのか二人で笑っていた。それを見た武藤が気になったのか首だけをこちらへ向けてきた。

 

「どうしたんだよ。何か面白いことでもあったのか?」

 

「僕が神崎さんの後ろに回ったのが面白かったらしいよ。全然大したことないのね~」

 

「いやお前充分すげえと思うぜ。殺気とか誰にも気づかれずに後ろに回るとかな」

 

「そんなにすごいのか……もしかしたら僕の前世はルパンだったりして」

 

「いやいやどっちかって言うとねずみ小僧じゃないか? 日本人だし」

 

キンジの言うことが面白かったのか今度は三人一緒に笑う。

 

「――やっと着いた。ここが今日から住む部屋だ。まあ俺の部屋でもあるがな」

 

キンジはドアを開け二人を迎え入れる。パッと見部屋の広さは中々広く、二人では少なすぎるぐらい広さだった。

 

(これは色々買いそろえれるな……部屋も一杯あるし)

 

葛西が何やら悪い顔をしているが、二人は気づかずに奥へと入っていく。大方食材を置くためにリビングへと向かったのであろう。だが葛西は気づかずに何を買い揃えるか考えている。どうせ金は死神が持ってくれているので、少々高くついてもいいだろう。

 

「おーいそんな所にいないで早く作ってくれよ~もう待ちきれねえ」

 

「あ、ごめん! すぐ作るよ」

 

葛西は急いでリビングへと向かい、準備を始めた。

 

 

 

 

「うまいな! 最高だ」

 

「嫌々唯の親子丼だよ?」

 

どうやら葛西が作ったのは親子丼だった。それを武藤は騒ぎながら食べ、キンジは静かに食べていた。二人の温度差にすごかったが、葛西は旨いと言われて素直に嬉しかった。

 

「まあ美味しいって言ってくれたなら、作ったかいがあったよ」

 

「すまないな。態々作ってもらって」

 

「気にすることは無いよ。これから一緒に住むんだから」

 

キンジは礼を言い、葛西は少しばかり顔を赤くしてそっぽを向いた。葛西のそんな行動をみて、あまり褒められ慣れていないのか? と思ったが、特に思いつかなかったので早々に考えるのを辞めた。

 

「晩ご飯も作ろうと思ってるんだけど、キンジは夜にどっか行く予定とかあるかな?」

 

「いや特に予定は無いが……どうしてだ?」

 

「何だかんだでご飯食べれない時とか有るからさ。僕も作れないときが有ると思うし」

 

「そう言えばそうだな。じゃあメアド交換しようぜ。そっちの方が連絡取りやすいだろ」

 

「俺をハブにするなよ!」

 

武藤が急に話に割り込んできて携帯を差し出してきた。葛西は特に気にすることも無く、メールアドレスを交換し、顔をほころばせた。

 

「そんなにニヤニヤしてどうしたんだよ?」

 

「え、いや~転校初日で友達ができるとは思ってなかったから嬉しくてね」

 

葛西は心底嬉しそうに二人に言う。武藤はそれを聞いて笑い、キンジも嬉しそうに笑っていた。

葛西は正直転生してまともに生活出来るか不安だったが、今はそんな事は全然無く、寧ろ転生して良かったとさえ思っていた。

 

それも全て葛西の目の前にいる二人の友人のおかげだろう。

昼食を食べ終えた後は、キンジ達の話を聞き大いに楽しんだ。前世とは果てしなく違う世界は葛西の興味を刺激する。

 

もっと知りたいと欲求に駆られ、葛西はキンジ達に次々に質問していく。

そして時刻は7時を少し過ぎたところだろうか。武藤が帰ると言い始め、お開きとなった。

 

「じゃあな英輔。また明日。キンジもな」

 

「今日はありがとう。じゃあまた明日」

 

「じゃあな武藤」

 

武藤はドアを開け帰って行った。


 
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