No.407295

劇場版仮面ライダーアクエリアス エピソード・オブ・ベルカ EPISODE FINAL

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-12 21:40:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1017   閲覧ユーザー数:1015

【覇王領、クラウスの城】

 

 

「もう行くのか?」

 

 

スーパーショッカーによって植民地にされ、歪められようとした古代ベルカの歴史は1人の仮面ライダーによって守られた。

 

 

「はい。僕の役目はもう終わりましたから」

 

 

怪人達の脅威を退けるためにこの世界は本を通じて自分を呼び出した――士樹はそう考えていた。

 

 

「それに、速く戻って恋人の顔を見たいですし」

 

 

士樹は物事をやり遂げた時特有の笑顔でそう言った。

 

 

「そうか……」

 

 

クラウスは子供を見守るような暖かい笑顔で答えた。

 

 

「君の様な若者がいるんだ。未来は明るいな」

 

「クラウスさん……」

 

 

クラウスやオリヴィエの結末を知っている士樹は沈痛な面持ちだった。

 

 

「そう暗い表情をしないでください。こんな世の中ですからとっくの昔に覚悟は出来ています」

 

「それに、君があれだけ勇敢に戦ったんだ。我々もそう簡単にはくたばれないさ」

 

 

オリヴィエとクラウス、2人の王は終焉を継ぐ者の表情で己の未来を悟った。だが、それでも己が道を貫く覚悟をした。

 

 

「これは、君と未来の覇王に対する祝福だ」

 

 

クラウスは士樹に長方形の箱を渡した。

 

 

「開けてみてくれ」

 

 

士樹が中を開けると、2つの指輪が入っていた。片方は紫の、もう片方は蒼い宝石が付けられていた。それらは見ただけで高価な物と分かるほど手が込んでいて、綺麗な輝きを放っていた。それ故に、大樹との付き合いで財宝にある程度造詣の深い士樹は、それを見て驚いた。

 

 

「良いんですか、こんな高価な物をもらってしまっても?」

 

「構わないよ。それだけのことを君はしてくれたんだから」

 

「幸せになってくださいね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「話は終わった?」

 

 

クラウス、オリヴィエと話をしている士樹に大樹が近づいてきた。

 

 

「これ以上過去にいると、電王はともかく時間警察がうるさいからね。そろそろおいとました方がいいよ」

 

「確かに時間警察は融通が効きませんからね。クラウスさん、オリヴィエさん、そろそろ帰らせていただきます」

 

「ああ」

 

「未来でも元気に過ごしてください」

 

 

2人に見送られながら士樹と大樹はオーロラをくぐって元の世界に帰った。

 

 

 

★★★★★

 

【ACE学園高等部保健室】

 

 

(あれ? いつの間に僕は寝ていたのかな?)

 

 

意識が目覚めた時、士樹はベッドの上だった。おそらく急に緊張が解けたことによる安心感と戦闘によるダメージのせいだろうと予測した。ゆっくりとまぶたを開けて右を見ると、アインハルトが自分の右手を握ってくれているのが見えた。

 

 

「ありがとうございます、士樹。クラウスとその国を守ってくれて」

 

 

アインハルトは士樹の右手を優しく握りながら感謝の言葉を述べた。

 

 

「クラウスさんが死ねば、君は存在しなかったことになるし、更に大勢の一般人が蹂躙されそうになっていたんだ。見過ごせるわけないさ」

 

「そうだとしても……今はただお礼をしたいんです」

 

「じゃあ、お姫様の口付けが良いな。しばらくご無沙汰だったわけだし」

 

「分かりました」

 

 

アインハルトは目をつぶって自分の唇を士樹のそれに重ねた。2人は今まで離れていた時間を埋めるように優しく甘いキスをした。

 

 

「入るわよ」

 

 

その時たまたま運悪く校医であるシャマルが保健室に入り、現場を目撃してしまった。

 

 

「私はお邪魔のようね」

 

 

シャマルは微笑みながら保健室を出るのだった。

 

 

こうして、1冊の本がきっかけとなった戦いの物語終わりを迎えた。

 

 

明日からは、いつもの騒がしくも平和な日常が少年を待ち受けている。

 

 


 
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