No.382214

真・恋姫†無双~二人の王佐~ 第二章 第五話『邂逅』

syoukiさん

今回の話は劉備陣営での会話と風里と美雷が劉備陣営にいる朱里と雛里に会いに行く話となります。



拙い文ですが最後までお楽しみください。

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2012-02-23 18:03:45 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:12143   閲覧ユーザー数:9451

<注意>

 

この作品の桂花は一刀の妹という設定の為、恋姫シリーズでみられる一刀への罵声や毒は一切言いません。というよりもむしろ逆に甘えてきます。

 

 

 

それにオリキャラが何人も出てきます。一例として桂花の母や妹、華琳の母などまだまだ沢山出す予定です。

 

 

 

そしてキャラの仕官時期が違ったり所属が違ったりするかもしれません。(そのあたりはまだ未定です。)

 

 

 

あと一刀にオリジナル設定を設けていますので、恋姫シリーズの一刀とは身体能力や言葉遣いなど多少変わっています。ですが根本的な所は一緒のつもりです。

 

 

 

それと一刀には以前の記憶がありません。なぜ無いのかはそのうち出てきますのでそれまでお楽しみに♪

 

 

ですが一度読んでみてください!それで「おもしろい」と思ってさらに読み続けていただけたらうれしいです。

 

 

 

 

 

 

<王佐の才>

 

『帝王を補佐するにふさわしい才能(武・智)又はそれを持つ者のこと言う。(辞書引用)』

 

 

 

 

 

 

 

これは、平和な世を作ろうと乱世を駆け抜けた双子の男女の物語である。

各諸侯がこれからの戦に備えて準備をしている中、風里と美雷は桂花から従姉妹の諸葛孔明が劉備軍にいたと聞き、早速会いに行こうと歩を進めていた。

 

美雷「まさかここに朱里ちゃんがいるなんて驚きだよね♪」

 

風里「うん、それに朱里ちゃんがいるのなら多分雛里ちゃんも一緒なんじゃないかな?昔から二人共どこに行くにもいつも一緒だったから今回も同じ人に仕えてるかもしれないね」

 

美雷「そうかもね♪それにしても、あの二人が軍に仕官かーー!でも、二人の性格を知ってるから納得できるかな♪」

 

風里「だね。二人共凄く正義感が強いから「今の世の中を良くしたい!!」って言って私塾を飛び出すくらいはやりそう」

 

美雷「確かに♪…っと、ここだ。すみませ~ん!!」

 

兵士「はい、何か御用でしょうか?」

 

劉備の陣に着いた風里と美雷は入り口に立っている門番の兵士に話しかけた。

 

風里「すみませんがこちらに鳳士元という女の子はいますでしょうか?」

 

兵士「鳳士元様ですか?はい、もちろんおられますが……」

 

美雷「よかった♪どうやら一緒みたいだね」

 

風里「実は私達、諸葛孔明殿と鳳士元殿とお話しをしたくて来ました。ですから二人を呼んできていただけますでしょうか?」

 

兵士「失礼ですが貴女方は?」

 

風里「私は諸葛誕、彼女は鐘会と言います。私達の名を出せば二人はわかると思います」

 

兵士「…わかりました。では少々お待ちください」

 

門番の兵士はそう言うと中に入っていった。

一方、劉備こと桃香が白い旅人を見に行った為、残ったメンバーは少し休憩して雑談をすることにした。

 

愛紗「…それにしてもあの御仁は一体何者なのだろうな?」

 

星「どうしたのだ愛紗?藪から棒に」

 

愛紗「いや、少し気になってな…我々はあの御仁の戦っている姿を遠目からでしか見えなかったがあの強さ、はっきり言って尋常ではなかった……おそらく我々と同等、もしくはそれ以上の武を持っているだろうな…」

 

星「ほう、愛紗も私と同意見か。確かにあの体捌きは到底素人とは思えないものだった。おそらく名の通った武人なのだろうな」

 

愛紗「それにしても…」

 

白蓮「あ~話し中にすまないが一つ聞いてもいいか?」

 

愛紗「ん?いかがなされた白蓮殿」

 

すると突然、白蓮が星と愛紗の話に割り込んできた。

 

白蓮「いやな、さっきからお前達が言っている“白い服の旅人”って一体誰なのかと思ってな」

 

星「おおっ!!そういえば白蓮殿はあの場面にいなかったのであったな。てっきり桃香様から全て聞いているものかと思っていたのだ。申し訳なかった!」

 

白蓮「いや、私が桃香から聞いたのはここに来る途中に黄巾党の残党が村を襲っていたから退治したとしか…」

 

星「まぁ、あの御仁のことに触れないのであればそれでいいのだ。だが実はな、この話しには続きがあるのだ」

 

白蓮「続き?」

 

星「ああ、実は…」

 

朱里「あ、あの!!そ、そこからはわた、私達が説明しましゅっ!はわぁ~///します!!」

 

雛里「ます!!」

 

星「ん?そうか、なら任せるとしようか」

 

朱里「ありがとうございます星さん。では順を追って説明しますが、まず我々はここに向かう途中周囲を警戒してもらっていた兵から黄巾党の残党が村を襲っているとの報告を受けたんです」

 

雛里「ここで普通でしたら部隊を殲滅部隊と伏兵や奇襲に備えて本陣を守る護衛部隊の二つに分けるべきだったのですが、その時の私は策を誤ってしまい桃香様と我々二人と最低限の兵以外の全員を村に向かわしてしまったんです。そしたら案の定、伏兵が現れて本陣が賊に強襲されてしまったんです…」

 

白蓮「奴らも村を襲撃中に官軍襲われるのを警戒して隊を二つに分けていたというわけか………それにしても頭の良いお前達らしくない失敗だな?」

 

雛里「あぅ~、私も朱里ちゃんも既に黄巾党の首領張角達と主要部隊は討伐されていたので彼らを指導者不在で策もなくただ暴れているだけの賊と勝手に決め付けてしまったんです……」

 

朱里「ですが実際に戦ってみれば統率の取られていた賊達で私達は敵の策に引っかかって賊達を退治するはずが、逆に殲滅されそうになってしまったわけです…」

 

雛里「私達の敵の大将達が討たれたから後は雑兵だから心配ないという油断が原因でした…」

 

白蓮「それでそこを助けてくれたのがその“白い服の旅人”というわけか」

 

愛紗「ええ、桃香様に迫っていた賊を倒しただけでなく、あの御仁は周りにいた賊達を一瞬で倒してしまったのです」

 

白蓮「なるほどな、それで命の恩人か」

 

星「ええ、もしあの時あの御仁が来てくださらなかったら今頃桃香様の命は無かっただろう。そして我々も御旗を失っていた」

 

愛紗「姉者を助けていただいたあの御仁には感謝をしてもしきれない」

 

愛紗はその時の光景を思い出して拳を握り締めた。

 

朱里「はわ~、なので是非お礼を言おうと思ったのですが、“白い服の旅人”さんは突然倒れてそのまま眠ってしまったんです。なので我々としても恩人をそのまま地面に寝かせておくのも忍びなかったため一緒に連れてきたのです。と、これがここに来るまでに起こったことの全てです…」

 

話し終えた朱里と雛里は自分たちの油断から軍を危険な目に遭わせたのが余程堪えたのか二人揃ってシュンとしてしまった。

 

白蓮「まぁ~、なんだ…失敗したのならそれを教訓に次頑張ればいいじゃないか!なっ?」

 

雛里「あぅ~」

 

朱里「そう、ですね…二度と今回のようなことが無いよう軍師としてできるかぎりのことをやっていきます!」

 

「よし、その意気だ。二人共頑張れよ!!」

 

朱里&雛里「「はい!」」

 

愛紗「…では話を戻そう。あの御仁はまだ目を覚まさないのだろうか?もうかれこれ一日以上寝ているぞ?」

 

星「うむ、実はどうもあの御仁が来た方角にある山々はどれもこれも険しい道のりで有名な山らしい。それに休む場所など全く無いらしく、あの山々を抜けるにはほとんど寝ずに山越えをしなければならないらしい。だから普通ならば迂回していくそうだがもしあの山々を越えていくのなら四日間はほとんど寝ずに進まないといけないらしい。だからおそらくだがあと二、三日は寝ているだろうとのことだ」

 

愛紗「そうか…」

 

星「何か気になることでもあるのか?」

 

愛紗「いや、そうではない。ただあの御仁が目が覚めて体調が万全になったら是非とも一度手合わせしてもらいたいと思っただけだ」

 

星「やはり愛紗もそう思うか。正直言って私もあの御仁とは手合わせをしてみたいと思っていたところだ」

 

愛紗と星としては白い服の旅人の正体よりも、やはり武人としての血が騒ぎ、是非戦ってみたいと思うほうが強いのであった。

兵士「失礼します!!実は孔明様と士元様に面会したいという者が来ているのですがお会いになりますか?」

 

朱里「私達に、ですか?」

 

兵士「はい、諸葛誕と鐘会と言えばわかると…」

 

朱里「はわわっ!?」

 

雛里「あわわっ!?」

 

愛紗「ん?知り合いか?」

 

朱里「は、はい。二人のうち一人、風…諸葛誕ちゃんは私の従姉妹なんです」

 

星「ほう~」

 

朱里「それにもう一人の鐘会ちゃんも昔から一緒に遊んだりお勉強したりしていた幼馴染なんです。それにしても、そっか~二人も来てるんだ!!」

 

兵士「孔明様、ではお会いになりますか?」

 

朱里「はい!!それじゃあ二人を私の天幕まで連れてきてください」

 

兵士「御意」

 

???「てわわ、朱里お姉ちゃん。兵士さんから風里お姉ちゃんと美雷お姉ちゃんが来てるって聞いたのですが…」

 

すると兵士が外に出るのと入れ違いに女の子が入ってきた。その女の子は朱里をお姉ちゃんと呼び、朱里の着ている服にどこか似ている服を着ていた。といっても背が朱里より小さいため若干ぶかぶかなのだが…

 

朱里「ちょうどよかったよ真理ちゃん!!これから迎えに行こうと思ってたところだったんだよ!!」

 

真理「ほえっ?そうなのですかお姉ちゃん?」

 

実はこの朱里のことをお姉ちゃんと呼んだ娘は名を諸葛均と言って、つい最近劉備陣営に加わった朱里の妹なのだった。

 

朱里「愛紗さん、申し訳ありませんがそういうことなので少し出てきますね」

 

愛紗「ああ、久しぶりの従姉妹と幼馴染との再会だ。時間の許す限り話してきても構わないだろう」

 

朱里「ありがとうございます!!それじゃあ雛里ちゃん、真理ちゃん、行こう!!」

 

雛里・真理「「うん!!」」

 

そう言うと朱里、雛里、真理の三人は天幕の外に出て行った。

その頃、劉備の陣の前で門番が朱里と雛里を呼びに行っている間、美雷がふと思い出だしたように呟いた。

 

美雷「そういえばさぁ、百合お姉ちゃんと真里ちゃんは二人が劉備さんに仕官しているの知ってるのかな?」

 

風里「う~ん、それは大丈夫だと思うよ美雷ちゃん。二人共しっかりしてるから多分知らせてあると思う。でも、それとは別に百合お姉ちゃんも真里ちゃんも朱里ちゃん達のこと大好きだから心配はしてるかもね…」

 

二人の話に出てくる百合とは名を諸葛瑾、字を子瑜と言って名前の通りで朱里と真理の姉なのであった。そしてその百合と風里達の関係は風里と朱里の母が姉妹ということで昔からみんなで百合お姉ちゃんと呼んで面倒をみてもらっていたのだった。(ちなみに年齢は上から百合>風里=美雷>朱里=雛里>真理である)

 

美雷「そうだね…って、あっ!?」

 

風里「どうしたの美雷ちゃん?」

 

美雷「あ、あれ…」

 

風里「うん?向こうに何が……って、ふみゅっ!?」

 

美雷が指差す方向を見た風里も美雷と同じように驚きの声をあげた。

 

???「困りましたわ…孫呉の陣地はどっちらかしら?」

 

なんと、今話しに出てた百合その人が目の前から困り顔でこちらに歩いてきたのだ。

 

風里・美雷「「百合(お)姉ちゃん!!」」

 

百合「おや?今、誰か私をお呼びに………ってあらあら♪風里ちゃんに美雷ちゃんじゃないの!!久しぶりね♪二人共元気だった?」

 

風里「は、はい…百合お姉ちゃんもお元気そうで何よりです」

 

百合「ありがと♡それにしても、二人共背が伸びたわね!」

 

風里「そ、そうですか?」

 

美雷「そうかな?」

 

百合「えぇ、昔は私のお腹より少し上くらいだったのに今は胸まであるんですもの♪立派に成長してるわ♪お姉ちゃん嬉しい♡」

 

百合は手を自分のお腹辺りにもっていったあと、おもむろに二人を抱きしめた。

 

風里「ふみゅ~~~////////」

 

美雷「あはははは~//////……と、ところで百合お姉ちゃんもここにいるってことは真里ちゃんも一緒なのですか?」

 

百合「真里?いいえ、あの子は母さんと家にいるはずよ?私は朱里ちゃんと雛里ちゃんを追って平原に行こうとしたんだけど途中で道に迷っちゃったのよ……それで気が付いたら全くの正反対の江東に着いちゃってね…そしたらそこの太守の孫堅様の目に留まって今はそこで働かせてもらっているのよ」

 

美雷「え~~!?朱里ちゃん達と一緒じゃないんですか!?ここにいるからてっきり朱里ちゃん達と一緒に劉備さんに仕えているものとばかり…」

 

百合「ええっ!?朱里ちゃん達ここにいるの!?」

 

風里「はい。私達も今さっき聞いたところなんです。それで会いに来ていて、今は門番さんに二人を呼んでもらっているところなんです」

 

百合「そう……なら私も一緒に行ってもいいかしら?」

 

美雷「もちろんですよ♪」

 

百合「ありがとう。そうそう、叔母さんから聞いたわよ。色々あって今は二人とも確か荀鳳さんって人に仕えているのよね?どう、楽しくやっているかしら?」

 

風里「は、はい…」

 

美雷「う、うん…」

 

百合「あ、あれ?ふ、二人共どうしたのよ一体!?」

 

風里「………」

 

美雷「実は荀鳳様は…」

 

風里は一刀のことを思い出して落ち込んでしまったので代わりに美雷がこれまでのことを話した。

 

美雷「……というわけなんです」

 

百合「そう、そんなことが…大変だったわね」

 

百合はそう言うとまた二人を抱きしめた。だが今回は先ほどよりもさらに優しく、そして慈愛に満ちたものだった。

 

風里「…はい、でも私たちは荀鳳様は必ず戻って来るって信じています」

 

百合「そう、そこまで信頼できる人に仕えることができてよかったわね」

 

風里「うん♪」

 

風里「はい!!」

 

兵士「お待たせしました。では、ご案な……えと、どうやらもう一人増えているようですが貴女は?」

 

すると中から朱里の命令で風里達を迎えにきた兵士が現れた。

 

百合「申し遅れました。私、諸葛孔明と諸葛均の姉の諸葛瑾と言います。いつも妹達がお世話になっています(ぺこり)。それで……すみませんが私も二人と一緒に妹達に会ってもよろしいでしょうか?(キラキラ…)」

 

兵士「そ、そうでしたか…でしたらおそらく大丈夫かと////」

 

百合「(?)ありがとうございます♪♪」

 

風里「……久しぶりに見たね。百合お姉ちゃんの必殺技『無自覚おねだり』」

 

美雷「うん、相変わらず威力は抜群だね…」

 

説明しよう!『無意識おねだり』とは、その名の通り百合本人にはそんなつもりなど全く無いただの頼みが相手にはまるで甘えているかのように感じてしまう百合は自覚していないが実は身につけている必殺技である。ちなみに今までこれに抗えた者はいない…

 

兵士「で、ではご案内いたします////」

 

まだ顔の赤い兵士に案内され、三人は朱里達の待つ天幕へと向かっていった。

こうして兵士に案内されて天幕に入った風里達と、その風里達を待っていた朱里達だったが、対峙した瞬間に六人とも驚きの声をあげた。

 

朱里・雛里・真理「「「百合お姉ちゃん!?」」」

 

風里・美雷・百合「「「真里ちゃん!?」」」

 

六人「「「「「「なんでいるの!?」」」」」」

 

驚くのも無理はない。何せ風里達はここに朱里と雛里だけでなく三姉妹の末っ子の真理もいるとは思わなかったので凄く驚いていた。当然、逆も然りで朱里達も風里と美雷だけと聞いていたのに入ってきたのは風里と美雷だけではなく、姉の百合も一緒だったため風里達と同様に驚いたのだった。

 

百合「朱里ちゃんと雛里ちゃんだけでなく真里ちゃんもいたなんてお姉ちゃんびっくりしたわ!!」

 

朱里「私達もですよお姉ちゃん!!」

 

雛里「…です」

 

真理「てわわ…」

 

美雷「なんか元直ちゃん以外は全員揃ったね♪」

 

風里「うん…びっくりした」

 

朱里「それにしても今までどこにいたんですか百合お姉ちゃん?真理ちゃんの話だと私達に会うために真理ちゃんより先に家を出たって…やっぱり道に迷ってたんですか?お姉ちゃん方向音痴だからすごく心配していたんですよ?」

 

百合「ごめんなさいね心配かけて。実は朱里ちゃんの想像通りなのよ。私、道に迷ってしまってね。それで…」

 

百合は風里達に話したことを朱里達にも話して聞かせた。

 

百合「…というわけで私は江東を治めている孫堅様のところで働いている訳なの。それにしても真理、貴女までここにいるなんてお姉ちゃんそっちのほうが驚きよ?」

 

真理「てわわ、実は百合お姉ちゃんが家を出たあとやっぱりお姉ちゃん達と一緒にいたくて追いかけたんです。でもすでに百合お姉ちゃんの姿は見えなかったから朱里お姉ちゃんのいる平原に行けば会えると思ったのですが…」

 

美雷「百合お姉ちゃんってば迷子になっていたから結局会えず、そのまま平原に着いてしまった、ってわけか」

 

真理「そうなのです」

 

百合「そうだったの、ごめんなさいね真理ちゃん…」

 

真理「ううん、百合お姉ちゃんには会えなかったけど朱里お姉ちゃんと雛里お姉ちゃんに会えたから寂しくなかったです。でもずっと百合お姉ちゃんのこと心配してました。だから会えて本当に良かったです!」

 

百合「真理ちゃん!!」

 

百合は感極まって真理に抱きついた。

 

真理「むぎゅ~!?」

 

朱里「百合お姉ちゃんらしいといえばらしいですが…それで風里ちゃん達は?叔母様から二人もどこかの国の人に仕官しているって聞いたけど…」

 

美雷「あ、うん…黄巾の乱の前はそうだったけど…今は違うんだ…」

 

朱里「えっ!?どういうことなの風里ちゃん?」

 

風里「実は…」

 

今度はちゃんと風里が話した。黄巾の乱の時に二人が仕えていた人が行方不明になったことや、突然太守を交代させられて自分達を含め荀家に関わる者全員が国を追い出されたこと、皆行く当ても無く困っていたところを曹操の母、曹嵩に助けられたので今現在は曹操の客将していることを簡潔に説明した。

 

朱里「二人共大変だったんだね…………(そっか、風里ちゃん達は今は客将として曹操さんの所にいるんだ………)なら…(チラッ)」

 

雛里「…(コクン)」

 

朱里と雛里はアイコンタクトをし、何かを確認してから

 

朱里「お姉ちゃんも風里ちゃん達も私達と一緒に来ませんか?」

 

風里達を劉備軍に誘ったのだった。

 

風里・美雷・百合「「「えっ!?」」」

 

朱里「劉備様は凄い人なんです。人望厚く民を想い民に慕われる心優しい方で、何より今の世の中を憂いており、力の無い弱い人達を守る為に戦おうとしている素晴らしい方なんです!!」

 

雛里「私達もその劉備様の考えに賛同し、またその力になろうと思ってます」

 

朱里「だからお姉ちゃん達も一緒に戦ってもらえますか?」

 

真理「真理は百合お姉ちゃんとも一緒が…いいかな」

 

百合「真理ちゃん…けれど私達にはもう仕えている方達が…」

 

雛里「でも百合お姉ちゃんはもともとは私達に会いに来る為に家を出たのですからきっと孫堅さんもわかってくれます。それに風里ちゃん達も宿将なら問題はないはずです」

 

朱里「百合お姉ちゃんと風里ちゃん達が一緒に来てくれたらきっと劉備様の天下統一も実現すると思うんです。だから!!」

 

百合「朱里ちゃん、それに雛里ちゃんまで…」

 

朱里と雛里は説得しようと熱く語った。しかし…

 

百合「ごめんなさい朱里ちゃん…」

 

百合の口から紡がれたのは同意の言葉ではなく、拒否だった。

 

朱里「百合お姉…ちゃん?」

 

百合「私もできることなら朱里ちゃん達と一緒にいたいわ。けれどね、私は劉備様と会ったことは無いし言葉も交わしたこともないからどんな人物なのかわからない。それなのにそう簡単に劉備さんに仕えるかどうかを決めることはできないわ」

 

朱里「で、でしたら今からでもお会いになってください!!」

 

百合「いいえ、その必要はないわよ朱里」

 

朱里「えっ?」

 

朱里は主の桃香を呼びに行こう立ち上がるがそれを百合は止めた。

 

百合「朱里、貴女の気持ちは大変嬉しいわ。でも、もし仮に劉備様に会って貴女達の言う通りの人物だったとしても、私は劉備様に仕える気は無いの」

 

朱里「そんな!?どうしてです百合お姉ちゃん!!」

 

百合「それはね、私は孫家の方々を心からお支えしたいと思っているからなの。特に、次女の孫権様は余所者の私を気に掛けてくれたり大変良くしてくださった。だから私はそんな孫権様を絶対に裏切りたくないのよ」

 

朱里「お姉ちゃん…」

 

百合の瞳には確かな決意が見てとれた。初めは平原への旅費を稼ぐための仕官だったが、次第に百合は孫家のみんなや武将達、そして軍師やそこに暮らす人々が好きになっていった。なので、妹達に会えたからと言って孫家を裏切って妹達の下にいくことなど百合にはできなかったのだった。

風里「ごめんね朱里ちゃん。私達も百合お姉ちゃんと一緒、朱里ちゃん達の所に行けないよ」

 

風里も百合同様、決意のこもった声で答えた。

 

朱里「どうしてですか!?二人が本来仕えている方はもういないのに!!」

 

美雷「帰ってくるよ」

 

朱里「えっ?」

 

珍しくいつもは明るく笑っている美雷が真面目な顔で口を開いた。

 

美雷「あの人は絶対に帰ってくるよ。だってあの人はとっても強くて家族を、仲間をとっっっても大切にする人だもん。そんな人が自分だけ先に死んだり家族を放っておくわけないじゃん?だから私達は信じて待つの、あの人が帰ってくるのを…」

 

風里「美雷ちゃん……うん、私も同じ気持ちだよ。それにね。私、朱里ちゃん達に会いに来る時に約束したの」

 

雛里「約束?」

 

風里「うん、絶対に戻ってくるって」

 

朱里「そう、ですか………でも、百合お姉ちゃんも風里ちゃん達もそこまで信頼できる方に出会えてよかったね!」

 

風里・美雷「「うん♪」」

 

百合、そして風里と美雷に誘いを断られた朱里は残念そうだったがすぐに笑顔を見せた。一緒に戦う仲間にはなれなかったが姉と友達が自分達同様、心から仕えたいと思える人物に出会えたのが嬉しかったからだった。

 

百合「それは貴女達も、でしょ?」

 

朱里「うん♪」

 

雛里「はい!」

 

真理「てわわ♪」

 

百合「さて、今度会うとしたら敵同士になってしまうけれど、今のところは味方なのだからいっぱいお話しましょう♪」

 

朱里「でしたら…」

 

その後、彼女達はお互いの陣に戻る時間になるまで思い出ばなしをして過ごしたのだった。

こうして朱里達との久しぶりの話しを終えた風里と美雷が自分達の陣地に戻るとそこには桂花が待っていた。

 

桂花「どうやらちゃんと帰ってきたようね」

 

風里「当然です。桂花ちゃんと約束しましたし、何より私は一刀様に助けられたあの時に誓っているんです。あの方に一生仕えようって……」

 

桂花「あっそ、ならさっさと持ち場に戻りなさい。さっき麗羽の遣いが来て洛陽に向けて出発する旨を伝えていったわ」

 

風里「そう、ですか。ついに始まるんですね戦が……洛陽は今はどうなっているんでしょうか?」

 

桂花「そうね…」

 

風里「桂花ちゃん?」

 

桂花「何でもないわ。そんなことよりも行くわよ風里、美雷!!」

 

風里「ちょ、ちょっと待ってよ桂花ちゃん!?」

 

美雷「は~い♪」

場所は変わってここは洛陽、玉座の間。中では眼鏡を掛けた女の子が連絡兵からの報告を聞いているところだった。

 

兵士「賈駆様!!見張りの兵から連合軍が動きだしたと報告が!!」

 

賈駆「ようやく動き出したようね。それで、奴らの進路は?西から?それとも東かしら?」

 

兵士「どうやら東からこの洛陽に向けて進軍する模様です!!」

 

賈駆「そう、東から…やっぱりね。それで我が軍の配置状況は?」

 

兵士「はっ、賈駆様のご指示通りの場所に皆配置しております!!」

 

賈駆「おそらく連合軍はあと数日で汜水関に着くはずよ。皆に警戒を怠らないよう言い含めなさい」

 

兵士「はっ!!」

 

賈駆「…ところで十常侍の最後の一人、段桂の方はどうなっているのかしら?行方はまだわからないの?」

 

兵士「申し訳ありません。全力をもって捜索しているのですが未だ発見には…」

 

賈駆「わかったわ。もう下がっていいわよ。でも何か変化があればすぐにボクに知らせなさい」

 

兵士「御意!」

 

 

 

 

 

兵士が部屋を出ると賈駆は姿勢を崩した。

 

賈駆「ふぅ~」

 

???「詠ちゃん…」

 

賈駆改め詠「月!?」

 

月「疲れてる?ううん、絶対に疲れてるよね……ごめんね詠ちゃん。私が何進さんの申し出を受けたばっかりに…」

 

詠「そんな!?月はちっとも悪くないよ!!悪いのは全部何進と十常侍達よ!!月は奴らの醜い権力争いに巻き込まれただけ!!しかもボク達が奴らを倒した途端、それを妬んだ諸侯が月の悪い噂を流して今度は月を討とうとするなんて…」

 

月「詠ちゃん…ごめんね」

 

詠「謝らないで月。ボクは好きでやってることだから。それに月は絶対ボクが護ってみせるから!!」

 

月「ありがとう詠ちゃん♪」

 

詠「う、うん////……そ、そうだ!劉弁様と劉協様の様子はどう?」

 

月「うん。部屋で休んでもらってるよ。最初は突然の出来事に戸惑っていらしたけど今はだいぶ落ち着いてる」

 

詠「そっか、月が劉弁様、少帝を操っているって噂が流れているからその所為で今は何を言っても誰も聞いてくれないのを知って劉弁様結構落ち込んでいたものね……」

 

月「わたしの所為で…」

 

詠「月は悪くない!!悪いのは…ってこれじゃあ堂々めぐりね。とにかく、ボクが月も劉弁様と劉協様、皆を護るから安心して!!ね、月」

 

月「うん……頼りにしてるね、詠ちゃん…」

 

詠「まかせて月!月達は何があっても護ってみせる!!…………………例えそのためにどんな犠牲を払ってでも…」

 

最後の言葉を詠は月に聞こえないよう小声で言ったのだった。

あとがき

 

今回出てきた百合と真理ですが『金髪のグゥレイトゥ!』さんからの借りものです。彼女達の詳細は話の途中に貼ってあるのでそちらで確認お願いします。

~次回予告~

 

総大将になった麗羽に無理矢理先鋒にさせられてしまった桃香たち劉備軍。そんな彼女達の前に洛陽の誇る難攻不落の要塞である汜水関が立ち塞がる。

 

 

次回[真・恋姫†無双~二人の王佐~]第二章 第五話「賈駆の奇策」

 

 

『ついに始まる汜水関の戦い。この勝負、勝つのは連合か?それとも董卓軍か!!』なんてね♪

 

 

 

 

それではまた次回!!

 

 


 
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