ここは、シナプス。天空に浮かぶ複数の島々から構成される私達の国。その内の島の1つから地上を眺めるのが私の日課でした。
「何してるの、イカロス?」
「ニンフ…」
私がぼーっと地上を見ていると、幼馴染のニンフがやってきました。
「また地上を見てるの? あんたも飽きないわねぇ」
「……」
私はニンフの言葉には答えず、地上を見続けます。
「イカロスさん、ニンフさん、ここにいたんですか?」
別の方向からアストレアが駆け足でやってきました。でも、そんなに走ると……、あ、やっぱりこけた。
「もう何やってるのよ、アストレア」
「こ、これくらい大丈夫です」
ニンフが慌ててアストレアに駆け寄りますが、アストレアは立ちあがり、私の所に歩いてきました。
「また地上を見ていたんですか。確か、8年前に男の子と出会ったんでしたっけ?」
「うん」
「そんなに気になるんでしたら、探しに行けばいいじゃないですか?」
!? 私、何でそんな単純な事に気がつかなかったんだろう。でも…、
「今ごろ会いに行っても大丈夫かな?」
「大丈夫ですって。イカロスさんぐらいの女の子ならそこまでする価値がありますから」
その言葉を聞いた私は決心し、翼を広げます。
「アストレア、ありがとう」
そう言って、私は飛び降りました。ニンフが何か言っているようですが、気にしなくていいでしょう。私はそのまま飛行することにしました。その時、急に大気が乱れて姿勢制御が乱されました。
「くっ!」
時々大気が乱れることがありますが、これほど乱れることは稀です。どうやら右から吸い寄せられている感覚があるので右を見てみました。そこでは、ブラックホールの様な穴が発生していました。これが、大気が乱れている原因のようですね。懸命に羽ばたきますが、じょじょに引きずられ、ついには穴の中に吸い込まれてしまいました。
ですが、怪我の功名とでも言うのでしょうか?吸い込まれた穴の先で会った親切な2人組が、私が探していた男の子のことを知っていて、場所を教えてくれたのです。しかも、その2人組と仲の良い青年がその場所まで案内してくれることになったのです。
しばらく会っていませんが、彼……工藤刹那は元気なのでしょうか?
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
そら騎士のプロローグです。
ところどころ、ACE学園のキャラが関係したり、登場したりします。
続きを表示