No.409825

【獣機特警K-9】欲望の石【交流】

空気を読まずにシリアス話を投下してみる。
出演:K-9隊のみなさん
マキ署長 http://www.tinami.com/view/388852

2012-04-17 00:28:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:769   閲覧ユーザー数:725

 金塊強奪事件、そして、インブル製薬の麻薬密造事件が解決して1ヶ月ほど。

 ラミナ市は、平穏を取り戻していた。

「いつもこうだといいんだけどねえ…」

 ウーが伸びをしながらつぶやく。

「そうも行かないのが、ままならぬところだな」

 と、エルザが受ける。

「ところで、ローゼン海賊団、あの事件以来おとなしいですね」

 イシスが端末を見ながら言った。

「それなんだが、ローゼンの連中は、今このファンガルドの軌道上にはいないらしい」

「え?」

「宇宙軍によると、ロサ・ギガンティアは、護衛の艦を連れて、ある惑星に向かったそうだ」

「その惑星って?」

 クオンの質問に、エルザは一瞬間をおいて答えた。

「…ポレモスだ」

「「ポレモス!?」」

 一同が一様に表情を強ばらせる。

 惑星ポレモス。前の総監、アルジャン・コションの策略で、K-9が飛ばされそうになった、紛争の惑星だ。

「でも、どうして? あそこは、危ない星なんでしょ?」

 リクが当然の疑問を口にする。

「さあな。連中だって観光旅行に行ったわけじゃないだろ。よっぽどの儲け話があるとか」

 と、アレク。

 と、ドアの方から別の声がかかった。

「そのとおりよ」

「「マキ署長!!」」

 ドアから入ってきたマキは、まっすぐテーブルまで歩み寄った。そして、懐から何かを取り出した。宝石箱のようだ。

「税関で引っかかった密輸品を借りてきたの。これがローゼン海賊団がポレモスに行った理由…そして、ポレモスの戦乱を激しくしてる元凶よ」

 芝居がかった動作で、マキは宝石箱の蓋を開けた。

「わあ…きれい…」

 思わずうっとりとした声を上げるフィーア。

 箱の中には、小さな宝石が入っていた。ダイヤのようにも、ルビーのようにも見える。そして、内側から淡いピンク色の光を放っている。

 

「丁寧に扱ってね。わたしの給料2年分の輝きなんだから」

「署長、この石って一体…」

 イシスが尋ねる。

「ポレモサイトよ」

「ポレモサイト?」

 マキはうなずいて続ける。

「ポレモスの特殊な地質条件の元でしか生成されない宝石。人類が到達できた銀河系の惑星の中で、この石が採掘できるのは、ポレモスの十数ヶ所の鉱山だけよ。だから、同じ重さのダイヤの数倍の価値があると言われてるわ」

「この石が…」

 フィーアは改めて石を見やった。

「そして、宝飾品としてだけじゃなく、光コンピュータの素子としても理想的な素材なの。この石を使えば、今の2倍の性能の光コンピュータが半分の大きさで作れるようになるらしいわ。コンピュータメーカーも喉から手が出るほど欲しいでしょうね」

「これがポレモスの戦争の原因? グーテちょっと頭こんがらがってきたよ」

 マキが答える。

「考えてもみて。ポレモスは今、無政府状態にも等しいわ。地方を武力で支配してる実力者があちこちにいて、領土拡大のために争ってる。そんな所に、莫大な富を生み出す宝石が埋まってたとしたら…」

「鉱山の奪い合いで、紛争がさらに激しくなるのは目に見えてますね…」

と、イシス。

「それは納得したけど、ローゼン海賊団と何の関係があるんだ?」

 今度はウーが尋ねた。

「ローゼン海賊団は、ポレモサイトの密輸ルートを作ろうとしてるのよ」

「密輸ルートを!?」

 マキは続ける。

「まず、現地のポレモサイト鉱山を確保する。そして、海賊の息のかかった輸送船に石を運ばせる。ファンガルドではゴクセイカイ辺りに売りつけて、利ざやを稼げばOK。そういうところね」

 その場を、重い沈黙が支配した。

「一つ言えることは…。ローゼン海賊団は、これからもっと厄介な事件を起こすってことか…」

 アレクが深く息を吐いた。

「…我らのなすべきことは一つ。無辜[むこ]の市民の盾として、彼奴らと戦うことのみ」

 シスが静かに、だが決意を秘めて言い切った。

 

...To be continued?


 
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