~辻家~
ピンポーン
「泰広出てちょうだい」
「はいはい」
ガチャン!
俺が扉を開けてそこにいたのは・・・・・
「純!!」
「こんばんわ泰兄」
「なんで来たんだい?」
「ちょっと話したいことがあって・・・・・」
「軽音部の事?」
「何で分かったの!?」
「君が帰る時浮かない顔をしていたからね」
「さすが泰兄勘が鋭いね・・・」
「で一体どうしたんだい?とにかく中に入りなよ?」
「うん・・・」
~辻家内~
「あらその子は・・・純ちゃん?」
「うん」
「お久しぶりです、おばさん」
「いや~ホントお久しぶりね純ちゃん!まあそこに座って」
「ありがとうございます」
「で、話って?」
「うん、実は私・・・軽音部に入ろうと思っていたけど辞めてジャズ研に入ろうと思うんだ」
「そっか、やっぱりね」
「いいの?泰兄は?」
「確かに入っては欲しいけど、純が決める事だし、ジャズ研はレベル高いから純は成長すると思うよ?」
「ありがとう泰兄」
「ところで純、ここから君の家は遠くないのかい?」
「大丈夫大丈夫!すぐに着くから!」
「いいよ、送っていくよ」
「わざわざそこまでしなくて大丈夫って、あの泰兄?」
「何だい?」
「・・・前あの時の事もう大丈夫なの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あっ!ゴメンね、変なこと聞いちゃって」
「悪いね純・・・まだ整理しきれていない・・・」
「あ!私もう帰らないと!」
「分かった純、じゃあそこまで送っていくよ」
「ありがと、昔から泰兄は優しいね」
「そりゃどうも」
「プッ・・・」
「フッ・・・」
「「アハハハハハハ!」」
こうして俺は笑いながら幼馴染の純を近くまで送っていった
しかしこうも梓といい純といい知り合いに高校でまた会えるとは・・・
でもまだ過去の事は整理できていない俺はまだ・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~翌日~
さて今日は新歓ライブの日だ
まあ言ってしまうなら俺達6人のメンバーにとっては初の新歓ライブ
純はジャズ研だからまた違う1年生を狙うしかない
そういや梓はどこの部活に入るもしくは入ったのか・・・
まだ講堂に入っていないから電話してみよう・・・
rrrr・・・・・・・・・・
ガチャ!
『もしもし?』
『梓?俺だけど、泰広』
『どうしたの兄さん?』
『思ったけど部活どこに入るか決まった?』
『いや実は・・・・・』
『そうか・・・・・』
『そういえば兄さんって軽音部なんだよね?』
『えっ?そうだけど・・・・・』
『どんな部なの?』
『どんな部って聞かれてもな~・・・』
とても真面目な梓には話せない内容ばかりだ
音楽活動よかティータイムの比率が明らかに大きい
『まあ・・・いろいろとあるよ・・・俺的には梓ならジャズ研がいいと思うよ?』
『でもジャズ研は思っていたのと違ってたから・・・・・』
『そっか~・・・・・』
『あっ、じゃあもう私切るね』
『分かった、ごめんねわざわざ』
『いいよ、心配してくれてありがとう』
プッ!
やはり決まってなかったか・・・・・
しかしジャズ研に入らなかったのは意外だったな~
「おーーーーーーーーーーーい泰!そろそろ行くぞ~!」
律が俺に呼びかけてきた
相変わらず2年になっても元気なもんだな
「はいはい!ちょっと待ってて!」
~講堂|(ステージ)~
ガヤガヤガヤ
「うわぁ・・・人でいっぱい」
「そりゃあ新入生歓迎会だからな」
「いつも通りやればいいだけ」
「そうだね、去年の学園祭よりは気が楽だよ」
「で、で、で、で、でも・・・・・」
「コイツやっぱり緊張はしてんだな」
「澪は昔から恥ずかしがり屋だからな」
「りっちゃん!」
「ん?」
「そこで100円拾ったよ!」
「「お前はもっと緊張しろ!」」
「最終確認したいけど曲名は?」
俺が律に尋ねて・・・・・
「え~っと、ふわふわ時間、カレーのちライス、私の恋はホッチキス、ふでペンボールペン・・・」
「独創的過ぎるな・・・・・」
「相変わらず澪のセンスは独特だよな~」
「そう?」
「泰達のやるコピー曲は?」
「えっと・・・確かRADWIMPSの『ます。』と、L'Arc~en~Cielの『READY STEADY GO』だよ」
「曲の差というか何か違いが大きくない?」
「いいよ、いい曲だし」
「じゃあそっちの4曲が終わった後でいいんだよな?」
「律のドラムは結構負担になるから頑張ってね」
「任しとけ」
「今回は力強くていいんだぞ?」
「やかましい!!」
「ねえねえ、最初の4曲ボーカル全部私でいいの?」
「そういや決めてなかったな~」
「(決めておけよ・・・・・)」
「そうだな、せっかく2人いるんだし澪も一曲やったほうがいいんじゃないか?」
「へえ!?」
「ホラ、ハイタッチ!!」
「ヤダ!!絶対イヤ!!」
「澪ちゃん・・・」
「ホラ前のライブでも評判良かったし」
「お前の声は綺麗だし」
「ヤダ!!」
「もうあんなアクシデントは起こらないって!」
「ヤダ!!」
「でも・・・」
「ヤダ!!」
「澪ちゃ・・・」
「ヤダ!!」
「(どこまで嫌なんだ・・・・)」
あっ、唯がニヤッっとした・・・
またロクでもないこと考えたな・・・
「ラーメンだけじゃ・・・?」
「ヤダ!!」
「餃子もつかなきゃ・・・?」
「ヤダ!!」
「道端で倒れている男は・・・?」
「ヤダーーーー!!」
「最後に、唯が泰の彼氏だと?」
「ヤダ!!って何を言わせるんだ律!//////////」
ガツン!
「いったぁ~い!」
「・・・・・/////」
「(は?俺が唯の彼氏?律は何を言っている?)」
でも何か唯は顔が赤くなっているし
澪もなぜ嫌がるかがよく分からない
「しょうがないわねぇ~全部唯ちゃんでいいんじゃない?」
『次は軽音部によるクラブ紹介です』
「あ、出番だ」
「最後に皆にひとつだけ言っておきたい事があるわ」
「なんすか?」
正樹が尋ねると・・・・・
「制服も意外といい!!」
何指を立てながら言っているんだ
「早く舞台袖に下がってください」
「真面目に聞きそうになった俺がバカだった」
こうして新歓ライブが始まる・・・・・
♪~~~~~~~~~~~~~
MCも終えて1曲目も2曲目も終了して・・・・・
ここらへんで軽めの休憩を取り
そして・・・
『どうも~・・・・・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
『軽音部です、えっと~、新入生の皆さんご入学おめでとうございます!』
『私最初「軽音部」って聞いて軽~い音楽だなんて思っていたんですよ』
観客席から歓声が沸いた
唯のMCは大丈夫そうだな
『それでカスタネットが出来ればなぁ~なんて軽い気持ちで入部しました!』
『なので皆さんもそんな軽い気持ちで入部してください!』
よし、終わったみたいだな
俺達はアイコンタクト取って準備を完了するも・・・・・
『あ!でも、カスタネットは実は難しいってさわちゃん先生が言ってました~!では次の曲・・・』
「「(全く・・・))」」
『あ!さわちゃんて言うのは音楽の先生のあだ名・・・』
ドドドドドン!
「「はよ始めんかい|(ろや)!!」」
「ゴメンゴメン!」
『じゃあ次の曲・・・「わたしの恋はホッチキス」』
♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「(唯・・・上手いな、俺以上かもな・・・)」
「(出だしのリフ難しいのに完璧になっている・・・っていうか)唯!歌!」
「(あ!歌詞忘れた~!)」
「(まずい!澪!)」
『なんでなんだろ
気になる夜 キミへの
この思い 便せんにね
書いてみるよ
「(澪ちゃん・・・!)」
「(何とかなったね・・・)」
「(早く歌え!)」
「(ったく・・・世話が焼ける・・・)」
「(唯しっかり!)」
♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こうして3曲目も終了し4曲目も終了
ようやく俺の出番だ
正直本当に怖いもんだな・・・
失敗しないといいが・・・
「みんな~!ありがとう~!!」
唯が新入生にそんなお礼を言って・・・
いよいよ俺にスイッチが代わる
「ではここからはボーカル俺が担当します!新入生の皆さん初めまして!ギター&ボーカルの辻泰広です!」
「ベース&コーラスの東正樹です!」
「今年この高校私立桜ヶ丘高校は共学化しましたが、俺たちの2人もこの軽音部に入部しました」
「正直不安ばかりでしたが、ここにいる4人のおかげで俺と泰広は楽しくやっていっています!」
「なので男女の入部は全く問いません!ぜひとも入部お願いします!では次の曲、L'Arc~en~Cielで『READY STEADY GO』
♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中盤以降のkenのギターソロも成功
よしあと少し!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪
パチパチパチパチパチパチパチパチ!
観客席から拍手が沸いた
どうやら成功ってところだ
でもまだ終わっていない!
あと一曲ある
「ありがとうございます!では時間がもう無いので次行きましょう!RADWIMPSで『ます。』」
♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺は主なソロだけ弾いて唯にギターほとんどまかせっきりだけど
やっぱ皆上手いよ・・・天国にいる・・・あいつにも・・・
本当に・・・聞かせたい・・・なぁ・・・
あとちょっとだ、頑張ろう
ドドドンドドドドン!
「皆さんありがとーーーーーーーーーーーー!!」
俺は律のドラムソロと共にお礼を言った
こうして俺たちの初の新歓ライブは終了
~放課後~
じっーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なあ・・・みんな」
「そんな目で見ていると来るものも来ないんじゃ・・・」
「でもせっかくライブ盛り上がったのに・・・」
「1人も来ないなんてありえない!」
「確かに1人も来ないのはちときついよな」
「はっ!もしかして私が失敗したから・・・!」
「唯、君は全然大丈夫だよ。それなら俺がまだ・・・!」
「だっーーーーもう!暗い話をするなーーーーーー!!」
律が俺と唯に声を上げる
「やっぱり部員が少ないからなのかなぁ~・・・」
「6人はやはり少ないかもな・・・」
「みなさんお茶が入りましたよ」
「(ムギ、君はやけに元気だね・・・すごいよ、こんな時まで)」
「こうなったら憂ちゃんと純ちゃんを捕まえてくるしかないか」
「虫じゃないんだぞ・・・(汗)」
ガチャン!
「お~~~~~い!泰広に秋山さ~ん!」
「「兄さん??」」
「あれ正樹?久しぶり!」
「兄さん久しぶりじゃねぇか!」
「兄さんって昨日話した?」
「ああ、こいつがそうだ」
「え?唯?」
「圭ちゃん?」
「「唯!!|(圭ちゃん)!!」」
「唯軽音部だったのか!?」
「うん!!圭ちゃん入部してくれるの!?」
「ああ、そうだぜ」
「ありがとーーーーーーーーー!!!」
「分かったからくっつくなって・・・」
「え?2人って恋人?」
律が兄さんにそんな事を問うと・・・
「ハハハハハ!違うって違う!唯とは従姉妹関係さ」
兄さんが笑いながら否定をした
意外だった、唯と兄さんがいとこ同士だったなんて・・・
「何で今まで知らなかったんだよ?」
「えっと、あれ?何でなんだ?」
「(こいつらやっぱり似ているな・・・)」
「えっと、部長さんは誰だ?」
「このカシューチャ女だ」
「誰が『カシューチャ女』だ!」
「ホラ入部届け」
「え?いいの?」
「そりゃ入部するためには入部届けが必要だからな」
「「「ぃやったーーーーーーーーーーー!!!!!」」」
「え?一体どうしたんだ?」
「実はライブの後に誰も来てくれなくてね・・・・・」
「あんなに盛り上がっていたのにここまであれとはな」
盛り上がっている所に・・・
ガチャン!
もしかして新入部員・・・ってあれ違う?同じ色のリボンだし・・・
一体誰だ?
「やっほーーーーー皆~来たよ~!」
「お前来たのかよ・・・」
「「「楓ちゃん!!!」」」
「「えっと?どなた?」」
良かった、澪も兄さんも知らないようだ
俺だけ知らなかったらとてもヤバかったかも・・・
「あっ!そうだったこの3人は知らなかったかもね」
どうやら向こうは俺たち1組を知っているようだ
「私この春こっちに転校してきた2年2組の柳瀬楓で~す!そしてこの髪の長い女男正樹は私の従兄弟で~す!よろしくね~泰君に澪ちゃんに兄さん」
柳瀬さんが正樹の腕に抱きついてきて
「いちいち抱きつくな!このバカ!」
ガツンッ!
「いったぁ~い!何すんの!!」
「お前が悪いだろうが!」
「(よう考えたら俺のあだ名完璧に『兄さん』になっているし・・・)」
「あっ!そうだ!はい、りっちゃん入部届け!」
「やったーーーーーー!!続いて2人目!サンキュー楓!」
「いいよいいよ!これからも宜しくね~!」
ガチャン!
「あの~・・・」
「はい?」
「入部希望なんですけど・・・」
「(梓!!!!)」
「へ?今なんと・・・?」
「入部希望・・・・・」
「確保ーーーーーーーーー!!!」
律が梓に飛び込む・・・
脱走した囚人を捕らえる警察官のように・・・
「(あ~あ、梓の奴・・・そういや梓と従姉妹関係なのは黙っておくべきなのかな?)」
まあいいやそれはそれで・・・・・
梓がバラしていいならそれでいいや
こうして軽音部に入った人数は9人になった
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新歓編終わりです
では27話目どうぞ~