No.394315

高みを目指して 第2話

ユキアンさん

希望が絶望を際立たせるというのなら
オレには絶望が存在しないことになるな。
既に希望を見いだせないのだから。
今のオレはただ生きているだけの死体と変わらんさ。
by零樹

2012-03-19 08:22:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3949   閲覧ユーザー数:3710

穴堀、襲撃、士官

 

 

side 零樹

 

とりあえず道らしきものを見つけて歩く事2日、ようやく街、というより城が見えているから城下町?に到着した。とりあえず宿を取りその日のうちに手に入るだけの情報を集めてみた。

 

「ロモスか、ということはここはダイの大冒険みたいだな」

 

「一体どういう話なの?」

 

「世界の安寧の為に同じ時代に一人しか現れない竜の騎士と呼ばれる種族が居る世界。ただし原作では今代の竜の騎士がある女性と結ばれた事で新たな竜の騎士が産まれ、その子が主人公の世界。敵はお約束の魔王。ただし大魔王と呼ばれていてアホな程強い上に読者にも高い人気を誇る本当に偉大なる王様。最後は主人公に破れたけどそれでハッピーエンドとはならずに、大魔王のライバルである冥竜王の部下が使用した辺り一面を吹き飛ばす爆弾から仲間を守る為に遥か上空に運んで、爆発に巻き込まれ行方不明で終了。大まかにはこんな感じかな」

 

「なるほどね、それじゃあこれからの事を決めるけど何か意見はあるかしら」

 

「僕としては原作アンチの方向で動きたいね。これから幾つもの世界を回る以上修正力に関してはすぐにでも確認しておかなければならないからね」

 

「オレもフェイトの意見に同感だ。世界ごとに強さが変わるかもしれないから一番最初に確認する必要があると思う」

 

「本音は?」

 

「「バーンに付いてみたい」」

 

「「はぁ~」」

 

姉さん達にため息をつかれる。分かっていた事とはいえ少しキツい。

 

「これは冗談でもなんでもないんだ。少なくとも僕の中ではバーンは尊敬できるキャラだ」

 

「オレも同じだな。実際姉さん達も会ってみれば付いても良いと考えるさ」

 

「そんなに評価できるの?」

 

「少なくとも正義の魔法使いよりは信用も信頼も出来るね」

 

「いいわ、会いに行きましょう」

 

「よろしいので、姉上」

 

「ええ、刹那も興味あるでしょう」

 

「それは確かにそうですが」

 

「別に配下に付くとまでは言ってないわ。とりあえず会ってそれから決めましょう。それでそのバーンはどこにいるの?」

 

「……そういえば魔界ってどこにあるんだ?」

 

「……それは本気で言ってるの」

 

 

side out

 

 

 

 

side フェイト

 

 

確か地上を吹き飛ばせば魔界に太陽の光を与える事が出来るとか言っていた様な気がするという零樹の言葉で現在僕達二人は穴を掘っている。その間にリーネは魔法を刹那は鬪気法を取得できる方法を探してもらっている。

 

「おい、フェイト。これってオリハルコンじゃねえか?」

 

「くっ、また(・・)稀少金属の鉱脈にぶつかったのかい」

 

「くそ、今までとは段違いに硬い。これは苦労するぞ」

 

穴を掘り始めて早3日が過ぎているが全然掘り進めていない。理由は稀少金属の鉱脈に何度もぶつかっているからだ。正直これが銀や、金なら無視しているところだがミスリルやエビルメタル、なぜあるのか分からない錬金鋼(ダイト)の原石、果てにはオリハルコンの鉱脈を見逃す事は出来ない。

 

「仕方ないけど出来るだけ回収しておこう」

 

「面倒だな、隔離結界とグレンラガンで一気に片を付けないか?」

 

「それも良いかもしれないね」

 

というわけで即座に結界を敷き、倉庫からグレンラガンを出して掘ってみたのだが、その後も出るわ出るわ稀少金属が。それもドラクエの世界で手に入るはずの無い物が。特にマテリアを見つけた時は一番驚いたね。

 

 

まあ、そんな感じで途中から脱線して鉱脈探しをしていたせいで戻って来たリーネ達に実験台と称した折檻を喰らう羽目になってしまった。

 

 

 

 

 

「それじゃあとっとと魔界まで穴をあけなさい」

 

「「イエスマム」」

 

リーネの命令とともに気合いを入れる。

グレンラガンのエネルギーは螺旋力。だがそれがどんな物か分からなかった彼は代わりに気合いで動く様にこれを作った。どうやって作ったのかはさっぱりだが、本当に気合いで原作の様に合体、再生、強化がされる。だから全力で気合いを入れてドリルを廻し続ける。

 

「行くぞ、フェイト」

 

「ああ」

 

「「ギガァ」」

 

グレンラガンの右腕に小さなドリルが生える。

 

「「ドリルゥゥ」」

 

小さなドリルが腕先に集まり一つのドリルを形成し、一気に機体よりも大きなドリルに変わる。その状態から飛び上がりドリルの先端を地面に向ける。

 

「「ブレイクウウウウウウウウゥゥゥ」」

 

ドリルが高速回転し、ブースターを全開にして一気に地面を掘り進む。途中、ヒヒイロカネらしき鉱石も見かけたが今は見なかったふりをする。さすがに命は惜しいからね。

そんな感じで30秒程経つと今までとは全く違う岩盤にぶつかった。

 

「ストップだ、零樹」

 

「どうした」

 

「どうやら今までとは違った岩盤だ。調べる必要がある」

 

「了解だ」

 

グレンから飛び降り岩盤を触ってみる。感触から普通の岩であるのは間違いないが、特殊な魔法をかけられているのか削った先から超高速で修復されていく。

 

「これは厄介だね」

 

「ああ、だが削れると分かっているなら姉さん達も乗せて一気に掘り進めれば良いだけだ」

 

「それしか無いみたいだね」

 

一旦地上に上がり事情を説明してリーネと刹那にもグレンラガンに搭乗して貰い、気合いを入れる。どこに乗っているかって?気合いで復座型に変形しているんだよ。

……本当にどうやって作ったんだろう。

それはともかく4人乗りになったおかげで出力の上がったグレンラガンのドリルは岩盤を破り、大きな空間に落ちた。

 

「へえ、ここが魔界。以外にも光源があるしそれほどジメジメもしていないわね」

 

「代わりに空気中に大量の魔力が検出された。これが魔界の魔物が強い理由といったところか」

 

自由落下しながらも色々と情報を集めていく。ふむ、あの山の中腹にあるのは城かな。一応リストアップしておこう。他に目立つ建造物は、地平線ぎりぎりに見える街と、反対側にある海と思われる場所にある漁村かな?それと城が建っている山の麓に村があるね。

 

「とりあえずこのまま着地したらグレンラガンをしまいなさい」

 

「了解。その後はどうする」

 

「向こうの山に城らしき物が見えた。とりあえずはそっちに向かってみないかい」

 

「賛成ですね。目的が魔王なら城などを襲っていれば嫌でも会えるでしょう」

 

「決まりね」

 

 

 

side out

 

 

 

side バーン

 

 

「バーン様、緊急事態です」

 

「どうしたのじゃミストよ」

 

「人間が襲撃をかけてきました」

 

「何?人間がじゃと」

 

「はい、それも僅か4名で」

 

「ふむ、ヒュンケルを迎撃に当たらせろ。様子を見る」

 

「その必要は無いわよ」

 

「何!?もうここまで来たというのか」

 

ミストから報告があった通り一人の女が部屋の入り口に立っていた。

 

「まったく無駄に広いわね、ここ」

 

「貴様、どうやってここまで」

 

「クロコダインとか言うのと、ヒュンケルとか言うのと、フレイザードとか言うのは私の妹が相手をしていて、ザボエラとか言うのとハドラーとか言うのは友人が、バランとか言うのは弟が相手をしているわ。私は一直線にここまで走り抜けただけ、案内ご苦労様」

 

「ならば私が相手だ」

 

「よい、ミスト下がれ」

 

「しかし」

 

「下がれと言っておるのだ」

 

「……はっ」

 

「それで、僅か4人でここに何の用じゃ」

 

「まあ、それを話すとかなり長い事になるから簡単に説明させてもらうわ」

 

そう言うと女は影の中からテーブルと椅子を取り出し、茶を飲みながら自分たちの事を語った。

 

「つまりはこの世界の可能性の一つを知っていると?」

 

「そうよ、理解が早くて助かるわ」

 

なるほど、これはある意味で厄介だ。可能性の一つを変えようと躍起になってしまえば思わぬアクシデントも起こりえよう。どうするべきか。

 

「とりあえず、主達はこれからどうするのだ」

 

「そうねぇ~、私達の意見とあなたが懸念している事も取り入れると私達は好き勝手に魔王軍が有利になる様に動く。そんなところが妥当かしら」

 

「そんなんで良いんじゃないか」

 

「あら零樹、もう終わったの。ぼろぼろみたいだけど」

 

入り口から少しぼろぼろの男が入って来た。

 

「さすが今代の竜の騎士バラン。中々歯ごたえがあったよ」

 

「刹那達は」

 

「もう倒し終わってこっちに向かってるよ。もちろん全員殺してはないよ」

 

「ほう、バランを倒すか」

 

「あんたが大魔王バーンか、まあオレもバランの竜魔人に似た様な能力があるからな。負ける事はないと思っていたが、さすがにドルオーラの直撃を喰らったときは死ぬかと思ったな」

 

ドルオーラの直撃を受けてもその程度の傷か。敵対だけはしたくないのう。

 

「話の方はついたかい」

「姉上、こちらはほぼ終わりました」

 

今度は白髪の男と女が部屋に入って来る。男の方は服に汚れが目立つ程度、女に至っては軍団長との戦闘後とは思えん状態だった。

 

「とりあえずこれが私達のパーティーよ。強さは軍団長を殺さずに倒せるだけの実力はあるわ」

 

「そうじゃな、リーダーはお主か」

 

「一応はね」

 

「ならば主達を魔王軍遊撃師団とする。そして、お主を遊撃師団軍団長とする」

 

「構わないわ。なら改めて自己紹介といきましょうか。私はリーネ・M・テンリュウ」

 

「私は刹那・M・テンリュウ」

 

「オレは零樹・M・テンリュウ」

 

「最後に僕はフェイト・アーウェルンクス。この子達の最低限のお守りも担当している」

 

「我が名はバーン。大魔王バーンだ。お主達は我に対して忠誠は要らん。ただお主達が描く理想が我が描く理想と似ている事を願っておるぞ」

 

 

side out


 
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