第十四話「紅き翼との邂逅」
「アラン、リュビ。移動するぞ」
「どうしたの、アリカ」
アリカの護衛になってからかなり経った。アリカにはもちろん極秘、リュミスにすら詳細は話していない情報網を利用して
さらに、
――なぜ100年以上何もしてこなかったかというと、忘れていたからだ、としか言いようがない。魔法世界編は拳闘大会あたりしか覚えておらず、戦争についてなぞ完全に忘れていた。戦争が始まったので念のために調べたら
……誰に言い訳をしているのだ、
「これから
「分かったわ。行くわよアラン」
「ああ」
アリカの影に潜り込む。
マクギルが先行し、
「「「マクギル元老院議員!」」」
「いや、わしちゃう。主賓はあちらのお方だ。ウェスペルタティア王国……アリカ王女」
そしてこちらを紹介する。……ふむ、
「その横にいるのは……
「ふふ、久しぶりね、ジャック・ラカン」
「……久しいな。護衛でもやってるのか?」
「ええ、アランも一緒よ。それと、護衛の間はリュビと呼んで頂戴。偽名だけど、ね」
驚愕するラカンに、あくまで余裕の態度を崩さずにウインクすらして見せるリュミス。
まあ、
「アラン、顔を見せよ」
「了解した、アリカ」
影から抜け出る。ただし普通に現れては面白くないので、操影術でアリカの影を持ちあげ、そこから現れる。
その出現に全く驚かないリュミスとアリカ…………と
「現在アリカの護衛を依頼されているアランだ。久しいな、ジャック・ラカン」
だが、驚かずとも好戦的な目で見てくる奴はいた。一度叩きのめした男、ジャック・ラカンが。
「てめえ、あとで勝負しな。今度こそ俺様が勝ってやる」
「現在こちらはアリカの護衛中。そちらはアリカと協力関係にある。戦いに意味はない」
まあ、別に殺してやってもいいのだが――あの闘技場で、誤って下手をすれば殺しかねない一撃を打ってしまったはずだが、何故かリミッターがかかったかのように力が弱まった。何かが働いているような気がするが……ふむ、何故か
「気安く話しかけるな、下衆が」
――――ナニがあった? ナギが何か不用意なことを言ったのか、そのあたりだとは思うが……そのナギもぼぅっとして、っと。あれは落ちているな。そういえば、確かアリカがネギの母親だったような、違ったような……まあ、そのあたりはどうでもいいか。
アリカの説明が終わる。簡単にいえば、戦争を終わらせる調停者となるはずだったアリカだが、力が及ばず
まあ、頼ってくれば速やかに情報提供を行うが。
「『
ガトウがアリカに説明している。が、その程度の情報であれば既に
……しかし、この先どうするか。我が行動しなくとも、
「以上です」
「話は終わったか? なれば
話の終わりにかぶせるように発言する。するとアリカがやや訝しげに返してくる。
「くだらないことは申すなよ、アラン。で、何を言う?」
「何、しばらくリュビに護衛を任せようかと思っただけだ。
「ふん、護衛の任務に飽きたとでもいうか? いいだろう。その力を以って王国に尽くせ。結果を出してみせろ」
「御言葉のままに」
言質をとったぞ、アリカよ。久方ぶりに暴れられそうではあるから、血は騒ぐが。
「では、市井にでも降りて情報収集と行くか」
「待ちな、俺たちも行くぜ!」
「ふん、勝手にするがいい。とはいえ、付いてきていいのはアルビレオかガトウか詠春だ。
「な、ざっけんな、てめえ!」
ラカンの怒鳴り声をBGMに王城から飛び出す。そのまま空中で生体変化系咒式を使用し、仮面とローブで隠された肉体を姉であるレナに変化させる。
着地の直前、足元に影のゲートを開いて、王城から離れた場所に転移。ゲート内部でローブと仮面を外すのを忘れないわ。
……さて、情報収集を始めましょうか。まずはオスティアのジェルメイヌとミカエラを訪ねて……姿を変えながら帝国かしら。シャルテットとカイル、エルルカと会ったら
「
そして、私が保有する情報網の正体を知らないから。まさか全員が■■■だなんて想像すら出来ないでしょうから。私ですら、<
「あまりゆっくりして怒られるのも嫌だし、手っ取り早く終わらせましょうか」
<
世界各地に潜り込んでいる諜報員の名のオリジナルとなった歌を口ずさみ、私はオスティアへと飛翔する。
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紅き翼との我の邂逅。そして完全なる世界について、調べ始めてみたが……