No.392568

第六話 アニス、はやてと出会うの事

二期のはやてhshs

2012-03-16 18:39:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4466   閲覧ユーザー数:4209

はやてサイド

 

 

「んっ……ふぁ~……」

 

 

いつもと変わらない朝。いつも通りの時間に起きて、ウチはベッドから降りて、車いすに乗る。

せやけど……何やろうか……いつもと感じが違う朝になりそうなのは……ウチの気のせいやろか……。

 

 

そう思いながら、リビングのカーテンを開けて、外を見る……。

 

 

「……はぁ?」

 

 

いつもと変わらない風景……の筈が……二人の人が……男女が倒れとるのが分かった……。

男の人は、女の子を庇う形で気を失っており、女の子は……さながら騎士に守られる姫の様に綺麗やった……。

 

 

「……アカン……神話の読み過ぎや……」

 

 

ウチは自分の目を擦り、もう一度外を見る。

 

 

「……やっぱり人が倒れとる~!?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「………んっ……」

 

 

「あぁ、どないしようどないしよう!やっぱ警察!?それとも救急車!?あぁ、どないしよう!!」

 

 

……何だこいつは……人の周りを車いすでグルグル回りやがって……。

そういや……アニスは!?……良かった、俺の腕の中か……。

 

 

「よいっしょ……」

 

 

くっ……転移装置に魔力を流し過ぎた……体が重い。

俺はアニスを起こさないように起き上がり、そのまま抱きかかえる。

 

 

「あ、起きたんか!?」

 

 

「少し静かにしろ。こいつが起きるだろうが」

 

 

「あ、……すいません……」

 

 

「……それより、ここは……」

 

 

見渡す限り、家があり……ここもどうやら、人様の敷地ならしい。

もしここが魔法文化の無い世界なのだとしたら……なぜ、この家の中に魔力反応を感じるんだ?

 

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

 

「………………」

 

 

少し訛りの入っている子供が声を掛けてくる……。

そいつは足が不自由なのか、車いすに乗って、こちらを見上げている。

 

 

「あぁ、少なくとも俺は大丈夫だが……こいつはどうだかな……」

 

 

アニスは昨日の戦闘で、魔力を根こそぎ斬魄刀に持って行かれた。

普通の奴なら半日は寝込むだろうが、こいつなら何時間かで目を覚ますだろう……。

 

 

「あの……」

 

 

「何だ?」

 

 

「急ぎじゃないんでしたら、ウチの家で休んでいきませんか?」

 

 

「………………」

 

 

願っても無い提案だ……だが……。

こいつの家の中の魔力反応が気になるな……、一体、何を企んでる、こいつ……。

だが、欲望があるわけでもないし……その目には、悪意の欠片も移ってない……ただの善意か?

だとしたら、一刻も早く、こいつを休ませてやりたい……。

ここは、背に腹を変えられないか……。

 

 

「あぁ、迷惑を掛けるな」

 

 

「なら、こっちから入ってください」

 

 

ガキが指を差す方には玄関があった。

俺はアニスを抱えながら、その玄関へと向かい、中に入る。

そして、外から戻ってきたガキがこちらにに手招きをしたので、俺はそちらの方へ向かう。

 

 

「ウチの部屋で申し訳ないんやけど、寝かすならここの方がえぇ。他の部屋やと、少し準備に手間取ってしまうさかい」

 

 

「すまんな」

 

 

「いえいえ、これも何かの縁ですし!」

 

 

「そうか……」

 

 

俺は部屋に入り、ベッドにアニスを寝かせ、掛布団を掛ける。

……これで先ずは一安心か……。

そう思いながらふと振り返ると……鎖で縛られて置いてある黒い本に目が映る。

これか……魔力の元は……こいつ、魔導師か?いや、だったら俺達の魔力を感知できるだろう……。

 

 

「あの、どないしたんですか?その本をじっと見つめて」

 

 

「っ!いや、何でもない……」

 

 

「そうですか。あ、ここで話をしてたら起こしまうな……聞きたい事もあるんで、リビングに来てください」

 

 

確かに、いきなり人ん家の庭で気を失っていたんだ……聞きたい事なんぞ山ほどあるだろうな。

さて、何処まで話せるか……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「うっ……くっ……!」

 

 

体が重たい……まるで、自分の体じゃない様だ……。

そんな体に、自分は鞭を打ち体を起こす……。

 

 

「知らない部屋だ……」

 

 

先ず第一声がこれ……。

何処だここ……つうか、見覚えがあるんだが……。

 

 

「それよりも……俺は一体、何でこんな所の……あっ!」

 

 

思い出した!

昨日の夜、襲撃されてお父さんとお母さんが飛ばされたのを見て激情し、卍解を使って魔力切れを起こしたんだ。

そして、そのままアンクに抱きかかえられて、転移装置に乗って……地球に……。

 

 

「……そう言えば……アンクは?」

 

 

俺の近くには居ない……。

まさか……転移の時に離れ離れになっちゃったとか!?

そんなぁ……アンク……。

 

 

「……ぐすっ……アンクッ……ぐずっ……アンク……」

 

 

寂しい……お父さんもお母さんも何処かに行ってしまい、今度はアンクまで……。

お父さん、お母さん、アンク!

 

 

「アンク……。アンク……。……うわぁぁぁぁ!!」

 

 

寂しい……あれほど近くに居た人達が、一日で一気に居なくなってしまった……。

 

 

「お父さん!お母さん!アンク!うぁっ………アンクゥ……さみっしいよっ……」

 

 

胸が苦しい……俺は、こんなに依存してたんだ……。

お父さんやお母さん以上に……アンクに……。

 

 

「アン……ク……!うぁっ……!」

 

 

その時、この部屋のドアが開かれる。

俺は泣きながら、ドアのとこを向いた……そして、顔を出したのは……。

 

 

「おい、どうしたアニス」

 

 

居なくなったと思っていた……俺のパートナーの、アンクの顔だった……。

俺は無意識の内にベッドから出て、アンクに抱き着いた。

 

 

「アンクッ!」

 

 

「おっと!……どうした、いきなり」

 

 

「アンク!アンク!アンク!」

 

 

「あぁ、俺だ!だから何回も俺の名前を連呼すんな!!」

 

 

「アンクぅ~……グスッ……アンクも、何処かに居なくなっちゃったと思った……よ……怖かったよ……!うぁっ……」

 

 

「……泣いてんのか?」

 

 

「声の……感じで……分からないかな……?普通……グス……」

 

 

「何で泣いてんだよ」

 

 

「だって!だって……お父さんも、お母さんも……居なくなっちゃって……一緒に逃げ来たアンクまで、居なくなっちゃったかと思って!」

 

 

「……はぁ、俺がお前を置いて何処かへ行くと思ってんのか?バーカ」

 

 

そう言いながら、アンクは俺を抱きしめ返す……。

 

 

「お前を置いて何処かに行くわけないだろ。誓ったろ?お前を守るって、必ず両親を見つけ出してやるって」

 

 

「……アンク……」

 

 

……うし、少し落ち着いた……。

これで何とか持ちこたえれそうだ……主に精神的な意味で……。

それより、ホントにここ何処なんだろうか?

 

 

「なぁ、アンク……ここ何処か分かる?」

 

 

「俺が知るわけないだろ。俺も気が付いたらここに居たんだ。詳しい話を聞きたいなら、リビングにここに住んでるガキに話を聞くと良い」

 

 

「ここに住んでるガキ?」

 

 

アンクサイド

 

 

取り敢えず、一旦こいつから話を聞かないと下手に動けないな……。

アニスの事もあるし……。

 

 

「粗茶ですが、どうぞ」

 

 

「どうも」

 

 

ガキが出したお茶をすすり、俺は本題を切り出す。

 

 

「……何でお前の家の敷地で気を失っていたか、だろ?聞きたいのは」

 

 

「えぇ、そうです」

 

 

「話せば長くなるが……俺達は少し、遠い所か逃げて来た……そういう解釈で話を進めるが、良いか?」

 

 

「……何や?駆け落ちでもしたんか?」

 

 

ブーッ!

俺は飲んでいたお茶を吹き出す……。

何言ってんだこいつ!ガキが益せた台詞言いやがって!

 

 

「なわけねぇだろ!」

 

 

「だって、あんな小っこい可愛らしい子を抱きかかえて気を失ってたんやで?まるで姫を庇った騎士みたいにな。でも、あんな小っこい子と駆け落ちって……犯罪やで?」

 

 

「だから違うって言ってんだろ!人の話を聞きやがれ!!」

 

 

「あはは!冗談やて冗談。それで、何で倒れてたん?」

 

 

「あぁ、実はな……さっき寝かした奴居ただろ」

 

 

「あの可愛い子やな?その子がどないしたん?」

 

 

「あいつ、良い所のお坊ちゃんなんだよ。それで、そいつの家がつい昨日襲撃されてな。俺はあいつと、命からがら逃げて、ここで気を失っていたんだ」

 

 

「……ちょっと待ちいな……」

 

 

やっぱ……信じられるわけねぇか……。

まぁ、いきなり突拍子過ぎて、着いていけるわけもないしな。

 

 

「あの可愛らしい子が坊ちゃん!?お嬢様や無く坊ちゃん!?あの子男の子やったんか!?」

 

 

「気にするとこそこか!!」

 

 

「当たり前や!女のウチよか女の子らしいで!?世の中不公平やわ!!」

 

 

「まぁ、お前よりは可愛いと俺は思うが……って、俺は何言ってんだ!」

 

 

ヤバい……あいつのせいで狂って来たな俺……。

 

 

「それで、その子が命を狙われとる事やけど」

 

 

「サラッと本題に入りやがったな……」

 

 

「行く宛とか無いんやったら家に住まへんか?一時身を潜めるつもりで」

 

 

「……それを俺に言われても、決めるのはあいつだし。それに従うのが俺だ」

 

 

「結構な忠義心やな」

 

 

「はっ、あいつしか仕える奴が居ないんだよ。さて、少しあいつの様子を見に行ってくる」

 

 

 

「分かったで」

 

 

俺はそう言って、さっきガキに案内された寝室に向かう。

向かったのだが……。

 

 

「お父さん!お母さん!アンク!うぁっ………アンクゥ……さみっしいよっ……」

 

 

……あぁ、明らかにあいつ引きずってんなこれ……はぁ、相変わらず、戦闘は強いが、精神的に駄目な奴だ。

俺は内心でため息をつきながら、ドアを開ける。

 

 

「おい、どうしたアニス」

 

 

部屋に入り、アニスに声を掛けた。

その瞬間、アニスはベッドから飛び出て、俺に抱き着いてくる。

 

 

 

「アンクッ!」

 

 

「おっと!……どうした、いきなり」

 

 

「アンク!アンク!アンク!」

 

 

「あぁ、俺だ!だから何回も俺の名前を連呼すんな!!」

 

 

「アンクぅ~……グスッ……アンクも、何処かに居なくなっちゃったと思った……よ……怖かったよ……!うぁっ……」

 

 

何でこいつ……こんなに泣いてんだ?

まさか、いきなり俺が居なくなったせいか?……はぁ。

 

 

「……泣いてんのか?」

 

 

「声の……感じで……分からないかな……?普通……グス……」

 

 

「何で泣いてんだよ」

 

 

「だって!だって……お父さんも、お母さんも……居なくなっちゃって……一緒に逃げ来たアンクまで、居なくなっちゃったかと思って!」

 

 

案の定だ……こいつは……。

 

 

 

「……はぁ、俺がお前を置いて何処かへ行くと思ってんのか?バーカ」

 

 

そう言いながら、俺はアニスを抱き返す……。

全く、俺は男だぞ?簡単に抱き着きやがって……っと、こいつも男だったな。

 

 

「お前を置いて何処かに行くわけないだろ。誓ったろ?お前を守るって、必ず両親を見つけ出してやるって」

 

 

「……アンク……」

 

 

何であんな恥ずかしい事を言ったと思ってんだこいつは。

もう絶対、お願いされても言いたくない台詞だ……。

はぁ、やれやれ……さて、どうしたものかな……。

 

「なぁ、アンク……ここ何処か分かる?」

 

 

「俺が知るわけないだろ。俺も気が付いたらここに居たんだ。詳しい話を聞きたいなら、リビングにここに住んでるガキに話を聞くと良い」

 

 

「ここに住んでるガキ?」

 

 

「あぁ、行くぞ」

 

 

俺はそう言って、アニスを抱きかかえる。

 

 

「ちょっ!?何で抱きかかえるのさ!?」

 

 

「うるさい、昨日魔力切れ起こした奴が何言ってんだ!良いから黙って大人しくしてろ!」

 

 

「……あーうー……」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「どうも……アニス・クロイツベルと申します……」

 

 

「これはご丁寧に、八神はやて言います~。宜しゅうお願いします」

 

 

……結論、ここは地球で海鳴市であり八神家でした……。

まぁ、何という確率……俺に幸運EXでも付いてるんだろうか?

 

 

「あの、アンクと何処まで話しましたか?」

 

 

「アンク?あぁ、この人の事やな。まぁ、君がお金持ちの坊ちゃんって事と、命を狙われてるって事までや」

 

 

「ま、まぁ……大まかに説明するとそうかな……あはは……」

 

 

アンクめ……。

俺はアンクをキッ!と睨むが、顔を背かれてしまった……。

 

 

「それで、その、アンクさんにも話したんやけど。身を潜めるって事で、しばらく家に住まへんって言ったんやけど。アンクさんには決定権が無いって言われてもうて、決めるのはアニス君だって」

 

 

「まぁ、そうだろうね……」

 

 

う~ん……。

まぁ、命を狙われてる事は間違いないけど、あの次元世界内の事だけだし……ここには被害はそう起きないだろう。

それに、住むところは愚か、お金もないし……家なき子だしね……。

 

 

「……本当にここに泊めてもらっても良いのでしょうか?」

 

 

「えぇ、ウチは構いませんよ。どうせウチだけしか住んでへんしな」

 

 

「あっ……ごめんなさい……」

 

 

「ううん、気にせんといてアニス君。もうウチは気にしてないさかいに……それで、どや?」

 

 

「……あの……不束者ですが……よろしくお願いします……」

 

 

「………………使い方間違うとるよ……アニス君……」

 

 

「えっ!?あれ?違うの!?……はぅ……」

 

 

~はやてサイド~

 

 

何やねんこの子!可愛すぎやろ!

間違い指摘されて、恥ずかしくて顔赤うしとる……アカン……可愛すぎる……。

こんな子が男の子や何て信じられへん!どっからどうみても女の子やん!

 

 

「あ、あの……八神さん?」

 

 

「はっ!ど、どないしたん?アニス君」

 

 

「いや、いきなり俺の顔をじっと見て固まってたから……気になっちゃって……」

 

 

「あ、あはは……な、何でもあらへんよ?気にせんといて?」

 

 

「う、うん……分かったよ八神さん」

 

 

「それ」

 

 

「へっ?」

 

 

「その八神さんっての、何か他人行儀で、ウチは好かんねん。ウチの事ははやてでええよ?ウチはアニス君って呼ばせてもらっとるから。それと、敬語も無し!今日から一緒に住む家族やからな!」

 

 

「八神さん……」

 

 

「アニス君……?」

 

 

「あ……は、はやて……ちゃん」

 

 

そう言って、アニス君は恥ずかしそうに頬を染めながらウチの名前を呼ぶ。

っ~~~~~~~~!可愛い!何やねんこの子!?ホンマにかわえぇ!

それに、ウチより年下やのに、こんなに行儀がええとわ……偉いなぁ……。

 

 

「あの、はやてちゃんって……何歳かな?」

 

 

「あ、あぁ。ウチは今年で九歳やで」

 

 

「あ、そうなんだ。俺はもう誕生日来ちゃったから……はやてちゃんより一歩リード。えへへへ。俺も九歳なんだ」

 

 

………な、ななな……何やってぇぇぇぇぇぇぇ!?

この子、ウチと同い年やとぉぉぉぉぉぉぉぉ!?

身長ウチより結構差があるで!?ホンマに九歳!?おかしい!神様は不公平やっぱ!!

そしてそのハニカミ!……もぅ……何て言うか……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可愛すぎやろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!


 
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