No.393490

第十八話 説明と呪いとお祝い

ヴィータは俺の嫁です

2012-03-18 00:38:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3553   閲覧ユーザー数:3325

アニスサイド

 

 

「それでは主、ご説明を」

 

 

「う、うん……」

 

 

はい、どうも……さて、どう説明して良いやら。

一応はやてもこの場に呼んでいるけど……。やっぱ最初から話すべきなのかな?

 

 

「……アニス、何でお前が闇の書の主になってんだ」

 

 

「いや、うん……まぁ……何だ……その……あの……えっと……俺にもサッパリ……」

 

 

「はぁ……」

 

 

ため息つきたいのはこっちだよ……全く。

 

 

「じゃあシグナムさん。もう一度確認するけど、俺が本当に闇の書の主で間違いないんですね?」

 

 

「はい、先ほども申した通り、主アニスから繋がりを感じます。ですから間違いないかと。それよりも、どうしてまた確認を?さっきもそうでしたが」

 

 

「……うん……実を言うとね、闇の書の主は、ホントはそこの車いすに乗ってる……はやてちゃんがなる予定だったんだ」

 

 

「……え?ウチが?」

 

 

「……主、何故そんな事が分かるのですか?確かにあの子にも魔力は感じますが、私達には何ら繋がりがありません」

 

 

「いえ、そうでもないんですよ。つい昨日まで、闇の書に魔力を供給をしてたのは、紛れもないはやてちゃんでした……」

 

 

そう、昨日までははやてちゃんがそれを担っていた。

俺もそれは分かってたし、闇の書事態も、起動してからじゃないとどうすることも出来ないから言わなかったんだ、これまでずっと。

 

 

「でも今日、信じられないことが起きました。はやてちゃん、足は少し動くようになったんだよね?」

 

 

「うん、いきなりでウチも驚いたけど、確かに動いたで。それに石田先生も、このままリハビリを続ければ歩けるようになる言うてた」

 

 

「そう……ホントは、はやてちゃんは闇の書の呪いで、足が動く事は無かったんだ」

 

 

「闇の書の呪い?」

 

 

「ほら、これだよ」

 

 

俺は闇の書をはやてに見せる。

あう、大きいから、重たい……。

 

 

「それ、鎖で縛られてた訳の分からない本や……それが闇の書なん?」

 

 

「そう……これははやてちゃんが小さい時からあったでしょ?」

 

 

「……うん、確かにあったで」

 

 

「はやてちゃんは、この本に魔力を取られてたんだ。そのせいで呪われて、足が徐々に動かなくなった行ったんだ……」

 

 

「お待ちください主。仮にそうだとしても、何故あの子が私達の主にならなかったのですか?」

 

 

「簡単です。はやてちゃんが年単位で取られていた魔力を、俺から一日も過ぎない内に取ったのでしょう。しかも上回ってしまった……だから俺に所有権が移った……としか考えられないのです」

 

 

「……でも、そうしたら主が死んでしまうのでは?」

 

 

そう、そこが問題なんだ……。

俺の魔力ランクはSS-、はやてと大体同じ位なんだ。

……あ、もしかしたら……。

 

 

「俺が魔導師だからかな?はやてちゃんは魔導師じゃないから、量を取らないといけなかったけど、俺の場合は量も質もある、だから、半分以下で補えたのかも」

 

 

「確かに、八神よりもお前の方が質は高いな」

 

 

「でしょ?まぁ、そんな感じなんだろうね……はぁ……」

 

 

駄目だ、頭がこんがらがってきた……。

全く、何もして無いのに原作崩壊って……結構対処難しいんだね。

 

 

「大体これで説明は終わるけど、納得した?」

 

 

「……主、一つ質問良いでしょうか?」

 

 

「ん?良いよザフィーラさん」

 

 

「何故主は、そこまで闇の書に詳しいのでしょうか?」

 

 

「あぁ、その事。答えは簡単だよ。俺はこの世界の出身じゃない、俺は次元世界の人間なんだ。俺はその世界では結構お金持ちでね、勉強させられたのさ。超機密事項の勉強をした時、ちょうど闇の書の事をね」

 

 

「……そうですか……」

 

 

「あはは、ごめんね、あんまり格言を獲れる内容では無かったね」

 

 

「いえ、それだけ分かれば十分です」

 

 

「あはは、ありがとう」

 

 

さて、これで説明を終わって良いやら……。

その時、はやてが俺の服の裾を引っ張る。

 

 

「ん?どうしたの?はやてちゃん」

 

 

「……あんな、ウチが呪われてた言うとったやん……」

 

 

「うん、そうだね」

 

 

「それはこの闇の書さんに魔力を取られてたのが原因って事は……ウチの代わりに、アニス君が呪いを受けたのと、同じ事やないの?」

 

 

「……ん~……まぁ、そうなっちゃうね」

 

 

「……ごめんな……アニス君……」

 

 

「何で謝るのさ?」

 

 

「だって、ウチのせいで……アニス君が……」

 

 

「気にしないの。俺ははやてちゃんの足が動くようになって嬉しんだから」

 

 

「それでも!アニス君が代わりになっちゃ、意味ないやん!」

 

 

「……意味ならあるよ。こうして、はやてちゃんの足が動くようになった、それで良いじゃん」

 

 

「……アニス君……」

 

 

「さて!もうこの話は終わり!さ、先ずは皆で自己紹介からしようか!」

 

 

さて……これからどうしようか……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「ふぅ……」

 

 

あれからはやて達とシグナム達が自己紹介をし、皆で昼ご飯を食べ終わった後だ。

皆最初は、やっぱ遠慮がちだった。

はやてが気にせずたくさん食べてとか言ってたのに、皆遠慮しちゃって、

 

 

まぁ、少しずつ慣れていけば良いんだもんね。

 

 

コンコン。

 

 

「アニス、入るぞ」

 

 

その時、ドアがノックされる。

どうやらアンクの様だ……何の用だろう?

 

 

「良いよ~」

 

 

ガチャッ。

 

 

アンクは、神妙な顔つきで部屋に入ってきた。

おいおい、どうしたどうした……辛気臭いぞ空気が。

 

 

「どうしたのアンク?怖い顔して……」

 

 

「……お前、何処に呪いが掛かってんだ?」

 

 

おぉう……それですか……いや、一番聞かれたくない事を……。

 

 

「さぁ、俺にも分かんない……少し経ってからじゃないと分からないんじゃないかな?」

 

 

「嘘だな」

 

 

!……鋭い……でもな~、これ言っちゃって良いのかな?

う~ん……どうしよう……。

 

 

「何で嘘だって分かるのさ?」

 

 

「何年の付き合いだと思ってんだ。お前の言葉の嘘本当何て、もう区別が着いてんだ……正直に話せ」

 

 

「……あうあう……アンク怖い怖いなのです」

 

 

「……そんな事で誤魔化せると思ってんのか?」

 

 

「……はぁ……マジで怖いよアンク。今にも襲い掛かって来そうだ……オーケー、真面目に話そう」

 

 

俺は両手を上げて、お手上げだと言わんばかりにおどけて見せる。

まぁ、いずれは言わなきゃならない事だし、今言っておいた方が楽かな。

 

 

「率直に言うよ?俺が呪いを受けた場所は、心臓だ」

 

 

「!?何でだよ!八神は足だったのに、何でお前は心臓何だよ!」

 

 

「しっ!声がデカイ!みんなに聞かれるだろう?それに、まだ確証は無いよ」

 

 

「じゃあ、何で心臓だ何て分かるんだよ?」

 

 

「……まぁ、少しね……闇の書が起動した時、胸が痛みだしたんだよ突然。たぶんそれだと思う」

 

 

「……どうにか……出来ないのか?」

 

 

「……俺にはどうとも出来ない。それに、収集した所で、はやての役割を俺が代わりにやる事になる。だから、闇の書に飲まれるのは俺だ。そして収集しなければ、俺は年内に死ぬだろうね」

 

 

「………………」

 

 

「あはは、だから嫌だったんだ。この話するの……。まぁ、仕方ないかもね。これは案外罰なのかも。俺が調子乗って力を使って、お父さんやお母さんを危険な目に合わせちゃった……」

 

 

「……アニス……」

 

 

「ん?うわぁっ!」

 

 

何か知らんが、アンクに抱きしめられた。

ちょっ、苦しい……ギブギブ!

 

 

「何で、お前なんだよ!」

 

 

「……アンク?」

 

 

「お前を守るって誓った俺は何なんだ!結局、守れてないじゃないか!!」

 

 

「……………アンク」

 

 

「……絶対死なせやしない……絶対に、お前を救ってみせる」

 

 

「……捕まるよ?例えアンクでも」

 

 

「お前の為なら、何だってしてやる……今ここら辺に散らばっている、ジュエルシードって奴……あれでお前を……」

 

 

「それは駄目!!アレは危険だ!それに、管理局も本当に黙ってないよッ!?」

 

 

「じゃあ他にどうすれば良いんだよ!ロストロギアも駄目!収集も駄目!黙ってお前が死ぬのを見てろって言うのかよ!!」

 

 

「そうじゃない!でも、他に手がある筈だ!先ずはそれを探してからでも!」

 

 

「……じゃあ、他に手が無かったら……良いんだな?」

 

 

「そ、それは……」

 

 

ギュッ……。

 

 

「あう……、く、苦しいよ……アンク……」

 

 

「絶対に……死なせない……守ってみせる……」

 

 

何か……アンクがヤンデレになった気がするのは俺だけ?

つうか、マジで苦しいんですけど……つ、潰れる……圧殺される……。

 

 

「ア、アンク……死ぬ……今死ぬ……」

 

 

「おっと……すまん……」

 

 

アンクはやっと気づいたのか、すぐに俺から離れる。

むぅ、別に離れてとは言ってないじゃん。

 

 

「まぁ、何にせよ……今はシグナム達を歓迎しようよ?」

 

 

「……俺は出来ないな。なんたって、あいつらのせいでお前が呪われたんだ」

 

 

「アンク、流石に言って良い事と悪い事があるよ?俺も怒るよ?」

 

 

「……はぁ、お前は本当にお人好しだな」

 

 

「えへへ~、それが俺のジャスティス」

 

 

「威張んな」

 

 

ドスッ。

 

 

「あって……っ~、殴る事ないじゃん!」

 

 

「ふん……」

 

 

アンクは鼻を鳴らしてすぐにこの部屋から出て行った。

ツンデレか?そして今ツン期に戻ったのか?

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「さぁ!今日はお祝いや!みんなたーんと食べてな!」

 

 

夜、何かはやてがお祝いとか言って料理をたくさん作っていた。

はやてマジ天使。

 

 

「……あの、主……」

 

 

「ん?何シグナムさん?」

 

 

「本当にこんなにたくさん食べても良いのでしょうか」

 

 

「うん!食べても良いんだよ!っと、俺は居候の身だから強くは言えないんだけど……」

 

 

「あはは!アニス君も気にしてるやないか!」

 

 

いや、まぁ一応気にしちゃいますよ。

収入源はアンクなわけだし……やっぱ翠屋で手伝いしようかな?

でも、信者共うるさいし……たぶんムッツリーニも来るだろう。

 

 

「ほら、ヴィータちゃんを見習ったら?」

 

 

俺は視線をヴィータに向け、シグナムに見るよう促す。

ヴィータは皿にたくさんおかずを盛り付けてモリモリ食ってる。

 

 

「シグナムさんもあれくらい食べて良いんだよ?主従関係なしに。それはシャマルさんやザフィーラさんにも言える事なんだから」

 

 

「主……」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「お心遣い感謝いたします」

 

 

「えへへ~、早く皆が馴染んでくれたら俺嬉しいよ。それで呼び方もちゃんと名前でね」

 

 

「そ……それは……」

 

 

「え……嫌なの……」

 

 

「いえ!決してそのような!ですが、主の名前を気軽に呼んではいけない物なので……」

 

 

「あはは、固すぎだよシグナムさん。まぁ、すぐに名前を呼んでと言われても困りますしね。慣れるまで待ちます」

 

 

「……すみません……」

 

 

「おかわり!」

 

 

「あ、こらヴィータ!少しは遠慮したらどうだ!」

 

 

ヴィータよ、あんなに盛り付けていたのをもう食べたのか……。

パネェ、すげぇパネェよヴィータ。

 

 

「だって、はやての料理ギガウマなんだもん」

 

 

「あはは、そないな事言われると、ホンマに作った甲斐があったで。まだまだたくさんあるから、いっぱい食べてな!」

 

 

そう言って、はやては皿にたくさん盛り付ける。

おいおい、盛り付け過ぎだコノヤロー。

 

 

「主、何か取りましょうか?」

 

 

「ザフィーラさん。いえいえ、自分でやりますので、ザフィーラさんは食べてて良いですよ?」

 

 

「そうだ、お前は食べてろ。俺がやる」

 

 

「いや、アンクも食ってて良いよ」

 

 

「なん……だと……」

 

 

お前もキャラ崩壊してんじゃねーかコノヤロー。

人の事言えねぇじゃねぇかコノヤロー。

 

 

「ふっ……」

 

 

「何か言いたげだな、ザフィーラ」

 

 

「いや、別に……」

 

 

「てめぇ……」

 

 

「ちょっ、ストーップストーップ!何怒ってんのさアンク!」

 

 

何か二人とも火花散らしながら睨み合ってんだけど!?

て言うかそこの三人!シグナムにヴィータにシャマル!珍しいとか口に出して言わない!!

 

 

「アンクさん、焼もち妬いてるんやない?」

 

 

「あのねぇはやてちゃん、俺は男、何でアンクが焼きもち妬くのさ?」

 

 

「だって、アニス君かわえぇもん。よしよ~し」

 

 

そう言いながら、はやては俺の頭を撫でてくる。

 

 

「あう、こんな公衆の面前で辱めないでよはやてちゃん……あうあう……」

 

 

「……あぁ、もうアカン……アニス君!一緒にお風呂入るで!」

 

 

「嫌だよ!何考えてるのさ!?それとそこの三人!何悶えてるのさ!」

 

 

何か知らんが、シグナムとヴィータとシャマルが悶えてた。

何で?ねぇ何で?

 

 

「やんのかお前!」

 

 

「俺はそこまで言っていない」

 

 

「お前らは何時まで喧嘩してんだ!」

 

 

もう口喧嘩から殴り合いに発展しそうだぞこの二人。

ヤバいヤバイ……流石に止められないよ?俺。

 

 

そんなこんなで、家族が増えた一日なのでした。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
7
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択