No.400893

終焉

rahotuさん

一先ずこれでこの作品はおわりです。

また気が向いたら何かを書くかもしれません。

では今までお付き合いいただきありがとうございました。

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2012-04-01 02:17:38 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5006   閲覧ユーザー数:4789

IS学園占拠事件から瞬く間に時は過ぎた。

 

事件以降IS委員会は各国からその管理能力の是非を問われ規模を縮小。

 

以後実権を握ったティターンズによってIS学園及び世界中のIS関連の施設はその管理下におかれることになった。

 

無論これ等のことに各国でも反対も起こったが、地球連邦の後ろ盾とゴップ首相の政治力。

 

並びに事件の首謀者である篠ノ之束の存在と国家では最早どうしようもないほど事態は混迷し、地球圏の調停機関であった連邦がその本来の役割を行ったともいえる。

 

ゴップ首相は国連にてティターンズの管理下におかれたISを用い軌道エレベーター建設構想並びに月面都市と各種ラグランジェポイントにコロニーの建設を含めた宇宙開発を提言。

 

元々のISの使い道としては随分と遠回りをしてしまったが、以後世界中に散った三百以上ものISがこれ等の作業に従事する事になる。

 

その後十年間で東南アジア、アフリカ、南米に作られた三本の軌道エレベーター、連邦主導で行われた月面開発とコロニー建造。

 

来るべき宇宙時代を迎えるに当たって教育の改革と法整備等等、おのずからその全てに関わる地球連邦の存在は否が応にでも増していった。

 

ISを供出された各国は連邦とティターンズ及び国連に不満を持ったが、地球連邦よりMSを貸し出されたティターンズは国連を完全にその支配下に治め反対勢力を弾圧。

 

並びに安全保障理事会において統合政府構想を打ち立てた。

 

曰く『全ての国家はその用いる全ての技術及び人材を全て統合政府の名の下に結集すべし』

 

そしてこの中で統合すべき政府とはつまり地球連邦を指し示し、無論世界中から避難が集中し国連の機能は一時麻痺したほどだ。

 

だが今更この地球規模の事業を抜け出すには遅すぎた。

 

既に各国の経済は宇宙開発ラッシュありきで動いており、同時に国家間ではどうしようもない問題を連邦に頼らなければならないという事が彼等にはいやというほどわかっていた。

 

しかし唯黙って全てを差し出す各国ではない。

 

裏で反連邦派を焚きつけ、テロ組織や民族運動を扇動した。

 

地球規模でテロが起きれば連邦にも隙が出来ると彼等は考えたのだ。

 

そして宇宙開発の主導権を握るのは自国だと、各国の誰しもが思った。

 

だが連邦とティターンズの力は彼等の想像以上であった。

 

元々全世界を統一する無茶をやる為に作られた組織である。

 

そのような対策を怠っているはずがなく逆に入念な対策と準備とを行い、逆に各地のテロ行為が各国の仕業であると暴露されてしまう。

 

追い詰められた各国は遂に地球連邦と前面戦争を決意する。

 

後に『再構築戦争』と呼ばれる人類史上最悪の七年に及ぶ戦いの幕が上がったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙世紀0070 地球軌道上 新・地球連邦軌道首相官邸ラプラス

 

 

 

真下に広がる地球の大地を見下ろしながら、顔に皺を貯めた男が貴賓室のソファーに座っていた。

 

顔に刻まれた年輪のような皺と杖を持つ両の手のごつごつとした表面。

 

見るからに年をかなりとった老人がそこにはいた。

 

あれからここまで色々な事があった。

 

すべての国家を下し、地球を統一した地球連邦は名を改め新・地球連邦として新たに再出発をした。

 

だがその道なりは決して平坦ではなかった。

 

各地で使われた核兵器やBC兵器による汚染と経済の荒廃。

 

それら全てを復興することは当時の連邦にはその余力がなかった。

 

故に残った人類を強制的に宇宙に上げる強引な政策により又血が流された。

 

人類は宇宙に新たな生活の場を移しても争いはなくならなかった。

 

棄民政策と揶揄されるコロニーへの強制移住、裕福なものは快適な月面都市へと住みアステロイドでは世間から省かれた者達が重労働に喘ぐ。

 

月とコロニーとの貧富の格差はやがて深刻な社会不安を増大させ、折りしも地球を神聖視するコスモリズムが地球回帰を謳い、連邦は内部から崩れ始めていた。

 

それらを押さえ、全人類の上に君臨する誰もが無視できない絶対的なそして無慈悲な神としての役割を連邦は果し続けてきた。

 

しかしそれでも世界は止まらない。

 

遂に幾つかのコロニーで独立戦争が勃発し、並びに火星及び木星での開拓民の反乱も起こったことで連邦は遂に崩壊するかに見えた。

 

だが連邦というのは余りにも巨大すぎた。

 

それ自体が抱える重みで崩れることも敵わず、倒すことも出来ないし無視する事も出来ない存在。

 

そのような愚鈍な偶像に成果てていた連邦だがそれでも自らの役割を全うし続けた。

 

そして今日漸くその呪縛から解き放たれようとしていた。

 

老人は今までの歴史を感慨深げに振り返りながらも手元の懐中時計を見て立ち上がる。

 

さあ、自分の最後の役割を果す時だ。

 

 

首相官邸ラプラスには既に連邦の歴々たるメンバーが顔を見せていた。

 

その中にはジオン共和国、コスモ・バビロニハ、ザンスカール、木星連邦、火星同盟、月面連合、の重鎮達の姿もあった。

 

一番高い壇上に連邦大統領が姿を現す。

 

そして簡単な挨拶を述べた後、ある一人の人物を紹介する。

 

階段の影からその人物が姿を見せ始めると共に会場はざわつきはじめた。

 

だが老人が壇上に上りきりその姿を見せるとシーンと静まり返る。

 

そして始まるスピーチ。

 

地球圏すべてにこの会場の様子はリアルタイムで映し出され、人々の誰もがその人物の声に耳を傾けた。

 

そしてスピーチを最後まで終え壇上を降りると大統領が再び上がりこう宣言する。

 

「今この時をもって地球連邦の歴史に終止符を打つ」と。

 

その宣言と共に誰しもが歓声をあげ、ここまでの長い道のりに涙した。

 

辛く長くしかし人類の黄金期を支え続けた存在は、人々の歓声の下でその役目を終えた。

 

同時にここまで人々を見守り続けたある一人の男の人生も同時に終わる。

 

ヨハン・イブラヒム・ゴップ。

 

連邦の生ける偶像、神としてコールドスリープの眠りと目覚めを繰り返し、人類を導き続けた。

 

そして連邦の終焉と共に彼の存在も消える。

 

人々は人類はこれから各々の判断で生き作りそして紡いでゆく。

 

銀河の大海原に飛び出すのか、小さな地球圏での争いに終始するのか、滅亡をするのかそれはだれにも分からない。

 

だが忘れないで欲しい。

 

短い間だったとは言え人類が一つになれたことを。

 

そして、その中で消えていったチートな転生者のことを...。

 

 

 

 

 


 
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