No.408281

ACE学園 第13話『MS少女』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
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第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-14 16:49:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1056   閲覧ユーザー数:1050

【ACE学園・科学研究ギルド】

 

 

「ジェイル先生、何の用ですか?」

 

 

ヴィヴィオと共にジェイルに呼び出されたアインハルトはジェイルに尋ねる。

 

 

「実は、君達のためにあるMSを用意してね。それがようやく完成したのだよ。ウーノ、データを出してくれ」

 

「はい」

 

 

ウーノが空間に表示させた2つのディスプレイにはそれぞれの機体が映し出されていた。片方が青ベースのトリコロールカラーで背中に大型ウイングを装備している機体で、もう片方は緑ベースで所々が白と黒に塗装されているスマートな感じの機体だ。

 

 

「大型ウイングの方がヴィヴィオ君用で、緑の方がストラトス君用のものだ」

 

「いったい何故こんな物を作ったのですか?」

 

「作者がみっちぃ氏という人が作ったMS少女シリーズに魅せられてね、使用許可を頂いてきたのだよ。ヴィヴィオ君用に用意した物が特に好みらしいよ」

 

「では、私の機体は?」

 

 

アインハルトがディスプレイに映し出された自分の機体を指さす。

 

「そっちは、前杉君がデザインと設計をしたんだよ」

 

 

恋人の名前にピクッとアインハルトは反応した。

 

 

「君の特性を活かすことと目の保養をコンセプトとしたらしい」

 

「アインハルトさん、さっそく着けてみようよ!!」

 

 

ジェイルの話を聞いたヴィヴィオはワクワクが抑えきれてないようだ。

 

 

「(士樹が私のために……)やります!!」

 

「では、デバイスを貸してくれ。これからMSをデバイスの中に収納しなくてはいけないからな」

 

「分かりました。ティオ」

 

「クリスも」

 

 

2人の姫は己のデバイスに命じ、ジェイルの元へと行かせた。

 

「先生、ふと思ったんですが、士樹はどこにいるんですか?」

 

「彼は別用で今はいないよ。作業はすぐに終わるから先に演習場の方へ行ってくれたまえ」

 

 

ジェイルからの質問の答えを確認したアインハルトはヴィヴィオと共に演習場の方へ歩いていった。

 

 

 

★★★★★

 

【20分後、科学研究ギルド・技術試験用地下演習場】

 

 

『2人共、準備はいいですか?』

 

「「はい」」

 

『では、MSを身につけてください』

 

「行くよ、クリス。セェェットアップ」

 

「武装展開」

 

 

ヴィヴィオはMSを装着できるようにバリアジャケットのインナーだけを展開し、頭部にはツインアンテナとカメラ、両手にはガントレットが装備された。その後、胸と肩、脚部に装甲が次々と取りつけられ、最後に、可動式のウイングが装備された。

 

アインハルトも同様の過程を経て装甲を装着する。そのシルエットは、ウイングが無いためにスマートな印象を受ける。

 

変身を終えた2人の少女……否、MS少女は地面に降り立った。

 

 

「これが……」

 

「私達の新しい力……」

 

 

アインハルトとヴィヴィオは初めてまとうMSに感嘆の声を漏らす。

 

『ヴィヴィオの機体はバランスが非常に良く、各種武装による戦闘を得意としていてシールドも有ります。アインハルトの機体は装甲は薄いですが、柔軟性と機動力に優れていて、フレームもオリジナルより強化されているので思いっきり戦ってもらっても構いません』

 

『2人共、準備はいいかね?』

 

「問題ありません」

 

「いつでもOKだよ」

 

『では、始めてくれ』

 

ジェイルの合図で2人の美しき姫は拳を構える。明らかに武器を使う気がないのが分かる。拳を構え、しばらく見つめあっていた2人は駆け出し、その拳を突きだした。拳がぶつかりあった瞬間、衝撃波が生じる。

 

 

(ヴィヴィオさん、あいかわらずまっすぐな拳を打ってくる!!)

 

(パワーは私の方が勝っているはずなのに……さすがはアインハルトさんだ!!)

 

 

その後、2人はいったん距離を取り、アインハルトは俊敏性を活かして、蹴りや拳をを組み合わせた小技を細かく連続で決める。

 

ヴィヴィオはシールドを使って攻撃をさばきながらわずかな隙を狙って攻撃を打ち込むが、アインハルトに当たることはなかった。

 

 

(こちらは機動性重視ですからうかつに踏み込めませんね。何か攻撃手段は?)

 

 

アインハルトが機体を管制しているアスティオンを通じて機体のスペックを見ると脚部に隠し武装があるのが分かった。

 

 

(ビームサーベルですか。しかも、武器の扱いに慣れていない私にも扱いやすいよう膝から下を覆う形で……本当に士樹は私をよく見てくれている!!)

 

 

アインハルトはいっきに接近し、3発ほどジャブを打ち込み、脚部のビームサーベルを展開した上で左足を軸にして回し蹴りを放つ。ヴィヴィオは間一髪のところで左手の小型シールドを使って防御する。

 

 

「今のは危なかったですよ、アインハルトさん」

 

「ナイトの思いに答えるのが姫の務めですから」

 

「戦闘中にのろけないでください」

 

 

ヴィヴィオがアインハルトに素早く掌底を打ち込む。アインハルトは第六感に従って右に回避する。

 

 

「今のを初見でかわされるとは思いませんでした」

 

「手のひらにビーム砲とはえげつない機体ですね」

 

「アインハルトさんの隠しビームサーベルほどじゃありませんよ。士樹のことだから他にも武装を仕込んでいるでしょうしまだまだ安心出来ません」

 

 

ヴィヴィオはそう言いながらいったん距離を取り、周囲に魔力スフィアを多数展開する。

 

 

「でしょうね、士樹は用意周到ですから」

 

 

対するアインハルトも迎え撃つべく両手に魔力を込めた。

 

 

 

★★★★★

 

【地下演習場・管制室】

 

 

「2人共、なかなかやりますね」

 

「ああ、アスプルンド先生の枢木君ほどではないが、初めての装着で高機動型の機体を乗りこなしている」

 

 

ウーノとスカリエッティがモニターの向こうで繰り広げられる激しい戦いを見ながら言う。

 

 

「前杉君もどうだい?」

 

 

スカリエッティは椅子を回転させて後ろで座っている士樹の方に振り向く。

 

 

「いやあ、実に眼福だだ。恋人のあんな姿が拝見出来たんだから。レイも悔しがっていたから後で戦闘映像をダビングして渡さないといけないね」

 

 

どこぞのウサ耳カチューシャを装備した天才科学者のようなテンションで士樹は嬉しそうにうんうんと頷きながら語っていた。

 

 

「それは大丈夫です。管制と並行しながらダビングもしてありますので」

 

「助かります。さすがは、ウーノさん。仕事が速いですね」

 

 

士樹はウーノに感謝した後、モニターに視線を戻して観戦を続けた。

 

 

「しかし、君にもお茶目なとこがあるんだね。ああいう物を設計するとは思わなかったよ」

 

「男が好きな人のあんな姿やこんな姿を見たいと思うのに理由はいりませんよ」

 

「なるほどね」

 

 

士樹と話し終えたジェイルは笑みを浮かべながらコンソールの操作に戻った。

 

 

 


 
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