No.389882

涼宮ハルヒの孤独

offeredさん

2006年から書き始めたSS。
グーグルで引っかかるSSとは別ですので悪しからず

再開前まで、ν速VIPで再開(再連載?)する前までの分です。

2012-03-10 23:41:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3130   閲覧ユーザー数:3122

 

今日は高校への入学の日。

入学式は終わり、俺は自分の教室へ足を運んだ。

そして担任の先生の自己紹介を聞き、明日から必要なものを聞いた。

そして今は余った時間を利用して、教室内での生徒による自己紹介である。

 

 

 

俺の番である。

俺は当たり障りのないことを言って席に座った。

 

 

 

そして後ろの席の奴の番である。

 

 

 

「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。

この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」

 

 

 

こんな頭のおかしい奴が俺の後ろかよ。

あまり関わるとろくなことがなさそうだったので無視することにしよう。

 

 

 

席替えである。

箱に入った紙切れの番号の場所へ移動しろとのことである。

 

 

 

俺は胃が痛くなった。

また涼宮ハルヒが後ろか・・・

 

 

 

俺と涼宮ハルヒは仲が良い訳でも悪い訳でもなかった。

もし涼宮ハルヒが普通の人間だったら俺も特に嫌だとも思わないだろう。

そう、こいつは普通の人間ではないのだ。

 

 

 

休み時間になれば怪しげな本を読んだり、

教室の外へ出て奇怪な行動をしたりしてた影響で、涼宮ハルヒの頭が異常であるということは

もはやクラスの常識にまでなっていた。

 

 

 

こんな奴とは近くに居るだけで嫌だね。

だって、お前のせいで俺まで頭がおかしい奴のように思われるかもしれねえじゃんかよ。

 

 

 

ある日、俺は涼宮ハルヒにこう言われた。

「あんた部活とかやってんの?」

 

 

 

初めての会話である。

「いや、やってないけど・・・」

「なら今日の放課後に私についてきてよ」

こうして俺は涼宮ハルヒについていくことになった。

 

 

 

放課後である。

俺と涼宮ハルヒは文芸部室へ足を運んだ。

部屋の中には眼鏡をかけた女子生徒が1人居るだけだった。

「じゃーん!今日からここが私達の部室よ!」

「お前、文芸部にでも入るのか?で、俺はなんでここに居る?」

 

 

 

涼宮ハルヒの話では、ここは文芸部の部室ではあるが

これから何か涼宮ハルヒが考えた部の活動をするために借りることになったそうだ。

で、俺がここに居る理由は?

 

 

 

「あんたも私と一緒にやるのよ」

「はぁ?何言ってんだお前は?ところで、どんな活動内容なんだ?」

「まだ決めてないわ。とりあえず明日もココに来てよね。こないと、死刑だから!」

 

 

 

次の日である。

この学校は山の上にあって、登るのも一苦労なのだがそろそろ慣れてきたなと考えていると

後ろから谷口が話しかけてきた。

「なぁお前、昨日の放課後に涼宮ハルヒと何やってたんだ?

あんまりあいつとは関わらない方がいいぜ。俺は前の中学で同じクラスだったからよく分かる。

話せば長くなるけど、とにかく関わるのはやめとけ」

言われなくても分かってるさ。入学式の日に既に気づいた。

 

 

 

そして放課後である。

「先に行ってて!」と言って涼宮ハルヒはどこかへ走っていってしまった。

とにかく文芸部の部室へ行ってみるか。

どうせ暇だし、あの涼宮ハルヒが何をやろうとしてるのか気になる。

 

 

 

部室の扉を開けて室内を見ると、昨日の女子生徒が1人で読書をしていた。

正真正銘の文芸部員である。

「ごめん、邪魔じゃないかな?」と俺は話しかけた。

「・・・あなたは邪魔じゃない」という返事が返ってきた。

特に話すこともないので黙って涼宮ハルヒが来るのを待った。

 

 

 

バタン!と扉が開いた。

 

 

 

「やあごめんごめん。捕まえるのに手間取っちゃって!」と言いながら涼宮ハルヒが入ってきた。

涼宮ハルヒは女子生徒を引っ張りながら入ってきた。

 

 

 

「なんなんですかー?ここどこですか?なんで私つれてこられたんですか?」

女子生徒は俺と同じ疑問を持っているようだった。

 

 

 

「あなた何か部活動やってる?」

「あの、、書道部に・・・」

「ならそこ辞めて。うちの部に入って」

「あの、、嫌です・・・もう帰ります・・・」

と言って女子生徒は帰っていってしまった。

 

 

 

その女子生徒が何組の人間かは知らないが、俺まで変人だと思われたのは間違いないだろう。

どうしてくれるんだよ涼宮ハルヒ。

もう俺も帰っていいか?

 

 

 

「ダメよ」

「なんでだよ!もう俺は帰る。お前が何をやろうとしてるのかは知らないが、

どうせロクでもないことだろう。だから俺は帰る」

そして俺は家へ帰った。

 

 

 

今日は12月1日である。

何度席替えをしても背後霊のように俺の後ろにまとわり憑く涼宮とは

もう半年くらい会話をしていない。

まぁ、特に話すようなこともないし、何よりも、そんなことしたらクラスの連中から

変な目で見られる様になるかもしれない。

 

 

 

なんせコイツはクラスの、いや、全生徒の嫌われ者だからだ。

ちなみに涼宮ハルヒは入学当初の元気はなくなり、今では根暗な女だ。

 

 

 

そういえば部活はどうなったのだろうと俺は思った。

そうだ、今日の放課後にでも文芸部の部室へ行ってみるか。

 

 

 

放課後、俺は文芸部の部室の扉を開けた。

中にいたのは涼宮ハルヒだけである。

「あ、いらっしゃい・・・」

 

 

 

「ここにくるのも久しぶりだな。

そういえばもう1人の女子はどうしたんだ?ほら、眼鏡をかけてた女の子」

 

 

 

涼宮ハルヒは下を向いた。

そして「私のことが嫌で出ていったみたい・・・」

 

 

 

そりゃそうだろ。誰もお前になんか近寄りたくないぜ。

 

 

 

「なぁ涼宮、ちょっとここにいていいか?」

どうせ家に帰ってもやることは無いし、どんな活動をするのか興味がある。

 

 

 

「はい、いいですよ」

 

 

 

…家に帰ったほうが良かったかもな。

涼宮ハルヒはずっと1人で本を読んでいるだけだった。

俺は時計を観ながらそわそわしていると、涼宮はそれを悟ったのか

 

 

 

「あの・・何かゲームでもやりましょうか?」と言った。

俺と涼宮はオセロをすることになった。

 

 

 

「このオセロどうしたんだ?」

「一学期にね、転校生が来たでしょ?その子をここに誘ったんです。

そのとき、このオセロをしたりして遊んでたんです。でも、、ある日突然こなくなってしまって・・

その後に直接理由を聞きにいったんです。そしたら、お前とは関わりたくないって・・・」

 

 

 

なるほどね。

 

 

 

「じゃあ俺そろそろ帰らしてもらうわ」

「あ、はい。今日はどうもありがとうございました」

 

 

 

パチ、パチ・・・

今日も昨日と同じく文芸部室で涼宮ハルヒとオセロをしている。

ハルヒは強かった。

10ゲームくらいやって、結局1度も勝てなかった。

 

 

 

「あの、ごめんなさい・・・私ばかり勝ってて・・・」

「いや、いいって。むしろ本気で来てくれた方が嬉しいよ」

「ごめんなさい・・・」

 

 

 

12月の夜は寒い。

そろそろ本格的に冬になろうとしている時期だった。

帰り道を俺もハルヒも白い息を吐きながら歩いている。

 

 

 

「あの、、明日も私とオセロをやってくれますか?」

「いいぜ。明日こそは負けないぞ。あ、手加減しないでくれよ」

「は、はい」

少しだけ涼宮が微笑んだような気がした。

 

 

 

次の日の朝、教室で俺はハルヒに話しかけた。

「今日も文芸部室行くからな」

 

 

 

その瞬間、ハルヒは急に周りを見回した。

「どうしたんだ?」

「あの・・・私と話すと他の子に・・・」

「大丈夫だって。俺は他の人間に嫌われてでもお前と話すぜ。その方がいい。

ハッキリ言ってお前と話が出来るなら他の奴らに嫌われても構わない」

「でも・・・」

 

 

 

それっきりハルヒは黙り込んでしまった。

俺に気を使っているのだろうか。

昼休みにまた話しかけたが、もじもじするだけで口を開いてはくれなかった。

 

 

 

放課後、俺は教室で10分ほど待った後、文芸部室へ行った。

昨日の帰り道、ハルヒが「私よりも10分くらい後に来て欲しい」と言ったからだ。

理由は、俺とハルヒが一緒に歩いていると俺に害が及ぶかららしい。

そんなこと気にしなくてもいいのに・・・

 

 

 

文芸部室の扉を開くと、少しだけ微笑んだハルヒが迎えてくれた。

「いらっしゃいませ」

そして俺はいつもの席につく。

そんな俺をハルヒはもじもじしながら見ている。

 

 

 

「どうしたんだ?」

「あの・・怒らないで聞いてくれますか?」

「ああ、怒らないぜ」

「せ、せんべいを焼いてきたんです。もしよかったら、、食べてください・・・」

 

 

 

ハルヒは鞄の中から袋を出した。

そしてその袋の中にはせんべいが入っていた。

 

 

 

昨日の帰り道のことである。

ハルヒに、好きなお菓子はあるか、と質問されたので

俺は適当にせんべいと答えておいた。

実際に俺はせんべいは嫌いではなかった。

お菓子の中でも好きな方だった。

 

 

 

ところで、せんべいって家庭でどうやって作るんだ?

 

 

 

「昨日、家に帰ってからデパートに行ったんです。

そこで金網と餅米を買ってきました・・・

作り方は以前、テレビ番組でやってたのを覚えてて・・・」

 

 

 

わざわざ俺のためにそんな苦労をしたのか。

「ハルヒ」

「はい・・」

「ありがとな」

「はい・・・」

ハルヒの顔は真っ赤になった。

そして下を向いてしまった。

 

 

 

せんべいは俺の好きな醤油味で、そして美味かった。

 

 

 

俺はあることを思い出した。

「ハルヒ、休みの日って何やってるんだ?」

 

 

 

ハルヒは下を向きながら答えた

「読書したり・・・テレビを観たり・・・」

「なぁ、明日、俺と一緒に街に行かないか?」

ハルヒは小さな声で「はい」と返事をした。

 

 

 

次の日、俺とハルヒは映画館に行った。

特に面白くもないが、つまらなくもないという映画だったが

ハルヒはとても喜んでいた。

その後、ファミリーレストランに入って昼飯を食べ、そして家に帰ることにした。

 

 

 

そこで谷口に会った。

「お、キョン、何やってんだお前?横にいるのは涼宮だよな?

なんだお前らデートか?キョン、涼宮に関わるのだけはやめとけ。

こいつに関わるとロクなことがないからな」

 

 

 

谷口は本人の前でハルヒの悪口を言った。

 

 

 

ハルヒは下を見ながら

「ごめんなさい・・・」と言った。

 

 

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―――肌寒い夜だった。 俺はハルヒと映画を見に来ていた。

最初は…そう、気まぐれだったっと思う。 …まさか、俺があの涼宮ハルヒを映画に誘うとは仏様も思わなかったであろう。

…正直、誘った俺が一番困惑していたのだから。

 

映画館を出たとき、偶然にも谷口と会った。

 

「お、キョン、何やってんだお前?横にいるのは涼宮だよな? なんだお前らデートか?

キョン、涼宮に関わるのだけはやめとけ。  こいつに関わるとロクなことがないからな」

 

この野郎、本人の前で何言いやがるんだ。

 

「おい谷口、中学時代何があったか知らないが、そういうことを言うのは男らしくないんじゃないか?」

「キョン…君。 ごめんなさい、私が悪かったの。 あの、帰るから、谷口君も怒らないで」

 

ハルヒは自分の両手を軽く握り、背を向けた。

俺は彼女の手をつかもうとしたが、彼女の手は砂をすくったように指の間をすり抜け…人ごみの中に紛れて消えた。

 

 

 
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