No.384516

真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」序章ノニ

思ったより早く書けましたので

二話目の投稿です。

あと何話かは現代編の予定です。

2012-02-28 21:09:55 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:11830   閲覧ユーザー数:9169

~学園の中庭にて~

 

「はい、ご主人様。どうぞ召し上がれ♪」

 

「おおっ!今日の弁当も美味しそうだな!」

 

いつも昼食は朱里と一緒に過ごすのが日課だ。

 

というのも朱里とは学年が違うためにどうしても一緒にいる 時間が限られてくる

 

ので可能な限り一緒にいようと二人で決めたからだ。

 

当然のことながら弁当は朱里が作っている・・・俺が作るより

 

遥かに上手だしね。

 

今日の弁当も唐揚げ、卵焼き、肉団子、金平ゴボウ、肉野菜炒め、

 

ポテトサラダ etc たくさんのおかずが美味しそうに並んでいる。

 

実際、朱里の料理の腕は既に学園中の評判で学食の料理より美味しい

 

とまで言われている・・・学食のおばちゃんがちょっとだけ嘆いてたけどね・・・。

 

それにしても、その弁当を独り占めできるなんて最高の気分だ。

 

「それじゃ、いただきま『唐揚げはもらったで!』させるか!!」

 

 横から伸びてきた手をバシッ!と叩く。

 

「イタッ!ひどいな、かずぴー。一個くらいええやん。毎日食べてるんやろ?」

 

「それとこれとは話は別だ。及川に食わせるおかずなど無い!」

 

「そんな冷たいこと言わんといてぇな。なあ、朱里ちゃん?」

 

「いえ、あの、その・・・一個くらいならいいですけど・・・及山さんじゃなくて及川さん」

 

「・・・朱里ちゃ~ん、いい加減ワイの名前一回でちゃんと言ってぇなぁ。」

 

「はわわ、あの、その、ごめんなさい」

 

「よっしゃあ~朱里ちゃんの『はわわ』が聞けたで~これで今日も一日ハッピーや!」

 

 

 

 

 

・・・いきなり出てきて馴れ馴れしく朱里に話しかけてるこの変態男は、俺の悪友で

 

 及川という・・・えっ、下の名前?どうせそのうち出てこなくなる奴の名前など

 

 覚える必要はないので省略。

 

「かずぴー、今かなり失礼なこと言わんかったか?」

 

「それは気のせいだ。それより何しに来た?用が無いなら帰れ。邪魔だ」

 

「何気にひどっ!・・・まあ、一応用があってきたんやけどな。朱里ちゃんに」

 

「朱里に・・・また将棋部からか?」

 

「ああ。朱里ちゃんに入部してほしいって。それがだめならせめて今度の

 

 大会の助っ人に来てほしい『却下』ひどっ!まだ言い終えてへんうちに、

 

 しかもかずぴーには聞いてへんし!」

 

「ごしゅ・・・一刀様がそう言ってますのでお断りします」

 

「・・・本当に朱里ちゃんはかずぴー命やな」

 

 しかし将棋部も食いさがるな・・・まあ、確かに朱里の実績から考えれば

 

 当然といえば当然だが・・・

 

話は朱里がこちらに来てしばらくした頃に遡る。

 

 朱里はこちらの世界の知識をどのようなことでも吸収していった。

 

 曰く「こちらでもご主人様のお役に立てるように」との事。

 

その中で特に興味を示したものの一つが将棋であった。

 

 最初は俺が爺ちゃんと対局しているのを見ていただけだったが

 

 そのうち朱里が爺ちゃんの相手をするようになり、遂には爺ちゃんも

 

 勝てなくなるほど強くなっていった。

 

 そして爺ちゃんの勧めでアマチュアの大会に出場したら完全優勝。

 

 優勝者の特典として行われた永世名人との対局(ハンデ無し)にも勝利して

 

 一躍将棋の世界で有名人へとなったのである。

 

 当然、うちの将棋部が放っておくはずもなく、勧誘の嵐だったのだが

 

『一刀様の許可が出たら考えます』との朱里の一言で今は直接の勧誘は無い。

 

 ・・・朱里が望むなら好きなようにさせるつもりだったがそう言う限りはやりたく

はないのだろうと思い、俺は全て断っている。

 

(ちなみに朱里には人前では「ご主人様」ではなく名前で呼んでもらっている。

さすがにこちらでは人前で「ご主人様」はさすがにちょっとね・・・)

 

 

 

 

それで最近は俺と朱里の・・・一応友人である及川に仲介を頼んでくることが

 

 多くなっている。(それでも全て断っているが)

 

「まあ、仕方ないな。この話はワイから断っておくわ。」

 

「そうしてくれると助か『そのかわり・・・』何だ?」

 

「朱里ちゃんとの一日デートで手を打っ『三途の川を渡る勇気があるならな』

 

 ちょっ!かずぴー怖っ!冗談や、冗談!」

 

「冗談も時と場合によっては死出の旅路の一里塚になると思え」

 

「はぁ~、ほんまにかずぴーは朱里ちゃんを大事にしとるなぁ」

 

「当たり前だ『でもちょっと過保護すぎちゃうか?』・・・どういう意味だ?」

 

「どういうもこういうもそのままや。朱里ちゃんのこと何でもかずぴーが決めるっちゅう

 

 のはどうかと思うで。朱里ちゃんも子供やないんやし」

 

「むう・・・そう言われると『いいんです』・・・朱里?」

 

「私はずっと一刀様のお側で生きていくって決めてるんです。だから・・・」

 

「わかった、わかった。もうこの話はこれでしまいや。その代わり・・・」

 

 ヒョイ、パク。

 

「やっぱこの唐揚げ一個もらうし」

 

「食ってから言うな」

 

「まあ、ええやんかこれ位。モグモグ・・・うん、やっぱ朱里ちゃんの唐揚げはうまいな~」

 

「ありがとうございます。及谷さんじゃなくて及川さん」

 

「はぁ~、頼むからちゃんとワイの名前一回で呼んでえな~、ほんじゃまたな」

 

「はい、それではまた、笈川さん」

 

「・・・また違ってるし」

 

「何を言ってる、今はちゃんと『おいかわさん』って言ってただろう」

 

「いや、何か違うとった・・・まあ、ええわ。そいじゃな」

 

 

 

~放課後、帰り道にて~

 

「なあ、朱里」

 

「何ですか?ご主人様?」

 

「昼間、及川が言っていたことだが『ご主人様はずっと私と一緒にいるのは嫌ですか?』

 

 そんな事はないよ。・・・ただ、俺が側にいることで朱里が本当にやりたいことを我慢

 

 しているんじゃないかと思うときもあるのも確かなんだ」

 

「・・・・・・・」

 

「もし本当に我慢していることがあるのだったら、ちゃんと言ってほしい。俺はその事で

 

 朱里を嫌ったり、遠ざけたりするようなことは絶対にしないし、したくもない・・・

 

 本当に朱里は俺の側で俺の世話をしているだけでいいのか?」

 

「・・・ご主人様のお側にいられるのは本当に幸せです。その気持ちに偽りはありません。

 

 でも、お側にいるのはそれだけではないんです。もうご主人様しか私を知っている人は

 

 いないから・・・私を『諸葛孔明』だって知っているのは・・・愛紗さん達のことも、あの

 

 世界のことも・・・だからご主人様のお側にいること以外の願い・・なんて・・・

 

 ぜっ・・たい・・叶わないって・・・もうわかって・・いるのに・・・もう『帰れない』・・・って

 

 ・・・でも、ご主人様となら・・・また戻れるんじゃないかって・・・またみんなに会えるんじゃ

 

 ないかって・・また一緒に・・あの楽し・・・かった・・日々をって・・ごめんなさい・・・

 

 ごめんなさい・・・こんなこと・・言うつもり・・なんて・・なかった・・・のに・・・本当にただ

 

 ご主人様と・・・ずっと一緒にいられるだけで・・・」

 

「・・・もういい、朱里。もういいから。ごめんな、ちゃんと気づいてあげられなくて・・・

 

 彼氏としてもご主人様としても失格だよな、俺・・・」

 

「ご・・・めん・・・なさ・・い、ごめ・・・ん・・な・・さい。ごしゅ・・じん・・・さま・・

 

 うわあああああああああん!」

 

 その言葉を最後に朱里は堰を切ったように泣き始めた。・・・俺には何もしてあげられない、

 

 情けない話だ。少し考えればわかることだったのかもしれない。この世界は朱里の生まれた

 

 ところではない。家族も、友人もここにはいなかった。だから一生懸命俺の側でしがみついて

 

 いたんだ。・・・馬鹿だな、俺。いくら天才軍師諸葛孔明だからってここにいるのは一人の

 

 女の子じゃないか・・・こんな小さい身体の中に全部しまいこんで耐えてきたんだ。

 

 朱里、ごめんな。笑顔を守るとか誓っといてこのざまだ。でも、もう我慢しなくていい。

 

 怒りたかったら怒ればいい、泣きたかったら泣けばいい。俺には何もしてあげられないかも

 

 しれないけど、全て受け止める位はしてあげられるから・・・。ずっと側にいるから・・・。

 

 俺はそう強く想いながら泣きじゃくる朱里をただ抱きしめていた。

 

 

 

 

~???~

 

「・・・よ。行かなくて良いのか?あの二人がお前が捜していた者達なのであろう?」 

 

「今はまだそっとしてあげたほうがいいのよん。新たな外史へ渡るにはもう少し覚悟が必要よ」

 

「うむ。それもそうであるな。では儂は先にあちらに行っておるぞ。ではな」

 

「・・・本当は二人でこのまま幸せになってほしかったのだけどねん。まだ『天の御遣い』としての

 

 役割は終わってないみたいなのん。ごめんね、ご主人様、朱里ちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

 ・・・続く(予定)・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき的なもの

 

意外と早くに再会できました。mokiti1976-2010です。

 

・・・・・本当はこんなに及川にも朱里にもしゃべらせるつもりは

 

なかったのですが、書き終わって自分でもびっくりだったりします。

 

早く二人を外史に連れていきたいところではありますが、もう少し

 

現代編をお送りします。

 

それでは次回、序章ノ三でお会いできたら幸いにございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追伸 皆様、私の前回の追伸に対して温かいお言葉をくださり

 

    恐悦至極にございます。これからは誇りに思うことにします。

 

 

 

 

 


 
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