真・恋姫✝無双~御使いの転生~張任伝 第四章天下飛翔/外伝其一
外伝其一/大蛇狩りと白き流星
話は夷陵の戦い後にまで遡る
「そら、よいよいよ~いの、パッパッパ」
「「「 ガッハッハッハ!!! 」」」
夷陵の戦いで勝利した劉焉軍、酒は少ないが勝利を祝って兵士達が隠し芸を披露したりと騒いでいた。
その集団を少し離れたところで白を基調とし血のついた兜を外し、酒をちびりちびりと飲んでいる男がいた。
赤髪の少女はそんな男に近付いて行った。
「土呂さん」
少女はそう言い男の横に座った。
「何でしょうか? 正明殿?」
男は飲んでいた盃を地べたに置き、少女が座っている右側に顔を向ける。
「今の芸は…阿戒君が見たら笑いこげているでしょうね…」
「……そうですね…。」
「あの…」
「それよりも、本当に将になるつもりは?」
少女は何かを言おうとしたが、彼の言葉で遮られた。
「……私に指揮は性に合いません。部下と共に戦場を駆け巡るのが過ごし易く張任様の為になるはずです。」
「阿戒は言っていたよ、君を相手に勝てる気がしないってね。」
「……失礼します」
少女はムスッとしながらも彼へ一礼し、部下達がいるであろう集団へも戻って行った。
「怒らせてしまいましたか、思えば彼に会わなければこの様な機会は永遠となかったでしょうね。 お? 」
「珍しい花ですね…彼に持っていきますか」
土呂は一輪の花と徳利を持ち歩み始めた…
此処は成都の城壁外。広がる荒野を二百騎の騎兵が掛け周り砂埃が舞う。
「総員停止!!!」
「「「 応!! 」」」
一糸乱れぬ動きで騎兵達は指揮官の号令に停止した。 その後、白き鎧を纏った指揮官と思わしき青年は己が愛馬から降り兵士達の方を向いた。
「皆!! 御苦労様、解散!」
「「「 応!! 」」」
兵達は指揮官の青年に一礼した後、近き者と談笑もしくは愛馬を摩って苦労を労ったりとしているが一人の少年と二人の人物が青年に近寄って来た。
「張兄様!! お疲れ様でした!!」
頭に白き鉢巻きを巻いた少年は青年に向けそう言って彼に近付いて行く。
「お、阿戒じゃないか! ご苦労さ…ん? 後ろの二人は……留賛と、えっと…」
「お、お初にお目にかかります!! 姓を土(ト)、名を呂(ロ)と申します!!」
「うん…土呂だね、解った。 それで、どうしたの?」
声を震わせビクビクしている男がそう名乗ると張兄と呼ばれし青年は頬笑みながら彼の顔をじっと見てそう言った。
「私はともかく、阿戒が彼を大層気に入っておりまして……義兄弟の契りを結んだくらいだそうですよ。それを張任様に紹介したい…と言うのです
もう一人の赤紙の少女はそう言って次の言葉を詰まらせている彼に代わり張任と呼ばれた男に報告した。
「なるほどね。土呂、留賛。いつもなら阿戒と一緒に食事する予定だけど、一緒にどうだい?」
「こ、光栄であります!!!」
「良いのですか? 私の様な下っ端でも?」
「兵達は皆、家族のつもりだよ? おいでよ」
「しょ、承知…」
少女は顔を赤らめながらもそう頷いた。しかし…
「聞いたか兄者」
「聞いたか、弟」
「皆!!! 将軍が皆に飯を奢ってくれるらしいぞ!!!」
「「「 オォオオオオオオウ!! 」」」
近くで馬の世話をしていた兄弟がこの兵は皆家族、食事と言う単語を聞き、仲間達に言触らす。それを聞いた兵達はここぞとばかりに今まで以上の大声を出した。
「あはは…50名は此処に竈を作ってくれ!!! 残りは馬を小屋に戻した後に買い出しに行くぞ!!」
「「「 応!!! 」」」
苦笑しながらも張任…一刀は手際良く準備させる為に兵達に次々と指示を与えた。
時間は過ぎて行き暗くなり四方に明りを付けその真ん中では調理を行う者、飲みながら談笑している者たちなど、様々な人々がいた。
「えらほっさ~の ヨイヨイヨイ!!!」
「あっはっは ヒーアッハッハ!!!!」
「「阿戒が壊れた!!!」」
何故か宴をやると聞いた駿が持ち芸である不思議な踊りを踊り、それを見た兵士達もそうだが阿戒が途轍もない状態に陥ったため所見である二人は眼を点にして驚いている。
「あはは…阿戒は笑いの沸点が低いんだよね…」
「張任様は阿戒の事を御存じで?」
「そうだよ、同じ村の出身だよ」
「なるほど…」
留賛はそう言われ納得していた。
「う~ん、なるほど。 あの踊りは此処をこうしてあ~して」
「研究熱心だね…」
苦笑いしながら真面目に分析している土呂を一刀は見る。
「二人に頼みたい事があるんだ。少し良いかな?」
「「 ? 」」
「将にならないか?」
「「 !? 」」
その一言で二人は持っていた盃を落としそうになり慌てて持ち直した。
「驚かせて御免… けど、聞いて欲しい。 東州兵と言う大きな組織になりつつあるんだ。それを率いる者の数が少ない。頼む。 留賛は腕っ節も強いし皆からも信頼されているし、土呂は、今実際に会ってみたけど、物事を冷静に見れる眼があるから将としての素質も申し分ないはずなんだ。」
「「 …… 」」
二人は沈黙していた。しかし、
「僕は、将になるよ?」
「「 え? 」」
いつの間にか真剣な面持ちとなった少年はそう二人に言った。
「張兄は大陸の人が平和に暮らせるような世の中を作る為に劉焉様に仕官したんだよ。僕もそんな張兄に引かれて張兄の部隊応募に応募したんだ。 今じゃ小隊長を任される様になった。けど、部隊は大きくなる。これからも、ずっとね。 だから張兄の為に多くの兵を指揮できる将になって負担を軽減させたい!! そしたら、速く平和になるでしょ? 僕は人を、動物を殺すのはあまり好きじゃない。けど!! そうしないと速く終わらない!!! 生き残れない!! だから、僕は戦うよ。 乱世って戦とね」
そうハニカミながら、阿戒は二人を力説した。
「…この土呂、どこまで出来るか解りませんが、機会があるのならば……ぜひ、お願いいたします!!」
「申し訳ございません。私は多くの者の、仲間の命を背負う勇気はありません。ですが最前線で活躍して見せます!!!」
「そうか…解った!! これからも三人とも頼んだよ!!!」
「「「 応!! 」」」
「懐かしい物です…、しかし…………阿戒…張任様がお前の仇討ってくれたぞ… お前が前に言った通りだったな。嬉しい物じゃない…… 人の命を絶つことは。」
¨夷陵に散りし両軍の英霊達、此処に眠る¨と書かれし墓石とその横に存在する¨張任の快刀阿戒此処に眠る¨と掘られた小さな墓石に徳利の酒をぶっ掛ける。
「すまない、阿戒。今はこんな小さい墓地で…我慢してくれ、平和になったらお前の村にこの鉢巻きを埋めた墓石を俺が立ててやる。」
そう言いながら鉢巻きを懐へしまう。
「それはそうと、疫病が流行らないために俺らは今まで通りお前達の墓を造ったぜ… なぁ、阿戒? 俺は本当に指揮官になれるかな?」
¨なるんじゃない、やるしかないんだよ? 君の一声ですでに多くの命を奪ったんだから¨
「!? あはは…そう…だな…。 そいつらにも敵にも夢や家族がいるんだ。 それらの責任を俺は全うしないとな…。 しかし、お前に一騎討ちを負け越しのままで逝かれたのが凄い心残りだよ。」
¨あはは…僕に負けるのもそうだけど、他の隊長にも負けたよね¨
「言うんじゃねぇよ…畜生。 けど、今度出会える機会があるなら絶対お前を倒してやるよ!!!」
俺はそう言って酒を煽る。 しかし、返事は撫でる様なそよ風のみであった…。
けど俺にはこう言ったに思える。
¨平和になったら、いつでも相手してあげるよ。そして、また一緒に騒ごう!!!¨
あとがき!!!
おはようございます、こんにちは、こんばんは、自宅の倉庫から2Lのペットボトルを左腕だけで持ち上げようとしたけど結局持てなくて右腕で運んだ作者です!!!
まず始めに、アンケートご協力ありがとうです!!!!
回答結果見ると2番が多かったので[彷徨えしは我が想い]を正式採用して今作と同時投稿を決定いたしました!!
しかし、続編は今すぐに出しません。実を言いますと春休み中に書けるだけ書いてストックとして置いて置き、このTINAMI様で私の小説家(アマチュア)としてのデビュー一周年の日となり得る本格的に投稿し始めた五月二日に投稿しようと思います。その間出来をなるべく良い物にしようと思いますので期待した皆さまに先にお詫びいたします、申し訳ない!!
期待以上の物になるかは不安ですが待っていていただけるとこれ幸い。
入院前の作品を見返した時少し活写が少なかった夷陵の戦いでの土呂に今回は視点を当ててみましたがどうでしょうか? 正直言いますと一刀君がチョイ役、原作キャラがおらず、オリキャラオンリー(基本的にこの様な感じですので否めなくないですが…)であるので、原作の恋姫ファンの皆様に楽しめるかどうか疑問に思えると思います。しかし、好まれる役、憎まれ役、関係なくこのキャラの別の一面を見て欲しい。と思い投稿いたしました。あとがきで書いてしまうのも筋違いかもしれませんが、先に次のような方に謝ります。貴重な時間を割いて申し訳ありませんでした。 興味がなかった。あまり面白くなかった等のご感想を御持ちの際は私以外の他の作品を見て頂くか、そっと閉じて頂けると御互いにとって良いかもしれません。 もし、修正すべき欠点などありましたら遠慮なくご連絡ください。 普段からの文章が間違った単語の使い方、文法を行ってると自分では気付きづらいと思いますので大変ありがたいです。
さて…萌将伝未プレイだからやってみたいと言う衝動が出てる作者から皆様にサヨナラの一言を送ります!! それでは…
アディオス!!! @@ノシ
懐かしの今週の一言
地元の中華料理屋のトッピングでメンマがあったのでメンマどっさりぶち込んだチャーシュー麺を啜ってたら、丁度家族で来てた幼馴染で好きな子にバレタ…
Tweet |
|
|
11
|
0
|
追加するフォルダを選択
アンケートありがとうございました!!!!!!
七話を出そうと思いましたが…大蛇を見て彼を思い出して彼を書いてみました。
今回は(いつもですが)…原作キャラが一刀君だけ!!って状態ですので、もしそれがお気に召さない方にはつまらないかも知れませんのでブラウザのバックキー押す事を強く推奨いたします。
続きを表示